JPH0327703Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の目的］ （産業上の利用分野） 本考案はプレス機械のノツクアウト装置に関わ
り、更に詳細にはプレス機械でノツクアウト作用
を行わせるノツクアウトロツドの上下位置設定が
安全な位置で容易に行えるノツクアウト装置に関
するものである。

（従来の技術） 従来から、プレス機械のフレームに、下面に金
型を構成する上型を有したラム（スライドとも言
う）が昇降自在に設けてある。

そのラムとフレームとには、例えば深絞り作業
中に倒立したカツプ状の製品などが、スプリング
バツク現象によつて上型にくつついたまま上昇し
たのをたたきおとす作用をするノツクアウト装置
が設けてある。

そのノツクアウト装置の構成は、ラムに対し上
下動自在に設けられカツプ状の製品に当接するノ
ツクアウトバーと、フレームにブラケツトを介し
てボルトの締付により取付けられノツクアウトバ
ーが当接するノツクアウトロツドとを備えてい
る。

従つて、製品の成形と、ノツクアウト装置の作
用は次のようになる。

先ず、ラムの下降に伴い、ラムの下面に設けた
上型により板状のワークを深絞りすると、倒立カ
ツプなどの製品が上型の外周を這うようにして伸
び上がつて成形される。その際、ワークが絞られ
るのに伴つて、そのワークによつてノツクアウト
バーがラムに対し上方に押し上げられる。

次にその状態でラムが上昇すると、ノツクアウ
トバーがノツクアウトロツドの下端に衝突し、ノ
ツクアウトバーの上昇が規制される。ラムはさら
に上昇するが、ノツクアウトバーは上昇せず深絞
りした製品を下方にたたき出し上型より離脱させ
る。

このように、プレス機械ではラムの上昇復帰高
さは一定であるが、スプリングバツク現象で上型
に保持される深さは製品によつていろいろである
からノツクアウトロツドの下面高さは作業が変わ
るごとに調節する必要がある。

従つて、ブラケツトがノツクアウトロツドを固
定しているボルトをゆるめ、ノツクアウトロツド
の上端或いは下端を鎚打するなどして位置を変え
ていた。

（考案が解決しようとする問題点） 前記した従来のノツクアウト装置は、ノツクア
ウトロツドの下面高さ位置を変更するたびにボル
トをゆるめ、ノツクアウトロツドを鎚打する必要
があつた。したがつてその都度工具を探したり、
台に登つて左右２ケ所の調整をするので、工数が
かかり危険をともなう不都合があつた。

又、前記ノツクアウトロツドを誤つて下方に突
出し過ぎた状態でボルトを強固に締付けると、ス
ライドの上昇に伴い、ノツクアウトバーがノツク
アウトロツドに当接して一旦上昇を停止し、上型
から製品を離脱した後、ラムと供に上昇しようと
するとき、ラムの上昇力がノツクアウトバーを介
して、ノツクアウトロツドに作用し、ノツクアウ
ト装置、プレス機械等に損傷を与えることもあつ
た。

そこで本考案は、ノツクアウトロツドの取付位
置調整作業が簡単、正確且つ安全に行えると共
に、ノツクアウトロツドの調整位置を誤つても、
損傷を受けることのない過負荷保護機能を有した
プレス機械のノツクアウト装置を提供する。

［考案の構成］ （問題点を解決するための手段） 以上の問題点を解決するためのノツクアウト装
置は、ノツクアウトロツドの外周に配設されその
ノツクアウトロツドの締付けを行う抱持体と、固
定部材に設けられその抱持体を収納する収納体
と、前記抱持体と前記収納体との間に形成され圧
液が供給される圧液室とを設けたものである。

（作用） 以上のように構成されるので、収納体の内壁と
抱持体との間の圧液室に圧液が送り込まれると、
抱持体がノツクアウトロツドを締付け、固定部材
に対し固定した状態にする。

