JPH0343218B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 (イ) 発明の分野 本発明は空気より比重の大きい断熱ガスを空間
内に封入する複層透明板に関し、主として冷蔵
庫、低温シヨーケース等の冷凍機器の窓や扉に用
いられる複層透明板に関する。

(ロ) 背景 本発明出願人は先に特願昭57−20481号の複層
透明板の製造方法を出願した。以下第１図乃至第
８図を参照してかゝる背景技術の実施例を説明す
ると、第１図及び第２図に示す１は冷蔵庫、冷凍
或いは冷蔵シヨーケース等の冷凍機器、一般家屋
の窓や扉に使用される複層透明板で、方形をなす
ガラスからなる二枚の透明板２Ａ，２Ｂと、この
両透明板の相対向する面の周端面間に介在され、
枠状に接続された四本の間隔子４Ａ，４Ｂ，４
Ｃ，４Ｄを主体となす枠部材３とにより構成さ
れ、前記両透明板及び枠部材にて囲まれる内部に
空気より比重の大きいAr、SF₆等の断熱ガスＧを
封入した空間５を形成している。６Ａ，６Ｂは両
透明板２Ａ，２Ｂと枠部材３とを相互に装着する
両面接着テープ等の接着剤、７は前記両透明板の
周端面と、前記枠部材の外面とにより形成される
環状の溝に充填され、前記各面に装着して空間の
気密を保持するチオコール等樹脂系のシール部材
である。８は前記各間隔子内に多量に充填された
粒状の乾燥剤で、例えば吸湿作用の速い速乾性の
シリカゲルと、吸湿作用の遅い遅乾性のモリキユ
ーラシーブスとの混合物からなるものである。

前記各間隔子はアルミニウム等の押し出し成
形、又は金属薄板の折曲形成により第３図に示す
如く中空部９を有する方形筒形に形成され、前記
空間に臨む内面にはその長さ方向にわたつて各々
の中空部９と、空間５とを連通する細長い溝より
なる通気路１０を各々形成し、又一本の間隔子４
Ａの内外両面の両端には後述する接続具の貫通孔
に対応する円形の開口１１Ａ，１１Ｂを形成して
いる。１２Ａ，１２Ｂ，１２Ｃ，１２Ｄは略直角
に交差する二本の脚１２ｌ，１２ｍを形成した合
成樹脂よりなるコーナー接続具で、枠状に配置さ
れた各間隔子４Ａ，４Ｂ，４Ｃ，４Ｄのうち相隣
接して直交する中空部９の一方に一方の脚１２
ｌ、他方に他方の脚１２ｍを挿入することにより
前記各間隔子を相互に接続して枠部材３を組立る
ものである。前記両脚は第４，５図に示す如く間
隔子４Ａ，４Ｂの接続状態において中空部９内で
押圧変形される波形等弾性を付与できる形状に形
成されている。１３Ａ，１３Ｂは二個の接続具１
２Ａ，１２Ｂの一方の脚即ち同じ間隔子４Ａの中
空部９に左右双方から挿入される脚１２ｍ，１２
ｌに形成された貫通孔で、間隔子４Ａの両開口１
１Ａ，１１Ｂに対応し、且つ接続具１２Ａ，１２
Ｂの脚１２ｍ，１２ｌを間隔子４Ａに挿入してこ
の間隔子の両端部に重ねた際には両開口１１Ａ，
１１Ｂとともに間隔子４Ａの内外を連通させるも
のである。

