JPH0318604B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はニンニク末のニワトリロイコチトゾー
ン症予防方法に関する。

ニワトリのロイコチトゾーン症はニワトリヌカ
カを媒介して原虫感染により発症する重要な鶏病
である。従つてロイコチトゾーン症はニワトリヌ
カカの発生する時期に流行し、出血死亡・貧血・
発育遅延・軟卵および産卵率低下等の諸症状が認
められ、養鶏業にとつて経営上多大の被害を与え
るため、本症の防疫対策が非常に重要となつてい
る。

従来、ロイコチトゾーン症の対策薬剤として一
般的にピリメタミンおよびサルフア剤ないしこれ
らの合剤が使用されてきたが、いづれも畜産物安
全性の面から薬事法の改正により使用の規制が強
化された。しかし、本症は毎年発症の危険性を有
することから適切な防疫の確立が必要である。現
在ではニワトリヌカカの防除法として、ピレスロ
イド系、カーバメイト系および有機燐系などの殺
虫剤が散布・噴霧・くん煙などの方法で使われて
いるが、これら薬剤の残効性に欠点があつて十分
な駆除効果をあげるに至つていない。また飼養環
境の改善および防虫ランプの利用法も行われてい
るが、いずれも方法に限界があつて満足な効果は
期待できない。

一方ニンニク加工物即ちニンニク末、ニンニク
顆粒・ニンニクエキスなどは従来から鶏の飼料添
加物として広く用いられ、産卵率・飼料効率の向
上、疲労・ストレスの防止、摂餌性の改善などに
効果が認められ、養鶏経営にとつて有益に寄与し
ている。

他方発明者らはニンニク加工物即ちニンニクエ
キス・ニンニク精油並びにニンニク精油成分であ
る二硫化ジアリールおよび三硫化ジアリールが蚊
の成虫（イエカ属アカイエカ）に対して強力な殺
虫効果を示すことを既に明らかにした。発明者ら
はこれらの知見をニワトリヌカカ防除法への応用
を検討するに至つた。

本発明は上記通常のニワトリヌカカ防除方法の
不備・欠点を排除することを目的に行われたもの
である。即ち本発明はニンニク加工物であるニン
ニク末（ニンニク末がニンニク顆粒であつても差
し仕えない）ないしニンニク末へニンニク精油を
添加してニンニク末に含有するニンニク精油成分
を適量に保持したニンニク末をニワトリに投与す
ることを特徴とするロイコチトゾーン症予防方法
に関する。

本発明に用いるニンニク末は通常、生ニンニク
をスライスしたのち、強制的に脱水・乾燥に付し
てフレークとした後、粉末化して製する。上記ニ
ンニク末は工程中、一部酵素反応もあづかりニン
ニク精油成分、即ちジアリールモノスルフイツ
ド・ジアリールジスルフイツド・ジアリールトリ
スルフイツド・アリールメチールモノスルフイツ
ド・アリールメチールジスルフイツドおよびその
他のアリール化合物が微量成分として含まれてい
る。しかし、精油成分の含有量はかならずしも一
定していない。一方、ニンニク精油は通常生ニン
ニクを破砕して十分酵素を作用させた後、水蒸気
蒸留に付し、蒸留液から精油分を分離回収するこ
とによつて製する。成分は上記と同様である。

従つてニンニク末そのものを投与してもある程
度ロイコチトゾーン症予防効果は期待されるもの
であるが、さらにニンニク末へニンニク精油を添
加して、ニンニク末が保持する精油の含有量を適
量に調整することによつて、小量の投与によりロ
イコチトゾーン症の予防効果を確実に上げると同
時に経済効果も高めることができる特長を有す
る。

本発明を実施するに当つて、適量のニンニク精
油を保持させたニンニク末が通常の手段・方法を
もつて飼料へ任意の割合で添加または混合し、給
与することにより、防除作業の繁雑性を省力でき
る長所も有している。

本発明のロイコチトゾーン症予防方法に使用す
るニンニク末は、ニンニク精油を添加してニンニ
ク末に保持される精油成分量が0.4％〜1.0％好ま
しくは0.5％以上であるものを用いる。

