JPH0324631Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案はタフトカーペツトを製造するためのタ
フテイングマシン装置に関するものである。

［従来の技術］ 自動車の内装材、特に車室のフロアに敷設され
るカーマツトとしてタフトカーペツトが多用され
ている。タフトカーペツトは視覚的に豪華な印象
を与えるため、コスト低減上の要請に応じて一部
採用されている不織布製のカーマツトなどによつ
ては達成することが困難な質感の向上に対して有
効な改善手段を提供している。

［考案が解決しようとする課題］ 自動車の車室内に敷設するタフトカーペツトと
してハイカツト・ローループタイプや、レベルカ
ツト・ループタイプが多用されているがトランス
ミツシヨンやタイヤハウス上の凸状フロアを覆う
上記タフトカーペツトには該凸状曲面に沿う曲げ
変形が発生し、これによつてパイル割れに起因す
る美観の低下を引き起こしている。また車室のフ
ロアに敷設された上記タフトカーペツトのパイル
間には外部から持ち込まれた土砂や砂礫が食い込
んで沈積し掃除の際の作業性を低下させている。
このようなパイル間への土砂や砂礫の食い込みを
防止する手段として、乗用者の靴底が当たるタフ
トカーペツトの表面にゴムまたは合成樹脂シート
製のピースマツトを敷設する方法が採用されてい
るが、上記ハイカツト・ローループタイプもしく
はレベルカツト・ループタイプのタフトカーペツ
トの上にピースマツトを載置すると安定性が悪く
数回踏み付けただけで簡単に位置ずれが発生す
る。

上記の如き曲げ変形によるパイル割れやピース
マツト使用時の安定性の低下等の問題に対処する
ためには、タフトカーペツトの表面をハイカツト
パイルのタフテイング域とローカツトパイルのタ
フテイング域とに区分し、ローカツトパイルのタ
フテイング域をピースマツトの支持面ならびに基
布表面に被覆部材として機能させ、またハイカツ
トパイルのタフテイング域を主として質感向上部
材として機能させることが有効である。しかるに
既存のタフテイングマシンによつてハイカツト・
ローカツトパイル共存タイプのタフトカーペツト
を製編しようとすると、該タフテイングマシンの
構造ならびに作動特性に起因する多くの制約が付
随してくる。

本考案の主要な目的は、ハイカツト・ローカツ
トパイル共存タイプのタフトカーペツト乃至はそ
の製造手段に認められている上記の如き問題点の
解決手段を提供することにある。

［課題を解決するための手段］ 斯かる目的に鑑みて本考案は、高カツトパイル
形成糸を送り出すための大径の送り出しローラ部
３ａと低カツトパイル形成糸を送り出すための小
径の送り出しローラ部３ｂとを軸線上に一体に有
するカツトパイル形成糸送り出しローラ３と、記
大径ならびに小径の送り出しローラ部３ａ，３ｂ
の下流側に配設したカツトパイル形成糸編用の第
１と第２のニードル５ａ，５ｂと、上記第１と第
２のニードル５ａ，５ｂの下流側に配設した第１
と第２のルーパ６ａ，６ｂとからなり、上記第１
のニードル５ａを、第２のニードル５ｂより、大
径の送り出しローラ部３ａと小径の送り出しロー
ラ部３ｂとの円周差相当分だけ長くするととも
に、上記第１のルーパ６ａの配設位置を、第２ル
ーパ６ｂの配設位置より、第１と第２のニードル
５ａ，５ｂの長さの差に応じて低くしたタフテイ
ングマシン装置を要旨とするものである。

［作用］ 高カツトパイル形成糸のタフテイングマシンへ
の送り出し速度を、低カツトパイル形成糸の送り
出し速度よりも大きくした状態でタフテイングす
ることにより、タフトカーペツトの表面に所定の
高低差を有するパイルが形成される。

［実施例］ 第１図は本考案の実施に好適なタフテイングマ
シン要部の斜視図であり、第２図は本考案に係る
タフトカーペツトのパイル形状を例示する正面図
である。図示するように高カツトパイル形成糸１
および低カツトパイル形成糸２の送り出しローラ
３は、高カツトパイル形成糸１の送り出しローラ
部３ａを大径に、また、低カツトパイル形成糸２
の送り出しローラ部３ｂを小径にして、軸線上に
一体に設計された糸条送り出し装置としてタフテ
イングマシンの本体上部に回転自在に支承されて
いる。上記大径の送り出しローラ部３ａの下流側
に、後記第２のニードル５ｂよりも長い高カツト
パイル形成糸１製編用の第１のニードル５ａが配
設されており、更に、低カツトパイル形成糸２の
小径の送り出しローラ部３ｂの下流側に配設され
る第２のニードル５ｂとして、大径の送り出しロ
ーラ部３ａと小径の送り出しローラ部３ｂとの円
周差相当分だけ第１のニードル５ａよりも短いも
のが使用されている。またこれらの第１と第２の
ニードル５ａ，５ｂの下流側に配設される第１と
第２のルーパ６ａ，６ｂは、第１と第２のニード
ル５ａ，５ｂの長さの差に応じてそれぞれの配設
位置が調節されている。即ち、長い第１のニード
ル５ａの下流側に配設される第１のルーパ６ａは
第２のルーパ６ｂに比較して低い配設位置を、ま
た、前記第１のニードル５ａよりも短い第２のニ
ードル５ｂの下流側に配設される第２のルーパ６
ｂは前記第１のルーパ６ａよりも、、高い配設位
置を占めるように第１と第２のルーパ６ａ，６ｂ
相互の配設位置が調整されている。

