JPH03504640A - 病的な妊娠に対するマーカーとしてのイソフェリチン - Google Patents
病的な妊娠に対するマーカーとしてのイソフェリチンInfo
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Abstract
(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるため要約のデータは記録されません。
Description
病的な妊娠に対するマーカーとしての
イソフェリチン
1、発明の分野
妊娠女性に影響を与える多くの状態に対する簡単でしかも正確な診断方法が、今
日広く求められている。
どの妊娠女性が妊娠満期まで子供を保持できないような状態にある危険があるか
、および/または母親と胎児の両方の生命を危う(するかもしれない状態にある
危険があるかについて予め判定することは、不可能ではないにしてもきわめて困
難なことである。問題のある妊娠を早期に検出できれば、必要な治療的または予
防的処置をすばやく実行できる。本発明は今、いくつかの種類の病的妊娠の診断
および検出に対して使用され得る血清マーカーを提供する。これらすべての状態
の示標であるマーカーは胎盤イソフェリチン(PLF、または腫瘍胎児または胚
フェリチン)である。PLF特異的モノクローナル抗体のみならずイソフェリチ
ンに対して広く交差反応するモノクローナル抗体の発見によりそのマーカーの存
在または非存在に関する正確な検出が可能となった。これらの抗体の存在により
、前述した疾病状態の診断を正確にかつ迅速に促進しつるイムノアッセイの構築
が可能となった。
2、 発明の背景
鉄はあらゆる生きている有機体の構成に必須要素であることは知られているが、
鉄はまたその酸化、加水分解および不溶性酸化第二鉄ポリマーとして沈澱する傾
向ゆえに生理学的pH値において毒性を示すこともある。全ての生きた細胞で見
られるタンパク質フェリチンは、鉄の毒性が起こらないように確保するための身
体のもつ手段である。フェリチンは鉄をその細胞内に可溶性かつすぐ利用できる
形で貯蔵することにより機能する。細胞に貯蔵される鉄は、次に例えば赤血球造
血のためのような、体が必要とする時はいつでも流動化されつる。
「フェリチンjなる名称は、実際には、異なる組織型に特徴的である多数の個々
の異性体形を包含する。
個々のイソフェリチンは軽サブユニット(L)と重サブユニット(H)である二
種の異なる種類の24のサブユニットを有する。これらのサブユニットは分子量
が相違し、軽サブユニットは約18 kDa、そして重サブユニットは約19〜
21 kDaである。異なる組織または臓器から抽出したイソフェリチンは代表
的には異なる等電点を示し、ヒト組織の等電点電気自動パターンは連続したスペ
クトルを形成する。高い鉄貯蔵に関連する臓器(例えば牌臓および肝臓)はその
スペクトルの塩基性末端にフェリチンを有する。一方、鉄の乏しい臓器(例えば
心臓および胎盤)や悪性細胞は酸性フェリチンを有する(Drysdale、
C1ba Found、Symp、 51:41.1977)。
等電点における相違はそれぞれの型における軽サブユニットと重サブユニットの
分布の差に関係していると思われる。特に、重サブユニットに富むフェリチンは
比較的酸性であり、そして軽サブユニットに富むフェリチンは比較的塩基性であ
る(Cosellら、 Ferritins andIsoferritins
as Biochemical Markers、 p、49−65.198
4、 Elsevier)。最近の研究ではHサブユニットおよびLサブユニッ
トが複雑な遺伝子群によりコードされていることが示されており、それゆえ以前
に予期されたよりもさらに大きいフェリチン分子の異質性が存在することが示唆
されている。
2.1.1胎盤のイソフェリチン
酸性イソフェリチンの特定の種類は新生物細胞および胎盤細胞に特徴的であるこ
とが示されている(DrysdaleおよびSinger、 Cancer R
es、 44:3352.1974)。このタンパク質はまた腫瘍胎児フェリチ
ンまたは胎盤イソフェリチン(PLF)としても知られている。ヒト胎盤フェリ
チンは、5DS−PAGEで、肝臓フェリチン標準物と共に移動する単一種のサ
ブユニットから主に成り立っていることが示されている(Brownら、 B
iochem、 J、 182ニア63、 1979)。しかしながら、抗ヒト
牌臓フェリチンを用いて行なわれたイムノラジオメトリックアッセイは、PLF
に関して組織特異的抗原性を示している(Brownら。
前述)。PLF関しては3種のサブユニット構造がわかっている(Morozら
、G、1. Pat、 Cl1n、 1:17−23.1986)。
全てのフェリチンの特徴であるしサブユニットおよびHサブユニットに加えて、
ヒト胎盤に独特であると思われる高分子量(43kDa)サブユニットも存在し
、そしてそれにより、他のいずれの種類のフェリチンとも識別される胎盤イソフ
ェリチン分子の同定に関する可能な位置が提供される。
2.2病的な妊娠
妊娠した女性の大部分は妊娠満期まで子供を保持するのに何ら実質的な困難はな
いが、問題のある妊娠に関連して一般的に起こるある種の状態がある。出血のよ
うなある種の目に見える異常はもっと重大な問題の前兆であるかもしれないが、
また妊娠の正常パターンを脅かす状態には発展しない単なる不規則かもしれない
。他方自然流産のようなある種の状態は、何の兆候もなしに起こる可能性があり
、その結果妊娠の早期終結およびしばしば胎児の死亡を招来する。女性の中には
、連続的な妊娠において、胎児を妊娠満期まで保持することに困難さを示し、そ
れゆえ予め処置を受けることができるけれども、特に初めての妊娠では問題の進
展を一様に予想できるものではない。きわめて危険な範噴にある女性を早期に確
認することは、適切な治療処方処置を容易にし、それによって母体の健康にあり
うる危険を減少させると同時に妊娠満期に健康児か出生する機会を高める。妊娠
中により一般的に起こる問題のいくつかは妊娠中毒症、早発収縮、早産、稽留流
産および自然流産または中絶である。
2、2.1病的妊娠の臨床的兆候
相当数の妊婦、おそらく7%もの妊婦が妊娠期間中のある時期に急激な体重増加
、浮腫および血圧の上昇を経験する。中毒症として知られるこの状態は血流量お
よび糸球体濾過の減少をもたらし、これは正常な妊娠で見られるものとは全く逆
の状況である。糸球体濾過率が低下するゆえに、水の停留が主要問題である。
妊娠中毒症の特に重症形である子痴は全身にわたっての極度の血管の痙直および
間代性痙彎に続く腎臓の排出量の極度の低下、高血圧および一般的な中毒状態を
特徴とする。妊娠中毒症は当然に胎児の健康を脅かし、そしてよりひどい場合で
はまた母体の生命をも脅かしつる。
早産または自然流産の危険を示す指標でありうるその他の問題もまた妊娠中に起
こりつる。多くの婦人は妊娠初期(妊娠から16週以内)に早発収縮を経験しつ
る。この兆候と早産の危険性の高さとの関係ははっきりとは確立されていない。
同様に、異常出血が妊娠中のどの時期でもしばしば起こりうる。この徴候は切迫
流産または稽留流産の指標であるかもしれない。他方的50%においてはより重
大な状態には発展しない。明らかに、早産または自然流産の危険に関する幾つか
の予測的意味を用いてかかる状態を早期に評価することは、病院や自営の臨床医
にとって物凄く価値あること妊娠満期に至るまでの妊娠においである種の異常が
存在することはしばしば認められる。母親の子宮に着床する胎児の栄養芽層は母
親と父親の両方からの主要組織適合抗原を有しており、それゆえ、まれな状況を
除いて、正常の状況下では父親の抗原を異物として認識するに違いない母体の循
環(および免疫系)に対し抗原を提示する。それゆえ胚および胎児とは同種移植
の立場にあり、しかもなぜ母親が外来皮膚移植が拒絶されるのと同様な様式で、
胎児を拒絶しないのかに関する完全に満足のいく説明はまだなされていない。胚
が母親の免疫系の作用からある方法で保護されていることは明らかである。この
現象を説明するために数多くの機構が仮定されている。それらの中でも、胎盤と
最も密接に接触している合胞体栄養芽層上のクラス■抗原レベルが低いことまた
は非存在があることで、このことが、父親のクラスI抗原が細胞毒性応答よりも
むしろ耐性を誘導し、陰性荷電したムコ多糖体の障壁による細胞毒性リンパ球に
対する栄養芽層細胞の保護または胎盤により提供される物理的障壁の防御作用を
誘導するであろうという可能性をよりありそうなものとしている。
最近、胎児保護のより一般的な理論のひとつは母親の免疫応答の一般的抑制の示
唆である。胎盤が母体の循環中に種々の異なる産物を分泌することは知られてい
る。これらの産物には、ヒト絨毛ゴナドトロピン(HCG)および、エストロゲ
ン、プロゲステロン、コルチコステロイドのような免疫調節作用を有することが
知られている物質、並びに、妊娠に関連した成長因子が包含される(Caldw
ellら、 J、 Immunol、 115:1249゜1975; Fab
risら、Cl1n、 Exp、 Immunol、 28:306.
