JPH0323783Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、例えば液化天然ガス、液化石油ガ
ス等の低温液体を移送するポンプ装置のポンプ駆
動モータに連結される電力供給ケーブルに対して
その途中の電気絶縁性を正常に保護するための装
置に関するものである。

〔従来の技術〕

第３図は、液化天然ガスのような低温の液体の
移送に用いられるポンプ装置を示す。ポンプモー
タ１はサクシヨンポツト２内に収容され、入口３
から供給される液体を出口４から送り出す。５は
ポンプモータ１に電力を供給するためのケーブル
であり、６はケーブル５を保護する電線管で、７
はケーブル用の中継箱である。電線管６の中継箱
７側端は、中継箱７に形成された電線管とフラン
ジ結合されており、その双方のフランジ部の間に
図示していないが、ガスシール板が設けられ、サ
クシヨンポツト２内に連通している電線管６内を
気密に区画しており、そのガスシール板をケーブ
ル５が気密に貫通している。

〔考案が解決しようとする課題〕

このような従来の装置にあつては、例えば液化
天然ガスの場合、その温度は−162℃まで低下し、
その低温は当然ケーブル５あるいは電線管６に伝
わつて中継箱７に達する。このため、フランジ部
から中継箱７内のケーブル５を取り巻く空気中の
水分が凝縮してケーブルに附着し、その結果ケー
ブル５の絶縁性が低下し、ポンプ装置が停止して
使用不能となる問題があつた。

また、ケーブル５を保護する電線管６は、内部
がガスシール板の位置までサクシヨンポツト２内
と連通しており、液化天然ガスがこれを伝つてガ
スシール板の部分から中継箱７の方へ漏出する危
険性があり、漏出していてもそれを知ることがで
きないものであつた。もし微量でもガスが漏出し
続けると、中継箱７側には空気が存在するから、
ガス濃度が上つて電気のスパークなどによつて爆
発するおそれが多分にある。

この考案は、移送する低温液体の低温の影響に
よつて、ケーブルの電気絶縁性の低下することが
なく、正常な絶縁性を維持してポンプの停止事故
をなくすことができる電気絶縁性保護装置を提供
すると共に、サクシヨンポツト側からの可燃性ガ
スの漏洩にも対処して爆発のおそれのない装置を
実現することを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

この考案は、移送する低温液体の入口及び出口
を有するサクシヨンポツト内にポンプ及びポンプ
駆動モータを収容した低温液体移送ポンプ装置の
上記モータに電力を供給するケーブルが、上記サ
クシヨンポツトに一端を結合した電線管内を通つ
て設けられており、上記電線管の他端に接続する
ように上記ケーブルの貫通する管路を設け、その
管路の両端にそれぞれガスシール板を設けて気密
に区画し、そのガスシール板を上記ケーブルが気
密に貫通しており、上記管路の外面に乾燥気体の
出入のための出入口を設けてあることを特徴とす
る。

〔作用〕

上記管路内は、一方のガスシール板によつてサ
クシヨンポツト側と気密に区画され、他方のシー
ル板によつて中継箱側とも気密に区画されている
空間である。この管路内の空間に不活性ガスを封
入又は乾燥気体を流過せしめると、移送する低温
液体の影響により低温となつても管路内では水分
の凝縮はないから、絶縁性の低下がなくなる。そ
して、ガスシール板を両端に設けた管路の存在に
より、低温の影響をこの部分で遮断する。

また、管路内空間に不活性ガスを封入すればこ
の空間に万一可燃性ガスが流入しても爆発のおそ
れはない。そして、乾燥空気を流過させるときは
稀釈されて排出されるから、この場合も爆発のお
それはない。

〔実施例〕

つぎにこの考案装置の一実施例を図面によつて
詳細に説明する。第１図および第２図において、
従来装置の第３図中の部品と同等の部品に対して
は同等の符号を用いて表示される。

