JPH0344860B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は回転鋳造機に関するものであり、特に
溶湯歩留りを向上させることのできる回転鋳造機
に関するものである。

従来の鋳造方法の１つとして重力を利用した重
力鋳造方法があるが、この方法によれば押湯、湯
道が必要であり、そのため通常は製品鋳物の2.5
〜３倍の溶解量が必要となり、鋳造歩留り（製品
重量／鋳込重量）が低く、さらに押湯を除去する
等の後工程が必要になるという欠点がある。

前記歩留りを改善した鋳造方法の１つとして低
圧力鋳造方法が知られており、この方法によれば
注湯は密閉容器内の溶湯面に低いガス圧を加え、
溶湯中に垂設した給湯管を通して重力と逆方向に
溶湯を押し上げて給湯管上端に設置した鋳型に注
湯し、所定時間加圧状態を保持した後、圧力を除
去することにより鋳型内の溶湯は凝固が終了して
いるが、湯口レベル以下の給湯管内の溶湯はまだ
溶けたままの状態であるので炉内に溶湯を落下さ
せることができる。従つてこの方法によれば押湯
の必要がなく湯道に溶湯が凝固することもないの
で鋳造歩留りが向上するという利点がある。しか
しながらこの方法は、１つの鋳型で１ケの鋳物製
品を製造するには適しているが、１つの鋳型から
多数の鋳物製品を得るには適用が困難であり、生
産性も悪いという欠点がある。

上記方法の他に遠心力を利用した遠心鋳造法も
知られており、この方法は円筒形状の型に溶湯を
鋳込み型内壁に溶湯を遠心力により押しつけて凝
固させ緻密な製品を造ることのできる方法である
が、この方法は製品形状の点で適用が限定される
という欠点がある。

上記２つの従来方法のほかに、高圧を利用した
ダイカスト法が知られており、この方法は鋳造歩
留りが75〜80％と低いという点で十分満足されて
いない。

本発明は、上記従来の鋳造方法の鋳造歩留りが
低いという欠点を改善した回転鋳造機を提供する
ことを目的とし、特許請求の範囲記載の回転鋳造
機を提供することにより前記目的を達成すること
ができる。

本発明の回転鋳造機は、中央に円筒状空隙部
（以下中空円筒と記す）を有する合せ型と、前記
合せ型を縦方向を軸として回転させる回転手段
と、前記合せ型の円筒内面に湯漏れのないように
接触しかつ昇降自在のピストンと、前記ピストン
を昇降させると共に必要によりピストンを縦方向
を軸として回転させることもできる手段を有する
回転鋳造機である。

本発明の回転鋳造機に用いることのできる合せ
型の部分型には、２種の態様があり、その一つの
部分型は第１図に示すようにドーナツツ形状部分
型（以下横部分型と記す）であり、同図に示すよ
うに横部分型１の重ね面には複数個の空間部２が
周設されており、更に前記空間部２は中央空隙部
面に設けられた開孔部３におのおの連通してお
り、この開孔部３を通して溶湯が部分型の空間部
２に流入することができる。横部分型１を重ねて
なる合せ型を回転させる際、合せ型にズレや分離
が生じないように横部分型１にはロツクバー穴４
およびノツクピン穴５がそれぞれ対応するように
複数個設けられている。

他の１つの態様の部分型は第２図に示すような
長手方向に直角に切つた断面が扇形環状の部分型
（以下縦部分型と記す）６であり、上記縦部分型
６の組合せ面７には複数個の空間部８が適正な間
隔を保つて設けられており、前記空間部８は部分
型６の内壁面に設けられた開孔部９におのおの連
通しており、この開孔部９を通して溶湯が空間部
８に流入することができる。この縦部分型を組合
せてなる合せ型はズレ、分離がおこらないように
ロツクバンド（図示せず）で固定される。

なお本発明において用いられる合せ型は、注湯
温度に適した耐熱材料、例えば耐熱金属、セラミ
ツクス、グラフアイトのなかから選ばれる何れか
少なくとも１種からなる材料を使用することがで
きる。

