JPH0326604B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は便器排気システムに関し、特に便器ボ
ウルから不快臭気を除去し、その臭気が近傍へ飛
散するのを防止する装置に関する。

〔従来の技術と問題点〕

便器内及び便器周辺の不快臭気は、便器を使用
する際の避け難いとは言え不快な結果をもたらし
ていた。

この臭気は数多くの便器がある場所や、移動住
居・電車・バス・飛行機等小さな部屋に便器があ
る所や、おまる等隔離した部屋に収納することの
ないポータブル便器などで特に漂う。

これに対し過去において便器使用の結果生じる
不快臭気を除去しようと試みた通気システムがあ
つたが、それは便器シートの形状に適合しかつ通
常便器シートに直接取付けられる吸引マニホール
ド備えていた。しかし、この通気システムは単に
便器のボウルから不快臭を含んだ空気を吸引する
ことにより、便器内から空気と臭気とを除去しよ
うと試みただけであつた。

その様なシステムはクロス（Cross）氏に付与
された米国特許第1922076号に開示されているが、
それは便器のボウルとシートとの間に取付けられ
る出口吸引チヤンバを使用している。このシステ
ムによると相当量の不快臭気が便器ボウルから近
傍へ飛散してしまう可能性がある。クロス氏によ
る吸引出口はボウルの頂上部に置かれるので、臭
気がボウル頂上部近くに昇るまで臭気除去しな
い。そして使用者が便器から離れると直ちにチヤ
ンバは開く。

故にクロス氏の開示では、チヤンバが開く前に
ボウル頂上部まで達しなかつた不快臭気は飛散を
余儀なくされ、使用者の呼吸環境を汚す。

他の同様なシステムはモーリス（Morris）氏
に付与された米国特許第2151138号に示されるが、
それにはクロス氏に類似した配置構造の吸引ダク
トはボウルの外縁へ向かつて配置されている。

これもクロス氏同様、一度使用者が席を離れる
と吸引ロス及び臭気の不完全排出のため臭気がボ
ウルより飛散する可能性がある。ハートレー
（Hartley）氏の米国特許第2988756号及びスミス
（Smith）氏の米国特許第4094023号等、他の米国
特許も又便器ボウル内部に通じる吸引ダクトの類
似した配置のみに依存している。上述した全ての
システムや類似した構造を用いるシステムは、不
快臭気の除去のために種々の吸引孔での吸引のみ
を利用したものであり、しかし上述した様に使用
されない時本質的に開放チヤンバである便器は、
実際に使用されない時、多量の不快臭気をボウル
から飛散せしめるという問題が存在する。さらに
これらのシステムでは、便器内の大部分の不快ガ
スを完全に除去するのに必要な、ボウル外への空
気と臭気との適切な流れを得ることは困難であ
る。何故ならその様な流れを達成するボウルへの
空気の侵入は普通使用者によつて殆んど妨害さ
れ、特に使用者が肥満体の場合は顕著である。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明は、使用中ボウル内へ周囲の空気を取り
入れること、及び臭気混合のためボウルのリム部
周りにボウル中央と下方とへ移動する乱気流を発
生すること、次に空気導入高さより下方において
ボウルから混合気を排気すること、最後に臭気除
去のためフイルタをかけること、以上の事によつ
て従来技術に見られた諸問題を克服する。

発生した乱流は臭気と取り入れ空気とを混合
し、最終的な除去のため吸引出口に向け不快臭気
を一層完全に動かしめこの結果、効果的に脱臭を
高め、片や使用中でない時はボウル内の臭気を包
含する。

この様なシステムは数多くの利点を有する。取
り入れ空気を加熱することも可能でありその結
果、ボウル中心部に向かう空気の移動により便器
はある治療上の効果を有すことができ、使用者の
臀部を暖めることができる。加えて、薬効のある
霧又は他のタイプの薬剤を取り入れ空気の中へ注
入することが可能でありその結果、使用者の臀部
を治療するかもしくはボウル内部に他の機能をも
たせることが可能となる。

乱気流は、便器周りの空気を吸入するために周
状に配置される複数の空気入口孔とその入口孔の
下方に位置しかつ負圧源に作用的に連結する周状
配置の複数の吸引出口孔とが共に働くことによつ
て発生し得る。即ち、負圧源は入口孔を介してボ
ウル内へ空気を引き込みながら、ボウル外へ不快
臭気を吸引する。好ましくは特に円孤状の輪郭を
付けた下方へ延びるフインは空気出口とガス（空
気と臭気）入口との間に位置し、これによつて取
り入れ空気はボウル内部で下向きに円を描く様に
渦巻き充分臭気と混合し、同時にガス入口を通じ
て混合気を排気する。

