JPH03182262A - 人工皮膚及びその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、人工皮膚及びその製造方法に関する。

さらに詳しくは、本発明は、主に熱傷などによる皮膚欠
損症の創傷面に適用する人工皮膚及びその製造方法に関
する。

〔従来の技術〕

皮膚欠損症の治療に関してコラーゲン、キトサンで作成
したシートを人工皮膚として使用することが知られてい
る〔特開昭６１−２５３０６５号、６２−２４６３７１
号等〕。しかし、これらに開示された方法は、いずれも
皮膚に対する一時的生体適合性についてのみ考慮してい
るにすぎず、実際の治療の上で大切な創面の菌増殖抑制
効果については、全く考慮されていなかった。

〔発明が解決しようとする課題〕

外傷、熱傷などによる皮膚欠損症の治療として、通常採
炭可能な健常皮膚を自家植皮することがある。しかし、
広範囲の重度熱傷患者の場合などは、欠損部の一時的被
覆保護材（人工皮膚）が必要となる。

欠損部の一時的被覆保護において最も重要なことは、外
部から細菌が侵入し、感染することにより生じる敗血症
を防止することである。そこで人工皮膚は、敗血症防止
のために、外部からの細菌の侵入を阻止し、かつ創面に
存在する細菌の増殖を抑制できる創傷被覆材でなければ
ならない。

その他に、人工皮膚は、皮膚に対する生体適合性を有し
、体内からの浸出液を除去し、水蒸気を透過させ、体液
の漏出を防止すること等が要求される。

〔課題を解決するための手段〕

そこで本発明者らは、上記の如き性能を有する人工皮膚
について種々研究した。その結果、銀イオンを含有した
アルミノケイ酸塩を含有する樹脂コート層を、コラーゲ
ン、グルコサミン等の生体適合材料シートの一方または
両方の表面の一部または全部に設けることにより、外傷
、熱傷などによる皮膚欠損症の治療に適し、かつ皮膚刺
激性等の人体に対する安全性も極めて高い人工皮膚を提
供することができることを見出し、本発明を完成した。

以下本発明について説明する。

本発明において生体適合材料としては、例えばコラーゲ
ン、エラスチン、ケラチン、セリシン、フィブリン、フ
ィブロイン等の硬質蛋白質類、キトサン、アセチルグル
コサミン、キチン、ストレプトシトシン等のグルコサミ
ン類、ガラクトサミン類、ペクチン、グルクロン酸、ヒ
アルロン酸、プラストサイジン、アルギン酸、コンドロ
イチン、ヘパリン等のウロン酸類がある。このうち、網
状の成型加工がしやすく、繊維化できるコラーゲンとキ
チン等のグルコサミンが好ましい。

本発明の人工皮膚に用いる生体適合材料シートは、水蒸
気透過性や体液漏出防止の点より、網状のものが好まし
い。網状シートは、上記生体適合材料を溶媒、加熱等に
より溶解し、これを紡糸加工して繊維化し、次いでシー
ト状に加工することにより得られる。繊維のシート化法
は一般に知られている方法、例えば、湿式不織布法（繊
維を５〜２０ｍｍに切断し、水溶性バインダーに分散し
て圧縮、乾燥して、網状シートに成型する）を用いるこ
とができる。網状シートの例としては不織布、編物、織
物等を挙げることができる。

本発明においてアルミノケイ酸塩としては、般にゼオラ
イトと呼ばれる結晶性アルミノケイ酸塩や無定形アルミ
ノケイ酸塩を挙げることができる。ここで「ゼオライト
」としては、天然ゼオライト及び合成ゼオライトのいず
れも用いることができる。ゼオライトは、一般に三次元
骨格構造を有するアルミノケイ酸塩であ゛す、一般式と
してＸＭ２／。０−Ａｌ２Ｏ５・Ｙ　Ｓ　ｉ　Ｏ２・Ｚ
Ｈ２０で表示される。ここでＭはイオン交換可能なイオ
ンの金属イオンである。ｎは（金属）イオンの原子価で
ある。Ｘ及びＹはそれぞれの金属酸化物及びシリカ係数
、Ｚは結晶水の数を表示している。ゼオライトの具体例
としては、例えばＡ型ゼオライト、Ｘ型ゼオライト、Ｙ
型ゼオライト、Ｔ型ゼオライト、高シリカゼオライト、
ソーダライト、モルデナイト、アナルサイム、クリノプ
チロライト、チャバサイト、エリオナイト等を挙げるこ
とができる。ただし、これらに限定されるものではない
。