８は管路で、電源側のケーブルのターミナル９
とポンプモータ側のケーブルのターミナル１０と
の間を電気的に連結するケーブル１１によつて貫
通され、その両端にガスシール板１２，１２が設
けられる。ガスシール板１２はいずれも孔１３を
そなえ、これによつてケーブル１１に連結する各
ターミナル９，１０を気密に貫通せしめている。
管路８は両端にフランジ１４をそなえ、対向する
各電線管上のフランジ１５との間にガスシール板
１２を挟持している。その結果、管路８の内腔１
６は気密状態に保持される。１７，１７は管路８
の各端部に設けられる出入口で、出入口１７，１
７は乾燥気体、たとえば乾燥空気あるいは不活性
ガスなどを封入し、もしくは封入の状態で一方の
出入口から他方の出入口へ該気体を流動通過せし
めるための配管を連結するための座が加工されて
いる。１８は圧力計で、前記封入状態とした場
合、これによつて管路８内の圧力を読み取ること
により、外部から管路内へのガスの流入の有無を
監視し、事故の事前防止に資するためのものであ
る。

つぎに本案装置の作用を説明する。ポンプモー
タ１は低温液体の搬出に使用されるので、ポンプ
モータ側の電線管６およびターミナル１０は冷却
された状態にあり、熱伝導によつて管路８内のケ
ーブル１１が冷却され、その結果周辺の気体に含
まれる湿気が凝縮してケーブルの周面に附着しよ
うとする。しかるに出入口１７，１７によつて内
腔１６に対し、乾燥空気ないしは不活性ガスを充
満させ、あるいは充満の状態で一方の出入口から
他方の出入口に向つて上記気体を流過せしめるか
ら、湿気が追い出されて凝縮するものがなくな
り、したがつて絶縁抵抗の低下を完全に防止する
ことができる。

また、電線管６の側から可燃性ガスが侵入しよ
うとしても、管路８の両端面に配置されるガスシ
ール板１２によつて遮断され、万一片側から可燃
性ガスの侵入があつたとしても、封入の場合は不
活性ガスを用いれば内腔１６内の不活性ガスとは
反応せず、また流過の場合は乾燥空気であつても
これによつて十分に稀釈されるようにすれば爆発
のおそれはなくなる。なお、いずれの場合でも管
路８内にガスセンサを設置すれば、ガスの漏洩を
確実に検知できる。

管路８は、必要に応じてその長さを変更し、あ
るいは出入口１７による流出入乾燥気体の単位時
間当りの流量を変更することにより、第２図の右
方に位置する側のターミナル９ならびに之に接続
する電源側のケーブルに対する熱影響の遮断とそ
れによる絶縁抵抗の保持を、最も効率の高い状態
のもとに実施することが可能である。

また別の使用方法として、不活性ガスをサクシ
ヨンポツト側よりも少しだけ高い圧力で管路８内
に封入しておけば移送液体のガスの管路８内への
漏れが防止される。

〔考案の効果〕

この考案装置は以上のように構成されるので、
簡単な装置の付設により、移送する低温液体から
の熱影響を受けても、ケーブルの電気絶縁性を低
下せしめることなく、正常な絶縁抵抗を持続せし
めることができるから、ポンプの停止事故を防止
できるとともに、サクシヨンポツト側からの可燃
性ガスの漏洩があつた場合にも、爆発の危険を回
避でき、安全性が増大するという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本案装置を適用した周辺配置の一実施
例の断面図、第２図はその要部を拡大して示す断
面図、第３図は従来装置を周辺配置とともに示す
断面図である。 １……ポンプモータ、２……サクシヨンポツ
ト、３……入口、４……出口、５，１１……ケー
ブル、６……電線管、７……中継箱、８……管
路、９，１０……ターミナル、１２……ガスシー
ル板、１３……孔、１４，１５……フランジ、１
６……内腔、１７……出入口、１８……圧力計。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 移送する低温液体の入口及び出口を有するサク
   シヨンポツト内にポンプ及びポンプ駆動モータを
   収容した低温液体移送ポンプ装置の上記モータの
   電力を供給するケーブルが、上記サクシヨンポツ
   トに一端を結合した電線管内を通つて設けられて
   おり、上記電線管の他端に接続するように上記ケ
   ーブルの貫通する管路を設け、その管路の両端に
   それぞれガスシール板を設けて気密に区画し、そ
   のガスシール板を上記ケーブルが気密に貫通して
   おり、上記管路の外面に乾燥気体の出入のための
   出入口を設けてあることを特徴とする低温液体移
   送ポンプ装置の駆動電力供給ケーブルの電気絶縁
   性保護装置。