JPH0318983B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明はろう付用パイプの製造方法に、特に
ろう付仕様によつて製作される例えばカーエアコ
ン用エバポレーター、コンデンサー、ラジエター
等の熱交換器においてチユーブと連通接続される
ヘツダーパイプ等として好適に用いられる、チユ
ーブ等との接続連結性に優れたろう付用パイプの
製造方法に関する。

従来の技術 例えば上記のような熱交換器では、冷媒を熱交
換器本体に分配供給すること等を目的として、ヘ
ツダーパイプが一般に使用される。このヘツダー
パイプとしては、熱交換器がろう付仕様によつて
製作される場合には、心材の片面あるいは両面に
ろう材層がクラツドされたブレージングシートを
パイプ形状に成形したものが用いられ、このヘツ
ダーパイプとチユーブその他の熱交換器構成部材
とが、真空ろう付あるいはフラツクスろう付され
るものとなされている。

従来、上記のようなヘツダーパイプは次のよう
にして製作されていた。すなわち、ブレージング
シートをその両側端縁を衝き合わせ状となすこと
により筒状に成形したのち、その衝き合わせ部を
電気抵抗溶接していわゆる電縫管を製作した後、
チユーブ等との接続のための孔あけ加工を実施す
るものであつた。

発明が解決しようとする課題 ところが、上記のような方法では、電縫管への
製作後に孔あけを実施するものであつたため、プ
レスにより孔あけを行う場合にはパイプの圧潰や
変形を生じ易いものであつた。このため、特に挿
入孔の円周方向の両側部分において挿入チユーブ
との間に隙間を生じ易く、ひいてはヘツダーパイ
プとチユーブとの良好なろう付を妨げて接続連結
強度の弱いものとなり、冷媒洩れの原因となると
いうような問題があつた。また、電縫管製作後に
孔あけ加工を実施する場合、強度確保等の観点か
ら衝き合わせ部の継目を避けて孔あけを実施する
必要があることから、継目の確認作業が必要であ
るというような問題もあつた。

この発明はかかる欠点を解消しうる、ヘツダー
パイプ等に好適なろう付用パイプの製作提供を目
的とするものである。

課題を解決するための手段 この発明は、図面の符号を参照して示せば、心
材３０ａの少なくとも片面にろう材層３０ｂをク
ラツドしたブレージングシート３０にチユーブ等
挿入用の挿入孔１３を形成したのち、ブレージン
グシートの両側縁を衝き合わせ状態となすことに
より筒状に成形するろう付用パイプの製造方法で
あつて、パイプの挿入孔１３の円周方向における
両側部分の孔端面１３ａ，１３ａがチユーブ等の
挿入方向に対して平行状に位置するように、ブレ
ージングシートの段階で前記挿入孔の対応孔端面
をテーパー状に加工しておくことを特徴とするも
のである。

作 用 ブレージングシート３０の段階でチユーブ等挿
入用の挿入孔１３を穿設するから、パイプ成形後
に孔加工する場合のような管壁の圧漬や変形がな
くなり、寸法精度の高い挿入孔が形成される。ま
た、ブレージングシート３０に孔あけを行つたの
ちブレージングシートの両側縁を衝き合わせ状と
なすことにより筒状に成形するものであるから、
衝き合わせ部３１を必然的に避けて挿入孔があけ
られることになる。しかも、挿入孔１３の加工の
際、ブレージングシートの断面として現れる挿入
孔端面のうち曲げ方向の両端部分の孔端面１３
ａ，１３ａを傾斜状にテーパー加工しておくこと
によつて、パイプの挿入孔の円周方向における両
側部分の孔端面がチユーブ等の挿入方向に対して
平行状となり、チユーブ等挿入時に該孔端面がチ
ユーブの外周面に面接触状態に適合可能となり、
ろう付後において確実な接続連結強度が達成され
る。

実施例 次にこの発明の実施例を説明する。この実施例
は第４図〜第８図に示すカークーラー用コンデン
サとしてのアルミニウム（その合金を含む、以下
同じ）製熱交換器に用いるヘツダーパイプの製造
方法を示すものである。