次に複層透明板１の製造方法について説明す
る。まず接続具１２Ａにより間隔子４Ａ，４Ｃ、
接続具１２Ｃにより間隔子４Ｂ，４Ｄを夫々Ｌ字
形に接続した後、各々の間隔子の中空部９に乾燥
剤８を充填し、然る後接続具１２Ｂにより間隔子
４Ａ，４Ｂ、接続具１２Ｄにより間隔子４Ｃ，４
Ｄを接続して枠部材３を組立てるとともに、間隔
子４Ａの両開口１１Ａ，１１Ｂと接続具１２Ａ，
１２Ｂの貫通孔１３Ａ，１３Ｂとを一致させ二本
の通路を形成する。このとき各接続具は中空部９
から乾燥剤８の洩れを防止するストツパーの役目
をなす。前記枠部材の組立後各々の間隔子４Ａ，
４Ｂ，４Ｃ，４Ｄの内外両面を除く地の対向両面
に接着剤６Ａ，６Ｂを接着し、次にこの接着剤を
両透明板２Ａ，２Ｂの相対向する面の周端面に接
着して枠部材３と、両透明板２Ａ，２Ｂとを相互
に接続するとともに、空間５を形成して半完成品
を得る。空間５の形成後、第７図に示す如く間隔
子４Ａが上部となるように半完成品を立設して適
当な治具で固定する。然る後、第７図乃至第８図
に示す如くガス供給機（図示しない）に接続され
た細長い管よりなる供給ノズル１４を開口１１Ｂ
及び貫通孔１３Ｂよりなる一方の通路を介して空
間５内に挿入してその先端を空間５内下部に位置
せしめるとともに、空間５内の空気を外部に導く
細長い管よりなる排気ノズル１５を開口１１Ａ及
び貫通孔１３Ａよりなる他方の通路を介して空間
５内に挿入してその先端を空間５内上部に位置さ
せ、供給ノズル１４より空間５内に空気より比重
の大きいAr、SF₆等の断熱ガスＧを矢印の如く
徐々に供給する。この断熱ガスの供給に伴ない空
間５内の空気は上方に押し上げられて排気ノズル
１５から矢印の如く外部に排出され、空間５内の
断熱ガスＧの十分な充填を検出する装置（図示し
ない）により断熱ガスＧの供給を停止し、供給及
び排気両ノズル１４，１５を空間５内から引き抜
く。次にシール部材７を枠部材３の外面に沿つて
環状に配置して両開口１１Ａ，１１Ｂを閉塞する
とともに、このシール部材７を前記各間隔子、各
接続具１２Ａ，１２Ｂ，１２Ｃ，１２Ｄ及び両透
明板2A，2Bに接着させて空間５と外部との気密
を保持することにより所望の複層透明板１を得る
ことができる。

(ハ) 背景技術の問題点 背景技術による製造方法は、断熱ガス供給路又
は空気排出路となる二本の通路をコーナー接続具
の貫通孔と間隔子の内外両面に形成した両開口と
により構成するため、貫通孔の穿孔作業の他、両
開口の穿孔作業が必要となり、枠部材組立前の作
業工程が増し、又組立時貫通孔と両開口とを一致
させねば供給ノズル及び排気ノズルの挿入ができ
なくなるためにその修正作業に時間を費す欠点が
生じた。更に枠部材の外周にシール部材を設けた
ときに通路内にシール部材の一部が入り込むため
に断熱ガスの供給前に通路に入り込んだシール部
材を除去せねばならない予備作業を行なう欠点が
生じた。

(ニ) 本発明の目的 枠部材の組立作業を簡単に行ない、且つ断熱ガ
スの供給前に通路へのシール部材の侵入を阻止す
ることにある。

(ホ) 本発明の概要 枠部材を構成するコーナー接続具に、両脚間に
間隔子の中空部に挿入されない基部と、この基部
の一部を貫通する通路と、この通路の外側開口周
縁より外方に立上がる筒部と、この筒部の外側面
を塞ぎシール部材より露呈する破綻可能な薄膜部
とを一体形成してなる複層透明板。

