JPH0331298Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の目的］ （産業上の利用分野） 本考案は生体内に非経口液、例えば食塩水、薬
液、栄養液などの液体を投与するための送液ポン
プに係り、特にフインガ型蠕動送液ポンプに設け
られた送液用可撓性チユーブのクランプ機構に関
する。

（従来の技術） 非経口液を生体内に投与するための送液手段と
しては、従来から多くの種類の送液装置が知られ
ているが、本考案はそのうちフインガ型蠕動送液
ポンプ（以下単に送液ポンプと称する）に関する
ものである。この送液ポンプは通常第３図及び第
４図に示すように構成されている。第３図におい
て、ポンプ本体１の前面には矩形状の支持枠２内
に後述する複数個のフインガ３が装着されてなる
ポンプ部４が設けられている。またこの前面には
上下方向に貫通して前記支持枠２の幅方向のほぼ
中心を通る凹溝５が形成されており、この凹溝５
内に送液用の図示せぬ可撓性チユーブが装着され
るようになつている。また凹溝５の上部には装着
されたチユーブを挟持して閉塞するためのクラン
プ部材６が設けられており、凹溝５の下部には前
記チユーブ内を流れる液体の圧力を検出する圧力
センサ７と、この液体中に発生した気泡を検出す
る気泡センサ８とが設けられている。

一方、前記ポンプ本体１の前面の片側には、蝶
番９を介してドア１０が回動可能に取り付けられ
ており、このドア１０のポンプ本体１に対向する
面には、前記フインガ３と整合する位置に前記凹
溝５内に装着されたチユーブをフインガ３に押圧
する加圧板１１が設けられている。この加圧板１
１の上下端はそれぞれボルト１２，１３によりド
ア１０に、該ドアの内面に対して直角方向に移動
可能に取り付けられている。また一端がドア１０
に取り付けられた１対のばね１４，１５の他端に
より、前記加圧板１１は前記ボルト１２，１３の
頭部に当接する方向に付勢されている。またこの
ドア１０の内面の上部には、このドア１０をポン
プ本体１側に回動して閉塞したときに、前記クラ
ンプ機構６に係合して押し開く突起部１６が設け
られている。

前記ポンプ部４は第４図に示すように構成され
ている。前記ポンプ本体１の前面内側に直角方向
に固定された上下１対の基板１７，１８には、そ
れぞれベアリング１９，２０を介して支軸２１が
ポンプ本体１の前面に平行に回転自在に取り付け
られており、この支軸２１には複数個、例えば13
個の偏心カム２２が順次位相をずらして固定され
ている。またこれらの偏心カム２２と前記加圧板
１１との間には、前記支持枠２に前後進可能に支
持された複数個、例えば13個のフインガ３が設け
られており、それぞれ一端が前記偏心カム２２の
外周に当接している。そして偏心カム２２の回転
によつてフインガ３が順次加圧板１１の方向に移
動し、最も加圧板１１に近接したフインガ３と加
圧板１１との間に挟持された送液用可撓性チユー
ブ２３が閉塞されるようになつている。また前記
上部基板１７上にはステツピングモータ２４が固
定されており、このステツピングモータ２４の駆
動軸にはプーリ２５が取り付けられている。そし
て前記支軸２１の上端近傍に固定されたプーリ２
６とこのプーリ２５との間には、タイミングベル
ト２７が張架されている。

上記のように構成された一般的なフインガ型蠕
動送液ポンプは、ステツピングモータ２４の回転
駆動力がタイミングベルト２７を介して支軸２１
に伝達され、この支軸２１に順次位相をずらして
取り付けられた複数個の偏心カム２２を回転させ
る。この結果偏心カム２２に一端が当接している
複数個のフインガ３が押されて、上部から順次前
進を始めて加圧板１１との間にチユーブ２３を挟
持し、チユーブ２３の長手方向に沿つた複数の連
続する点でチユーブ２３を閉じる。そしてチユー
ブ２３の長手方向に沿つてチユーブ２３内の液体
を下方に強制移動するようになつている。