第４図〜第８図において、１は水平状態で上下
方向に配置された複数のチユーブ、２はその隣接
するチユーブ１，１間に介在されたコルゲートフ
イン、３，４は断面円形の左右のヘツダーパイプ
であり、これらヘツダーパイプとしてこの発明に
よつて製造したろう付用パイプを用いている。

上記ヘツダーパイプ３，４は次のようにして製
作されている。

すなわち、まず第１０図及び第１１図に示すよ
うに、アルミニウムからなる心材３０ａの両面に
ろう材層３０ｂを被覆形成した所定の大きさのブ
レージングシート３０を用意する。ろう材層３０
ｂとしては一般的にはSi含有量約６〜13wt％程
度のＡ−Si系合金を用いる。次いで、第１２図
に示すように、ブレージングシート３０の幅方向
の中央部に、該シートの幅方向を長さ方向とする
チユーブ挿入孔１３を、ブレージングシートの長
さ方向に間隔的に列設する。この孔加工は、挿入
孔１３の長さ方向の両端部分においてはその孔端
面１３ａ，１３ａが第１３図に示すようにブレー
ジングシート３０の上面から下面に向つて内側に
傾斜するテーパー面となるように行い、他の部分
においては孔端面が垂直面となるように行う。挿
入孔１３の両端部分の孔端面１３ａをテーパー状
に加工するのは、第１３図に鎖線で示すように、
パイプ形成時に該孔端面１３ａ，１３ａをチユー
ブ挿入方向に対して平行に位置させるためであ
る。ここに、挿入孔１３の孔端面が平行に位置す
るか否かはパイプの曲率によつて異なる。従つて
挿入孔両端部の孔端面１３ａ，１３ａの傾斜角度
は、パイプの曲率との関係で適宜設定すれば良
い。一方また、第１２図に示すように、ブレージ
ングシート３０の幅方向の両側縁には、その同一
位置に複数個の切り込み３４を形成する。この切
り込みは衝き合わせ後は相互に対応するものどお
しが合致されて、第４図〜第８図に示す熱交換器
における冷媒蛇行流通用の仕切板９，１０を設置
するための、仕切板挿入孔１４を形成するものと
なる。

次に上記ブレージングシート３０の幅方向の両
側端部３５ａ，３５ｂを肉厚方向にハンマーない
しはプレスで打撃する。この打撃は一方の側端部
３５ａについては下面において、他方の側端部３
５ｂについては上面において行うことにより、第
１４図に示すように、一方の側端部については下
縁から上縁に向けて漸次肉薄となる傾斜面３５
a′を形成せしめ、また他方の側端部については上
縁から下縁に向けて漸次肉薄となる傾斜面３５
b′を形成せしめる。しかもいずれの傾斜面にもろ
う材層３０ｂが存在するものとなる。ブレージン
グシート３０の両側端部をこのように形成するこ
とで、第８図に示すように、両側縁を衝き合わせ
状となした際に、衝き合わせ部３１が重なり状に
合致してその当接面にろう材層３０ｂを介在させ
ることができ、その後のろう付により衝き合わせ
部３１の十分に接合を保証することができる。

次に、第１５図に示すように、ブレージングシ
ート３０をプレスにより断面Ｕ字状に成形し、さ
らに両側縁が衝き合わせ状となるようにプレスに
より外力を付与しながら丸パイプ形状に変形し
て、第１図及び第２図に示すような所期するヘツ
ダーパイプ３，４を得る。ここに、ブレージング
シート３０の曲げ成形は、筒状成形した時に挿入
孔１３の両端部分のテーパー状孔端面１３ａ，１
３ａをチユーブ挿入方向に対して平行に位置させ
るためには、ブレージングシートの上面がパイプ
内面となる向きで行わなければならない。

