JPH0350953Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （考案の技術分野） 本考案は、日本人形の頭髪部構造、特にいわゆ
るおすべらかし髪型を有する日本人形の頭髪部構
造に関する。

（従来の技術） 従来、おすべらかし髪型の構造としては、杓子
状の髪型に人形の後頭部を接着したものが知られ
ている（特開昭51−92233号）。

しかしこの構造においては湾曲する人形の後頭
部を面部に接着させるところから、その接着方法
は点接着ないしはそれに近い接着であり、このた
め後頭部と面部との固着を強力に維持できない。

頭髪で頭髪型部を被覆する場合、頭髪にたるみ
を生じないようにすることが髪型の仕上がりをよ
くするための必須条件であり、したがつて頭髪を
強く引張して被覆することが肝要である。

しかし前記構造においては、後頭部と面部とが
点接触で強力な接着が望めないから、後頭部に固
着され、これを起点とする頭髪を強く引張するに
は限界がある。

（考案の目的） 本考案は、このような欠点を克服するためにな
されたものであり、その目的は、仕上りのよい髪
型を有する日本人形の頭髪部構造を提供するもの
である。

また他の目的は、生え際の奇麗な頭髪を有する
日本人形の頭髪部構造を提供するものである。

（本考案の構成） この目的を達成するため、本考案にかかる日本
人形の頭髪部構造は、厚紙など若干の柔軟性のあ
る素材で形成され、上部を覆うように湾曲し、か
つ逆Ｕ字形の切欠部２ａを有する庇部２と、湾曲
状の両側部１ａ，１ａと、中央に形成された平面
状の面部１ｂとを有する杓子型の頭髪型部１と、
前記面部１ｂのほぼ半分の面積を有する平面状の
固定部３ａ底面に有する石膏製の台座３とからな
り、前記台座３の上部周縁に形成された頭髪保持
部５ａを、前記切欠部２ａの内側であつてかつ前
記切欠部２ａと若干の間隙をもつて配置し、前記
固定部３ａを接着剤により平面状の前記面部１ｂ
に固着する一方、前記台座３の凹部に固着され、
かつ前記頭髪保持部５ａ，５ｂに向け放射状に広
げられた頭髪４を前記庇部２と前記両側部１ａへ
と引張し、とくに前記庇部２の少なくとも一部を
内側に湾曲させ、庇部２の復元力に抗して引張さ
れた頭髪４ａを有する頭髪４により、前記頭髪型
部１を被覆したものである。

（作用） 頭髪型部１は若干の柔軟性を有する素材で形成
されているが、面部１ｂのほぼ半分の面積を有す
る台座３の平面状の固定部３ａを平面状の面部１
ｂに固着してあるから、台座３は面部１ｂに強力
に固着される。したがつて台座３の凹部に頭髪４
を固着し、これを起点として頭髪４を放射状に強
く引張しても、台座３が面部１ｂから外れること
はない。

また固定部３ａを面部１ｂに固着し、面部１
ｂ、つまり頭髪型部１のほぼ中央部分に剛性を付
与する一方、庇部２と両側部１ａは若干の柔軟性
を保持している。頭髪型部１が一定の柔軟性と剛
性を兼備していることは、台座３を起点として頭
髪４を引張し、頭髪型部１を頭髪４で被覆（結
髪）する上できわめて好都合である。

すなわち台座３を起点として頭髪４を強く引張
しても、頭髪型部１の面部１ｂに剛性が付与され
ているから、頭髪型部１がゆがんだり、型くずれ
することなく、安定した頭髪の被覆が可能であ
る。そしてきれいな生え際を形成するには、台座
３を起点とした頭髪４を庇部２や両側部１ａに対
し、すべて同じような状態で放射状に広げる必要
があり（第２図、第３図参照）、そのために微調
整が必要となる。

本考案では、若干の柔軟性のある両側部１ａ，
１ａや庇部２は、力を加えると適宜に湾曲させる
ことができるから、台座３を起点とした頭髪４を
強く引張する一方、両側部１ａ，１ａや庇部２を
内側に軽く押し付けるように湾曲させ、その微調
整を行なうことができる。

そして台座３の上部周縁に形成された頭髪保持
部５ａを切欠部２ａと若干の間隙をもつて配置し
てあり、庇部２の湾曲による微調整が可能であ
る。また上部を覆うように湾曲して形成された庇
部２は、内側に軽く押し付けるように湾曲させる
と、その部分に元の庇部２に復元しよとする復元
力が働く。

