JPH0340502Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は板材加工機械の寸動装置に係り、更に
詳細には、特にフライホイールとクラツチ・ブレ
ーキ装置とでラム昇降を行う板材加工機械の寸動
装置に関するものである。

［従来の技術］ 駆動回転するフライホイールとこれに連結する
クラツチ・ブレーキ装置及びクランクシヤフト等
を介してラムを昇降させ、板材の切断やプレス加
工等を行う板材加工機械は数多く用いられる。こ
のような従来上工機械において、例えばシヤーリ
ングマシンと上刃と下刃間のクリアランスの微調
整をする際、前記ラムの微小送り、いわゆる寸動
を行いながら所望の位置で停止して調整とその確
認測定を繰り返す。

その場合、前記クラツチ・ブレーキ装置が電磁
作動式のものであればそのスイツチのオン・オフ
操作で行う。又、エヤ作動式のものであればエヤ
供給配管中の電磁弁のスイツチのオン・オフ操作
で行う。これらいずれかのスイツチのオン・オフ
操作を素早く繰り返して前記ラムを所望の位置に
正確に停止させる。

［考案が解決しようとする問題点］ しかしながら、上記スイツチ操作によるラムの
微小送り位置決めには、クラツチ・ブレーキ装置
の応答性が関係するためラムを所望の位置に正確
に停止させることが極めてむつかしい。すなわち
スイツチ操作とラム停止までの間に前記応答性に
対応したタイムラグがあり、しかも前記装置内部
材の摩耗、温度変化等で応答性が変動する。従つ
てスイツチを切つてからラムが実際に停止するま
でのずれ量が変化することで前記ラムを所望の位
置に正確に停止させる操作が困難となる訳であ
る。

更にフライホイールはメインモータで駆動回転
をさせながら前記スイツチ操作でラムを所望位置
に停止させるが、その後、前記上刃、下刃間のク
リアランス等の微調整と確認を行う際、安全上は
必ずメインモータを停止しなければならない。し
かし前記微調整と確認操作を繰り返して行う場合
が多く、この時にメインモータの起動停止も同様
に繰り返すのは極めて煩雑である。

本考案の目的は上記従来の装置の問題点にかん
がみ創案したもので、構成上の工夫により安全
に、しかも極めて容易確実に微小送りが実施でき
る板材加工機械の寸動装置を提供するものであ
る。

［問題点を解決するための手段］ 上記の目的を達成するために本考案は、駆動回
転するフライホイールとクラツチ・ブレーキ装置
を設けてラム昇降を行う板材加工機械の前記フラ
イホイールに手動操作による駆動手段を付加して
備えたことを構成とするものである。

［作用］ 本考案を採用することにより、手動操作による
駆動手段でフライホイール側の回転部材を回転さ
せるため、ラムの寸動昇降速度は極めて遅くな
る。その結果、前記スイツチ操作とラム停止との
応答性の影響、つまりタイムラグの影響は無視で
きる程に小さくなる。これで、例えばラム昇降状
態を目視しながら手動操作用ハンドルを回転して
所望の位置にラム到達後、クラツチ・ブレーキ装
置を作動させれば、実質的に、ずれなしで停止す
る。勿論ブレーキが働いているため、この停止位
置は動かない。

［実施例］ 以下、本考案の実施例を図面に基づいて詳細に
説明する。

第１図および第２図を参照するに、板材加工機
械としてのシヤーリングマシン１の本体の一方の
フレーム３の上にＶシーブ５を装着した駆動用メ
インモータ７，その下方にＶシーブを兼ねたフラ
イホイール９が配設されている。Ｖシーブ５とフ
ライホイール９とにはＶベルト１１が張設されて
いる。フライホイール９の中心部にはピニオンギ
ヤ１３付きの伝導軸１５が相対回転自在に配設さ
れている。この伝導軸１５にフライホイール９の
側方第２図において右側にクラツチ・ブレーキ装
置１７が取付けてある。

クラツチ・ブレーキ装置１７は本実施例の場
合、エヤシリンダ作動方式のものを採用してい
る。すなわち、クラツチ・ブレーキ装置１７の内
部に装着されているエヤシリンダに、図示省略の
エヤ配管の電磁弁のスイツチオンでエヤが供給さ
れてクラツチ・ブレーキ装置１７がフライホイー
ル９に連結される。これでフライホイール９の回
転はクラツチを介して伝導軸１５に伝達される。

伝導軸１５の回転でピニオンギヤ１３と噛み合
うギヤ１９が回転し、ギヤ１９が装着されたクラ
ンク軸２１も回転する。そしてクランク軸２１か
らコネクテイングロツド２３を介してラム２５が
昇降する。ラム２５には上刃ホルダ２７を介して
上刃２９が装着されている。下方の本体側の下刃
ホルダ３１に装着された下刃３３と前記上刃２９
とが所定のクリアランスを保持して噛み合い、ワ
ークＷの切断が行われる。前記図示省略のエヤ配
管の電磁弁のスイツチをオフにすれれば、クラツ
チ・ブレーキ装置１７内部のクラツチの連結が切
れ、同時にブレーキが作動して伝導軸１５の回転
を急速に停止する。

