JPH0325096Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、冷房運転時に、床暖房用熱交換器の
室内側管路に結露が生じることを防止したヒート
ポンプ式床暖房エアコンに関する。

〔従来の技術〕

第３図は、ヒートポンプ式床暖房エアコンの従
来例を示すもので、圧縮機１の吐出側には四方弁
２を介して室外側熱交換器３、冷暖房共用のキヤ
ピラリチユーブ４、逆止弁５、室内側熱交換器６
を順次直列に接続し、この室内側熱交換器６の冷
房時における出口側を前記四方弁２を介して前記
圧縮機１の吸込み側に接続している。なお、前記
逆止弁５は室外側熱交換器３側より室内側熱交換
器６へのみ冷媒を流すものである。また逆止弁５
の出口側と入口側との間には、床暖房用熱交換器
７と別の逆止弁８との直列回路を接続している。
なお、この逆止弁８は床暖房用熱交換器７側より
室外側熱交換器３側へのみ冷媒を流すものであ
る。

以上の構成において暖房運転を行なう場合は、
暖房運転スイツチ（図示せず）を操作し、圧縮機
１を運転するとともに、四方弁２を図中破線矢印
で示す如く冷媒が流れるような暖房サイクルに切
換える。これによつて、圧縮機１から吐出された
高温・高圧の冷媒は、四方弁２を介して室内側熱
交換器６に流入し、放熱する。さらに床暖房用熱
交換器７に流入し、輻射により放熱して液化され
る。そして逆止弁８を通り、キヤピラリチユーブ
４で減圧され、室外側熱交換器３に流入して吸熱
し、ガス化され、四方弁２を介して圧縮機１に戻
る。このサイクルでは、室内側熱交換器６および
床暖房用熱交換器７における放熱により、暖房を
行なうことができる。この暖房運転時、圧縮機１
から吐出された高温・高圧の冷媒は室内側熱交換
器６を通つてから床暖房用熱交換器７に流入する
ため、床暖房用熱交換器７では冷媒の等温域が用
いられることになり、床暖房用熱交換器７での温
度分布は平坦となる。

次に冷房運転を行なう場合は、冷房運転スイツ
チ（図示せず）を操作し、圧縮機１を運転すると
ともに、四方弁２を図中実線矢印で示す如く冷媒
が流れるような冷房サイクルに切換える。これに
よつて、圧縮機１から吐出された高温・高圧の冷
媒は、四方弁２を介して室外側熱交換器３に流入
し、放熱して液化される。さらにキヤピラリチユ
ーブ４で減圧されて逆止弁５を通り、室内側熱交
換器６に流入して吸熱し、ガス化され、四方弁２
を介して圧縮機１に戻る。このサイクルでは、室
内側熱交換器６における吸熱作用により、室内を
冷房することができる。またこの冷房運転時に
は、床暖房用熱交換器７の室外側には逆止弁８に
より室外側熱交換器３側からの冷媒の流入が阻止
されるが、床暖房用熱交換器７の室内側には室内
側熱交換器６内の温度と同一温度の冷媒が室内側
熱交換器６側より流入して溜り込む。。

ところが冷房運転時に床暖房用熱交換器７に室
内側熱交換器６側より流入して溜り込んだ冷媒の
温度よりも、周囲の室内空気の温度の方が高いた
め、冷媒と周囲の室内空気との間で熱交換し、床
暖房用熱交換器７内の冷媒はガス化する。そして
このような熱交換により、床暖房用熱交換器７の
表面には空気が凝縮して霧状に結露するが、床暖
房用熱交換器７内には冷媒が溜り込んでいるため
それ以上熱交換されず、新たに結露することはな
い。そして周囲の室内空気の温度の方が高いた
め、結露は徐々に蒸発していく。

〔考案が解決しようとする問題点〕

サーモスタツト等により冷房温度を検知して運
転、停止を繰返すとき、再運転の度に床暖房用熱
交換器７の表面に結露を生じ、床暖房用熱交換器
７の上に敷いたカーペツト等を湿らすことにな
る。また、室内側熱交換器６と床暖房用熱交換器
７とを接続する配管の表面にも結露を生じるが、
室内側熱交換器６に近いところでは熱伝導により
配管表面の温度が室内側熱交換器６の蒸発器に近
いため、配管表面の結露が持続することになり、
配管表面に結露防止のための断熱処理を施す必要
があつた。