こうして製作したヘツダーパイプ３，４は必要
に応じて洗浄した後、製品組み立て工程に送られ
る。このヘツダーパイプはその後ろう付されるも
のであるから、その衝き合わせ部３１はろう付工
程において必然的に接合され、従つて、衝き合わ
せ部を電縫管のように溶接により閉合する必要は
ない。

第４図〜第８図に示す熱交換器の製作は、ヘツ
ダーパイプ３，４のチユーブ挿入孔１３にチユー
ブ１の両端を挿入すると共に、隣接チユーブ間及
び最外側のチユーブの外側にこれもブレージング
シートからなるコルゲートフイン２を介在状態に
配置し、かつパイプの仕切板挿入孔１４に仕切板
９及び１０を挿入し、さらに最外側のコルゲート
フインの外側に上下のサイドプレート１１，１２
を配置して仮組したのち、炉中ろう付等によりこ
れら構成部品を一括ろう付したものである。ヘツ
ダーパイプ３，４の各チユーブ挿入孔１３におけ
る円周方向の両端部孔端面１３ａ，１３ａは、第
２図に示すように、チユーブ挿入方向と平行に位
置するものとなつているから、チユーブ挿入状態
においては挿入孔１３の両端部分を含むほぼ全孔
端面が挿入したチユーブ１の外周面と面接触状態
となる。そしてろう付後においては、第８図に示
すように、ヘツダーパイプ３，４とチユーブ１と
の接続部に十分なフイレツト１５が形成され、ヘ
ツダーパイプ３とチユーブ１とが隙間なく強固に
接合一体化されたものとなる。かつヘツダーパイ
プ３，４の各衝き合わせ部３１にもフイレツトが
形成されて、該衝き合わせ部は密閉状態に接合さ
れたものとなる。しかもヘツダーパイプ３，４は
その製作段階でブレージングシート３０の両側端
部３５ａ，３５ｂを打撃して漸次肉薄状態に圧潰
してあるから、筒状成形後は第８図に示すように
衝き合わせ部３１が重なり状態に合致し、かつ当
接面相互間にろう材層が存在しているから、衝き
合わせ部３１の接合を一層確実かつ十分に保証で
きる。なお、第４図に示す７，８は各ヘツダーパ
イプのそれぞれ上下の蓋片であり、これらの蓋片
は第９図に示すように、キヤツプ形状に成形され
たヘツダーパイプ３，４の筒状成形ろう付前にヘ
ツダーパイプの端部に被せられることにより、パ
イプ閉塞の役割と共に、ろう付加熱時の熱変形に
よるヘツダーパイプの衝き合わせ部３１の開きを
阻止する役割をも兼ねるものである。また第４図
に示す５は冷媒入口管、６は同出口管であり、こ
れら出入口管も他の部品と同様一括ろう付された
ものである。

第１６図及び第１７図はこの発明によつて製作
した他のろう付用パイプを用いたカーエアコン用
サーペンタイン型熱交換器を示すものである。同
図において、１′は多孔押出管を蛇行状に曲成し
たアルミニウムチユーブ、２′はチユーブの平行
部間に介在状態に配置されたコルゲートフイン、
３′は入口ヘツダーパイプ、４′は出口ヘツダーパ
イプである。

上記のヘツダーパイプ３′，４′は、第２０図に
示すように、ブレージングシート３０′の長さ方
向に沿つて単一のチユーブ挿入孔１３′を穿設し、
第２１図に示すように、挿入孔１３′の幅方向両
側の孔端面１３a′，１３a′を傾斜状にテーパー加
工してパイプ成形後における挿入孔の対応孔端面
がチユーブ１′の挿入方向と平行に位置するもの
となした（第１９図に示す）以外は前述した第１
実施例と同じ工程にて製作したものであり、相当
部分を同一の符号にダツシユ記号を付加して示し
てある。そして熱交換器は各チユーブ挿入孔１
３′にチユーブ１′の端部を挿入したのち、やはり
ろう付接合することにより製作したものである。
なお第１６図及び第１７図に示す６′，５′は出入
口ヘツダーパイプの一端に接続した冷媒出口管と
同入口管、７′，８′は各ヘツダーパイプの他端を
閉塞する蓋片であり、該蓋片７′，８′は前記と同
様にろう付加熱時の熱変形によるパイプ衝き合わ
せ部３１の開きを防止する役割を兼ねるものであ
る。