本発明は、従来の固定式トイレツトや水洗便所
はもとよりおまるや他の人工廃棄物処理チヤンバ
への使用に適用され得る。加えてこれは低コスト
の使い捨てのプラスチツク材により造られ得る。

〔発明の詳細な説明〕

第１図に一般の水洗式便所即ち通常、蝶番状の
シート１４と蓋１６とが備わるボウル１２を有す
る便器１０を示す。その応用例として本発明はフ
ロントからリアにかけて若干細長いほぼ環状のシ
ート１４に組み込まれる様に示される。

周状に配置されほぼ半径方向内側へ向けられた
空気入口路１８はシート１４に亘り広がる。その
入口路１８の内端は空気入口孔２０で終端し、そ
の空気入口孔はシート１４のリム２２又は上部内
方端縁より半径方向外方へ隔てられる。その入口
孔２０は通過する流気速度を増すため若干上向き
に狭められることが望ましい。入口孔２０より半
径方向外方に隔てられる出口孔２６を有する一連
の類似した吸引出口路２４は、入口路１８の下方
に位置する。出口路２４は外端部で吸引マニホー
ルド２８に終端する。図示した様に、そのマニホ
ールド２８はそれ自体モールドプラスチツク製等
によりシート１４に組み込まれることも可能であ
り、又本図には示さないが、シートの周りを囲む
分割部品にもなり得る。マニホールド２８に連結
され、好ましくはシートの後部に位置する導管は
可撓性ホース３０の形式が望ましく、減圧即ち吸
引の適切なる源へ導く。

その吸引源３２は従来の電動吸引ポンプ又は扇
風機又は送風機の形式をとり得るし（図示せず）、
又おまる等ポータブル便器用には従来の電気そう
じ器又はハンドヘルド、電気そうじ器に使用され
るポータブル吸引ポンプ（図示せず）の形式をと
り得る。

空気入口孔２０の底部より内方及び下方へ突き
出している湾曲した凸状面３４は、シート１４の
内リム２２より半径方向若干外方に隔てられる内
端縁又は縁３８で終端する。周状フイン３６によ
り形成される。好ましくは凸状面３４は入口孔２
０を狭める様に入口路１８の出口端の中へ延び
る。フイン３６はその凹状下面４０が吸引路２４
の出口孔２６の頂上部に隣接した外方端縁で終端
するべく設けられる。これら出口孔２６の下方に
おいてシート開口部の内周面４２と孔２６の中心
部からの距離は半径方向上、ほとんど等しい。

作動においては、吸引源又はポンプ３２が手動
スイツチ（図示せず）により始動すると、ボウル
１２内より空気及び他のガスを引き込み吸引路２
４、マニホールド２８、ポンプを介して大気へ排
出する。排出は離れた場所でも実行し得るが、実
際の試行では適当なフイルタ４４をマニホールド
２８とポンプ３２の間、もしくは第４図に示した
様に大気へ混合された空気と他のガスを排出する
出口とポンプの間に置いた場合、便器１０より遠
く離れる必要はない。フイルタ４４は活性炭を含
み得るが、実際の試行では天然のフイルタを使用
するにおよばないことが判明した。即ち、従来の
そうじ器に使用される、繊維状の紙又は繊維状シ
ート材の様な繊維状シート材フイルタは導管３０
を介して排出されるガスから不快臭を充分除去す
ることが判明した。

便器１０が実際に使用され、シート中央開口部
が使用者によりほとんど遮蔽される時、ポンプ３
２による便器チヤンバ内に少くとも部分的に発出
した真空は、空気入口路１８を介して空気を引き
込み、空気入口孔２０を介した空気は速度を増加
する。次に便器１０のボウル１２の中へ空気が下
向きに引き込まれた時、フイン３６の凸状上部面
３４を越える空気は、フインの内方端縁３８で渦
となりその結果この端の周りとさらに下方で乱流
となる。これら渦の発生はフイン３６の凹状下部
面４０により高められその結果、ボウル１２内の
いかなる不快臭も空気入口路１８を介して導かれ
る空気と充分混合し、吸引出口路２４を介して混
合気が排出される。又、便器１０が使用されず、
かつシート１４の中央開口部が使用者により遮蔽
されていない時、吸引ポンプ３２の作動によつて
空気入口路１８とシート１４自体の中央開口部と
を介して空気が下降するため、依然としてボウル
１２内に乱流を発生する傾向がありその結果、出
口路２４を介して混合ガスの吸入が続き、ボウル
から中央シート開口部を介して上方へ不快臭及び
ガスが飛散するのを防ぐことが判明している。