本考案はこのような結露によるカーペツト等の
湿りを防止でき、かつ、配管表面の断熱処理の面
倒のないヒートポンプ式床暖房エアコンを提供す
ることを目的とするものである。

〔問題点を解決するための手段〕

以上の目的達成のため、本考案のヒートポンプ
式床暖房エアコンは、冷房運転時に冷媒が前記床
暖房用熱交換器をバイパスして流れる管路を設け
るとともに、床暖房用熱交換器の室内側と冷房運
転時における前記室内熱交換器出口側とを接続し
て構成される。

すなわち、本発明は圧縮機、四方弁、室内側熱
交換器、床暖房用熱交換器、絞り（キヤピラリチ
ユーブ）及び室外側熱交換器をこの順序で接続し
て冷媒回路を形成したヒートポンプ式床暖房エア
コンにおいて、四方弁と室内側熱交換器との間に
第１逆止弁、床暖房用熱交換器と絞りとの間に第
２逆止弁をそれぞれ設けると共に、第１逆止弁と
室内側熱交換器との間に一端を、前記逆止弁と絞
りとの間に他端をそれぞれ接続した第３逆止弁を
有し、冷房運転時に冷媒を床暖房用熱交換器をバ
イパスして流す回路と、室内側熱交換器を床暖房
用熱交換器との間に一端を、第１逆止弁と四方弁
との間に他端をそれぞれ接続した第４逆止弁とを
有する冷房用冷媒回路とを具備したことを特徴と
する。

〔考案の効果〕

以上の構成では、床暖房用熱交換器の室内側と
冷房運転時における室内熱交換器の出口側とを接
続しているので、冷媒が加熱ガス部になり、空気
の露点温度近くになつて、結露の量を大幅に減少
させ、あるいは無くすことができる。したがつ
て、結露によるカーペツト等の湿りを防止でき、
かつ、配管表面の断熱処理の面倒もなくすことが
できる。

〔考案の実施例〕

第１図は、本考案の一実施例におけるヒートポ
ンプ式床暖房エアコンの系統図で、第３図と同一
の部分は同一符号で示してある。

圧縮機１の吐出側には四方弁２を介して室外側
熱交換器３、冷暖房共用のキヤピラリチユーブ
４、逆止弁５、室内側熱交換器６を順次直列に接
続し、この室内側熱交換器６の冷房運転時におけ
る出口側は、逆止弁９および前記四方弁２を順次
介して圧縮機１の吸込み側に接続している。な
お、逆止弁５は室外側熱交換器３側より室内側熱
交換器６側へのみ冷媒を流し、逆止弁９は室内側
熱交換器６側より圧縮機１の吸込み側へのみ冷媒
を流すものである。また上記両逆止弁５，９の入
口側間には、床暖房用熱交換器７と逆止弁８との
直列回路を接続している。この逆止弁８は室内側
熱交換器６側より室外側熱交換器３へのみ冷媒を
流すものである。さらに、上記両逆止弁５，９の
出口側間には圧縮機１側より室内側熱交換器６側
へのみ冷媒を流す別の逆止弁１０が介挿されてい
る。

以上の構成において暖房運転を行なう場合は、
暖房運転スイツチ（図示せず）を操作し、圧縮機
１を運転するとともに、四方弁２を図中破線矢印
で示す如く冷媒が流れるような暖房サイクルに切
換える。これによつて、圧縮機１から吐出された
高温・高圧の冷媒は、四方弁２および逆止弁１０
を介して室内側熱交換器６に流入し、放熱する。
さらに床暖房用熱交換器７に流入し、輻射により
放熱して液化される。そして逆止弁８を通り、キ
ヤピラリチユーブ４で減圧され、室外側熱交換器
３に流入して吸熱し、ガス化され、四方弁２を介
して圧縮機１に戻る。このサイクルでは、室内側
熱交換器６および床暖房用熱交換器７における放
熱により、暖房を行なうことができる。