1977;Baerら、 C1ba Foundation Symp、
Excerpts Medica 64:293、 1979; 5uteri
ら、 Ann、 NY Acad、 Sci 286:384゜1977;
Mon5eら、 J、 Immunol、 128:218.1982)。胎盤
イソフェリチンはまた胎盤により母体の循環中に分泌されることが知られている
(Brownら、 Biochem、J、 182ニア63、1979)。発達
初期に胎盤により分泌されるある物質が母親に一般的な免疫抑制を誘導し、それ
によって胚の拒絶を防ぎ、正常な満期分娩を可能にしているのであろうことが示
唆されている。
同様に、妊娠中に起こりうかなりの数の不規則性についてもその原因について実
質的に説明かないままである。これらの問題のいくつかまたは多くは胎児の異種
抗原の存在に対する母親の免疫応答開始に関連する可能性が示唆されている。換
言すれば、問題のある妊娠では、この仮定した一時的な免疫抑制が発生しないゆ
えに困難さが生じている可能性がある。それで、母親は外来刺激に応答して正常
に反応し、それによりさまざまな程度合の胎児の拒絶が生じるのであろう。
本発明に関連して得られた証拠により、妊娠女性における“胎児の同種移植″の
耐容性(または非耐容性)に関する生理学的および免疫学的基礎の少なくとも一
部分の機構に関する示唆についての基礎が提供される。
妊娠女性の高い血清PLFレベルと正常な妊娠満期の出産との間には有意な正の
相関が存在することが今発見された。同様に、PLFの異常な低レベルは早産、
妊娠中毒症および他の妊娠に関係した病気と一貫して関連があることが示されて
いる。それゆえ妊娠女性における低レベルのPLFあるいは非存在は高危険度の
高い可能性のある妊娠に関するマーカーとして役立てられる。
この状態の検出は、新規イムノアッセイ系におけるPLF特異的モノクローナル
抗体の使用により理想的に達成でき、それにより病的状態の早期検出および診断
を行える。PLFレベルは正常な婦人でも妊娠の最初の3力月までは低すぎて検
出できないので、この方法は特に妊娠の最初の3力月経過後の婦人によく適合す
る。
しかしながら、最初の3力月中にありうる問題を診断するには、比較的高レベル
のフェリチン担持リンパ球(FBL)の検出が免疫抑制が起ることの指標である
ことが発見された。それゆえ最初の3力月で約5%よりも低いFBLレベルを有
する妊婦は問題のある妊娠の危険性がありうると確認できる。
しかしながら、妊娠中のPLFの役割は便利なマーカーとしての使用に限定され
るとは思われない。PLFが正常妊娠を支えるのに必要な出来事と思われる免疫
抑制における活性な役割を果していることを示す証拠もまたあり余るほど存在す
る。PLFレベルと免疫抑制との間の明らかな因果の関係の観察に基づき、現実
のそして潜在的な病的妊娠の処置と予防に対する手段のみならず、低応答の免疫
状態の生成が例えば臓器あるいは組織移植においてその移植片の拒絶を防止する
のに望ましいような、臨床状況における免疫抑制を誘導する手段が提供される。
3、発明の要約
本発明は、妊婦の血清を、胎盤イソフェリチン(PLF)または正常血清フェリ
チンと反応しうる一次抗体、および検出可能なシグナルを生成しつるリポータ−
分子に連結された、胎盤イソフェリチンに対して特異性を有する2次抗体と、抗
体−PLF−抗体複合体が形成されるに充分な時間接触させ、その検出可能なシ
グナルの存在あるいは非存在を観察し、そしてその結果を定量化して血清中の胎
盤イソフェリチンの量を測定することを含んで成る病的妊娠の検出法に関する。
胎盤イソフェリチンが正常より低いことは異常妊娠の危険を示している。好まし
い実施態様においては、抗体は両方ともモノクローナル抗体である。かがる有用
なモノクローナル抗体の例は、どの種類のフェリチンとも反応しうるモノクロー
ナル抗体であるCM−G−8、および胎盤イソフェリチンとのみ反応しうるモノ
クローナル抗体であるCM−H−9である。ここに用いられてる「胎盤イソフェ
リチンと反応しつる」なる用語は、そのように反応しうるすべての抗体、例えば
胎盤イソフェリチン特異的抗体とのみならずすべての種類のフェリチンと一般的
に反応するであろう、一般的な比較的広く交差反応する抗体を包含することが意
図される。本発明のアッセイはまだ何も徴候が現われる前でも問題妊娠の早期診
断が可能であり、それにより危険状態の個体に対して即時処置ができ、従って妊
娠の早期終結およびありうる胎児の死の機会をできるだけ減少させることができ
る。本発明はさらに、正常妊婦においてさえPLF値が検出できる以前に血中の
フェリチン担持リンパ球の濃度を観察することにより、妊娠の早期に病的妊娠を
検出する方法も提供する。FBLレベルが低いことは、免疫抑制状態があまり進
展していないことを示しており、それゆえ病的妊娠の可能性がある。
本発明はまた、最初にアロ抗原を投与して全体にわたる免疫応答を誘発させ、そ
してT細胞、特にフェリチン担持リンパ球の特異的なサブユニットを増殖させる
ことによる宿主の免疫抑制を誘導する方法をも提供する。これに続き周期的間隔
、すなわち免疫抑制が所望される間中PLFまたは抗PLF抗体を注入する。ひ
とたびサプレッサーT細胞の適切なサブセットの増殖が達成されると、PLFは
免疫抑制を維持するのを助ける。
この種の治療法は臓器および組織移植との関連における同様に病的妊娠の処置に
特に有用である。
4、
第1図は正常妊婦の全妊娠期間を通しての平均血清PLF値をグラフで示してい
る。
第2図は妊婦の分娩時期に対する血清PLFレベルのプロットを示す。
第3図は第2図にプロットしたと同じ被験体の分娩時期の分析を示す。“+”は
PLFの正常レベルを示し、“−”は低レベルのPLFまたはPLFが存在しな
いことを示す。
第4図は最初の3力月期で稽留流産または不完全流産を経験した婦人のPLFレ
ベルを正常で自発的に妊娠が終了した妊娠をした婦人(TOP)と比較して示す
。
第5図は正常妊娠婦人と異常なまたは病的な妊娠を経験した婦人の血清フェリチ
ンレベルの比較を示す。
TOP=妊娠の終結(自発的な流産) 、PET=妊娠中毒症。
第6図は正常妊娠婦人の第3の3力月間のPLFレベルを異常あるいは病的妊娠
婦人のと比較して示す。
PET=妊娠中毒症。
第7図はPLFおよび/またはPLF特異的抗体を一方向混合リンパ球培養物に
添加することにより惹起された免疫応答の阻害レベルを非PLF特異的抗体(C
M−G−8)および正常フェリチン(SPL−FER)による阻害と比較して示
す。
第8図は正常な満期分娩(正常)、妊娠30−39週の正常な妊娠、および妊娠
36週で妊娠中毒症の婦人の平均血清フェリチンレベルを比較したものである。
第9図は第8図に示したと同じグループ間の平均血清PLFレベルの比較を示す
。
第10図は母体と胚リンパ球との間の一方向混合リンパ球反応におけるT細胞の
増殖に及ぼす、無処置母体血清および抗−PLF抗体で処置した母体血清の阻害
作用を比較して示す。
第11図は輸注前後における、リンパ球のPHA誘導増殖に及ぼすPLFおよび
抗−PLF抗体の阻害作用を比較して示す。
5゜発明の詳細な説明
本発明は、血清中の胎盤イソフェリチンを容易に測定できる手段および方法を提
供する。妊婦の血清中のPLFが正常レベルより低いことは妊娠中のありうる危
険を示していると思われるという観察は、PLF−特異的抗体の発見と一緒にな
ってPLFの検出に有用なイムノアッセイの構築の基礎をなしている。
妊娠していない正常な個性のPLFレベルは、代表的には、その血清中では検出
できない。一方、健康な妊婦の血清中においては、少なくとも妊娠の17週目上
して恐らくはもっと早期から妊娠満期の分娩に至るまで、PLFレベルの上昇が
通常見られる(Morozら、 Exp、 Hae−matol、 15:25
8.1987) (第1図)。妊婦でのこのPLFレベルは観察される総フェリ
チンレベルとは無関係である。しかしながら今、予想外なことに、妊娠に関連し
た種々の種類の不規則性または病気を示す婦人においては、そのPLFレベルが
例外的に低いかあるいは検出できないことが発見された。この観察は臨床的に中
毒症の症状がある婦人、早産をした婦人、自然流産または稽留流産を経験した婦
人、および早発収縮とその後の早産を経験した婦人の非常に多数において反復し
て認められている。それゆえに、妊婦における低レベルのPLFは、存在する問
題を別の方法で示すであろう何らかの臨床的徴候が始まる以前においてすらも、
ありうる病的妊娠に関する正確なマーカーとして使用することができる。
本発明に関連してなされた初期の研究(Morozら、Cl1n。
Exp、 Immunol、 69ニア02−706.1987)では、数人の
妊婦、すなわち妊娠満期の婦人およびそれ以前に分娩した婦人、およびその新生