上述した実施例の変形実施例も当然可能であ
る。例えば、シート１４は一方に入口路１８、他
方に出口路２４を含み水平に二分割されることも
可能である。又シート１４はおまる構造の様に便
器１０のボウル１２と一体化することも可能であ
る。又さらに本発明は分割シート１４の代わりに
ボウル１２のリム部分に組み込まれることも可能
である。

又、本発明ではシート１４を介して内側へ空気
を取り入れる構造は独立した複数個の通路１８と
して示しているが、他の種々の構造でもこの機能
を充分に達成できることは理解されるであろう。
例えば、シートは適切な支持構造物によつて分け
られる縦方向に隔てられた層状部分により形成し
て斯かる層状部分間から空気を内部へ取り入れる
ようにすることもできる。それと同様に吸引出口
路２４の機能は、適切なる支持構造を有する層状
シート部分を縦方向に分割する空間により達成可
能であり、この場合、そのような空間の外周は該
空間に開放する吸引孔を有する管状吸引マニホー
ルドにより密閉、包囲されることになろう。

他の変形実施例も可能である。即ち、入口路１
８と連結する角立つ路４８を有する外部周状部分
４６は下向きの入口を備え、シート１４を構成す
ることも可能である。前述した使用者の臀部を暖
めることによる利点を得るため周状部分４６に
は、空気入口路１８に侵入する空気を暖べく配置
される絶縁抵抗型加熱エレメント５０が設けられ
ることも可能である。そして取り入れ空気の温度
を調節するため適切な制御機構（図示せず）が加
熱エレメント５０に設けることが可能となる。さ
らに空気入口路１８は第２図に示す様に空気入口
マニホールド５２に連結され、その入口（図示せ
ず）には使用者の臀部を適切に治療すべく入口路
１８に侵入する空気の中に薬効の霧もしくは他の
タイプの薬剤を注入する装置（図示せず）を連結
することが可能となる。

便器使用者がシート１４上に腰を下ろした時、
自動的に真空ポンプ３２の作動を活性化するた
め、シート１４内に、真空ポンプ３２の電源と連
結する圧力−感応スイツチ５４を組み込むことは
本発明の有益な他のオプシヨンである。又その連
結には、便器１０が水洗されるまで不快臭の連続
除去を保証するため、所定の時間に亘り真空ポン
プ３２を活性化する時間−遅延スイツチ（図示せ
ず）を有すことも可能となる。本発明は浴室・病
棟等複数ユニツトに特に応用可能である。そこで
は病室のように、単一の負圧源が多数の除臭装置
に連結されるか又は複数の除臭装置が単一の負圧
源に脱着可能なように連結される。そのような除
臭設備の構造を第４図に点線で示すが、その中で
多数の便器の排出導管３０は脱着可能な様に真空
源３２へと続く共通吸引ラインへ連結される。普
通閉鎖される電磁弁５６は各導管３０に挿入さ
れ、便器使用の際導管を開けるため便器対応のス
イツチ５４によつて制御される。

又、空気入口孔２０はボウル１２の縦軸の周り
に取り入れ空気の渦巻きを発生するため接線方向
内側へ向けることも可能である。その結果空気と
臭いが一層効果的に混合され、出口路２４を介し
て不快臭が完全に吸入される。

