JPH0336732Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、ヒユーム管の内面にケーブルを止
め付けたり、コンクリート壁面に管を止め付ける
等に使用するフツクアンカーに関するものであ
る。

（従来の技術） コンクリート面等に物を止め付ける場合、従来
はコンクリート面などにアンカー穴を穿つてめね
じまたはおねじとなる市販のアンカーを挿入し、
このアンカーの縦割された部分の内部にテーパー
栓を打ち込むなどして外径を拡げてコンクリート
にくい込ませて固定し、ボールトまたはナツトを
使つて物を取り付けていたもので、ケーブルや管
のような細長物を取り付ける場合は、その両側に
アンカーを打ち込み、押えバンドで細長物を押さ
えて、この押えバンドを両側でアンカーにねじ止
めして止め付けるのが一般的である。

（考案が解決しようとする問題点） 上記した従来方法によるコンクリート面への細
長物の止め付けは、アンカー以外に押えバンド
や、ボールトまたはナツト等の固定のための部品
が必要であり、止め付けにも手数がかかるといつ
た問題があつた。

殊に最近地下に埋設されている下水管等を通信
用に利用することが試みられていて、下水管等に
使用されるヒユーム管の内面上方に光フアイバー
ケーブルを遠隔操作により無人（人が入れない小
径のヒユーム管が多い）で止め付ける工法が開発
されつつあるが、この場合、上記した従来の止め
付け方法では作業が複雑であるため、無人自動止
め付け装置を得ることが困難であつた。

この考案は、上記した従来の問題点を解消し
て、アンカー穴を穿つた後単一部品であるフツク
アンカーを圧入することのみで、安価で手軽な止
め付けが得られるとともに、ケーブルの如き細長
物をヒユーム管内に無人自動止め付けを実現し得
るフツクアンカーを提供することを目的とするも
のである。

（問題点を解決するための手段） 上記の目的を達するためのこの考案は、コンク
リート等に穿つたアンカー穴に圧入して、ケーブ
ルや管の如き細長物を止め付けるためのものであ
つて、棒鋼材をほぼＵ字形に折り曲げて、その解
放側の両端部の所定長さを圧入部とし、該圧入部
は、外周に複数の環状、または螺旋状の抜け止め
突条を設けるとともに、先端部を先細りのテーパ
ーとし、さらに中心部に先端より中空穴を穿つ
て、直径方向を通る１本または複数本の縦割溝を
設け、該縦割溝から、上記テーパー先端の最大径
が、拡開前の抜け止め突条の外径以下となるよう
に先端を拡開したフツクアンカーである。

また、このフツクアンカーは、全体または圧入
部のみを焼入れするものであるが、焼入れなしで
使用する場合もある。

（作用） このフツクアンカーは、両端の圧入部の間隔と
同じ間隔で、打込部の拡開しない前の直径とほぼ
等しい直径の２本のアンカー穴をコンクリート等
の被止め付け面に穿つて、フツクアンカーのＵ字
形の内側に、ケーブルの如き細長物を挟み込んだ
状態で圧入部をアンカー穴に圧入するもので、こ
のとき圧入部の先端は、テーパーの先端がアンカ
ー穴より小径であるため、アンカー穴の開口部に
少し嵌り込むことができ、そのまゝフツクアンカ
ーを押し込むとテーパーにより導かれて圧入部が
弾性に抗して直径方向が圧縮されて、アンカー穴
に圧入され、圧縮された圧入部の反発力により、
抜け止め突条がアンカー穴の内面にくい込む傾向
となつて抜け止めを果たすものである。

また、このフツクアンカーは、アンカー穴の穿
設と、フツクアンカーの圧入のみで細長物を止め
付けることができるので、埋設ヒユーム管内に遠
隔操作でケーブルを止め付けるための、自動化装
置が比較的簡単に得られることとなり、画期的な
ケーブルの敷設方法の実現を可能とするものであ
る。

（実施例） 以下この考案を図面に示す実施例にもとづいて
説明する。

図において、１はフツクアンカーで、クロムモ
リブデン鋼などの丸鋼材をＵ字状に折り曲げて、
その平行な解放側の両端部の所定長さＬを圧入部
２，２ａとしてある。

３，３ａは抜け止め突条、４，４ａはテーパー
で、圧入部２，２ａの外周に、環状にして外周端
を尖らせた抜け止め突条３，３ａを複数段形成
し、この圧入部の先端を先細りのテーパー４，４
ａとしてある。

５，５ａは中空穴、６，６ａは縦割溝で、中空
穴５，５ａは、圧入部２，２ａの中心に先端より
圧入部２，２ａの長さＬより若干深く穿たれ、ま
た、圧入部２，２ａには、直径方向を通る縦割溝
６，６ａを、圧入部２，２ａの長さＬとほぼ等し
い深さまで設けて、圧入部２，２ａを２つ割りし
てあり、この縦割溝６，６ａから圧入部２，２ａ
の先端部を拡開してあり、この拡開の大きさを、
テーパー４，４ａの先端の最大径ｄが、拡開前の
抜け止め突条３，３ａの外径Ｄより小なる寸法
（すなわちＤ＞ｄ）となるようにする。

