JPH0326220Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、車両のウインドガラスを昇降させる
ワイヤ式ウインドレギユレータに関する。

ワイヤ式のウインドレギユレータは一般に、ウ
インドガラスの支持体をガイドレール等により上
下動可能に支持し、他方無端状にして巻取ドラム
に複数回巻回したワイヤをこのウインドガラス支
持体に固定して、上記巻取ドラムを回転駆動する
ことによりウインドガラスを昇降させるという基
本構成を有している。このレギユレータではしか
し、長期の使用によりワイヤに延びを生じること
が避けられず、延びが生じると、巻取ドラムに対
するワイヤの出入口部、すなわち巻始め、巻終り
部においてワイヤにたるみが生じ、その結果ワイ
ヤが巻取ドラムの螺旋溝に正確に巻取られずにこ
れから外れて巻取ドラム上に積層状になることが
ある。このようにワイヤが積層状になると、巻取
ドラムに対する巻取量と繰出量とは常時同一とい
う駆動条件が崩れ、このため巻取力が増大してウ
インドガラスの昇降が不可能になることがあつ
た。

本考案は、上下動可能に支持したウインドガラ
ス支持体に無端状にしたワイヤを固定するととも
に、このワイヤを巻取ドラムに複数回巻回し、こ
の巻取ドラムを回転駆動することにより上記ウイ
ンドガラス支持体を上下動させるようにしたワイ
ヤ式ウインドレギユレータにおいて、巻取ドラム
の外側にハウジングインナを被着し、このハウジ
ングインナに、ワイヤの巻取ドラムに対する出入
口部に位置させて、該巻取ドラムの軸線と略平行
な出入制限体を一体に設け、この出入制限体と巻
取ドラムの間に、ワイヤが巻取ドラム上に積層状
になるのを防止するワイヤ出入空間を構成したこ
とを特徴としている。

以下本考案を図示実施例について説明する。第
１図、第２図において、１１は車両の例えばドア
インナパネルに固定されるガイドレール、１２は
同駆動部であつて、ガイドレール１１にはウイン
ドガラス１３を支持する支持体１４が上下動可能
にガイドされている。ガイドレール１１の上下端
部には半円状のケーブルガイド１５，１５が固定
されていて、アウタケーシング１６内に摺動自在
に挿入されているワイヤ１７がこのケーブルガイ
ド１５，１５に案内されている。ワイヤ１７はそ
の中間部分を上記支持体１４に固定しており、ま
たその両端部は、駆動部１２の巻取ドラム１８に
複数回巻回した後、該ドラムに固定されて無端状
になつている。

巻取ドラム１８は駆動部１２のベース２０に回
転自在に支持したもので、回動軸２１を手動ハン
ドル２２または駆動モータで回動させて、巻取ド
ラム１８の一方でワイヤ１７を巻取り、他方で繰
出すことにより、支持体１４、すなわちウインド
ガラス１３が上下動する。

巻取ドラム１８の外周にはこのワイヤ１７の巻
取、繰出を確実に行なわせるため、第３図、第５
図に示すように連続した螺旋溝２３が形成されて
いる。他方上記アウタケーシング１６は、ベース
２０と一体に設けたハウジングアウタ１９の上下
にそれぞれ固定されていて移動しないため、ワイ
ヤ１７は巻取ドラム１８を回動させるにしたが
い、第３図に示すように角度θだけ振れながら、
巻取、繰出されることになる。

しかして本考案は、ワイヤ１７の巻取ドラム１
８に対する出入口部２４に、該巻取ドラム１８の
軸線と平行な出入制限支柱２５を設けたことを特
徴とするものである。出入口部２４とはワイヤ１
７が巻取ドラム１８に接し始めまたは離れ始める
際の接点部分をいう。出入制限支柱２５は、巻取
ドラム１８との間に、ワイヤ１７を一本だけ通す
ことができ、二本以上積層したワイヤ１７は通す
ことができないワイヤ進入空間２６を形成するも
のである。

