JPH0353008Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、燃料供給経路中に燃料添加剤を供給
する燃料添加剤供給装置に関する。

［従来の技術］ 従来、車両上において燃料系に燃料添加剤を供
給する燃料添加剤供給装置は、数多く提案されて
いる。通常、この装置は、燃料を燃料タンクから
エンジンに供給する燃料供給経路に、燃料添加剤
タンクからの燃料添加剤を導く添加剤供給経路が
接続されたものから成る。

また、燃料添加剤としては、たとえば、水、ア
ンチノツク剤、異種燃料等のほか、有機金属化合
物、カルシウム、マンガン、鉛、銅などを主成分
とし、煤を燃えやすくするものがある。

［考案が解決しようとする問題点］ しかし、冷寒下の車両始動時のように燃料添加
剤の温度が低温の場合では、その粘度が非常に大
きくなり、流動性が著しく低下し、燃料供給経路
中に燃料添加剤が供給されにくくなる。このよう
な状態では、たとえば、デイーゼル後処理におい
て燃料添加剤が供給されない状態で走行すると、
煤の燃焼性が悪化し煤補集用のフイルタに煤が堆
積してやがて目づまりを起こすおそれがあり、エ
ンジンにかかる背圧が上昇して、エンジンの出力
等の性能が大巾に低下することが推測される。

また、フイルタ上に大量に堆積した煤が、いつ
たん燃焼し始めると、急速に燃焼が伝幡し、フイ
ルタが溶損してしまうことも充分推測される。こ
のような、フイルタの溶損が起こると、煤がフイ
ルタで補集されなくなり、エンジンからそのまま
外部へ排出されてしまう。このため、煤等のパテ
イキユレートの排出量は、通常の値を上まわり、
規制値からみて好ましくないという問題が生じ
る。

本考案は、上記の問題に着目し、低温時におい
ても燃料供給経路中に燃料添加剤を十分に供給可
能な燃料添加剤供給装置を提供することを目的と
する。

［問題点を解決するための手段］ この目的に沿う本考案の燃料添加剤供給装置
は、燃料タンクからエンジンに燃料を供給する燃
料供給経路に、燃料添加剤を添加剤供給経路より
供給するようにした燃料添加剤供給装置におい
て、エンジン側で余剰となつたリターン燃料を前
記燃料供給経路に戻すリターン燃料経路を備え、
該リターン燃料経路を、リターン燃料により燃料
添加剤を温めるように前記添加剤供給経路に隣接
して配置したものから成る。

［作用］ 上記のように構成された燃料添加剤供給装置に
おいては、リターン燃料経路が添加剤供給経路に
隣接して配置されるので、燃料添加剤とリターン
燃料経路を流れるリターン燃料との間で熱交換が
行われる。そのため、低温時においては、エンジ
ン側で温められた高温のリターン燃料が有する熱
量によつて燃料添加剤が温められ、燃料添加剤の
高粘度化が防止される。したがつて、燃料添加剤
の流動性は良好な状態に保たれ、燃料添加剤は燃
料供給経路中へと順調に供給される。

［実施例］ 以下に本考案の燃料添加剤供給装置の望ましい
実施例を図面を参照して説明する。

第１図は、本考案の一実施例に係る燃料添加剤
供給装置の部分断面と、この装置が組込まれる燃
料系統を示している。

図中、１は燃料タンクを示しており、２はエン
ジン、３は燃料供給経路、４は燃料添加剤供給装
置全体を示している。燃料タンク１からエンジン
２に燃料を供給する燃料供給経路３の途中に燃料
添加剤供給装置４が設けられている。燃料添加剤
供給装置４には、燃料添加剤タンク５から燃料供
給経路３に燃料添加剤６を供給する添加剤供給経
路７が設けられており、燃料添加剤タンク５内は
添加剤供給経路７の一部を構成している。

添加剤供給経路７の下流側先端部は、本実施例
においてはボールポイント弁７ａから成り、燃料
供給経路３中に臨まされている。ボールポイント
弁７ａは、その先端にボールを有し、このボール
が回転板１２によつて回転されることにより添加
剤供給経路７から燃料添加剤６が引出され、燃料
供給経路３中を通過する燃料に混入されるように
なつている。

燃料添加剤６は、本実施例においては有機金属
化合物、カルシウム、マンガン、鉛、銅等を主成
分とする燃料添加剤が用いられ、煤を燃えやすく
するために加えられる。

８はエンジン２側からの余剰燃料を燃料供給経
路３に戻すリターン燃料経路である。リターン燃
料経路８は、燃料添加剤タンク５中を通る一方の
リターン燃料経路８ａと、燃料添加剤タンク５を
バイパスし、直接燃料供給経路３の途中に戻され
る他のリターン燃料経路８ｂとに分岐されてい
る。一方のリターン燃料経路８ａの一部は、燃料
添加剤タンク５内に投入されている燃料添加剤６
を温める機能を有している。このように、添加剤
供給経路７の一部を構成する燃料添加剤タンク５
内にリターン燃料経路８ａを隣接して配置するこ
とにより、リターン燃料９と燃料添加剤６との熱
交換率を高めている。