次に冷房運転を行なう場合は、冷房運転スイツ
チ（図示せず）を操作し、圧縮機１を運転すると
ともに、四方弁２を図中実線矢印で示す如く冷媒
が流れるような冷房サイクルに切換える。これに
よつて、圧縮機１から吐出された高温・高圧の冷
媒は、四方弁２を介して室外側熱交換器３に流入
し、放熱して液化される。さらにキヤピラリチユ
ーブ４で減圧されて逆止弁５を通り、室内側熱交
換器６に流入して吸熱し、ガス化され、逆止弁９
および四方弁２を介して圧縮機１に戻る。このサ
イクルでは、室内側熱交換器６における吸熱作用
により、室内を冷房することができる。

またこの冷房運転時において、床暖房用熱交換
器７の室外側には逆止弁８により室外側熱交換器
３側からの冷媒の流入が阻止されるが、床暖房用
熱交換器７の室内側から室内側熱交換器６を通過
した後の過熱ガス状の冷媒が流入する。

第２図はエアコンのモリエル線図を示すもの
で、図中T₁，T₂は等温線であり、T₁＞T₂であ
る。またＡ点は冷房運転時における室内側熱交換
器６の入口側温度、Ｂ点は冷房運転時における室
内側熱交換器６の出口側温度を示し、Ａ＜Ｂであ
る。

そこで、第１図の装置における床暖房用熱交換
器７の室内側の冷媒温度は第２図に示すモリエル
線図上のＢ点に相当する。これに対して第３図の
従来装置の場合は、床暖房用熱交換器７に室内側
からキヤピラリチユーブ４を通過した後の気液二
相流が流入するので、床暖房用熱交換器７の室内
側の冷媒温度は、第２図に示すモリエル線図上の
Ａ点に相当する。ここでＡ＜Ｂであり、Ｂ点の温
度は冷房運転時における室内空気の露点温度に近
いため、第１図の装置では、冷房運転時でも床暖
房用熱交換器７の表面に結露を生じることはほと
んどない。

したがつて、上記実施例の構成では、冷房運転
時でも床暖房用熱交換器７の上に敷いたカーペツ
ト等を湿らすおそれは全くない。また、室内側熱
交換器６と床暖房用熱交換器７とを接続する配管
の表面にも同様に結露を生じないか、生じてもそ
の量はわずかである。したがつて、配管表面に結
露防止のための断熱処理を施す必要はなく、施す
にしてもその厚さを薄くすることができるので、
施工費用を低減することができる。また、このよ
うな断熱処理の省略により配管スペースを小さく
することができ、あるいは配管間隔を広げること
により施工を容易にすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す系統図、第２
図は上記実施例の装置と従来の装置とを比較する
ためのモリエル線図、第３図は従来例を示す系統
図である。 １……圧縮機、２……四方弁、３……室外側熱
交換器、４……キヤピラリチユーブ、５，８，
９，１０……逆止弁、６……室内側熱交換器、７
……床暖房用熱交換器。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 圧縮機、四方弁、室内側熱交換器、床暖房用熱
   交換器、絞り及び室外側熱交換器をこの順序で接
   続して冷媒回路を形成したヒートポンプ式床暖房
   エアコンにおいて、前記四方弁と前記室内側熱交
   換器との間に第１逆止弁、前記床暖房用熱交換器
   と前記絞りとの間に第２逆止弁をそれぞれ設ける
   と共に、前記第１逆止弁と室内側熱交換器との間
   に一端を、前記逆止弁と絞りとの間に他端をそれ
   ぞれ接続した第３逆止弁を有し、冷房運転時に冷
   媒を前記床暖房用熱交換器をバイパスして流す回
   路と、前記室内側熱交換器を床暖房用熱交換器と
   の間に一端を、前記第１逆止弁と四方弁との間に
   他端をそれぞれ接続した第４逆止弁とを有する冷
   房用冷媒回路とを具備したことを特徴とするヒー
   トポンプ式床暖房エアコン。