上述した輸液ポンプにおいて、送液時はドア１
０を閉じてポンプ本体１に密着させ、ドア１０に
取り付けられた突起部１６がクランプ部材６に係
合して押し開き、ポンプ本体１の凹溝５に装着さ
れたチユーブ２３の閉塞を解除して送液可能とす
る。このクランプ機構は従来は第５図、第６図に
示すように構成されていた。図において、ポンプ
本体１の前面上部に形成された凹溝５の一方の側
には、この前面に対して直角方向に突出して固定
爪２８が設けられており、他方の側にはポンプ本
体１の前面に回動可能に軸支され、先端が固定爪
２８に対向して前面から突出し、かつ先端にテー
パ面２９ａが形成された可動爪２９が設けられて
いる。この可動爪２９はポンプ本体１の前面内部
に設けられた支軸３０を介して回動可能に支持さ
れており、スプリング３１によつて固定爪２８に
当接する方向に回動付勢されている。そして送液
時以外はドア１０を開いておけば、ドア１０に設
けられた突起部１６は可動爪２９から離脱してお
り、可動爪２９はスプリング３１の付勢力によつ
て固定爪２８側に押圧されている。従つて凹溝５
内に装着されたチユーブ２３は固定爪２８と可動
爪２９との間に挟持され、管路は閉塞されてい
る。また送液時にはドア１０を閉じることにより
突起部１６が可動爪２９のテーパ面２９ａに係合
し、可動爪２９をスプリング３１の付勢力に抗し
て固定爪２８から離脱する方向に回動させる。こ
の結果チユーブ２３の管路の閉塞は解除され送液
可能となる。

しかしながら上記のように構成された従来のク
ランプ機構によると、１対のクランプ爪のうち一
方が固定爪２８であり他方の可動爪２９の回動に
よつてチユーブ２３の開閉を行なうため、可動爪
２９の回動角を大きくしなければならない。この
ためドア１０の開閉精度やクランプ爪２８，２９
の加工及び取付精度によつては、可動爪２９の回
動角が十分に得られず、チユーブ２３の開閉を確
実に行なうことができないという問題があつた。
また凹溝５に装着されたチユーブ２３をクランプ
するときに、クランプ爪２８，２９の取付精度に
よつてはチユーブ２３が凹溝５に対して偏心する
ことがあるという問題もあつた。

（考案が解決しようとする課題） 上述したように従来の送液ポンプのチユーブク
ランプ機構においては、チユーブをクランプする
クランプ爪の一方が固定爪であり、他方が可動爪
であるため、クランプ爪によりチユーブを挟持し
て管路の開閉を行なうとき、可動爪の移動量が大
きくなり、チユーブの開閉を確実に行なうことで
きず、またチユーブのクランプ時にこのチユーブ
の偏心を起しやすいという問題があつた。

本考案は上記事情に鑑みてなされたもので、送
液ポンプに装着されたチユーブを偏心させること
なく確実に開閉することのできる、簡単な構造の
送液ポンプのチユーブクランプ機構を提供するこ
とを目的とする。

［考案の構成］ （課題を解決するための手段） 本考案は上記の目的を達成するために、複数個
の偏心カムの回転によりそれぞれ前後に移動され
る複数個のフインガと、該フインガ及び前記偏心
カムが設けられたポンプ本体と、該ポンプ本体に
開閉可能に取り付けられたドアと、該ドアに装着
された該ドアの閉塞時に前記フインガとの間に、
送液用可撓性チユーブを挟持する加圧板と、前記
ドアの開放時に前記チユーブを閉塞し該ドアの閉
塞時に該チユーブを開くクランプ部材とを具備し
てなる送液ポンプのチユーブクランプ機構におい
て、前記クランプ部材を、一端が前記ポンプ本体
に回動可能に取り付けられ、他端が前記チユーブ
を挟持する１対のクランプ爪と、該クランプ爪の
支軸にそれぞれ固定され相互に噛合する１対の歯
車と、該クランプ爪の先端を近接する方向に付勢
する付勢手段とにより構成するとともに、前記ド
アに該ドアの閉塞時に前記クランプ爪の一方に係
合して押し開く突起部を設けたものである。

