JPH0350432Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は検温計に関するものであり、特に原油
貯蔵タンク又は他の油の大型貯蔵タンクにおいて
該タンク内の貯蔵油の温度を計測するためのタン
ク検温計に関するものである。

原油又はその他の油を貯蔵する大型のタンクは
タンクを保守管理する上から、又は石油精製プラ
ントの運転管理上の点からタンク内の油温を正確
に把握することが必要であり、そのためにタンク
内の油の温度測定が頻繁に行なわれていた。

従来のタンク検温計は、真鍮又はブリキ等の金
属板により作製された円筒状容器内に温度計を取
付け、一般にはタンクの屋根に上からタンク内へ
と該タンク検温計をロープで吊して挿入し、タン
ク内の油又は原油タンクの場合には必要に応じス
ラツジ等をも吸み上げその場で油温を測定せんと
するものであつた。このように、従来のタンク検
温計は導電性であるために、油との接触によつて
静電気が発生し、該静電気は、検温計に蓄積され
ることとなる。斯る静電気は油面又はタンク本体
との間で放電し、引火点の低い油分又は油蒸気、
特に灯油以下の引火点の低い油に引火し爆発せし
める危険性が大である。従つて、斯る危険性を未
然に回避するために、タンク検温計を吊すロープ
は細い銅線と綿を撚り合せて構成し、その端部に
設けたアース端子をタンクの一部に鋏み、それに
よつてタンク検温計に発生した静電気を除去する
ように考慮されていた。

しかしながら、上記の如き構成のタンク検温計
にあつては、導電性ロープの切断、又はアース端
子部の外れ又は接触不良が度々生じるために頻繁
に目視又は測定器によつて導通テストを行なう必
要があつた。このことは、検温作業を極めて煩雑
なものとし、作業能率を著しく低下せしめるもの
であつた。

従つて、本考案の主たる目的は、木材又はプラ
スチツク等の非導電性材料で作製し、タンク検温
操作によつて静電気を帯びることのない、従つて
極めて安全なタンク検温計を提供することであ
る。

本考案の目的は操作用のロープは綿製のもので
よく、扱い易く且つアース端子を接続する必要も
なく操作性に秀れたタンク検温計を提供すること
である。

次に、本考案に係るタンク検温計を図面に則し
て詳しく説明する。

本考案に係るタンク検温計１はタンク内の油温
を測定する通常のガラス製の棒状温度計２と、該
温度計を内部に保持するホールダ４とを具備す
る。ホールダ４はプラスチツク又は木材のような
非導電性材料にて作製されるが、好ましくは木材
で形成されるであろう。

ホールダ４は概略円筒形状をした本体部６を具
備する。ホールダ本体部６の内部空間は概略中央
部に形成した仕切板８によつて上方室１０と下方
室１２とに分離される。上方室１０の上部開口部
には頭部栓１４が設けられる。頭部栓１４は概略
円柱状の頭部１６と、該頭部１６と同中心にて一
体的に形成された、頭部１６より小径の栓部１８
とから成る。栓部１８はホールダ本体部６の上方
室１０へと嵌合し得る形状とされる。栓部１８の
中央部には棒状温度計２の上端を保持する凹所２
０が穿設される。頭部栓１４はホールダ本体部６
に圧入することもできるが、ホールダ本体部６と
栓部１８とを貫通する透孔を形成し、木製のピン
２２を圧入することによつて頭部栓１４をホール
ダ本体部６に取付けるように構成することができ
る。頭部栓１４の頭部１６にタンク検温計をタン
ク内へと吊下げるためのロープ用の穴２４が形成
される。