児の血清中のPLFレベルが検査された。この研究において数多くの興味ある観
察が明らかになった。妊娠をしていない正常な成人女性は非−PLF正常フェリ
チンレベルは平均で約50±59.8ng/mj7であるのに対し、血中胎盤フ
ェリチンレベルは大変低いかまたは検出できず、代表的には約4.5±7.7U
/ m1以下である。非−PLFフェリチンの平均量は妊婦では妊娠のどの時期
においても実際には有意に変化しない。
しかしながら、PLFレベルは妊婦で有意に増加しく第1表参照)、分娩の直前
でピークに達し、そのすぐ後は正常値に低下する。しかしながら特に驚くべきこ
とは、新生児が早産であった母親では、妊娠満期で新生児を出産した母親に比べ
て、PLFレベルが有意に低いことが観察されたことである(第2表参照)。興
味あることに、妊娠満期で生まれた新生児と早産の新生児の双方のPLFレベル
は有意には相違しなかった。
さらに臨床的研究により、この観察されたPLFレベル低下パターンは異常妊娠
の特徴である多数の他の状態に共通であることが示されている。妊娠の子痴前症
性中毒(P、 E、 T、 ”)の婦人に関する研究では、同じ妊娠で非中毒症
の妊婦と比較すると、妊娠全体を通じてPLFレベルが減少または検出できない
パターンを示した(第5および6図参照)。
第3の観察も上記所見と関連がある。妊娠初期に早発収縮を経験した婦人の血清
の臨床的検査もまた、低レベルのPLFが早産が起こることの前兆である可能性
があることを示唆している。試験に選ばれた婦人の全員が早発収縮を経験中であ
り、その大多数が正常妊婦より低いPLFレベルを示した。しかしながら、その
内の何人かは正常なPLFレベルを示した。これらの婦人全員に対する追跡調査
において、正常なPLFレベルを示した者は実際その赤ちゃんを妊娠満期まで保
持したが、PLFレベルが低く早発収縮を経験した婦人は早産児を分娩する傾向
があることが有意に示された。それゆえ、早発収縮の発生と一緒になって、妊婦
の血清中のPLFレベル早産の危険性を示していると思われる(第2および3図
参照)。最後に自然流産または不完全流産する婦人のかなりの数が同様の低レベ
ルのPLFを示しく第4図参照)、一方では正常レベルの非−PLF正常フェリ
チンを維持していた。
前述した観察により、PLFの低いレベル(例えばlOU/it’以下)と異常
あるいは病的妊娠の危険性の高さとの明確な関連が確立される。従って、PLF
は、多くの場合、病気の他の臨床的症状の出現以前に、問題のある妊娠の前徴を
示す正確なマーカーとして利用できる。
予知的指標としてのPLFレベルに関するこれらの観察は、PLF特異的モノク
ローナル抗体を利用する新規イムノアッセイと組み合せてうまく活用されている
。
PLFと反応するが他のすべての種類のフェリチンとは反応しないモノクローナ
ル抗体が今や入手可能である。
かかる抗体を産生ずるハイブリドーマの一例がIn5ti−tute e Pa
5teur C,N、C,M、に受託番号第1−256号の下に寄託されており
、その抗体をここではCM−H−9と呼ぶ。
かかる抗体を得る方法は、後述6.2項に記載される。
これらの抗体は、妊婦の血清中に存在するPLFのレベルを検出するための種々
のイムノアッセイに単独で使用できる。あるいはまた、PLF特異的抗体はフェ
リチンには特異的であるがPLFには特異的でない抗体と一緒に使用することも
できる。この種のモノクローナル抗体は、後述6.1.2項に記載の方法により
得ることができ、ここではCM−G−8またはCM−OF−3と称する。これら
の抗体は異なるクローンにより産生されるが、それらは明らかに同じの特異性を
有している。
5.1イムノアツセイ
本発明はまた問題のある可能性のある妊娠の発見に関する診断上のアッセイを提
供する。上記抗体は妊婦の血清中のPLFレベルを測定するための多数の異なる
イムノアッセイの基礎的な試薬として使用され得る。
一般的に言えば、抗体は結果を定量できるイムノアッセイのいずれの種類におい
ても使用できる。これには、従来の競合結合アッセイにおけるのみならず1部位
および2部位の両方、または非競合型のサンドイッチアッセイが包含される。
その検出が容易なゆえに特に好ましいのは多数の変形が存在するサンドイッチア
ッセイであり、その全てが本発明に包含されるものとする。
例えば、代表的な進んだアッセイにおいては、非標識抗体を固形基質上に固定し
そして試験すべき試料をその結合された分子と接触させる。抗体−抗原2成分複
合体が形成されるに充分な時間インキュベートした後、検出可能なシグナルを誘
導できるリポータ−分子で標識した2次抗体を加えて、抗体−抗原−標識抗体の
3成分複合体が形成されるに充分な時間インキュベートする。全ての未反応物質
を洗い去り、抗原の存在をシグナルの観察により測定するか、または既知量の抗
原を含有する対照試料との比較により定量する。進んだアッセイの変形としては
、試料と抗体の両方を同時にその結合した抗体に加える同時アッセイ、あるいは
試験すべき試料と標識された抗体とを最初に結合させて、インキュベートし、そ
して非標識の表面結合抗体に加える逆アッセイがある。これらの技術は、当業者
にはよく知られており、マイナーな変形の可能性も特表平3−504640 (
7)
容易に明らかであろう。本発明において用いられる「サンドイッチアッセイ」は
基本的な2部位技術に関する全ての変形を包含するものとする。
本発明のイムノアッセイには、唯一の限定要因は標識抗体がPLF特異的抗体で
あることである。それゆえ、多くの組合せが可能である。結合された抗体と標識
された抗体が両者ともにPLF特異的であることができるし、あるいはまた結合
された抗体が非PLF特異的抗−フエリチン抗体でありそして2次標識抗体がP
LF特異的である場合もあろう。
より特異的な例として、代表的な進歩したサンドイッチアッセイにおいては、非
−PLF特異特異的エフエリチン抗体形表面に共存的または受動的に結合してい
る。
固形表面は、通常ガラスか重合体であり、最も一般的に使用される重合体はセル
ロース、ポリアクリルアミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルまたは
ポリプロピレンである。固形支持は、管、ビーズ、ディスクまたはマイクロプレ
ート、あるいはイムノアッセイを行なうのに適する任意の表面の形態であること
ができる。その結合方法は当業上よく知られている。
結合後、重合体−抗体複合体を洗浄して試験試料を調製する。試験すべき血清試
料の一部分を次にその固相複合体に加えて、存在する全てのフェリチンを抗体に
結合させるに充分な時間、25°Cでインキュベートする。
インキュベート時間は一定ではないが、一般的に約2分から16時間の範囲であ
ろう。インキュベート後、その抗体−フェリチン固相を洗浄し、乾燥し、そして
胎盤フェリチンに特異的な2次抗体とインキュベートする。2次抗体はリポータ
−分子に結合されており、その可視シグナルが試料中の全てのPLFに対する2
次抗体の結合を示すのに用いられる。明細書および請求の範囲に用いられている
「リポータ−分子」なる用語は、その化学的性質によりPLF結合抗体の検出を
可能にする分析的に検出可能なシグナルを提供する分子を意味する。検出は、試
料中のPLF量が測定できるように、少なくとも相対的に定量可能でなければな
らず、これは絶対量として計算されるか、または既知の正常レベルのPLFを含
有する標準物(あるいは一連の標準物)との比較により行うこともできる。
この種のアッセイに最も一般的に利用されるリポータ−分子は、酵素、発蛍光団
、または放射性核種を含有する分子である。エンザイムイムノアッセイの場合、
酵素は通常グルタルアルデヒドまたは過ヨウ素酸塩により2次抗体に接合される
。しかしながら、容易に認識されるように広範囲の異なる結合技術が存在し、当
業者にはよく知られている。一般的に使用される酵素にはとりわけセイヨウワサ
ビペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、および
アルカリホスファターゼがある。特異的酵素と共に使用される基質としては、対
応する酵素による加水分解を受けると、検出可能な色の変化を生ずるものが選ば
れる。例えば、パラニトロフェニルホスフェートはアルカリホスファターゼ接合
体と一緒の使用に適し、ペルオキシダーゼ接合体には1.2−フ二二レンジアミ
ンまたはトリジンが通常使用される。発蛍光性の基質もまた使用可能であり、こ
のものは上述の色原体基質よりもむしろ蛍光を生成する。いずれの場合でも、酵
素標識PLF特異的抗体は1次抗体−フエリチン複合体に加えられ、その複合体
に結合し、その後過剰の試薬が洗い去られる。ついで、適切な基質を含有する溶
液が、抗体−PLF−標識抗体の3成分複合体に加えられる。この基質は2次抗
体に結合された酵素と反応して定性的な可視シグナルを生じ、このものはさらに