以上のように構成されたシヤーリングマシン１
の前記フライホイール９に更に別のＶベルト３５
を介して手動操作による駆動手段３７が付加配設
されている。手動操作による駆動手段３７は手動
回転ハンドル３９，第１水平軸４１，ベベルギヤ
４３，第２水平軸４５，Ｖシーブ４７及び前記Ｖ
ベルト３５で構成されている。前記各水平軸４
１，４５は第２図に示すフレーム３の側面等にベ
アリング付きブラケツト４９を介して回転自在に
支持されている。

前記Ｖベルト３５は手動操作による駆動手段３
７を使用する時にだけ張設し、通常のシヤーリン
グマシン１稼動時には取り外す。従つて通常のメ
インモータ７の駆動による稼動中、フライホイー
ル９の回転に伴い手動操作による駆動手段３７側
の各シヤフト４１，４５や、手動回転ハンドル３
９等が高速回転する危険な状態が避けられる。
又、Ｖベルト３５を必要の都度張設し、調整確認
等が終れば取り外すことは容易に実施できるの
で、前記必要の都度着脱することにしても煩雑さ
が大幅に増すことにはならない。

本実施例の装置は以上のように構成しているた
め、例えば上刃２９と下刃３３のクリアランスの
測定、調整を稼動中に行う場合、まずメインモー
タ７を一旦停止する。次にＶベルト３５を張設す
る。そしてフライホイール９とクラツチ・ブレー
キ装置１７のクラツチを連結状態で手動回転ハン
ドル３９を手回しすればよい。これでラム２５は
微速昇降するので、所要の位置で停止し、クラツ
チ・ブレーキ装置のクラツチを切ればブレーキが
同時に作動し、前記停止位置を安定保持する。

この状態で予定した前記上刃２９と下刃３３の
クリアランスの測定と調整をすればよい。この作
業が終れば、Ｖベルト３５を取り外し、メインモ
ータ７を駆動し通常のシヤーリング作業を再開す
る。

本実施例の板材加工機械の寸動装置は以上のよ
うに操作するため、極めて安全に操作ができる。
そして寸動操作を手動で行うため、ラム昇降速度
は微速、超微速と自在に加減可能で、ラム停止を
極めてせいかくに実施できる。又、一旦停止した
後に微細に修正することも容易である。手動操作
であるためラム昇降速度はモータ駆動に比べて遅
いが、非常に正確に一度で所望の位置決めができ
る。従つて前記従来のスイツチ操作の繰り返しに
よるラム位置決めよりもむしろ確実で早い。

又、装置自体もごく簡単な構成であり、軽量安
価に設備ができる。更に既存の板材加工機械にも
後付け装着が容易にできて適用範囲が広い。

本考案の装置は上記一実施例に限定されず、
種々の変形、応用が可能である。例えば手動操作
による駆動手段の構成を前記以外の別のものにし
てもよい。一例としてフライホイール外周の両側
面を挟持する形のゴム製小ピンチロールを配設
し、このピンチロールを手動回転するようにして
もよい。あるいはメインモータ７のＶシーブ５に
対して手動操作による駆動手段側のＶベルトを必
要の都度張設する構成にもできる。あるいは、ウ
オームギヤ等のギヤ比の大きいギヤ伝導機構を係
脱可能に配設して手動操作駆動を行う構成も可能
である。

本考案の装置は又、前記シヤーリングマシン以
外にも、パンチプレス、プレスブレーキ等、他の
板材加工機械でもフライホイールとクラツチ・ブ
レーキ装置を用いた構成のものであれば同様に適
用可能であり、広い範囲に応用できる。

［効果］ 以上の説明で明らかなように、本考案の板材加
工機械の寸動装置によれば、従来極めて面倒で困
難であつたラムの寸動操作がきわめて容易、正
確、かつ迅速に実施できる。更にこの操作中の安
全性も格段に向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の板材加工機械の寸動装置の一
実施例の側面図、第２図は第１図における−
線に沿つた矢視の正面図である。 図面の主要な部分を表わす符号の説明、１……
シヤーリングマシン、９……フライホイール、１
７……クラツチ・ブレーキ装置、２５……ラム、
３７……手動操作による駆動手段。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 駆動回転するフライホイールとクラツチ・ブレ
   ーキ装置を設けてラム昇降を行う板材加工機械の
   前記フライホイールに手動操作による駆動手段を
   付加して備えたことを特徴とする板材加工機械の
   寸動装置。