（作用） 上記の構成によると、ポンプ本体の凹溝にチユ
ーブを装着してドアを開放すると、ドアに設けら
れた突起部はクランプ爪の一方から離脱して、突
起部によるクランプ爪の係止が解除される。この
結果クランプ爪の一方は付勢手段によつてチユー
ブに当接する方向に回動し、他方のクランプ爪も
歯車を介して同角度だけチユーブに当接する方向
に回動して、チユーブを挟持して管路を閉塞す
る。このとき１対のクランプ爪は等しい角度だけ
相互に反対方向に回動するので、従来のようにク
ランプ爪の一方が固定されている場合に比べて、
クランプ爪の回動角は半分ですむ。従つてチユー
ブを確実にクランプすることができ、しかもチユ
ーブの偏心を防止することができる。またドアを
閉じると、ドアに設けられた突起部が１対のクラ
ンプ爪の一方を付勢手段の付勢力に抗して押し
て、クランプ爪の一方を回動させる。このときド
アを開放したときと同様に１対のクランプ爪は歯
車で連結されているので、他方のクランプ爪も同
角度だけ反対方向に回動して、両クランプ爪の先
端がチユーブから離れ、チユーブのクランプを解
除して管路を開放する。そしてこの場合も各クラ
ンプ爪の回動角は従来に比べて半分ですむので確
実にクランプを解除することができる。

（実施例） 以下、本考案に係る送液ポンプのチユーブクラ
ンプ機構の一実施例を図面を参照して説明する。

第１図及び第２図に本考案の一実施例を示す。
図において、第３図乃至第６図に示す従来例と同
一または同等部分には同一符号を付して示し、説
明を省略する。本実施例の特徴はチユーブクラン
プ機構にあり、他の部分は従来例と同様である。
ポンプ本体１の前面パネル１ａには、このパネル
面に対して直角方向に、それぞれ軸受３２，３３
を介して支軸３４，３５が回転自在に設けられて
いる。これらの支軸３４，３５のポンプ本体１の
内部側の一端には、それぞれクランプ爪３６，３
７の基端が固定されており、クランプ爪３６，３
７の先端は対称的に突出していて、その間でチユ
ーブ２３を挟持できるようになつている。また支
軸３４，３５のポンプ本体１から外側に突出した
一端には、それぞれ同じ歯数の歯車３８，３９が
固定されており、相互に噛合している。また前記
ポンプ本体１の前面パネル１ａには係止ピン４０
が、歯車３８の前面パネル１ａに対向する面には
係止ピン４１が、それぞれ植設されており、これ
らの係止ピン４０，４１にはスプリング４２の両
端がそれぞれ係止されていて、前記クランプ爪３
６，３７のそれぞれの先端が近接する方向に回動
付勢されている。さらに前記クランプ爪３６の前
面パネル１ａと反対側の面には、クランプ爪３７
の方向に向つて下降するテーパ面３６ａが形成さ
れていて、このテーパ面３６ａにドア１０に設け
られた突起部１６が当接可能となつている。