すなわち頭髪保持部５ａに向け放射状に広げら
れた頭髪４ａを庇部２へと引張する一方、庇部２
の少なくとも一部を内側に湾曲させ、庇部２の復
元力に抗して引張されている、頭髪４ａにたるみ
を生ずることなく常に引張状態で被覆できる。

（実施例） 以下本考案の実施例を添付の図面を参照して説
明する。

本考案にかかる日本人形の頭髪部構造は、杓子
型の頭髪型部１と、頭髪型部１の内面に固着され
た台座３とからなる。

すなわち頭髪型部１は、厚紙など適宜な柔軟性
のある素材で杓子状に形成してある。そして頭髪
型部１は、上部を覆うように湾曲し、かつ逆Ｕ字
形の切欠部２ａを有する庇部２と、湾曲状の両側
部１ａ，１ｂと、中央に形成された平面状の面部
１ｂとを有する。

台座３は底面に面部１ｂのほぼ半分の面積を有
する平面状の固定部３ａを形成しており、また上
部周縁に頭髪４を保持する頭髪保持部５ａ、５ｂ
が形成してある。

そして台座３は頭髪保持部５ａを前記切欠部２
ａの内側にあり、かつ切欠部２ａと若干の間隙を
おいて配置し、台座３の底面に形成された固定部
３ａを接着剤により平面状の面部１ｂに固着して
ある。

台座３の凹部に固着された頭髪４は頭髪保持部
５ａ，５ｂに向けて放射状に広げるとともに、庇
部２と両側部１ａ，１ａより面部１ｂ裏面へと引
張し、頭髪型部１を被覆した頭髪部５の端部は頭
髪型部下端に突出片７に糸、紐８で結束してあ
る。台座３を起点として頭髪保持部５に向け放射
状に広げて庇部２と両側部１ａへと引張された頭
髪４、とくに庇部２へと引張された頭髪４ａの少
なくとも１部は、庇部２の少なくとも一部を内側
に湾曲させることにより、庇部２の復元力に抗し
て引張されている。

このように頭髪型部１は、特に引張された頭髪
（全部の頭髪が特に引張されているわけではない）
を有する頭髪４ａにより、被覆してある。

また台座には一対の段部６，６が形成してあ
り、この段部６，６を石膏製の顔部９の耳１１近
傍に形成された一対の段部１１、１１と嵌め合わ
せるとともに接着剤で固着し、頭部１２が形成し
てある。

なお顔部９に形成された凹部に石膏１３を充填
することもできる。

（効果） 以上のように本考案によれば、頭髪４を強く引
張し、たるみのない仕上りのよい髪型を有する日
本人形の頭髪部構造を提供することができる。

また他の目的は、生え際の奇麗な頭髪を有する
日本人形の頭髪部構造を提供することもできる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案にかかる頭髪部構造を構成する
台座と頭髪型部を示す斜視図、第２図は頭髪を被
覆した頭髪型部の内面を示す平面図、第３図は第
２図の−線に添う断面図、第４図は頭髪の被
覆された頭髪型部を顔部に装着した状態を示す側
面図、第５図は顔部を含む頭部の斜視図である。 １……頭髪型部、２……庇部、３……台座。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 厚紙など若干の柔軟性のある素材で形成され、
   上部を覆うように湾曲し、かつ逆Ｕ字形の切欠部
   を有する庇部と、湾曲した両側部と、中央に形成
   された平面状の面部とを有する杓子型の頭髪型部
   と、前記面部のほぼ半分の面積を有する平面状の
   固定部を底面に有する石膏製の台座とからなり、
   前記台座の上部周縁に形成された頭髪保持部を、
   前記切欠部の内側であつて、かつ前記切欠部と若
   干の間隙をもつて配置し、前記固定部を接着剤に
   より平面状の前記面部に固着する一方、前記台座
   の凹部に固着され、かつ前記頭髪保持部に向け放
   射状に広げられた頭髪を前記庇部と前記両側部へ
   と引張し、とくに前記庇部の少なくとも一部を内
   側に湾曲させ、庇部の復元力に抗して引張された
   頭髪を有する頭髪により、前記頭髪型部を被覆し
   たことを特徴とする日本人形の頭髪部構造。