（実施例） 第１図において、プレス機械１はフレーム３を
備え、前方に下型をとりつけるボルスタ５が設け
てある。上方に例えば前後方向のクランク軸７が
図示を省略した電動機、フライホイール、クラツ
チブレーキなどを介して駆動されるように設けて
ある。

前記クランク軸７にはコネクテイングロツド９
で連結されたラム１１（スライドとも言う）が接
続してある。ラム１１は上下方向にギブ１３に案
内されて移動し、下面には図示を省略した上型が
とりつけられている。

フレーム３とラム１１との相互にはノツクアウ
ト装置１５が設けてある。

ノツクアウト装置１５は第２図に詳細に示すよ
うに、ラム１１の下方に左右に張出したノツクア
ウトバー１７が水平に設けてある。そのノツクア
ウトバー１７は、例えば深絞り作業中に倒立した
カツプ状の製品などが上型にスプリングバツク現
象によりくつついたまま上昇したのをたたきおと
す作用をする。そのため、ノツクアウトバー１７
はラム１１に対し、上下動可能に、ラム１１の昇
降方向にラム１１に形成した溝窓１９に支持され
ている。

ギブ１３の面上には、前記ノツクアウトバー１
７に当接するノツクアウトロツド２１を抱持して
フレーム３に対しギブ１３の面に沿つて垂直状態
で固定する抱持装置２３が設けてある。

抱持装置２３は、第３図に詳細に示すように、
ノツクアウトロツド２１に摩察係数の大きい金属
からなるパイプ状の抱持体２５が遊嵌している。
その抱持体２５の上下端には鍔２７がノツクアウ
トロツド２１から離れる方向に水平に延伸して形
成してある。鍔２７の外周にはＯリング２９が設
けてある。抱持体２５はギブ１３に取付けられた
収納体３１の収納穴３３内に収納されている。こ
のことにより、前記鍔２７はＯリング２９を介し
て収納穴３３内に密着している。

従つて、前記鍔２７によつて、収納穴３３の内
周面と、抱持体２５の外周面との間に生じる空間
は、収納体３１の側面に水平に穿設した圧油供給
口３５より図示しない油圧装置により圧油が供給
される圧油室３７となつている。

以上の構成において、圧油室３７（第３図）に
圧油が供給されていない状態においては、抱持装
置２３は何等作用しないので、ノツクアウトロツ
ド２１は上下動自在になつており、作業員が低い
位置からノツクアウトロツド２１の位置の調整が
行える。

位置調整を行つた後、圧油供給口３５より圧油
室３７に圧油を供給すると、抱持体２５は弾性変
形をして、ノツクアウトロツド２１を強固に抱持
する。その結果、ノツクアウトロツド２１は収納
体３１と、ギブ１３（第１図）を介してフレーム
３に対し固定されることになる。

その状態で、ラム１１（第１図）を下降して上
型（図示省略）で深絞りを行うと、絞られたワー
ク（図示省略）が上型に沿つて伸び上がり、ノツ
クアウトバー１７（第２図）が溝窓１９内で上昇
を強いられる。

深絞りが終了してラム１１が上型とともに上昇
しても、倒立カツプなどの製品はスプリングバツ
ク現象で上型に保持されているので上型と一体に
上昇する。

そのため上型内に備えられたノツクアウトピン
３９（第２図）を介して上型に押し上げられたま
まのノツクアウトバー１７がノツクアウトロツド
２１の下端面に衝突する。

引続いてラム１１は上昇するので、ノツクアウ
トバー１７はノツクアウトピン３９を介して製品
を下方にたたき出す。

第４図、第５図は、前述した抱持装置２３と異
なる抱持装置４１を示すもので摩察係数の大きい
金属からパイプ状体を縦に複数に分割（第５図で
は３つに分割してある）した抱持体４３がノツク
アウトロツド２１の周囲に配設してある。抱持体
４３の外周には抱持体４３を包むようにゴムから
成る環状のチユーブ４５が設けてある。チユーブ
４５には圧油が供給される圧油供給口４７が設け
てある。チユーブ４５と抱持体４３との間にはチ
ユーブ４５を保護するために環状の保護材４９を
介在させてある。これら、抱持体４３、チユーブ
４５、保護材４９は収納体３１の収納穴３３に収
納してある。そしてチユーブ４５は、抱持体４３
と収納穴３３との間の空間で膨脹する。