(ヘ) 発明の実施例 第９図乃至第１３図は本発明の実施例を示す。
尚、第９図乃至第１３図において第１図乃至第８
図と同じ符号は同じものとする。

１２ｎはコーナー接続具１２Ａの両脚１２ｌ，
１２ｍ間に形成された基部、１２ｉ，１２Ｊはこ
の基部と前記両脚との境を段落させて形成された
当接面で、コーナー接続具１２Ａの脚１２ｌ，１
２ｍを相隣接する間隔子４Ａ，４Ｃの中空部９に
挿入したときには間隔子４Ａ，４Ｃの一端面が当
接面１２ｉ，１２Ｊに夫々接して突き合わされ、
基部１２ｎと両間隔子４Ａ，４Ｃとの内外両面及
び両側面は面一となり、且つ基部１２ｎは間隔子
４Ａ，４Ｃには重ならない。１２ｈは前記基部の
内外両面方向の一部を貫通する通路、１２ｓはこ
の通路の外側開口周縁より外方に立上がる筒部、
１２ｔはこの筒部の外側面を塞ぐ破綻可能な薄膜
部で、これらはコーナー接続具１２Ａの成形時に
一体形成される。尚、他のコーナー接続具１２
Ｂ，１２Ｃ，１２Ｄにも基部１２ｎ及び当接面１
２ｉ，１２Ｊは形成されている。

次に複層透明板１の製造方法について説明す
る。

各コーナー接続具１２Ａ，１２Ｂ，１２Ｃ，１
２Ｄによつて各間隔子４Ａ，４Ｂ，４Ｃ，４Ｄを
相互に接続して枠部材３を組立た後、この枠部材
の両側面全周に両面接着テープからなる接着剤６
Ａ，６Ｂを貼着し、次に第１０図に示す如く方形
をなす基板１７と、この基板の外周面に立設され
た八本のガイド１８Ａ〜１８Ｈとよりなる組立地
具１６に透明板２Ａ，枠部材３、透明板２Ｂと順
次設置した後、透明板２Ｂを押圧して両透明板２
Ａ，２Ｂと枠部材３とを両接着剤６Ａ，６Ｂによ
り相互に接続して空間５を形成する。次に、枠部
材３の筒部１２ｓの高さまで前記両透明板の内周
端面と、前記枠部材の外面とにより形成された環
状の溝にチオコール等樹脂系シール部材７を充填
して前記各面に接着させると共に、薄膜部１２ｔ
を外部に露呈させて空間５の気密を保持してなる
半完成品を得る。次に、薄膜部１２ｔを鋭利な刃
物で破綻して筒部１２ｓ及び通路１２ｈを介して
空間５と外部とを連通させた後、通路１２ｈが枠
部材３の上部に位置するように半完成品を立設す
る。次に、供給ノズル１４を筒部１２ｓ及び通路
１２ｈから空間５内に通し、断熱ガスＧを第１１
図及び第１２図に示す如く空間５に供給すること
により、空間５内の空気は徐々に押し上げられ矢
印の如く筒部１２ｓ及び通路１２ｈから外部ひ排
出される。断熱ガスＧの充填後、第１３図に示す
如く薄膜部１２ｔの破綻部分を前記シール部材と
同質のキヤツプ状シール部材７′で閉塞すること
により、空間５に断熱ガスＧを封入した所望の複
層透明板１は完成する。

かゝる複層透明板の製造方法によれば、間隔子
４Ａ，４Ｃとは重ならない基部１２ｎに通路１２
ｈを形成したコーナー接続具１２Ａを用いて枠部
材３を組立るため、単にコーナー接続具１２Ａの
脚１２ｌ，１２ｍを間隔子４Ａ，４Ｃに挿入する
簡単な作業で通路１２ｈを所定位置に配置できる
と同時に、枠部材３の組立を終了でき、枠部材３
の組立作業の迅速化が図れ、背景技術の欠点を一
気に解決することができる。又、筒部１２ｓによ
つてシール部材７の配設作業が簡単となるばかり
か、筒部１２ｓに一体形成した薄膜部１２ｔによ
つてシール部材７の通路１２ｈへの侵入を阻止で
き、断熱ガスＧ供給前における予備作業の削除が
図れる。

(ト) 本発明の他の実施例 その(1)第１４図は１個のコーナー接続具１２Ａ
と、三ケ所をＶ形に切欠して折曲した間隔子４Ａ
とにより組立られる枠部材３を示し、第１５図は
この枠部材の使用して組立てられた複層透明板１
に断熱ガスＧを注入している工程を示す。