通常分光光度計により定量できて、血清試料中に存在するPLF量を評価できる
。
あるいはまた、フルオレセインおよびローダミンのような蛍光化合物が抗体の結
合能を変化させることなくそれらと化学的に結合されつる。特有の波長の光線を
照射することにより活性化された場合、蛍光色素標識抗体は光エネルギーを吸収
して、分子中に励起可能状態を誘起し、続いて特徴的なより長い波長の光を放出
する。この放出は、光学顛微鏡により可視的に検出できる特徴的な色として現わ
れる。EIAにおけるように、蛍光標識PLF特異的抗体を、1次抗体−フエリ
チン複合体に結合せしめる。未結合試薬を洗い去った後、残留する3次成分複合
体を適切な波長の光に曝し、そして観察される蛍光は対象物の存在を示す。免疫
蛍光法およびEIA法はともに画業上に非常によく確立されており、特に本発明
において好ましいものである。
しかしながら、放射性同位元素、化学発光または生物発光分子のような他のリポ
ータ−分子もまた使用しうる。必要とされる用途に適合させるためにその方法に
とのように変更を加えるべきかは当業者は容易に明らかであろう。
本発明のイムノアッセイは、妊娠の第2の3力月期の始まりすなわち第12週の
ような早い時期に異常なPLFレベルを検出するのに非常に役立つものである。
このイムノアッセイは、適切な感受性のあるリポータ−分子系を用いれば、妊娠
の比較的初期のPLFの存在または非存在を検出することにまで拡張できる。病
的な妊娠の可能性についての診断は、その患者の血清中の検出可能なPLF量を
測定しそしてその示度を、その患者の特定の妊娠段階にとって正常であることか
知られているPLFレベルの標準値と相関づけることにより行われる。正常な妊
娠におけるPLFの上昇および下降の典型的パターンに関するグラフを第1図に
示す。詳述すれば、約20±150/mjのPLFレベルか妊娠第12週の婦人
にとって正常と考えられ、また、40±25Ll/77177のレベルが第20
目上に対してほぼ正常であると考えられよ血清中のPLFレベルを検出する前述
のアッセイは、妊娠の第2および第3の3力月期でのハイリスク患者の確認に非
常に役立つものであるが、第1回目の3力月期のPLFレベルは、正常な妊娠者
においてさえも、完全に信頼できる値以下で、この値に基づいて診断するには低
すぎる。しかしながら、試験すべき個体の血中に見られるフェリチン担持リンパ
球(FBL)の数を観察することにより、免疫抑制レベルの正確な測定が可能で
あることが見出された。最初の研究では、PLF特異的モノクローナル抗体と反
応するであろうTリンパ球のこの特異的なサブセットの存在によって、免疫抑制
された個体をも確認することができることが示される。これらの細胞はPLFレ
セプターを担持しており、血清中でPLFと結合する。かかる細胞は、正常な妊
娠者の全リンパ球の少なくとも約5%、そして約20%もしくはそれ以上までの
レベルで存在するが、正常者のリンパ球では通常1%以下というたいへん低レベ
ルである。まだ結論的には示されていないが、妊娠早期あるいは妊娠前において
のこのサブセットの増大は免疫抑制状態の確立の前提条件であると思われる。こ
の種の細胞は、免疫抑制が病気の要因である他の疾病状態、すなわち乳癌、ホジ
キン病、およびエイズにおいて高い比率で起こることも観察されている。それゆ
え、妊娠早期すなわち最初の3力月期において、抗−PLF抗体で処理した場合
に染色されない細胞が存在しないことは、免疫抑制状態を発生せしめるのに必要
な機構が開始されなかったあるいは崩壊したことを示す。これらの細胞を確認す
ることにより、血清中におけるレベルが検出できないほど低いが、単離された、
抗−PLF抗体で標識された細胞では示すであろう段階でのPLF−産生のレベ
ルを評価することが可能となる。それゆえ妊娠初期、すなわち最初の3力月期に
個体のFBLの%が約5%以上であることは免疫抑制状態の指標でありそしてF
BLが低レベルまたは完全に存在しないことは、その個体が問題のある妊娠の危
険性があることを示している。このサブセットの同定は、試験すべき個体の血流
から既知方法によりリンパ球を単離し、そして標識されたPLF特異的モノクロ
ーナル抗体との反応により単離されたリンパ球のイムノアッセイを行なうことに
よりなされうる。
特定の操作理論により縛られることは望まないが、少なくとも妊娠と関連した、
免疫抑制状態の進展に関する下記パターンは、本発明に関して集めれらたデータ
からててきたものである。母体内の胚/胎児の存在は、胎児に対して父性の寄与
の形で、母体の免疫系をアロ抗原にさらすことになる。例えば、父親のHLA抗
原のようなアロ抗原にさらすことは、少なくとも最初のうち全てのT細胞集団の
非特異的増殖をひき起こす。
そしてこれらT細胞集団のうちには、細胞障害性あるいはよりありそうなのはサ
プレッサー細胞であるT細胞のCD8”−サブセットが包含される。PLF特異
的抗体に晒された場合に染まる細胞は、増殖したサプレッサー細胞集団であると
考えられている。正常な妊娠においては、胎盤は、サプレッサーT細胞集団が増
殖し続けるための「シグナル」として作用する盤イソフェリチン(PLF)を産
生ずるのであろう。そのサプレッサー細胞は一般的にヘルパーT細胞および細胞
障害性細胞の活性を阻害する効果を有する。従って、それらの細胞の抑制作用が
正常妊娠における胎児の拒絶を防止する助けとなる。しかしながら問題のある妊
娠では、免疫抑制機構が崩れていて、サプレッサーT細胞集団が充分に増殖しな
いか、胎盤が充分なレベルのPLFを産生じないか、またはその両方である。そ
れ故、母親の免疫系の抑制による保護が胎児に与えられず、そして拒絶の危険性
が大きい。結局、母親の免疫系の作用か抑制されないことが早期分娩または自然
流産さえひき起しつる。
5゜3免疫抑制療法
前述したように、ある種の問題ある妊娠の発生は、成長する胎児がその異種抗原
とともに母体子宮内で安全に共存することを可能にするあるレベルの免疫抑制が
妊娠で生じていないことと関連しているであろうことがしばしば提案されてきて
いる。しかしながら、免疫系の正常な応答であるべきものを抑制する原因に関し
て、この推測を越えて具体的な答えはまだない。
前節および本実施例が明らかにするように、非常に低レベルのPLFと種々の種
類の病的妊娠との間には、少なくとも符号した相関関係があり、この関係は利用
できるマーカーシステムの基礎を提供する。PLFと問題のある妊娠との関連を
さらに調査すると、低PLFレベルに関わる符号以上のものが存在するかどうか
、すなわちここに原因−結果関係が存在するかどうかという疑問が生じた。この
研究の過程において、PLFが免疫抑制性質を有することが予想外に見出され、
このことが妊娠の過程全体でその産生の欠如がいくつかの場合に子供を妊娠満期
まで保持できないことの少なくとも部分的原因であるかまたは直接に関連してい
る可能性があることを示していよう。
正常リンパ球が異種抗原に応答する能力に対し所定の化合物が有する作用を示す
ために設計された一方向混合リンパ球テストにおいて、PLFは、第7図に示さ
れるように、培養中の無関係リンパ球に対するリンパ球の応答を阻害するのに極
めて効果的であることが証明された。要するに、混合リンパ球培養物には2種の
異なる種類の無関係リンパ球を用いて組立てられた。
その1つはマイトマイシンC処理により予め不活化された。正常な状況下では、
正常リンパ球は、活性化されかつリンパ芽球に変形することにより、異種抗原の
存在に応答しよう。任意の所定の化合物が免疫抑制を惹起する能力を試験するた
めに、問題の化合物をその培養物に加え、そして機能性リンパ球が異種細胞に対
して有する測定可能な応答のレベルを観察した。第7図に示ように、正常なドナ
ーリンパ球を含有する培養物中のPLFは、無関係細胞の存在下で、予期した応
答を阻害の測定可能なレベルで阻害した。しかしながら、母体のリンパ球と妊娠
満期の胎児由来の細胞を有する混合培養物中で観察された結果は特に興味がある
、即ち、PLFを入れた方の培養物は、正常のドナ一対無関係細胞で観察された
よりもさらに大きいレベルの母性対胚応答阻害を示した。それ故、PLFの存在
は胎児細胞の存在下において母性リンパ球に免疫抑制作用を及すことが示されて
いる。恐らくもつと驚くべきことは、PLP特異的抗体が免疫抑制に及ぼす著明
な作用である。
すなわちその阻害はPLFで観察されたよりさらに太きい。事実、PLFとPL
Fモノクロナール抗体の組合せで観察された応答は全てのうちで一番高く、60
%をこえる阻害が観察された。
上記に示した結果は、問題のある妊娠での診断目的で検出されるべき有用なマー
カーとしてのPLFの有用性を示している。混合リンパ球培養物でのPLFの明
らかな免疫抑制活性も免疫抑制を惹起するのに完全な役割を演じているPLFを