第３図、第４図は本発明において用いることの
できる２種の合せ型、すなわち横部分型と縦部分
型とからそれぞれなる合せ型１０および１１の斜
視図であり第３図にロツクバー３４、締付けボル
ト３５、第４図にロツクバンド３６で固定された
態様を示している。なお、縦部分型からなる合せ
型１１には縦部分型の他にスペーサー３８を組合
せることができる。このスペーサー３８は空間部
に鋳込んだ後の部分型の離脱を容易にすることが
できる。

前記合せ型を回転させる回転台の１つの態様の
縦断面を第５図に示す。同図において回転台は、
合せ型が転倒しないよう、あるいは回転軸ズレの
ないように固定手段１２と、その中空円筒状枠１
３と、回転運動の際抵抗の少ないボールベアリン
グ１４と、合せ型を回転させる回転駆動受１５と
ピストンの昇降ができるように穴のあけられた台
１６が設けられている。上記回転台に前記合せ型
を組込む手順は先ず回転台の枠１３の中空円筒内
に合せ型を直立させ、次いで固定手段１２により
回転台軸上に固定する。合せ型は回転駆動受１
５、枠１３を通して回転させられ、この回転伝導
手段はモーターと変速機およびプーリー、ベルト
を有し、回転台の回転速度を自由に調整すること
ができる。

なお、プーリー、ベルトのかわりにチエーンや
ギヤを用いることもできる。

第６図は合せ型の中空円筒部を昇降することの
できるピストンの１つの態様を示す正面図であ
る。同図においてピストンヘツド１７は注湯温度
に適した耐熱材料例えば耐熱金属、セラミツク
ス、グラフアイトのなかから選ばれる少なくとも
１種からなる材料を使用することができる。

ピストンヘツド１７の先端部形状は平面又は凸
面形状であり、水平に切つた断面は円形状であ
り、中空円筒合せ型内壁面に摺動自在に接触し、
前記ピストンヘツド１７とピストンロツド１８と
は脱着自在にピン３７で固定されている。なお、
ピストンヘツド１７には放冷用フインを付加する
ことができる。ピストンの昇降はシリンダーロツ
ド２５により行われるが、この方向を確実にする
ためガイドベース１９およびピストンベース２０
にはガイドポストにそつてスライドするための穴
が設けられている。溶湯を一層すみやかに中空円
筒合せ型の開孔部を経て空間部に流入させるため
にはピストンの軸方向を軸として回転させる手段
を設けることができ、回転を円滑にするためガイ
ドベース１９およびピストンベース２０にはそれ
ぞれベアリング２１，２２を埋設することができ
る。ピストンの回転手段としてプーリ２３、ベル
ト２４、モーター、変速機を用い、モーター、変
速機はピストンベース２０上に設けられておりピ
ストンと同時に昇降することが出来る。

なお、ピストンロツド１８を中空にすることに
より中空部に冷却用配管および予熱用電気配線を
埋設することができる。前記冷却用配管によりピ
ストンヘツド１７の過熱を抑制し、また予熱用電
気配線に通電して本装置を使用開始する際に、ピ
ストンヘツド１７を予熱することができる。又、
シリンダーロツド２５は油圧、空圧のいずれでも
良いが別にボールネジ、テコ、カム、クランク等
を用いて昇降させることができる。

前記各部品からなる回転鋳造機の組立て概略を
第７図に示している。同図において回転台２６に
組込まれた合せ型１０は回転伝導手段２７により
伝達され回転している。一方ピストン２８は合せ
型１０の内壁最下段に位置しており、必要により
回転させる手段２９により回転する。合せ型１０
の中空円筒部に注湯された溶湯は、ピストン２８
の先端部から合せ型内壁に流動し合せ型１０の回
転による遠心力により合せ型１０に設けられてい
る開孔部を通り空間部に緻密に鋳込まれる。ピス
トン２８はただちにシリンダーロツド２５により
溶湯を次にある合せ型１０の開孔部位置まで上昇
させるので、溶湯は前記と同様に開孔部を通り空
間部に鋳込まれる。上記合せ型１０の回転とピス
トン２８の上昇によつて合せ型１０の空間部の最
上段迄溶湯を次々と鋳込んだ後ピストン２８はシ
リンダーロツド２５の下降により合せ型１０の下
端部迄下降する。なおピストン２８は油圧シリン
ダー３０、油圧ユニツト３１とガイドポスト３２
により正確な方向をもつて昇降することができ
る。回転台２６はピストン２８が昇降できるよう
に支柱３３の上に設けられている。又、合せ型１
０のズレを防ぐためロツクバー３４および締付ボ
ルト３５で合せ型１０の部分型を固定している。