上方室１０の前面は温度計２の目盛を読取るた
めの細長の温度読取窓２６が形成される。窓２６
の下端は仕切板２８の位置とされる。

一方、下方室１２は上記仕切板８に形成された
段付穴２８を貫通して挿入された温度計１２の検
温部を囲包した空間、即ち油溜め部１２Ａと、該
油溜め部１２Ａの下方に位置した空間、即ち重り
部１２Ｂとから成る。重り部１２Ｂにはタンク検
温計１を直立状態にてタンク油中へと浸漬し得る
ように重量のある重りが配置又は充填される。本
実施例においては、油溜め部１２Ａと重り部１２
Ｂとの境界部に木製の仕切板３０を配置し、該重
り部１２Ｂ内にコンクリート３２を充填固化し、
重り部１２Ｂの下端、即ちホールダ本体部６の下
方開口部を蓋板３４で閉鎖するように構成され
る。蓋板３４はホールダ本体部６の開口内に挿入
され、外周辺部より本体部６の壁部を貫通して圧
入された木製のピン３６によつてホールダ本体部
６に固定される。斯る構造により。コンクリート
製重り３２がタンク内に油に直接接触することが
防止される。

油溜め部１２Ａに前面には、その上方部に油出
入口３８が形成され、油溜め部１２Ａ内への油の
出入を可能とする。

温度計２は段付穴２８を備えた仕切板８と、頭
部栓１４の凹所２０との間に保持される。つま
り、温度計２の下方向への移動は段付穴２８に温
度計の検温部より大きい目盛部の肩部が当接する
ことによつて阻止され、又温度計２の上方向移動
は凹所２０の底壁又は木製ピン２２によつて阻止
される。

上記の如くに構成されたタンク検温計１を使用
してタンクの油温を測定する場合には、先ず頭部
栓１４のロープ穴２４に線製のロープが結ばれ
る。通常タンクの屋根の上に位置した作業者は適
当な屋根上の穴からタンク内へと該タンク検温計
１をロープで吊して挿入する。検温計１は重り３
２の働きにより、油中へと概略直立状態にて浸漬
される。

検温計１がタンク内に浸漬されると、油は油出
入口３８を介して油溜め部１２Ａへと進入し、又
温度読取窓２６を介して上方室１０内へと進入す
る。

次で、タンク検温計１はロープにて引上げられ
る。検温計１が油面より上方まで引上げられる
と、上方室１０内の油は温度読取窓１０より排出
され、従つて上方室１０には油は残溜せず、又一
方油溜め部１２Ａ内には油が残溜し、温度計１の
検温部は油中に浸漬された状態に保持されてい
る。

作業者は上記状態の検温計を屋根の上まで引き
上げ、目視によつて温度読取窓１０から油温を測
定することができる。

本考案に係るタンク検温計は上記の如くに構成
されるために、検温計自体に静電気が発生するこ
となく且つ又静電気を蓄積することもなく、従つ
て本考案を使用したタンクの検温作業において静
電気による油の引火爆発の危険性を完全に回避す
ることができる。又、本考案に係るタンク検温計
はアース端子を必要とせず、従つて操作が極めて
簡単であるという利益を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るタンク検温計の正面図で
ある。第２図は第１図のタンク検温計の縦断面図
である。第３図は第１図の線−に沿つた横断
面図である。 １：タンク検温計、２：棒状温度計、４：ホー
ルダ、１０：上方室、１２：下方室、１２Ａ：油
溜め部、１２Ｂ：重り部、１４：頭部栓。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) ロープに吊り下げられることによりタンク内
   に貯蔵された油中へと沈められ、タンク内貯蔵
   油の温度を測定するためのタンク検温計であつ
   て、棒状温度計と、頭部がロープに接続されそ
   して前記温度計を内部に保持するようにした、
   非導電性材料にて形成されたホールダとを具備
   し、ホールダ内部には前記温度計の検温部を囲
   包する油出入口付油溜め部が形成され、又該ホ
   ールダにはタンク検温計をタンク貯蔵油中へと
   直立状態にて浸漬するための重りが設けられた
   ことを特徴とするタンク検温計。 (2) 非導電性材料は木材又はプラスチツクである
   実用新案登録請求の範囲第１項記載のタンク検
   温計。 (3) ホールダは中空に円筒体であり、内部は概略
   中央部に形成した仕切板によつて上方室と下方
   室とに分離され、温度計は上方室に目盛部が、
   又下方室の上部に形成された油溜め部に検温部
   が位置するように前記仕切板を貫通してホール
   ダ内部に配設され、上方室には温度読取窓を形
   成し、油出入口は油溜め部の上方に形成され、
   又下方室の下方部に重りが配設されて成る実用
   新案登録請求の範囲第２項記載のタンク検温
   計。