この出入制限支柱２５は合成樹脂製のハウジン
グインナ２７に一体に設けられている。ハウジン
グインナ２７はワイヤ１７を巻回した後の巻取ド
ラム１８に被着されてワイヤ１７の螺旋溝２３か
らの脱落を防ぐ目的を有するもので、筒状をな
し、その端壁に、巻取ドラム１８の軸２１のハン
ドル側とは反対側の端部を嵌入させる孔２９を有
している。このハウジングインナ２７の上記出入
口部２４に対応する部分は巻取ドラム１８の軸線
と平行に切り欠かれており、その切欠端部３０は
円形断面となつている。なおハウジングインナ２
７には、第７図に単体形状を示すようにベース２
０に対する接続部として脚部３１が一体に設けら
れている。この脚部３１は出入制限支柱２５の位
置を正確に維持するのに役立つ。また上記駆動部
１２は、このハウジングインナ２７、上記巻取ド
ラム１８、ハウジングアウタ１９およびベース２
０から構成されたものである。

上記構成の本装置は手動ハンドル２２または駆
動モータにより巻取ドラム１８を回動させると、
ワイヤ１７が巻取ドラム１８の螺旋溝２３に一方
で巻かれ、他方で繰出されて、その結果前述のよ
うに支持体１４が上下動するわけであるが、この
巻取の際、ワイヤ１７は出入制限支柱２５と巻取
ドラム１８の間のワイヤ進入空間２６を通過し、
このワイヤ進入空間２６は積層状態のワイヤ１７
は通過させないため、仮にワイヤ１７に第４図に
鎖線で示すような遊びやたるみが生じ、あるいは
振動が生じたとしても、ワイヤ１７が螺旋溝２３
から外れて積層状態となることはない。したがつ
て巻取ドラム１８の回転に伴なうワイヤ１７の巻
取量と繰出量とを常時同一に保つて円滑な支持体
１４の上下動を確保することができる。すなわち
このような支柱のない従来装置においては、長期
の使用によりワイヤ１７が延びると、角度θの振
れを伴なうワイヤ１７の巻取の際、第６図に示す
ようにワイヤ１７が積層状態となり、巻取ドラム
１８の回転が不可能となつて、ウインドガラス１
３の昇降ができなくなるという事態が生じたので
あるが、本考案によればこのような事故を確実に
防止できる。

また上記実施例によれば、ハウジングインナ２
７の切欠端部３０が円形断面となつているため、
ワイヤ１７が緩んだ状態で切欠端部３０に接した
としても、金属製の尖つたケースと当接する場合
のような異音や、ワイヤ１７の傷等が発生するお
それはなく、ワイヤ１７の耐久性を高める上で効
果がある。

以上のように本考案は、ワイヤの巻取ドラムに
対する出入口部に、巻取ドラムの軸線に対して平
行な出入制限体を設けたので、巻取ドラムにワイ
ヤを巻き取る際、ワイヤが巻取ドラム上に積層さ
れるおそれがない。そしてこの出入制限体は、巻
取ドラムを覆う合成樹脂製のハウジングインナに
一体に設けられているので、部品点数を全く増加
させることなく、ワイヤが積層巻きされるおそれ
のないワイヤ式ウインドレギユレータを得ること
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案に掛るワイヤ式ウインドレギ
ユレータの実施例を示す要部の正面図、第２図は
同側面図、第３図は第１図の−線に沿う拡大
断面図、第４図は第３図の−線に沿う断面
図、第５図は第４図の−線に沿う断面図、第
６図は従来装置の問題点を示す第５図と同様の断
面図、第７図はハウジングインナの単体形状の例
を示す斜視図である。 １１……ガイドレール、１２……駆動部、１３
……ウインドガラス、１４……ウインドガラス支
持体、１７……ワイヤ、１８……巻取ドラム、２
３……螺旋溝、２４……出入口部、２５……出入
制限支柱、２６……ワイヤ進入空間、２７……ハ
ウジングインナ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 上下動可能に支持したウインドガラス支持体に
   無端状にしたワイヤを固定するとともに、このワ
   イヤを巻取ドラムに複数回巻回し、この巻取ドラ
   ムを回転駆動することにより上記ウインドガラス
   支持体を上下動させるようにしたワイヤ式ウイン
   ドレギユレータにおいて、 巻取ドラムの外側にハウジングインナを被着
   し、 このハウジングインナに、上記ワイヤの巻取ド
   ラムに対する出入口部に位置させて、該巻取ドラ
   ムの軸線と略平行な出入制限体を一体に設け、 この出入制限体と巻取ドラムの間に、ワイヤが
   巻取ドラム上に積層状になるのを防止するワイヤ
   出入空間を構成したことを特徴とするワイヤ式ウ
   インドレギユレータ。