強く表示している。しかしながら、3番目の試験ではPLFがインビボで演する
役割を確が確認される。母親とそれらの子供(満期?)のペアを用いる一方向混
合リンパ球培養物を、おそら< PLFを含有する母体の血清とインキュベート
した。第10図に言及すると、母体血清は混合リンパ球に単独で加えられたPL
Fが有すると同じ強さの阻害作用をリンパ球活性に及ぼす。しかしながら、さら
に興味あることは、MLCに加える先立ち、免疫吸着カラム上の母体血清を抗原
非特異的抑制であるCM−H−9で処理することの作用である。第1O図に言及
すると、抗体により母体血清からPLFを除去後に、母体血清の阻害作用が事実
上完全に失われる。この結果は、満期妊娠の維持に必要と思われる、免疫抑制に
おけるPLFの活性な役割に関する結論を裏書きしている。
胚または胎児の着床と宿主への同種組織の移植との間の免疫学的類似性がしばし
ば注目されてきた。両方の場合に、宿主免疫系が異種抗原に対する応答を開始し
、そして最終的な結果として胎児または移植片の拒絶が最後に起こることが予想
される。既に注目されているように、妊娠の開始時の免疫抑制状態の誘導はほと
んど確実に胚拒絶防止の原因である。移植の場合には免疫抑制は妊娠におけるよ
うに明らかに天然の応答ではないが、免疫抑制が移植の決定的に重要な役割を演
じていることも認めらる。それ故、初期の宿主免疫系を「開始Jさせて移植組織
を受容、そしてもっと重要なことに、耐容するために、移植に先立ちシクロスポ
リンAのような免疫抑制剤を投与するのが慣例となっている。
最近、臨床的観察では、輸血が免疫と関連した細胞要素の、抗原により誘導およ
びマイトジェンにより誘導された増殖を低下させて、一方抑制活性は増強させる
ことが示されている。多くの場合、移植前の1回あるいはそれ以上の輸血は、同
種移植片の耐容性を高め、そして異種組織の拒絶を最小限に抑制しうる。このパ
ターンは、少なくとも表面的には正常妊娠に提唱されるパターンと類似している
。輸血による免疫抑制の誘導の機構は、抗原非特異的抑制またはイディオタイプ
調節に関連していることが示唆されている(Woodruffら。
Lancet 1:1201−1203.1983) 、より詳しくは、輸血中
に存在する同種リンパ球が、血液提供者のMBCが特定のHLA座において受容
者のMHCと異なるようなある種の組合せにおいて免疫抑制を活性化する可能性
が考えられている(Shearerら、 J、 Exp、 Med、 157:
936−946゜1983)。
移植と胚着床との間の生理学的相似性およびそれぞれにおける免疫抑制の望まし
さに基づくと、PLFは移植に対する患者の準備における治療剤としても役立つ
ことができると考えられ、そして輸血特に多重輸血を避ける方法が提示されてい
る。しかしながら、PLFは単独ではリンパ球増殖を阻害するには充分ではない
だろうことが観察されている。第11図は、輸血前のリンパ球の植物性血球凝集
素(PHA)変換の阻害に及ぼすPLFと抗−PLF抗体の効果を示す。しかし
ながら、同図は、輸血後ではPLFおよび抗体のいずれもリンパ球阻害に有意な
効果を存することを示している。それ故、PLF注入とアロ抗原を用いる免疫化
との組み合わせが、望ましからぬ副作用を育しうる現在使用される薬物療法に変
わるものとして提案される。
5、3.3、治療管理
前述した結果は、低反応性の免疫状態が必要とされる状況における望ましいレベ
ルの免疫抑制を維持することにおけるPLFおよび抗−PLF抗体の治療価値を
示している。PLFは、その所望される効果を及ぼすためには(推定される)抑
制T細胞の特定のものの存在を恐らく必要とすることもまた示されている。一方
、その細胞は継続する増殖の「シグナル」として血清中に存在するPFLなしで
はその抑制状態を維持することはできない。これらの相互関係の観察は、身体の
自然な応答が不十分であるところに必要な応答を誘導するための価値ある方法を
示唆している。例えば、FBL検査によると陰性の女性は、妊娠の最初の3力月
間においていかなるアロ抗原での免疫によっても刺激されうる。
しかしながら、特に望ましいことは、サプレッサーT細胞の増殖を開始または補
うためには同種リンパ球の使用である。この種の処置は、父性抗原に妊婦をさら
すことの作用および正常な時期の妊娠に生じつるすべての作用を監視するために
しばしば使用される(Netterら、 Contracept、 Fert
il、 Sex 15:542−549. 1987;Mowbrayら、
Lancet l:941−943.1985) 、代表的には約10’−10
”個の細胞を用いる免疫化がT細胞応答を刺激するのに充分である。この免疫化
に続き、PLFあるいはPLF特異的抗体の非経口的投与好ましくは注入による
投与が行われる。PLFおよび/またはPLF抗体の治療的投与は1−100m
gであり、約1−10mgが好ましい。次に患者をその血清PLFレベルに関し
てEl、ISA法により定期的に監視し、そしてもし必要な場合はPLF/抗体
のブースター量を必要に応じて投与量することができる。第2および第3の3力
月期における婦人には、免疫化は通常必要でない、というのはまだ確立されてい
ない。なぜなら最初の抑制レベルが確立されていない場合はこの時期まで妊娠は
維持していないであろうからである。それ故、上述したと同じ非経口投与か一般
に妊娠から分娩までを通じての必要なレベルを維持するのに充分である。しかし
ながら、このことは充分な数のFBLの存在を検出するための簡単なELISA
により証明できる。
移植目的に関する予備処置に関しては、上に示したように好ましくは少なくとも
予定される移植の約6日前には患者はアロ抗原で再び免疫すべきである。この免
疫化に続き、好ましくは免疫24時間以内にPLFおよび/または抗体の注入が
行われよう。移植後、PLFレベルを監視して少なくとも約20U/−のレベル
に維持すべきである。ここでもまた、妊娠でと同じ< PLFレベルを容易に
監視して必要に応じてブースター量を投与することができる。
6、実施例
6.1モノクロ一ナル抗体の調製
以下のプロトコルは、PLF特異的モノクローナル抗体およびフェリチン特異的
ではあるが 非PLF特異的モノクローナル抗体の調製法について記載する。
6、1.1腫瘍胎児フェリチンの調製
フェリチンは、Beamishらにより使用された方法(J。
C11n、 Path、 24:581.1971)を改変することによりヒト
胎盤から調製した。胎盤組織(500グラム)をスライスしそして水を総量20
00mt’となるまで加えた。均質化したのち、その組織懸濁液を20分間75
℃で加熱した。冷却し、10、00Orpmで15分間遠心分離した後、上溝を
酢酸で処理して、pHを4.6とした。沈澱した蛋白質を10. OOOrpm
で15分間の遠心分離により除去し、そして透明な上清を希釈水酸化ナトリウム
で中性pHに調整した。透明な褐色の上清を100.000gで、240分間超
遠心分離したとき、懸濁されたフェリチンは遠心用チューブの底の小さなボタン
の中に集まった。この沈澱物を0.9%食塩水中に再び溶解させ、セファデック
スG200カラムを通すことによりさらに精製した。このカラムからのフェリチ
ンフラクションをpH7,5のトリス塩酸緩衝液を用い、0.02−0.5モル
グラジェントをかけてDEARセルロース陰イオン交換樹脂を通過した。3つの
タンパクビークが得られ、pl 4.8(No、I[)の最も酸性ピークを集め
て分析に用いた。その純度は抗フェリチン血清および抗ヒト全血清に対する等電
点電気泳動および免疫電気泳動法により示された。このものを下記の如くマウス
の免疫化に用いた。
6.1.2.非PLF特異的ハイプリドーマの調製ハイブリダイゼーションに用
いられるミエローマ細胞は、細胞系PB/NSI/1−Ag4−1由来であり、
これらを20%ウシ胎児血清(FCS)含fRPMI−1640中で増殖すさせ
た。牌臓細胞は、4−6退会Ba1b/c雌マウスから得た。
これらのマウスを完全フロインドアジュバント中の酸性フェリチンの50μgで
週1回3週間免疫した。ハイブリダイゼーションは、10μgのフェリチンの最
終注射後3日後に開始した。高度免疫マウスは、最終ブースター前の少なくとも
1力月は休養させた。
免疫されたマウスから牌臓をRPMI−0中に摘出し、ペトリ皿中でRPMIO
を用いて2回洗浄した。その牌臓をRPMI−0中18ゲージ針で細かくし、生
成する細胞懸濁液をチューブに移し、そこで組織の大きな厚切れが沈降した。こ
の単離細胞懸濁液を80Orpm(160xg)で5分間の回転により新しいチ
ューブに移し、赤血球をG)H7,5で0.83%塩化アンモニウム液で溶血さ
せた。細胞をRPMI−0で3回洗浄し、RPMI−0に再懸濁しそしてトリパ
ンブルーで細胞数を測定した。
ミエローマ細胞を培養フラスコから50mj Falcon/Corningチ