以上本発明の目的及び利点は充分であり、かつ
効果的に実施されたことが明らかである。これま
で延べた特定実施例は本発明の原理を説明する目
的で開示したのみで、この原理から逸脱しなけれ
ば変形実施例が可能であることを明確にしてい
る。従つて本発明は請求の範囲と意図を包含した
あらゆる実施例を含む。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による便器排気システムの部分
断面図を含む斜視図；第２図は第１図の２−２ラ
インに沿つた便器シートの拡大横断面図；第３図
は便器シートの空気入口路を示す、第２図の３−
３ラインに沿つた縦断面図；第４図は便器シート
のガス出口路を示す、第２図の４−４ラインに沿
つた縦断面図。 １０……便器、１２……ボウル、１４……シー
ト、１８……空気入口路、２４……ガス（空気＋
臭気）出口路、２８，５２……マニホールド、３
０……導管、３２……吸引ポンプ、３６……フイ
ン、４４……フイルタ、５０……加熱エレメン
ト、５４……圧力感応スイツチ、５６……電磁
弁。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ほぼ環状のシート部分を有する便器ボウル内
   の臭気を除去する装置であつて、 上記シート部分においてその略半径方向内方に
   延び、便器ボウル内に周囲の空気を通すべく便器
   ボウルと連通する空気入口路と、 該空気入口路の下方のシート部分においてその
   略半径方向外方に延び、便器ボウルと連通するガ
   ス出口路とを有し、 上記空気入口路は便器ボウルの外側に空気入口
   と、便器ボウルの上部近くの内周部に近接してそ
   の周囲に内側に向いた空気出口とを有し、 上記ガス出口路は上記空気出口の下方で便器ボ
   ウルの内周部に近接してその周囲にガス入口と、
   便器ボウル内で混合される取り入れ空気及びガス
   を吸入して便器ボウルの外側に排出する負圧源に
   連結されると共に便器ボウルの外側に設けられる
   ガス出口とを有し、 装置は更に、上記空気出口の下方かつガス入口
   の上方のシート部分に周状フインを有し、該周状
   フインは便器ボウルの内周部に近接してその周囲
   に延びる下向きに傾斜した凸状面を形成し、臭気
   回収前に便器ボウル内で取り入れ空気の乱流を生
   成して臭気と十分に混合させることを特徴とする
   便器の除臭装置。 ２ 周状フインは乱流の生成を高める凹状下面を
   有することを特徴とする特許請求の範囲第１項に
   記載の装置。 ３ フインはシート部分の上部内方端縁から半径
   方向外方に隔てられた内周端縁で終端することを
   特徴とする特許請求の範囲第１項に記載の装置。 ４ 空気出口及びガス入口は各々、シート部分の
   上部内方端縁から半径方向外方に隔てられた周列
   の孔を有することを特徴とする特許請求の範囲第
   １項に記載の装置。 ５ 負圧源にはシート部分内に設けられる圧力−
   感応スイツチが連結され、使用者がシート部分に
   座つた時負圧源を作動させることを特徴とする特
   許請求の範囲第１項に記載の装置。 ６ 使用者がシート部分から離れた後所定時間に
   亘り、負圧源の作動を継続する時間−遅延リレー
   を有することを特徴とする特許請求の範囲第５項
   に記載の装置。 ７ ガス出口には繊維状のフイルタが連結され、
   混合気から臭いを除去することを特徴とする特許
   請求の範囲第１項に記載の装置。 ８ ボウル及びシート部分が一体構造であること
   を特徴とする特許請求の範囲第１項に記載の装
   置。 ９ シート部分は便器と別個の部品であり、空気
   入口路はシート部分に組み込まれることを特徴と
   する特許請求の範囲第１項に記載の装置。 １０ 空気入口の孔は略接線方向内側に向かうこ
   とにより取り入れ空気をボウル中心を中心として
   渦巻かせることを特徴とする特許請求の範囲第４
   項に記載の装置。 １１ 凸状表面はシート部分の上部内方端縁から
   半径方向外方に隔てられた内周端縁で終端するこ
   とを特徴とする特許請求の範囲第２項に記載の装
   置。 １２ ほぼ環状のシート部分を有する便器ボウル
   内の臭気を除去する除臭装置を複数台備えてなる
   除臭設備であつて、 上記除臭装置は夫々、上記シート部分において
   その略半径方向内方に延び便器ボウル内に周囲の
   空気を通すべく便器ボウルと連通する空気入口路
   と、該空気入口路の下方のシート部分においてそ
   の略半径方向外方に延び便器ボウルと連通するガ
   ス出口路とを有し、上記空気入口路は便器ボウル
   の外側に空気入口と、便器ボウルの上部近くの内
   周部に近接してその周囲に内側に向いた空気出口
   とを有し、上記ガス出口路は上記空気出口の下方
   で便器ボウルの内周部に近接してその周囲にガス
   入口と、便器ボウル内で混合される取り入れ空気
   及びガスを吸入して便器ボウルの外側に排出する
   負圧源に連結されると共に便器ボウルの外側に設
   けられるガス出口とを有し、除臭装置は更に、上
   記空気出口の下方かつガス入口の上方のシート部
   分に周状フインを有し、該周状フインは便器ボウ
   ルの内周部に近接してその周囲に延びる下向きに
   傾斜した凸状面を形成し、臭気回収前に便器ボウ
   ル内で取り入れ空気の乱流を生成して臭気と十分
   に混合させ、 上記除臭設備は、各除臭装置のガス出口を共通
   の負圧源へ連結する手段と、該連結手段に設けら
   れる常閉型のバルブ手段と、各装置のシート部分
   内に設けられ使用者がシート部分に座つた時バル
   ブ手段を開放するよう夫々のバルブ手段を制御す
   る圧力−感応スイツチとを有することを特徴とす
   る除臭設備。