次に実施例をあげて説明する。

実施例 １ ニンニク末に保有されるニンニク精油成分が、
0.5％になるように調整したニンニク末を使用し、
通常の方法・手段によつて飼料に対して0.5％を
添加もしくは混合したものを試験飼料とした。被
験採卵鶏を試験区および対照区の２区に分け、試
験区は上記試験飼料を対照区は無添加飼料を与え
飼養し、ニワトリヌカカ吸血試験に供した。両区
の被験鶏はそれぞれ翼下膜の羽を脱羽し、ニワト
リヌカカ雌性成虫100頭を上記翼下膜に強制的に
暗所で15分間吸血させ、吸血状況を鏡検して判定
し、吸血率を算出した。一方上記被験鶏について
経時的に採血し血液生化学的性状を調査し、副作
用の有無を検討した。吸血率の結果は試験区即ち
ニンニク末0.5％添加区は48.9％で対照区の68.3％
に比べ低率を示した。

また血液および血液生化学的性状検査は試験区
および対照区とも正常範囲で異常は認められず試
験区の安全性が確認された。

実施例 ２ 上記実施例１で用いたニンニク末を飼料に対し
て0.5％および0.3％を添加もしくは混合したもの
を、32週令時の未越夏の採卵鶏であつて、しかも
ロイコチトゾーン症の血液および血清学的診断法
を用いて、本症の原虫および抗体が証明されなか
つたものを300羽選び、ニンニク末0.5％添加区お
よび0.3％添加区並びに対照区それぞれ100羽づつ
分け、ニワトリヌカカの発生する６月から９月ま
での４カ月間野外試験を実施した。

本症の予防効果判定は１週間毎に採血し血液塗
抹ギムザ染色標本によるロイコ原虫であるガメト
ゴニーの有無を鏡検した。ロイコ原虫の血中出現
率はニンニク末0.5％添加区は10％であり、同0.3
％添加区において30％であり、対照区は50％を示
し、特にニンニク末0.5％添加区では有意に原虫
の出現率を低下した。

一方上記各区にける臨床症状ではニンニク末添
加区はいずれもロイコチトゾーン症の発症は認め
られず、産卵性も異常は認められなかつた。

実施例 ３ ニンニク顆粒に保持されるニンニク精油成分が
1.0％になるように調製したニンニク顆粒を成鶏
用飼料に対して0.2〜0.5％の割合で添加した。

一方、被験鶏としてニワトリヌカカによる吸血
未経験の30週令時採卵鶏300羽を１群100羽として
３群に分け、その中２群を試験群として、上記の
添加飼料を0.2％添加群及び0.5％添加群とし、１
群を対称群として無添加飼料をそれぞれ投与し
た。投与はニワトリヌカカの発生する夏期の３ケ
月間行い、ニワトリ・ロイコチトゾーン症の予防
効果について野外試験を行つた。

本症の感染判定は各群10羽について１週間毎に
採血し、ニワトリのロイコチトゾーン症寒天ゲル
内沈降反応用診断法により抗体検査を血清につい
て実施するとともに、血液塗抹ギムザ染色標本に
よるロイコチトゾーン・カウレリーのガメトサイ
トの検鏡を行つた。

また各群100羽について産卵率を測定し、ロイ
コチトゾーン・カウレリー感染の産卵性に及ぼす
影響をあわせて調査した。

ロイコチトゾーン症の抗体検出率は対照群で50
％、0.2％添加群で30％、0.5％添加群では10％で
あつた。

ガメトサイトの検鏡結果は対照群で50％、0.2
％添加群で20％、0.5％添加群では０％であつた。

以上のように、添加群では対照群に比較して明
らかにロイコチトゾーン原虫の感染を低下させる
効果が認められた。

産卵性はロイコチトゾーン症原虫の検出が認め
られた前後より産卵が低下し、暫時して次第に回
復傾向を示した。試験期間の平均産卵率は対照群
72.6％に対して、0.2％添加群は78.1％、0.5％添
加群は82.8％であつた。

以上の上記試験結果から、本発明のニンニク加
工物によるロイコチトゾーン症予防方法はすぐれ
た効果が確認された。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ニンニク精油成分を飼料に混合してニワトリ
   に給与することを特徴とするロイコチトゾーン症
   予防方法。 ２ ニンニク末に特許請求の範囲第１項のニンニ
   ク精油成分を添加して、ニンニク末中の精油成分
   が0.4〜1.0重量％になるように添加し、飼料に混
   合してニワトリに給与することを特徴とするロイ
   コチトゾーン症予防方法。