ューブの中に穏やかなピペット操作により移しそして900rl)m(200x
g)で5分間回転させ沈降させた次にRPMI−0で1回洗浄し、RPMiOに
再懸濁させそしてトリパンブルーで数を数えた。
牌臓およびミエローマ細胞を10:lの割合で、5(7円錐Falcon/Co
rning使い捨て遠心管の中で混合し、そして細胞を900rpm(200x
g)で5分間の遠心分離によりペレット化した。培地を可能なかぎり完全に吸引
した。
この時点から使用されるすべての溶液および培地は室温とした。細胞ペレットを
含有するチューブを37°Cの水浴中に浸し、0.2−の33%PEG 150
0を1分間加え、ゆっ(りと撹拌し次に200xgで5分間遠心分離した。
細胞を再懸濁し、そして1分間ゆっくりと攪拌し続いて5−のRPMI−0をゆ
っくりと撹拌しながら、次に20%ウシ胎児血清を含有するRPMI−05mj
’を加えた。このハイブリッド混合物は、この時点では多くの小さな凝集塊を有
するあまり再懸濁されていない細胞浮遊液のように見えた。この混合物を200
xgで5分間の遠心分離でペレット化し、次に細胞ペレットの遠心分離でペレッ
ト化し、次に細胞ペレット上に培地を噴出させることにより3 x 10”/c
cの濃度でRPMI−HY−HATD (37℃)中に再懸濁させた。
次にこのハイブリッドを51nlピペツトあるいは先端を切り落としたマルチピ
ペッタ−(約65μm)を用いるかして、100−200RPM100−200
RP (約2×lO″細胞)を含有する平底96ウエルプレートに細胞懸濁液
を塗布した。対照ウェルは、N5−1細胞とRPMI−HY−HATD l x
106/−を含むように設定した。プレートを7日間培養した。第88目および
それ以後−週間に2回、その培地の半分を注意して吸引除去し、80−100μ
lのRPMI−HY−HATD培地を供給した。ハイブリダイゼーションの3お
よび4週間後に抗体の産生について陽性ウェルを選別した。
上記で使用された溶液および培地は次の方法で調製された:
RPMI−0:ウシ胎児血清、RPMIなしRPMI 1640−HY
500−滅菌蒸留水
55mj 10xRPMI−1640
6mt’1.ON水酸化ナトリウム
14rn17.5%重炭酸ナトリウム
6mj Pen/5trep )
10− グルタミン ) + DMEM86.5mm’ FCS ”)
RPMI−HY−HATD−0日目−〉78目培地100−あたり
95 ml RPMI−1640+20%FC31,0−ピルベー) (100
x)
2.0 ml50XHAT
2、Orrdl 50xデオキシシチジンRPMI−HY−HT −8日目−
〉14日日目地100m1あたり
97rnlRPMI−1640+20%FCS2.0 ml 50xHT
1.0− ピルベート (100x)
15日日目ら先のハイブリッド(二対しては、RPMr−1640+20%FC
Sおよびピルベート、またはRPM I−HY−HT中に維持。
PEG 33および25%W/V
無臭で白色のものでなければならない。100−について、適切なダラム重量を
ガラスビンにいれ、15ボンドで10−15分オートクレーブする。ビンを手で
持つに十分な温度(約50°C)に冷やし、RPMr−1640で100−とな
し、撹拌し、室温で貯蔵する。
HATD−試薬の最終濃度
H=ピポキサンチン 10−’M
Aニアミノプテリン 10−’M
HT 貯蔵液100x −100ccチミジン、分子量242.33−0.0
4846gヒポキサンチン、分子量136.2−0.1361g再蒸留水で10
0−とじ、60−70℃に加温して溶解。
再蒸留水で最終量調整。50倍に希釈し、フィルター(0゜2μ)で滅菌。2−
ずつ−20″Cにて貯蔵。
A貯蔵液1000 x −100cc
アミノプテリン 分子重量440.4 (0,44g)再蒸留水で50mt’と
なし、0. IN NaOHをアミノプテリンが溶解するまで滴下。再蒸留水で
最終容量を10(Wとする。フィルター(0,2μ)滅菌。−20°Cにて貯蔵
。
D貯蔵液100x −100cc
デオキシシチジン分子量227.2 (0,00454g)再蒸留水に溶解、1
00ccにして、希釈して250x貯蔵液となし、フィルター(0,2μ)で滅
菌し、−20°Cにて貯蔵。
HAT 50x −200mj
100xHTS100mlと1o00xAを混合し、再蒸留水90をml加えて
、50 x HATとし、フィルター(0,2μ)で滅菌し、2−ずつとなしを
20°Cにて凍結。
モノクローナル抗体の特異性の選別と判定を血球凝集試験により行なった。胚胎
盤および成人牌臓フェリチンをOx赤血球(OxRBC)にCrCLにより結合
させた。
漸増希釈物(ハイブリドーマ培地の上清の1:10希釈から開始)の50μlを
成人または胚フェリチン0xRBCの10−と混合し、血球凝集を測定した。血
球凝集試験少なくとも1:1000を生ずるクローンの上清を選択した。
CM−OF−3で示されるクローンを選択した。クローンCM−OF−3により
産生される抗体は、フェリチンに特異的であり、そして成人フェリチンおよび胎
盤フェリチンの両方と交差反応する。得られたモノクローナル抗体CM−OF−
3は、PLFの特異的胎児性決定基に対するものである異なるモノクローナル抗
体CM−OF−H9を産生させるために、胎盤フェリチンおよび成人フェリチン
の交差反応性の決定基を遮断するのに用いた。
p14.8のタンパクである、ヒト胎盤から単離された胎盤フェリチン(PLF
)は、以下に示す比でモノクローナル抗体CM−OF−3と反応した: PLF
(PBS中90μg)を、CM−OF−3抗−フェリチンモノクローナル抗体(
10mg/m/)を含有するBALB/cマウス由来の腹水液と混合した。
この混合物を37℃で30分間インキュベートしたのち4°Cで1晩インキユベ
ートしたのち4°Cで1晩インキユベートした。
(本頁以下余白)
この混合物を10.0OOGで遠心分離し、形成された沈澱を捨て上溝を免疫化
に使用した。それぞれのBALB/cマウスを、完全フロインドアジユバントと
混合した上記上清を用いて1週間に1度、3週間にわたって皮内接種することに
より免疫した。上記投与量の175量を追加免疫として腹腔内に注射した。
追加免疫3日後に、マウス牌臓を無菌的に摘出し、そして10”牌臓細胞を上記
したハイブリダイゼーション操作で示される107/P3−NSI/1−Ag4
ミエローマ細胞とインキュベートすることにより融合を行ない、その後の手順に
ついては陽性クローンの同定に対すると同様の操作を行なった。陽性クローンは
交差反応の欠如を確認するために、肝臓および牌臓フェリチンに対する試験を行
なった。このようにして、CM−H−9抗体を産生ずるCM−OF−89で示さ
れるクローンが得られた。CM−OF−H9ハイブリドーマの生物学的に純粋な
培養物は、In5titue Pa5teur C,N、C,M、に受託番号第
1−256の下に寄託されている。
CM−OF−H9モノクローナル抗体の特徴は次の通りである: CM−H9モ
ノクロナール抗体は、IgGクラスに属する;フェリチンと沈降物を形成せず、
ウサギ補体と結合する。得られる腹水液中における抗体含量はζ約7mg/−で
あった。腹水液l−は、約2■の胚フェリチンと結合し、成人牌臓または肝臓フ
ェリチンとは結合しない。
妊娠後38−41週の満期出産の25人の新生児(男14人、女11人、平均体
重3350±3000g)、妊娠後26−36週の早産の25人の新生児(男1
2人、女13人、平均体重1820±503g)、およびそれらのそれぞれの母
親を検査した。妊娠令は、妊娠前の母親の月経出血の最初の日から計算し、そし
て臨床的検査(Dubowitz評価)により確かめた。年令のために羊水穿刺
を行なった妊娠17−22週令の23人の女性と正常妊娠の30−39週令の1
5人の女性を調べた。20−40才の40人の健康なボランティア(女16人、
男24人)を対照とした。
早産と満期出産の新生児を胎盤の新生児側のへその緒を結紮した後、へその緒か
ら血液を採取した。付随して静脈血をそれぞれの母親から得た。羊水を妊娠17
−22週の妊婦から採取し、静脈血を第1表に示すようにすべての他のグループ
から集めた。
モノクローナル抗体CM−G−8およびCM−H−9を前述したように(Mor
ozら、1985)ヒト胎盤フェリチンに対して生成させた。抗体は、腹水液か
ら50%飽和硫酸アンモニウム溶液での沈澱後に得た。標準物として使用した胎
盤フェリチンは前記(Morozら、Cl1n、Chem、Acta 148:
111、1985)のようにしてDEAEセルロースカラムで精製することによ
り得た。肝臓フェリチン標準物はMcEL ISAフェリチンキット(Elia
s Medizintechnik GmbH,D−7800゜Freibur
g)から得た。アルカリホスファターゼ接合CM−H−9モノクロ一ナル抗体の