発明の効果 この発明は上述の次第で、ブレージングシート
の段階でチユーブ等挿入用の挿入孔を穿設するか
ら、パイプ成形後に孔加工する場合のような管壁
の圧潰や変形をなくすことができ、寸法精度の高
い挿入孔を形成できる。また、ブレージングシー
トに孔あけを行つたのちブレージングシートの両
側縁を衝き合わせ状となすことにより筒状に成形
するものであるから、衝き合わせ部を必然的に避
けて挿入孔を開けることができ、衝き合わせ部を
避けるための確認作業を不要となしうる。さらに
は、筒状成形後の挿入孔の円周方向における両側
部分の孔端面がチユーブ等の挿入方向に対して平
行状に位置するように、ブレージングシートの段
階で前記挿入孔の対応孔端面を傾斜状にテーパー
加工しておくから、チユーブ等の挿入時に挿入孔
の両側部分の孔端面を挿入チユーブの外周面に面
接触状態に適合させることが可能となり、挿入孔
の特に円周方向の両端部分と挿入チユーブとの間
の隙間の発生を防止しえ、ひいては十分なろう付
接合を可能として確実な接続連結強度を達成でき
る。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明によつて製作したヘツダーパ
イプとしてのろう付用パイプを示す断面斜視図、
第２図は第１図の−線断面図、第３図は第１
図のろう付用パイプの正面図、第４図は第１図〜
第３図に示すろう付用パイプをヘツダーパイプと
して用いた熱交換器の正面図、第５図は同じく平
面図、第６図は第４図の−線断面図、第７図
はヘツダーパイプとチユーブとコルゲートフイン
とを分離して示す斜視図、第８図は第４図の−
線断面図、第９図は第４図の−線断面図、
第１０図〜第１５図は第１図〜第３図に示したヘ
ツダーパイプの製造工程を説明するための図で、
第１０図は材料としてのブレージングシートの断
面斜視図、第１１図は第１０図のXI−XI線断面
図、第１２図は挿入孔及び切欠き形成後の断面斜
視図、第１３図は第１２図の−線断面
図、第１４図はブレージングシートの両側端部を
打撃した後の断面図、第１５図は断面Ｕ字状に成
形した後の断面斜視図、第１６図は他のろう付用
パイプをヘツダーパイプとして用いた熱交換器の
斜視図、第１４図は第１６図の熱交換器のヘツダ
ーパイプとチユーブとを分離して示す斜視図、第
１８図は第１７図に示すヘツダーパイプの拡大斜
視図、第１９図は第１８図の−線断面
図、第２０図は第１８図に示すヘツダーパイプの
製作工程におけるチユーブ挿入孔穿設後のブレー
ジングシートの断面斜視図、第２１図は第２０図
のXI−XI線断面図である。 ３，４……ヘツダーパイプ（ろう付用パイプ）、
１３……挿入孔、１３ａ……挿入孔両端部端面、
３０……ブレージングシート、３０ａ……心材、
３０ｂ……ろう材層、３１……衝き合わせ部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 心材の少なくとも片面にろう材層をクラツド
   したブレージングシートにチユーブ等挿入用の挿
   入孔を形成したのち、ブレージングシートの両側
   縁を衝き合わせ状態となすことにより筒状に形成
   するろう付用パイプの製造方法であつて、パイプ
   の挿入孔の円周方向における両側部分の孔端面が
   チユーブ等の挿入方向に対して平行状に位置する
   ように、ブレージングシートの段階で前記挿入孔
   の対応孔端面を傾斜状にテーパー加工しておくこ
   とを特徴とするチユーブ等との接続連結性に優れ
   たろう付用パイプの製造方法。