上記タフテイングマシンに供給される高カツト
パイル形成糸１としては、低収縮性の直毛状繊
維、例えば８デニールの６−６ナイロンステープ
ルからなる5′Sの紡績単糸が使用されており、ま
た低カツトパイル形成糸２は、熱収縮率を異にす
る２種類のポリアミド重合体のサイド・バイ・サ
イド接合構造を有し、熱セツトによつて螺旋状の
捲縮（コイルクリンプ）を発現する３デニールの
６−６ナイロンステープルからなる7′S紡績単糸
が使用されている。

このような高カツトパイル形成糸１，１…と低
カツトパイル形成糸２，２…を、大径と小径の送
り出しローラ部３ａ，３ｂの周速差に応じて長さ
ならびに配設位置を調整された第１と第２のニー
ドル５ａ，５ｂ、第１と第２のルーパ６ａ，６ｂ
に供給しタフテイングを施すことによつて、タフ
トカーペツトのパイル面には第２図に示すように
所望の配設パターンでハイカツトパイル１ａとロ
ーカツトパイル２ａが植設される。斯くして得ら
れたタフトカーペツトに常法に従つて熱セツトを
施すことによつて、低カツトパイル形成糸２の構
成成分であるサイド・バイ・サイド形の接合構造
を有する６−６ナイロンステープルにコイルクリ
ンプが発現し、基布７の表面は熱収縮した該低カ
ツトパイル形成糸２によつて均一に被覆される。

以上、６−６ナイロンステープルからなる紡績
単糸をタフトカーペツトの構成素材として使用し
た実施例に基づいて本考案を説明したが、本考案
の権利範囲は斯かる記述に基づいて限定的に解釈
されるべきものではなく数多くの応用例を包含す
ることができる。例えば、糸条構成や熱セツト条
件、あるいは大径と小径の送り出しローラ部３
ａ，３ｂの直径差等はハイカツトパイル１ａ及び
ローカツトパイル１ｂの配設パターンに応じて任
意に選択することができる。

［考案の効果］ 本考案によれば単一のタフテイング工程によつ
てハイカツトパイルとローカツトパイルを同時に
形成することができるから、製造コストの低減に
於いても特筆すべき効果が発揮される。更に本考
案に係るタフトカーペツトのパイル面には、ハイ
カツトパイルとローカツトパイルが指定の植え込
みパターンで配設されているから、例えばピース
マツトの載置面をローカツトパイルの植え込み域
から構成し、その周囲にハイカツトパイルの植え
込み域を配設することによつてピースマツトの位
置ずれを確実に防止することができる。また、基
布の表面が捲縮性もしくは、高収縮性繊維によつ
て被覆されているから、タフトカーペツトをトラ
ンスミツシヨンやタイヤハウス上の凸状フロアに
敷設した場合にもパイル割れが発生せず、自動車
内装材に必要な美観を良好な水準に維持すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施に好適なタフテイングマ
シン要部の斜視図であり、第２図は本考案に係る
タフトカーペツトのパイル形状を例示する正面図
である。 １……高カツトパイル形成糸、１ａ……ハイカ
ツトパイル、２……低カツトパイル形成糸、２ａ
……ローカツトパイル、３……送り出しローラ、
３ａ……高カツトパイル形成糸の送り出しローラ
部、３ｂ……低カツトパイル形成糸の送り出しロ
ーラ部、５ａ，５ｂ……ニードル、６ａ，６ｂ…
…ルーパ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 高カツトパイル形成糸を送り出すための大径の
   送り出しローラ部と低カツトパイル形成糸を送り
   出すための小径の送り出しローラ部とを軸線上に
   一体に有するカツトパイル形成糸送り出しローラ
   と、 上記大径ならびに小径の送り出しローラ部の下
   流側に配設したカツトパイル形成糸製編用の第１
   と第２のニードルと、 上記第１と第２のニードルの下流側に配設した
   第１と第２のルーパとからなり、 上記第１のニードルを、第２のニードルより、
   大径の送り出しローラ部と小径の送り出しローラ
   部との円周差相当分だけ長くするとともに、 上記第１のルーパの配設位置を、第２ルーパの
   配設位置より、第１と第２のニードルの長さの差
   に応じて低くしたことを特徴とするタフテイング
   マシン装置。