2501)gに結合する胎盤フェリチン量を、PLFIO単位と見なした。
血清中の血清フェリチンおよびPLF(それぞれMoELISA A型およびM
oELISA B型)を測定するためのエンザイムリンクトイムノソルベントア
ッセイは記載されている(Morozら、 Exp、 Hemat、 15:2
58.1987) 、両アッセイにおいて、全てのフェリチンに結合するCM−
G−8モノクロ一ナル抗体は固相に結合されていた。第2の部位には、CM−G
−8モノクロ一ナル抗体−酵素接合体が、MOELISA A型で用いられ、C
M−H−9モノクロ一ナル抗体(MoAb)−酵素接合体が、MoELISA
B型で使用された。
MoELISA AおよびB型は、次のようにして行なわれた。すなわち、マイ
クロタイタープレー) (Dynatechm−129B)のウェルを150μ
fのCM−G−8MoAb(100ug/rnlリン酸緩衝食塩水(PBS)、
pH7,2)で被覆し、4°Cで1晩インキユベートした。プレートをPBS
−ツイーン(PBS、 0.05%ツイーン20)で3回洗浄し振って乾かした
。
PBS−0,025%ツイーン中のMoELISA A型で1=2希釈およびM
oELISA B型でl:4希釈試験血清(100ml)を二通りずつウェルに
加えた。血清希釈物およびフェリチン標準物もまたそのウェルに二通りずつ加え
た。
高いフェリチン濃度を有する血清試料を高い希釈度での回収を測定するため、希
釈物中で希釈した。プレートをMoELISA Aでは4°Cで1時間インキュ
ベートし、MoELISA Bでは1晩インキユベートし、PBS−ツイーンで
3回洗浄し、アルカリホスファターゼ(AP)MoAb接合体抱合体(0,4μ
i>の100μlを各ウェルに加えた。
プレートをさらに120分室温でインキュベートし、再び3回洗浄した。酵素基
質(ジェタノールアミン緩衝液中のパラニトロフェニルホスフェート1mg/
ml、 pH8,0,0,5mM Mgclz)を加えてそして、2MのNAO
Ho、 05−の添加により、10−30分後に反応を停止させた。着色産物を
405nmでの吸光度により測定した。
統計学的分析はMann−WhitneyU−テスト(非パラメータ的)に従っ
て行なった。
妊婦と分娩時の女性での総血清フェリチンの平均濃度は、成人血液バンクの女性
提供者の血清中で測定された濃度と類似していた(第1表)。フェリチンの平均
濃度は、MoELISA A型で測定すると440−63n/−であった(第
1表)。これと比較すると、MoELISA B型で測定した場合妊婦では対照
群よりも有意に高いPLFの血清濃度上昇を示した(p=0.025.第1表)
。試験した正常女性の血清の70%が何ら検出可能なPLFを含有しなかったこ
とには注目すべきである。
この研究では、高いPLFレベルが妊娠17週で早くも女性の血清中に検出され
ることが判明しく45.5±52.9U/mN)。PLFレベルは、妊娠30−
39週の間では存意に変化せず(81,6±89.3)、妊娠満期分娩では高か
った(54.8±53)。しかしながら、早産した女性での血清PLF濃度は、
同様な妊娠期間の妊婦および妊娠満期出産した女性の血清中で測定される値より
も有意に低かった(15.8±15.70/mt’Xp=0.02X第1表)。
妊娠17−22週の羊水中のフェリチン濃度測定では、総フェリチン濃度(86
,4±78.5ng/ml)は血清中のそれ(63,7±48、9ng/mj)
と存意に異なっていないが、PLFレベル(19,4±8.20/ml)は血清
中で測定された値(45,5±52.9 Unrnl)よりも有意に低かった(
1)=0.02)。
妊娠中のフェリチンレベルおよびPLFレベル本成分成分女性意に異ならない。
↑成人女性より有意に高い(P=0.0025)。
0妊婦および妊娠満期分娩女性よりも有意に低い。
(P=0.02)。
結果は平均±s、 d、とじて表わす。
妊娠満期と早期分娩の新生児の血清中のフェリチンおよびPLFの測定。妊娠満
期分娩の新生児と早期分娩の新生児の血清中の総フェリチンの平均濃度(それぞ
れ289.4±167.5.208.2±191.5)は、彼らの母親の血清中
の値(それぞれ46.1±37.3.61.2±27.4)よりもかなり高かっ
た(1)=0.0005.第2表)。しかしながら、満期分娩の新生児と早期分
娩の新生児の間で血清フェリチン濃度に差はなかった(第2表)。
正常な健康成人(8,1±14.80/ml)と比較して高いPLFレベルが満
期分娩の新生児の血清中において検出された(20.3±25.80/ d)。
しかしながら、そのPLFレベルは、彼らの母親のそれよりは有意に低かった(
第2表、p=0.0075)。これと対照的に早期分娩の新生児においては、血
清PLFレベル(9,4±15.1)は低く、正常成人の値と同様であるが、彼
らの母親よりも存意に低かった(p=0.018)。早期分娩の新生児のPLF
レベルは、満期分娩の新生児でみられる値より存意に低(なった(1)=0.2
6)。
(本頁以下余白)
満期分娩の新生児と早期分娩の新生児および彼らの母親 2546.1±3
7.354.8±53.0”早期分娩の新生児 25 208.2±191.5
9.4±15.IP=0.0005 P=0.018母親 18
61.2±29.415.8±15.7血液バンク提供者 40 85.3±6
5.9 8.1±14.8男性 24108.0±58.010.0±10
.0女性 1650.3±59.8 4.5±7.7本結果は平均±s、 d
。
゛早期分娩の新生児の母親および成分女性の血清中のPLFより有意に高い(そ
れぞれP=0.02.0.0025)。
6.3 PLFレベルと妊娠中毒症
第3の3力月期の中期〜後半で子供を分娩した20人の妊娠中毒症(PET)患
者を標準的臨床判定基準に基づいて先予想的に選択した。これらの女性で子痴を
有するものはいなかった。5人はひどい前子痴症を有しており、2人は弱いPE
Tを伴う妊娠性糖尿病であり、1人はPET慢性高血圧症であり、残りの女性は
緩和な妊娠中毒症であった(第1表参照)。2つの対照群における全ての患者は
、正常な併合症のない妊娠と分娩をした。
化学分析用血液をガラスの採集試験管に採取した。
血清をガラス試験管に集め、ただちに凍結し、分析するまで一20℃で貯蔵した
。総血清フェリチンを2カ所の異なる研究室において独立して測定した。1カ所
はモノクロナール抗体ELISAを用いた。2番目の研究室では、ポリクロナー
ル抗血清ELISAを用いた。抗−ヒトフェリチン−酵素接合体はDAKOから
入手し、フェリチン標準物は5erOnODiagnOStiCSから得た。こ
れら2カ所の研究室で得られた結果は矛盾しなかった。
血清PLFの測定は、前述したようにMoELISAにより行なわれた。
統計学的分析は対をなしてない観察に対するTテストを用いて行なわれた。差は
、p<0.05の場合に有意であると見なされた。
第3表は、20人のPET患者の臨床データを示す。中毒症患者の平均妊娠週は
、36±3.2であったことは注目される。ヘモグロビンレベルは、8.8−1
3.9グラム%であり、平均11.3±1.45グラム%であった。
(本頁以下余白)
母親の年令(年’) 20 22−38 30 5.25初産婦
12
経産婦 7
多産婦 1
妊娠令(週’) 20 29−42 36 3.2浮腫
120
蛋白質(1−4+) 20
地色素 20 8.8−13.9 11,35 1.45妊娠性糖
尿病 2
慢性高血圧症と 1
付随する妊娠中毒症
分娩様式 C/S 7
膣 13
出生体重(ダラム’) 20 700−3700 2676 800分娩
前の胎児死亡 1
中毒症患者の正常フェリチンの平均血清濃度は、38.55±55(ng/mj
’)であった。このレベルは妊娠30−39週の正常な妊婦で見られる値(50
,0±39.4 ng/ml)あるい正常妊婦の平均血清PLFレベル
FIG、1
血清PLFレベルと分娩時期との関係
分娩時期(週)
血清PLFレベルと分娩時期との関係
PLF (u/ml )
正常フェリチン (ng/ml)
N
MLC阻害% (3HTde 取り込み正常妊娠および満期妊娠
の女性と比較した中毒を伴う妊娠患者の平均血清フェリチンレベルW・妊婦の退
会
カラムは平均値を表し棒は十標準偏差を表すFIG、8
中毒症を伴う妊娠患者の平均PLFレベル(PErJ
W=妊婦の退会
カラムは平均値を表し棒は十標準偏差を表すFIG、9
胚に対するMLC母親
FIG、 t。
前 後
輸血
補正書の翻訳文提出書
(特許法 第184条の8)
1、特許出願の表示
PCT/US 89101449
2、発明の名称
病的な妊娠に対するマーカーとしてのイソフェリチン3、特許出願人
名 称 モロズ、チャヤ
4、代 理 人
住 所 東京都港区虎ノ門1丁目15番7号T G 115ビル7階
8、第1のモノクローナル抗体が、固形基質に結合されている、請求項1,2.