なお、ピストン２８は昇降手段をもたずに回転
台２６に昇降手段を設けても、又取り付けた合せ
型１０の中空円筒方向は必ずしも垂直方向にしな
くても本発明の目的を得ることができる。

以上本発明の回転鋳造機は、合せ型の回転によ
る遠心力により回転軸から中空円筒合せ型の内壁
方向に溶湯を押しつけるので、溶湯は円筒中空合
せ型の開孔部を通り空間部に流入し充填され、か
つ加圧された状態において冷却されるので緻密な
鋳物を得ることができ、さらにピストンの上昇に
より中空円筒合せ型の開孔部及び空間部に充填し
て残つた合せ型の中空円筒部にある溶湯を次にあ
る合せ型の空間部に充填させる機構にあるので中
空円筒合せ型に注湯された溶湯は合せ型の中空円
筒部で凝固することがないので鋳造歩留りを著し
く向上させることができる機械であり、本発明の
回転鋳造機を用いて製造すれば、中実鋳物製品
（例えばボール、円筒形状品、コツター等）、リン
グ形状鋳物製品等を高い鋳造歩留りで製造できる
ので、溶解エネルギーロスを著しく向上させるこ
とができ、かつ安定した品質を多量に得ることが
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は横部分型を示す斜視図、第２図は縦部
分型を示す斜視図、第３図は横部分型からなる合
せ型を示す斜視図、第４図は縦部分型からなる合
せ型を示す斜視図、第５図は回転台の縦断面を示
す図、第６図はピストンの正面を示す図、第７図
は回転鋳造機の概略を示す図である。 １……横部分型、２……空間部、３……開孔
部、４……ロツクバー穴、５……ノツクピン穴、
６……縦部分型、７……組合せ面、８……空間
部、９……開孔部、１０……横部分型からなる合
せ型、１１……縦部分型からなる合せ型、１２…
…固定手段、１３……枠、１４……ボールベアリ
ング、１５……回転駆動受、１６……台、１７…
…ピストンヘツド、１８……ピストンロツド、１
９……ガイドベース、２０……ピストンベース、
２１……ベアリング、２２……ベアリング、２３
……プーリー、２４……ベルト、２５……シリン
ダーロツド、２６……回転台、２７……回転伝導
手段、２８……ピストン、２９……回転手段、３
０……油圧シリンダー、３１……油圧ユニツト、
３２……ガイドポスト、３３……支柱、３４……
ロツクバー、３５……締付ボルト、３６……ロツ
クバンド、３７……ピン、３８……スペーサー。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 金属、セラミツクス、グラフアイトのなかか
   ら選ばれる何れか少なくとも１種よりなる中央に
   円筒状空隙部を有する合せ型と、前記合せ型を縦
   方向を軸として回転させる回転手段と、前記合せ
   型の円筒状空隙部に湯漏れのないように接触し昇
   降自在のピストンと前記ピストンを昇降させる手
   段とを有し；前記ピストンを合せ型の最下段に位
   置させ合せ型を回転させつつ円筒状空隙部に金属
   溶湯を注入しつつ、前記ピストンを次第に上昇さ
   せて、合せ型内に金属溶湯を鋳込むことを特徴と
   する回転鋳造機。 ２ 前記ピストンを昇降させる手段はピストンを
   昇降方向を軸として回転させることもできる手段
   である特許請求の範囲第１項記載の回転鋳造機。 ３ 前記合せ型は、ドーナツツ状部分型を２枚以
   上積み重ねてなる合せ型である特許請求の範囲第
   １あるいは２項記載の回転鋳造機。 ４ 前記合せ型は、長手方向に対し直角に切つた
   断面が扇形環状をなす部分型を環状に組合せてな
   る合せ型である特許請求の範囲第１あるいは２項
   記載の回転鋳造機。