他方のリターン燃料経路８ｂは、燃料添加剤タ
ンク５外へとさらに延びている。第２図および第
３図にも示すように、本実施例においては、燃料
添加剤タンク５の下流側の供給管１５は、添加剤
供給経路７と一方のリターン燃料経路８ａが同心
状に配置される２重管構造となつている。これに
より、添加剤供給経路７とリターン燃料経路８ａ
とは隣接して配置されることになり、添加剤供給
経路７の区画壁１６を介してリターン燃料経路８
ａのリターン燃料９の熱が添加剤供給経路７の燃
料添加剤６に伝熱される。供給管１５の下流端部
は、ボールポイント弁７ａ下部付近でリターン燃
料９が流れ出るのに必要な分だけの開口に絞られ
ている。

リターン燃料経路８ａ，８ｂの分岐部には、燃
料添加剤６がある流動点以下の温度のときのみ、
一方のリターン燃料経路８ａにリターン燃料９を
流す切換弁１０が設けられている。切換弁１０
は、本実施例においては電磁弁から成る。この電
磁弁１０の開閉は、燃料添加剤タンク５中の燃料
添加剤の温度を検知する温度センサ１１から発せ
られる信号により制御される。

このように、燃料添加剤６の温度が流動点以上
の場合には、リターン燃料経路８ｂに切り換えて
燃料添加剤６を必要以上に温めないようにするこ
とにより、高温下による燃料添加剤６の劣化を防
止できる。

つぎに、上記の燃料添加剤供給装置の作用につ
いて説明する。

まず、燃料添加剤タンク５中の燃料添加剤６の
温度が、温度センサ１１によつて検知される。こ
のとき、冷寒下の車両始動時のように、燃料添加
剤６の温度が流動点以下である場合には、温度セ
ンサ１１からの信号により、切換弁１０の制御に
より、リターン燃料９が燃料添加剤タンク５側の
一方のリターン燃料経路８ａ側に流される。リタ
ーン燃料９は、燃料添加剤タンク５中の配管内を
流れることにより燃料添加剤タンク５中の燃料添
加剤６と熱交換される。さらに、リターン燃料９
は、２重管に構成される供給管１５を流れること
により添加剤供給経路７中の燃料添加剤６と区画
壁１６を介して熱交換され、燃料添加剤６は十分
に温められる。燃料添加剤６の温度が上昇すると
粘度は小となり、燃料添加剤６の流動性が良好と
なる。したがつて、回転板１２の回転によつて添
加剤供給経路７から燃料添加剤６が十分に引出さ
れ、燃料供給経路３の燃料中に燃料添加剤６が円
滑に混入される。

つぎに、燃料添加剤６の温度が流動点以上であ
る場合には、リターン燃料経路８からのリターン
燃料９が、切換弁１０により、リターン燃料経路
８ｂのみに流されて、直接燃料供給経路３の途中
に戻される。

このようにして、冷寒下においても燃料中に燃
料添加剤６が順調に供給されるので、本実施例の
ように、燃料添加剤が有機金属化合物等から成る
場合においては、煤が燃えやすくなり、煤補集用
のフイルタに煤が堆積することはなくなり、フイ
ルタの目づまりによるエンジン性能の低下は防止
される。

実施例のように、ボールポイント弁７ａにリタ
ーン燃料９を流入させることにより、ボール、回
転板１２等をリターン燃料９の流れによつて洗う
ことが可能となる。そのため、この部分への燃料
添加剤６の付着が防止され、燃料添加剤６を円滑
に燃料中に流入させることができ、燃料添加剤６
の付着による応答遅れも防止される。加えて、こ
の部分におけるリターン燃料９の流入により燃料
添加剤６の流入の流れが乱され、燃料中への混合
状態もよくなる。

なお、本実施例では、燃料添加剤６に有機金属
化合物等が用いられた場合について述べてある
が、他の燃料添加剤がある目的をもつて用いられ
た場合においても、低温時において、各添加剤が
目的とする所定の特性を満足させることも可能と
なる。

［考案の効果］ 以上説明したように、本考案においては、エン
ジン側で余剰となつたリターン燃料を燃料供給経
路に戻すリターン燃料経路を、添加剤供給経路に
隣接して配置し、リターン燃料によつて燃料添加
剤を温めるようにしたので、燃料添加剤の流動性
が悪化するような低温時でも燃料添加剤の粘度を
小さくすることができる。したがつて、低温時で
も燃料添加剤の流動性は良好な状態に保たれ、燃
料添加剤を燃料供給経路中へ順調に供給すること
ができる。

また、このことから、デイーゼル後処理用フイ
ルタを有する機関においても燃料添加剤の燃料へ
の供給が、長時間停止することがなくなり、煤の
燃焼性等を向上して自動車にとつて深刻なフイル
タ目づまりを回避することができる。その結果、
デイーゼル後処理用フイルタについては、低温始
動時でも良好に再生されるようになつた。したが
つて、パテイキユレートの排出も良好に抑制され
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係る燃料添加剤供
給装置の系統図、第２図は第１図の装置の部分拡
大図、第３図は第２図の装置の部分拡大図、であ
る。 １……燃料タンク、２……エンジン、３……燃
料供給経路、４……燃料添加剤供給装置、５……
燃料添加剤タンク、６……燃料添加剤、７……添
加剤供給経路、８，８ａ，８ｂ……リターン燃料
経路、９……リターン燃料。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 燃料タンクからエンジンに燃料を供給する燃料
   供給経路に、燃料添加剤を添加剤供給経路より供
   給するようにした燃料添加剤供給装置において、
   エンジン側で余剰となつたリターン燃料を前記燃
   料供給経路に戻すリターン燃料経路を備え、該リ
   ターン燃料経路を、リターン燃料により燃料添加
   剤を温めるように前記添加剤供給経路に隣接して
   配置したことを特徴とする燃料添加剤供給装置。