JPH0329986Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の目的］ （産業上の利用分野） 本考案は冷却媒体を固定子フイールドスペース
に軸方向から導入して冷却する回転電機の改良に
介する。

（従来の技術） 従来、この種の回転電機の回転子構造は、第５
図に示すように、回転子コイル１のロスによる発
熱を冷却するため、通常の軸方向の通風路の他
に、径方向の通風路となるラジアル通風穴２を有
している。すなわち、シヤフトと回転子鉄心３と
の間の空間を軸方向の通風路として冷媒流体を流
し、ラジアル通風路２に送り、その機能をはたし
ている。

近年は、回転子コイル１の電気装荷の上昇にと
もない、コイルエンドの温度上昇が大となり、そ
の対策として、コイルエンドにラジアル通風部を
設けて、コイルエンドの冷却を行つている回転電
機がある。しかしながら、流体の合流損失は分岐
損失と比べ５〜10倍もあり、冷媒流体の入口側の
ラジアル通風路を流れる流体は、その通風路を出
た後、残りの全てのラジアル通風路から出た流体
と合流するため合流損が大きくなり、その流線は
大きな損失を受け、流れる流量は少なくなる。逆
に冷媒流体の出口側のラジアル通風路を流れる流
体は、その通風路まで到達する間の全ての通風路
への分岐損失を受けるが、合流損失は少なく分岐
損失は小さいので、その流線は損失は小さく、流
れる流量は多くなる。第６図は、各ラジアル通風
路に流れる流量の一例を示した特性図である。こ
の図は、横軸は軸方向に配設されたラジアル通風
路の位置、縦軸は各ラジアル通風路の単位時間流
量を点線で示したもので、軸方向の冷媒の流れは
左から右へ向かつて流れる場合を示している。こ
の図から明らかなように、コイルエンドの冷却の
ために、コイルエンドにラジアル通風部を設けて
も、この通風部を流れる冷媒流体の損失が大き
く、流量は非常に少ない。そのためコイルの温度
上昇は、第７図に示すように回転子鉄心内のコイ
ルの温度上昇と比べて冷媒流体入口側のコイルエ
ンドの温度上昇が著しく大きくなり、このコイル
エンドの温度上昇の制限によりコイルの電気装荷
が制限されていた。

（考案が解決しようとする課題） 本考案はコイルエンドのラジアル通風部の流量
を増大させ、コイルエンドの温度上昇を小さく
し、均一な温度分布の回転子コイルを有する回転
電機を提供することを目的としている。

［考案の構成］ （課題を解決するための手段） 本考案は、冷却媒体が固定子フイールドスペー
スに軸方向に導通され、固定子と回転子を冷却す
る回転電機において、回転子コイルエンドの外周
に、２枚のドーナツ状の側板を軸方向に間隔をも
つて、回転子コイルエンドの径方向通風部を形成
するように、冷却媒体を導入する入口カバーに配
設すると共に、該入口カバーに該径方向通風部か
らの冷媒の排気孔を設け、該２枚のドーナツ状の
側板の円周上に対向する複数の孔を設け、該対向
する複数の孔間に軸方向の通風ダクトをそれぞれ
設けた回転電機である。

（作 用） 上記構成により、径方向通風部を抜けた冷却媒
体と、固定子フイールドスペースに流れ込む冷却
媒体が混合せず合流損失がなくなり径方向通風部
の冷媒流量が増加する。これにより、回転子コイ
ルエンドの温度上昇が低く抑えられる。

（実施例） 以下本考案の一実施例について、第１図および
第２図を用いて説明する。回転子コイル１のコイ
ルエンド通風部外周に２枚のドーナツ状の側板４
が軸方向に間〓をもつて配設されラジアル通風路
を形成し、その２枚の側板４間を軸に平行に円管
５が円周方向に複数個取り付けられ、側板４の円
管５が取り付けられる部分は円に切り欠かれて軸
方向の通風路を形成し、クロスダクト６を形成す
る。このクロスダクト６は、回転電機の側方から
冷媒流体を導入する入口カバー７に取り付けら
れ、入口カバー７のクロスダクト６が取り付けら
れる部分には排気孔が設けてある。

この構造のクロスダクト６を有する回転電機に
おいて、入力カバー７から導入された冷媒流体
は、回転子コイル１のコイルエンド通風部を通り
２枚の側板４間をラジアル方向に流れ、入口側カ
バー７に設けられた排気孔より、機外へ排出され
る。一方、入口側カバー７から導入された冷媒流
体の一部は、クロスダクト６の円管５を通つて、
コイルエンド通風部をラジアル方向に抜ける冷媒
流体とは交じわらずにフイールドスペース８へ流
れる。このような冷媒流体の流れになると、コイ
ルエンド通風部を通る冷媒流体は、それより下流
の合流損失を受けることなく機外へ排気されるた
め、損失が小さくなり流量が増大し、コイルエン
ドの温度上昇は回転子鉄心３内の回転子コイル１
の温度上昇よりも小さくなる。

また本考案の応用例として、第３図に示すよう
に、クロスダクト６の円管５の冷媒の入口側にベ
ルマウス状のマウスピース９を取り付け、マウス
ピース９に合せて側板４の孔を大きくすることに
より、固定子フイールドスペース８へ流入する冷
媒流体の入口損失を小さくし、流入する冷媒流体
の圧力をより小さくすることができる。

［考案の効果］ 本考案の回転電機によれば、回転子コイルのコ
イルエンド通風部をラジアル方向に流れる流体の
損失が小さくなり、流量が増大し、第４図に示す
ようにコイルエンドの温度上昇が均一化し、均一
化したコイルの温度上昇により電気装荷を決定す
ることができるので、電気装荷の増大が可能であ
り、同一形状で高容量の回転電機を得ることが可
能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例の回転電機の要部を
示す断面図、第２図は第１図の矢視図、第３図
は本考案の応用例によるクロスダクトの断面図、
第４図は本考案によるコイル各部の温度上昇分布
図、第５図は従来の回転電機の構造を示す断面図
第６図は従来方式による各通風路の冷媒流量分布
図、第７図は従来方式によるコイル各部の温度上
昇分布図である。 １……回転子コイル、２……ラジアル通風路、
４……クロスダクト側板、５……クロスダクト円
管、６……クロスダクト、８……固定子フイール
ドスペース。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 冷却媒体が固定子フイールドスペースに軸方向
   に導通され、固定子と回転子を冷却する回転電機
   において、回転子コイルエンドの外周に、２枚の
   ドーナツ状の側板を軸方向に間隔をもつて、回転
   子コイルエンドの径方向通風部を形成するよう
   に、冷却媒体を導入する入口カバーに配設すると
   共に、該入口カバーに該径方向通風部からの冷媒
   の排気孔を設け、該２枚のドーナツ状の側板の円
   周上に対向する複数の孔を設け、該対向する複数
   の孔間に軸方向の通風ダクトをそれぞれ設けたこ
   とを特徴とする回転電機。