3.4.5.6、または7記載の方法。
9、リポータ−分子が酵素、蛍光分子、放射性同位元素、生物発光分子、または
化学発光分子である、請求項1.2.3.4.5.6、または7記載の方法。
lO,リポータ−分子が酵素である、請求項9記載の方法。
11、検出可能なシグナルを観察するに先立ち、酵素に対する基質を加える工程
をさらに包含する、請求項IO記載の方法。
12、酵素が、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、β
−ガラクトシダーゼまたはアルカリホスファターゼである、請求項9記載の方法
。
13、病的妊娠を示す状態の治療または予防を必要とする妊娠女性に対し、免疫
抑制量の PLF 、 PLFに対する特異性を有するる抗体、またはそれらの
組合せを投与することからなる、病的妊娠を示す状態の治療または予防方法。
14、その状態が妊娠中毒症である、請求項13記載の方法。
15、その状態が早発収縮である、請求項13記載の方法J
16、その状態が稽留流産である、請求項13記載の方法。
43、リポータ−分子が酵素、蛍光分子、放射性同位元素、生物発光分子、また
は化学発光分子である、請求項8記載の方法。
44、酵素がセイヨウワサビペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、β−
ガラクトシダーゼ、またはアルカリホスファターゼである、請求項8記載の方法
。
45、前記病的妊娠が妊娠中毒症である、請求項1記載の方法。
46、前記病的妊娠が早発収縮である、請求項1記載の方法。
47、前記病的妊娠が稽留流産である、請求項1記載の方法。
1際調査報告
Attachment to Form PCT/ISA/210 Part
Vよりescri tion of Multi le Inve
ntions Continue山エエX、 Claims 30−39
drawn to method of inducing immunosu
ppressedsta虹・ and prevenlng transp
laれt re9c虹ion、 class 514/6゜Reason
s for holdin 1ack of unit of 1
nvention:The 1nvention of Group X (
claims +−12& 26−291 drawn 七〇immunoas
says is an 1ndependanL method 1nvent
ion、not requiringth@pharmac@utical c
oa+position used in Groups X!or XX工、
Theprocess of Group XX lclaimm 13
−25 and 40−421 drawn 虹o pharmace浮狽堰|
cal coa+positions and method of usin
g saw@ to treat pr@9nancydisorders i
s a disLLnet and materially differen
t process of usi獅■@such
pharmac@utical coffipositions than
七he a+ethod of Group wXX fcla
ims
30−391 (lraVn to a m@thod of inducin
g immunosuppr@ss@d 5tatesand prev@nt
ing transplant rajeeセ10n。
Claims (42)
- 1.妊婦の血清または羊水を、胎盤イソフェリチン(PLF)と反応しうるな第 1の抗体、および検出可能なシグナルを生成しうるるリポーター分子に結合され ておりかつPLFに特異性を有する第2の抗体と、抗体−PLF−抗体複合物が 形成されるに十分な時間接触させ;検出可能なシグナルの存在または非存在を観 察し;そしてすべてのシグナルを定量して血清中のPLF量を測定することを含 んでなる、病的な妊娠を診断する方法。
- 2.両抗体はモノクローナル抗体である、請求項1記載の方法。
- 3.第1のモノクローナル抗体が、PLFに特異性を有する請求項2記載の方法 。
- 4.第1のモノクローナル抗体が、CM−G−8の同定特性を有する、請求項2 記載の方法。
- 5.第1のモノクローナル抗体が、CM−H−9の同定特性を有する、請求項3 記載の方法。
- 6.第2のモノクローナル抗体が、CM−H−9の同定特性を有する、請求項4 記載の方法。
- 7.第2のモノクローナル抗体が、CM−H−9の同定特性を有する、請求項5 記載の方法。
- 8.第1のモノクローナル抗体が、固形基質に結合されている、請求項1、2、 3、4、5、6、7または妊娠満期分娩の正常女性の平均血清レベル(46.1 ±37.3ng/ml)と有意差はなかった(第8図)。 第9図に見られるように、中毒症患者の血清中の平均PLFレベルは7.5±2 3U/mlであった。このレベル値は、同様の妊娠令(33−39週)の正常な 妊婦でのPLFレベル(81.6±89.3)のみならず正常な満期分娩の女性 で測定されるPLFレベル(54.8±53U/ml)より有意に低かった(p <0.001)。中毒症患者20人中17人が完全に血清中のPLFに欠けてお り、20人中たった1人が同様の妊娠令の正常妊娠で見られるレベルと矛盾しな いPLFレベルを有したということは注目すべきである。 は8記載の方法。
- 9.リポーター分子が酵素、蛍光分子、放射性同位元素、生物発光分子、または 化学発光分子である、請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の方法。
- 10.リポーター分子が酵素である、請求項9記載の方法。
- 11.検出可能なシグナルを観察するに先立ち、酵素に対する基質を加える工程 をさらに包含する、請求項10記載の方法。
- 12.酵素が、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、β −ガラクトシダーゼまたはアルカリホスファターゼである、請求項9または10 記載の方法。
- 13.病的妊娠を示す状態の治療または予防を必要とする妊娠女性に対し、免疫 抑制量のPLF、PLFに対する特異性を有するる抗体、またはそれらの組合せ を投与することからなる、病的妊娠を示す状態の治療または予防方法。
- 14.その状態が妊娠中毒症である、請求項13記載の方法。
- 15.その状態が早発収縮である、請求項13記載の方法。
- 16.その状態が稽留流産である、請求項13記載の方法。
- 17.その状態がPLFの低血清レベルである、請求項13記載の方法。
- 18.PLFの量が、約1−100mgである、請求項13、14、15、16 、または17記載の方法。
- 19.抗体の量が、1−100mgである、請求項13、14、15、16、ま たは17記載の方法。
- 20.抗体の量およびPLFの量が合わせて1−100mgである、請求項13 、14、15、16または17記載の方法。
- 21.PLFまたは抗体の投与に先立ち、女性がアロ抗原の有効量で免疫されて いる、請求項13、14、15、16または17記載の方法。
- 22.アロ抗原がアロ抗原性リンパ球の形で供給される、請求項21記載の方法 。
- 23.抗体がCM−H−9の同定特性を有する、請求項13、14、15、16 または17記載の方法。
- 24.抗体はCM−H−9を同定特性を有する、請求項19、記載の方法。
- 25.抗体がCM−H−9の同定特性を有する、請求項20記載の方法。
- 26.(a)宿主からのリンパ球試料を単離し、(b)そのリンパ球試料をリポ ーター分子に結合された、標識されたPLF特異的モノクローナル抗体と反応さ せ; (C)リポーター分子で標識された細胞の%を決定し;そして (d)試料中における標識標識された細胞が約5%より少ない女性を高い危険性 を有する可能性がある者として同定する; ことを含んでなる、女性における潜在的に危険性の高い妊娠を診断する方法。
- 27.抗体がCM−H−9の同定特性を有する、請求項26記載の方法。
- 28.リポーター分子が酵素であり、蛍光分子か酵素、蛍光分子、放射性同位元 素、生物発光分子、または化学発光分子である、請求項26または27記載の方 法。
- 29.リポーター分子が酵素である、請求項28記載の方法。
- 30.(a)サプレッサ−T細胞の増殖を刺激するに充分な量のアロ抗原で宿主 を免疫し;そして、(b)免疫抑制量のPLFまたはPLF特異的モノクローナ ル抗体を宿主に投与する; ことを含んでなる、宿主における免疫抑制状態の誘導および維持のための方法。
- 31.アロ抗原が同種抗原性リンパ球である、請求項30記載の方法。
- 32.リンパ球の量が、約106−108個である、請求項31記載の方法。
- 33.PLFまたはPLF特異的抗体の量が、約1−100mgである、請求項 30ないし32記載の方法。
- 34.その量が約1−10mgである、請求項33記載の方法。
- 35.(a)移植に先立ち、サプレッサ−T細胞の増殖を刺激するに充分な量の アロ抗原で宿主を免疫し;そして、 (b)免疫された宿主に免疫抑制量のPLFまたはPLF特異的モノクローナル 抗体を投与する; ことをふくんでなる、宿主における移植片の拒絶を防止するための方法。
- 36.アロ抗原が同種抗原性リンパ球の形で供給される、請求項35記載の方法 。
- 37.リンパ球の量が、約106−108個である、請求項36記載の方法。
- 38.PLFまたはPLF抗体の量が、約1−100mgである、請求項35な いし37記載の方法。
- 39.その量が約1−10mgである、請求項38記載の方法。
- 40.PLFに特異性を有する抗体の免疫抑制量を製剤上受容し得る担体と組合 せて含有する、医薬組成物。
- 41.免疫抑制量のPLFをも含有する、請求項40記載の組成物。
- 42.抗体がCM−H−9の同定特性を有する、請求項41または42記載の組 成物。
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