以上の構造における抱持装置４１は、圧油供給
口４７から圧油を供給すると、チユーブ４５が収
納体３１の収納穴３３内で膨脹し、保護材４９を
介して、抱持体４３をノツクアウトロツド２１に
圧接させる。そのことによりノツクアウトロツド
２１は抱持体４３により締付けられフレーム３に
対して固定されたことになる。

尚、抱持体４３はパイプ状体を縦に複数に分割
せず、そのままのパイプ状（図示省略）であつて
も良い。その場合は、チユーブ４５の膨脹により
抱持体は弾性変形してノツクアウトロツド２１を
抱持する。

さらに、前述した第１図、第２図の実施例で
は、ノツクアウトロツド２１の位置調整は、作業
員が直接手で行うが、第６図に示すように、ギブ
１３の上面でノツクアウトロツド２１の下方に設
けた油圧シリンダ５１を、ノツクアウトロツド２
１の上端に接続し、その油圧シリンダ５１を油圧
制御して、ノツクアウトロツド２１の位置調整を
行つても良い。

以上の実施例のノツクアウト装置によると、圧
油の制御により、ノツクアウトロツドを締付けた
り、ゆるめたりするので、工具を使用して高所で
締緩作業を行うのとは異なり、ノツクアウトロツ
ドの取付位置調整作業が簡単、正確且つ安全に行
うことができる。

しかも、ノツクアウト装置は機械プレスに付属
している過負荷安全装置やクイツクダイチエンジ
装置等の油圧源の一部を流用して操作できるの
で、簡単な機構で、工数の削減と作業の安全を尚
一層確保できる。

又、ノツクアウトロツドの調整位置を誤り、ノ
ツクアウトロツドがノツクアウトバーにより押上
げられる様なことがあつても、圧油の圧力をあら
かじめ調整しておくことにより、ノツクアウトロ
ツドを抱持体に対し摺動させてその押上力を逃
し、ノツクアウト装置の損傷を防止することがで
きる。

なお、本考案は前述の実施例のみに限ることな
く、適宜の設計的変更を行うことにより、その他
の態様でも実施し得るものである。

［考案の効果］ 以上のごとき実施例の説明より理解されるよう
に、本考案のプレス機械のノツクアウト装置によ
ると、ノツクアウトロツドの高さ位置調整作業を
簡単、正確、且つ安全に行うことができると供
に、誤つた高さ調整を行つても過負荷保護機能を
有しているので、ノツクアウト装置や機械プレス
に損傷を与えることがない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るプレス機械の正面図、第
２図は本考案の実施例の一部分を断面した図、第
３図は第２図中矢印の部分の拡大図、第４図は
本考案他の実施例で第２図中矢印の部分に該当
する部分の拡大図、第５図は第４図の−断面
矢視図、第６図はさらに本考案他の実施例で、第
２図に該当する図である。 １……プレス機械、３……フレーム、１５……
ノツクアウト装置、１７……ノツクアウトバー、
２１……ノツクアウトロツド、２３，４１……抱
持装置、２５，４３……抱持体、３１……収納
体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ノツクアウトロツドの外周に配設されそのノツ
   クアウトロツドの締付けを行う抱持体と、固定部
   材に設けられその抱持体を収納する収納体と、前
   記抱持体と前記収納体との間に形成され圧液が供
   給される圧液室とを設けたことを特徴とするプレ
   ス機械のノツクアウト装置。