その(2)第１６図及び第１７図は三枚の透明板２
Ａ，２Ｂ，２Ｃと、二個のコーナー接続具１２
Ａ，１２Ｂに夫々筒部１２ｓ及び薄膜部１２ｔを
形成した二つの枠部材３Ａ，３Ｂとにより二つの
空間５Ａ，５Ｂを形成した三層透明板１′の半完
成状態を示す斜視図を示す。

(チ) 本発明による完成品の用途 第１８図は本発明により製造された複層透明板
１の周端縁に把手３９Ａ付の金属枠３９を嵌合し
て扉４Ｃとなし、通路１２ｈが上部に位置するよ
う前記扉を冷蔵庫４１の前面に開閉自在に設けた
用途を示す。

(リ) 本発明の効果 以上詳述したように本発明によれば、通路の外
側開口周縁より外方に立上がる筒部と、この筒部
の外側面を塞ぎシール部材より露呈する破綻可能
な薄膜部とをコーナー接続具に一体形成している
関係上、通路をシール部材で塞ぐことを気にしな
いでシール部材の配設作業が行え、その作業が簡
単になるとともに、通路へのシール部材の進入は
回避され、これにより、通路内のシール部材除去
作業等断熱ガス供給前の予備作業が廃止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第８図は背景技術の実施例を示し、
第１図は背景技術により製造された複層透明板の
斜視図、第２図は第１図Ａ−A′断面図、第３図
は枠部材の分解斜視図、第４図は第１図Ｂ−
B′断面図、第５図は第４図Ｃ−C′断面図、第６図
は要部平面図、第７図は断熱ガスの注入工程を示
す斜視図、第８図は第７図Ｄ−D′断面図、第９
図乃至第１３図は本発明の実施例を示し、第９図
は本発明に用いるコーナー接続具の斜視図、第１
０図は透明板と枠部材との接続工程を示す分解斜
視図、第１１図は断熱ガスの注入状態における複
層透明板の斜視図、第１２図は第１１図Ｅ−E′断
面図、第１３図は通路のシール状態を示す要部縦
断面図、第１４図乃至第１７図は本発明の他の実
施例を示し、第１４図はコーナー接続具を１個使
用する枠部材の分解斜視図、第１５図はこの枠部
材を使用した複層透明板の断熱ガス注入工程を示
す斜視図、第１６図は三層透明板の斜視図、第１
７図は第１６図Ｆ−F′断面図、第１８図は本発明
により製造された複層透明板を扉体として使用し
た冷蔵庫の斜視図である。 ２Ａ，２Ｂ……透明板、３……枠部材、４Ａ，
４Ｃ……間隔子、５……空間、６Ａ，６Ｂ……接
着剤、７，７′……シール部材、９……中空部、
１２Ａ……コーナー接続具、１２ｌ，１２ｍ……
脚、１２ｎ……基部、１２ｈ……通路、１２ｓ…
…筒部、１２ｔ……薄膜部、Ｇ……断熱ガス。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 筒状をなし中空部に多量の乾燥剤を充填した
   間隔子とこの間隔子の端部を接続するコーナー接
   続具とにより組立られる少なくとも一つの枠部材
   と、少なくとも二枚の相対向する透明板と、この
   透明板の相対向する面の周端縁に前記枠部材を接
   着する接着剤と、前記各透明板と枠部材との間に
   形成される少なくとも一層の空間と、前記枠部材
   の外面に沿つて環状に設けられるシール部材とを
   備えてなる複層透明板において、前記コーナー接
   続具は、前記間隔子の中空部に挿入される脚と、
   前記間隔子の中空部に挿入されない基部と、この
   基部の一部を貫通する通路と、この通路の外側開
   口周縁より外方に立上がる筒部と、この筒部の外
   側面を塞ぎ前記シール部材より露呈するとともに
   前記空間内にガスを封入する際に破綻される薄膜
   部とを一体形成してなる複層透明板。