JPH0334514Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、車両の液圧クラツチ装置等に使用さ
れる液圧ピストンのシールリングに関する。

（従来の技術） 例えば車両の自動変速装置には、エンジンから
の動力回転を変速ギア群に伝達したり遮断したり
する液圧クラツチ装置が設けられている。この液
圧クラツチ装置は、ピストンを収納した液圧シリ
ンダ内に作動油を供給することでピストンを駆動
し、その押圧力で複数のクラツチ板を摩擦接触さ
せることにより、変速ギア群と噛み合う出力軸に
動力回転を伝達するように構成され、その液圧シ
リンダ内を摺動するピストンの外周面には、液圧
の漏れを防ぐシールリングが装着されている。こ
のシールリングは、ピストンに装着するために環
の一部をカツトした形状に形成され、その向い合
う両端には、シールリング自体が結合するための
凹凸部が設けられている。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら、このような従来のシールリング
にあつては、液圧ピストンへの装着の際、向い合
う両端を結合するため一端を他端の上に重ね合せ
る必要があり、少なくともシールリングの厚さの
分だけ一端を持ち上げなければならないという問
題があつた。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、そのような従来の問題点に鑑みてな
されたもので、液圧ピストンへの装着の際、シー
ルリングの向い合う両端を結合するために一方の
端を持ち上げる量を低減することで装着を容易に
することを目的とする。

そのため、本考案は、液圧シリンダ内を摺動す
るピストンの外周面に装着するために環の一部を
カツトした形状に形成され、その向い合う両端の
一方を他方に重ね合せることで結合されるシール
リングにおいて、少なくとも一方の端の内径側を
面取りし、装着の際にはその面取り部を他端に載
せることで一端の持ち上げ高さを減少させたもの
である。

（実施例） 以下、図面に示す実施例について説明する。

第１図は本考案の実施例の装着前の状態を平面
図と正面図で示しており、図示のシールリング１
は、適当な間隔を置いて向い合う両端に、リング
の円周方向に互いに逆向きの凸部２ａ，２ｂと凹
部３ａ，３ｂとを有し、各端の凹凸部で相互に嵌
合する鉤形を形成している。なお、凹部３ａ，３
ｂの幅ｄは凸部２ａ，２ｂの幅ｃより広くなつて
いる。このような両端の一方（図において左側の
端）は、内径側が適宜の傾斜をもつて面取りされ
て斜面４を形成している。

第１図に示されたシールリング１は上記のよう
に構成されているので、液圧ピストンへの装着に
際しては、向い合う両端を次のようにして結合す
ることができる。すなわち、第２図に示すよう
に、面取りした一方の端を斜面４に沿つて他端の
上に押し上げていくと、その一端の凸部２ａが他
端の凸部２ｂを乗り越えて凹部３ｂに達した時、
一端の凸部２ａが他端の凹部３ｂ内に落込むと同
時に一端の凹部３ａ内に他端の凸部２ｂが入り、
両端が第３図に示すように結合された状態とな
る。かくして結合されたシールリング１は、凹部
３ａ，３ｂと凸部２ａ，２ｂの幅の差の分だけ変
位可能であり、これにより、液圧ピストンに装着
された状態でシリンダ内面に接触してシールを達
成することができる。

このようにシールリング１の両端を結合するた
め、その一端を他端の上に重ねるときは、面取り
した分だけ持ち上げ量が少なくて済み、しかも斜
面４に沿つて押し上げることができるので、重ね
合せを容易に行うことができる。

なお、第４図に示すように、シールリング１を
液圧ピストン１１の外周面に形成された溝１２に
装着してシリンダ１３内に収納した時には、ピス
トン１１を駆動する液圧はシールリング１の外周
面と片方の側面でシールされるので、シールリン
グ１の内径側を面取りしても機能上支障はない。
また、面取り部は両端に設けてもよく、その場合
には両端を結合する時いずれの端を上にしてもよ
いという利点があるが、強度の点では一端のみを
面取りし、装着の際には、面取りした方の端の凹
凸部が圧力側になるようにシールリングを配置す
ることが好ましい。

以上、図示の実施例について説明したが、本考
案はこれに限られるものではない。例えば、向い
合う両端を結合する構造は実施例のような凹凸部
に限らず、一端を他端に重ね合せることで結合で
きる任意の構造でよい。

（考案の効果） 以上のように、本考案は、液圧シリンダ内を摺
動するピストンの外周面に装着するために環の一
部をカツトした形状に形成され、その向い合う両
端の一方を他方に重ね合せることで結合されるシ
ールリングにおいて、少なくとも一方の端の内径
側を面取りしたものであるから、装着の際にはそ
の面取り部を他端に載せることで一端の持ち上げ
量が少なくて済み、面取り部に沿つて押し上げる
ことで重ね合せを容易且つ迅速に行うことができ
るという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のシールリングの一実施例を示
す図、第２図は第１図のシールリングの要部拡大
斜視図、第３図はシールリングの両端を結合した
状態を示す図、第４図はシールリングを装着した
液圧ピストンとシリンダの部分断面図である。 １…シールリング、２ａ，２ｂ…凸部、３ａ，
３ｂ…凹部、４…斜面、１１…ピストン、１２…
溝、１３…シリンダ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 液圧シリンダ内を摺動するピストンの外周面に
   装着するために環の一部をカツトした形状に形成
   され、その向い合う両端の一方を他方に重ね合せ
   ることで結合されるシールリングにおいて、少な
   くとも一方の端の内径側を面取りしたことを特徴
   とする、液圧ピストンのシールリング。