７は圧入用のつかみ位置決め溝である。

以上のように構成したフツクアンカー１は全体
（圧入部２，２ａのみでもよい）を焼入れして、
ロツクウエルC40程度の硬度として、圧入部の弾
性を高めるものである。

８はヒユーム管で、横断面の一部を示したも
の、９，９ａはアンカー穴で、ヒユーム管８の内
面上方に平行して２個穿たれ、その間隔は、圧入
部２，２ａの間隔と等しくし、直径D′は圧入部
２，２ａの拡開前の外径、すなわち、拡開前の抜
け止め突条３，３ａの外径Ｄとほぼ同一（すなわ
ちＤ≒D′）とし、その深さL′を圧入部２，２ａの
長さＬとほぼ同一（すなわちＬ≒L′）とする。

１０は光フアイバーケーブルを示す。

以上の構成において、第１図に示すように、フ
ツクアンカー１が光フアイバーケーブル１０をま
たいだ状態で、テーパー４，４ａの先端をアンカ
ー穴９，９ａの開口部に当てると、テーパー４，
４ａの先端の小径部が開口された最大径ｄは、拡
開前の抜け止め突条３，３ａの外径Ｄとほぼ等し
いアンカー穴９，９ａの直径より小であるからテ
ーパー４，４ａが少しアンカー穴９，９ａに入り
込んだ状態となる。

この状態でフツクアンカー１を押し上げると、
アンカー穴９，９ａより大径となつている、圧入
部２，２ａの拡開された先端部が、テーパー４，
４ａに誘導されて、アンカー穴９，９ａ内に圧入
されるが、ことのき直径方向が圧入部２，２ａの
弾力に抗して圧縮され、光フアイバーケーブル１
０がヒユーム管８の内部上方に止め付けられる。

このようにしてアンカー穴９，９ａに圧入され
た、フツクアンカー１の圧入部２，２ａは、圧縮
の反発力により抜け止め突条３，３ａがアンカー
穴９，９ａの内面のコンクリートにくい込むよう
に不勢されて抜け止めを果たすものである。

このように、光フアイバーケーブル１０を、適
当な間隔でフツクアンカー１によりヒユーム管８
の内面に、専用の自動ケーブル施設機（図示省
略）を使つて遠隔操作により順次止め付けて行え
ば、埋設下水管を光フアイバーケーブル１０によ
る通信網として利用できるものである。

なお、上記実施例で示した光フアイバーケーブ
ル以外の電線ケーブル等も同様に止め付けられ、
また、ヒユーム管内に限ることなく、建造物の壁
面や天井面などに、ケーブル類や小径配管等を止
め付けるのにも利用できるものである。

また、縦割溝６，６ａは、両圧入部２，２ａに
１本づつ第２図に示すように平行して設けたもの
を示したが、第２図の状態でハの字形となるよう
にして抜け止め効果に方向性を持たせることも可
能であり、さらに十字形に２本の割溝を設けて４
つ割とすることもできる。

（考案の効果） 以上説明した、この考案に係るフツクアンカー
によれば、ケーブルや配管等の細長物を、埋設ヒ
ユーム管の内面や建造物等に止め付けるのにアン
カー穴の穿設と、単一部品からなるフツクアンカ
ーを、アンカー穴に圧入するのみの簡単な方法で
止め付けることができて、止め付けの手数を省
き、止め付けのコストを引き下げ得るもので、特
に、埋設された下水管等のヒユーム管の内面に光
フアイバーケーブルを遠隔操作により止め付ける
ことを可能にして画期的な通信網の形成手段を実
現化する基本的条件を満し得るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案のフツクアンカーの一実施例
を示す正面図で、併せて使用状態を示す図、第２
図は平面図、第３図は第２図Ａ−A′線拡大断面
図である。 １……フツクアンカー、２，２ａ……圧入部、
３，３ａ……抜け止め突条、４，４ａ……テーパ
ー、５，５ａ……中空穴、６，６ａ……縦割溝。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 コンクリート等に穿つたアンカー穴に圧入し
   て、細長物等を止め付けるためのものであつ
   て、棒鋼材をほぼＵ字形に折り曲げて、その解
   放側の両端部の所定長さを圧入部とし、該圧入
   部は、外周に複数の環状、または螺旋状の抜け
   止め突条を設けるとともに、先端部を先細りの
   テーパーとし、さらに中心部に先端より中空穴
   を穿つて、直径方向を通る１本または複数本の
   縦割溝を設け、該縦割溝から、上記テーパー先
   端の最大径が、拡開前の突条外径以下となるよ
   うに先端を拡開したことを特徴とする、フツク
   アンカー。 前記フツクアンカーの少なくとも圧入部を焼
   入れした、実用新案登録請求の範囲第１項記載
   のフツクアンカー。