次に本実施例の作用を説明する。上端が食塩水
や薬液などが入つた容器に接続され、下端が生体
の静脈などに挿入された注射針に接続されたチユ
ーブ２３を、ポンプ本体１の前面パネル１ａに形
成された第３図に示す凹溝５に装着したとき、ド
ア１０が開かれていればドア１０に設けられた突
起部６はクランプ爪３６から離脱している。そし
て１対のクランプ爪３６，３７はスプリング４２
の付勢力により、それぞれの先端がチユーブ２３
を挟持押圧し、チユーブ２３内の管路を閉塞す
る。このときクランプ爪３６，３７はそれぞれ支
軸３４，３５を介して同歯数の歯車３８，３９の
噛合により連結されているので、チユーブ２３は
両側からクランプ爪３６，３７により対称的に均
一に押圧されるので、チユーブ２３を確実にクラ
ンプすることができる。またドア１０をポンプ本
体１側に回動して閉じると、ドア１０に設けられ
た突起部１６がクランプ爪３６に形成されたテー
パ面３６ａに当接し、クランプ爪３６を矢印Ａで
示すクランプ爪３７から離れる方向にスプリング
４２の付勢力に抗して回動させる。このときドア
１０を開いた場合と同様にクランプ爪３６，３７
は対称的にチユーブ１３から離脱する。そしてチ
ユーブ２３の閉塞が解除されて液体の送給が可能
となり、ポンプ部４の作用により送液が行なわれ
る。

本実施例によれば、１対のクランプ爪３６，３
７が同期して対称的に回動するので、ドア１０に
設けられた突起部１６の同じ移動量に対し、従来
に比べて２倍の開閉量を同じ力で得ることがで
き、確実にチユーブ１３を開閉することができ
る。しかもクランプ爪３６，３７が左右対称に回
動するので、クランプ時にチユーブ２３を偏心さ
せることがない。

上記実施例では１対のクランプ爪３６，３７の
うち、ドア１０の蝶番９から離れた側のクランプ
爪３６を、ドア１０に設けられた突起部１６で押
す場合について説明したが、突起部１６がクラン
プ爪３７を押してもよい。

［考案の効果］ 以上説明したように本考案によれば、フインガ
型蠕動送液ポンプに設けられた送液用可撓性チユ
ーブをクランプするチユーブクランプ機構を、相
互に歯車によつて連結された１対のクランプ爪に
よつて構成したので、一方のクランプ爪を開くこ
とにより他方のクランプ爪も反対方向に対称的に
開き、従来のクランプ爪の開閉量の約２倍の開閉
量を得ることができ、チユーブをクランプ爪によ
り確実に開閉することができる。しかもクランプ
時にチユーブを偏心させることがない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る送液ポンプのチユーブク
ランプ機構の一実施例を示す正面図、第２図は第
１図のＢ−Ｂ線断面図、第３図は従来の送液ポン
プを示す斜視図、第４図は第３図の縦断面図、第
５図及び第６図は第３図のチユーブクランプ機構
のそれぞれクランプ時及びアンクランプ時を示す
横断面図である。 １……ポンプ本体、３……フインガ、６……ク
ランプ部材、１０……ドア、１１……加圧板、１
６……突起部、２２……偏心カム、２３……チユ
ーブ、３４，３５……支軸、３６，３７……クラ
ンプ爪、３８，３９……歯車、４２……スプリン
グ（付勢手段）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 複数個の偏心カムの回転によりそれぞれ前後に
   移動される複数個のフインガと、該フインガ及び
   前記偏心カムが設けられたポンプ本体と、該ポン
   プ本体に開閉可能に取り付けられたドアと、該ド
   アに装着された該ドアの閉塞時に前記フインガと
   の間に送液用可撓性チユーブを挟持する加圧板
   と、前記ドアの開放時に前記チユーブを閉塞し該
   ドアの閉塞時に該チユーブを開くクランプ部材と
   を具備してなる送液ポンプのチユーブクランプ機
   構において、前記クランプ部材を、一端が前記ポ
   ンプ本体に回動可能に取り付けられ、他端が前記
   チユーブを挟持する１対のクランプ爪と、該クラ
   ンプ爪の支軸にそれぞれ固定され相互に噛合する
   １対の歯車と、該クランプ爪の先端を近接する方
   向に付勢する付勢手段とにより構成するととも
   に、前記ドアに該ドアの閉塞時に前記クランプ爪
   の一方に係合して押し開く突起部を設けたことを
   特徴とする送液ポンプのチユーブクランプ機構。