本発明に用いるアルミノケイ酸には、無定形アルミノケ
イ酸塩の含水物も包含される。無定形アルミノケイ酸塩
（以下ＡＡＳという）は、一般に組成式ＸＭ２０−Ａ　
ｌ　２０ｓ・ｙＳｉＯ２・Ｈ２Ｏで表示され、ここでＭ
は一般にナトリウムやカリウムのアルカリ金属元素であ
る。またｘ、ｙ、ｚはそれぞれ金属酸化物、シリカ、結
晶水のモル比率を示している。ＡＡＳはゼオライトと称
させている結晶性アルミノケイ酸塩と異なり、Ｘ線回折
分析でも回折パターンが現れない非晶質の物質であり、
その合成工程にて数１０人の極く微細なゼオライト結晶
が生成し、その表面にＳｉＯ２・Ａ　１２０、・Ｍ　２
０などが複雑に組合された非晶質物質であり付着した構
造と考えられている。ＡＡＳの構造は一般にはアルミニ
ウム塩溶液、ケイ素化合物溶液及びアルカリ金属塩溶液
を所定の濃度で６０℃以下の低温度域で反応させ、結晶
化が進行する前に水洗して製造される。このような方法
で製造させたＡＡＳは、ゼオライトとほぼ同様の水吸着
性能とイオン交換性能を有する。製造法としては、例え
ば特開昭５３−３０５００号、特開昭６１−１７４１１
１号などに記載された方法がある。

尚、本発明に用いるアルミノケイ酸塩の粒子径には特に
制限はない。ただし、分散性良く人工皮膚の表面に適用
できる観点からは、粒子径は比較的小さいことが好まし
く、例えば０．０４〜２０μｍ、好ましくは０．５〜５
μｍである。

本発明で用いる銀イオン含有アルミノケイ酸塩は、上記
アルミノケイ酸塩中のイオン交換可能なイオン、例えば
ナトリウムイオン、カルシウムイオン、カリウムイオン
、マグネシウムイオン、鉄イオン等の一部又は全部を銀
イオンでイオン交換して調製される。

以下本発明で用いる銀イオン含有アルミノケイ酸塩の製
造方法について説明する。例えば本発明で用いる銀イオ
ン含有アルミノケイ酸塩は、予め調製した銀イオンを含
有する水溶液にアルミノケイ酸塩を接触させて、アルミ
ノケイ酸塩中のイオン交換可能なイオンと上記イオンと
を置換させる。

接触は、１０〜７０℃、好ましくは４０〜６０℃で３〜
２４時間、好ましくはｌＯ〜２４時間バッチ式又は連続
式（例えばカラム法）によって行うことができる。尚、
上記混合水溶液のｐＨは３〜１０、好ましくは５〜７に
調整することが適当である。該調整により、銀の酸化物
等のアルミノケイ酸塩表面又は細孔内への析出を防止で
きるので好ましい。又、水溶液中の銀イオンは、通常塩
として供給される。例えば、硝酸銀、硫酸銀、過塩素酸
銀、酢酸銀、ジアミン銀硝酸塩、ジアンミン銀硫酸塩等
を用いることができる。

アルミノケイ酸塩中の銀イオンの含有量は前記溶液中の
銀イオン（塩）濃度を調節することによって、適宜制御
することができる。例えば、前記水溶液中の銀イオン濃
度を０．００２〜Ｏ，１５Ｍ／ｌとすることによって、
適宜、銀イオン含有量０．１〜５％の銀イオン含有アル
ミノケイ酸塩を得ることができる。

イオン交換が終了したアルミノケイ酸塩は、充分に水洗
した後、乾燥する。乾燥は、常圧で１０５°Ｃ−１１５
°Ｃ１又は減圧（１〜３０ｔｏｒｒ）下７０〜９０℃で
行うことが好ましい。尚、本明細書において、％とは１
１０℃乾燥基準の重量％をいう。

本発明においては、上記銀イオン含有アルミノケイ酸塩
を含有する樹脂コート層を生体適合材料シートの表面の
一方又は両方の一部又は全部に設ける。コート層を設け
る方法としては、例えば樹脂に銀イオン含有アルミノケ
イ酸塩を分散させ、これを含浸法、スプレー法、ロール
コーティング法等により生体適合材料の表面に塗付する
方法がある。樹脂コート層を構成する樹脂としては、例
えば、ポリビニルアルコール、アルキル樹脂、アミノア
ルキド樹脂、アクリル樹脂、ビニール樹脂、エポキシ樹
脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、塩化ゴム等が挙げ
られる。このうち体内浸出液を吸水しやすい性質を有す
るという観点より、ポリビニルアルコールが好ましい。

本発明の人工皮膚の樹脂コート層及び／又は生体適合シ
ートには所望により薬剤学的な補助剤、例えば、粘性調
製剤、分散剤、湿潤剤、皮膚軟化剤、安定剤、顔料、香
料、ｐＨ緩衝剤等を添加することもできる。

本発明の人工皮膚は、外傷、熱傷等の皮膚欠損症の治療
に用いる創傷被覆材、創傷カバー材、代用皮膚、止血材
等の他、老人の褥瘉（じゅくそう）幼児のおむつかぶれ
の防止として、シーツ、おむつ、衣類等に装着すること
もできる。

〔発明の効果〕

本発明の人工皮膚は、外傷、熱傷による皮膚欠損症の治
療に適したものである。具体的には、■生体適合性が高
い、■細菌増殖を抑制する、■体内浸出液を除去する、
■水蒸気通過性が高い等の人工皮膚に要求される全ての
機能を有し、さらに皮膚刺激性等人体に対する安全性も
極めて高い。

〔実施例〕

以下、本発明の実施例によりさらに詳しく説明する。

参考例（銀イオン含有アルミノケイ酸塩の調製）アルミ
ノケイ酸塩としては、市販のＡ型ゼオライ　　ト　　（
Ｎａ　　２０　　＠　　Ａ　　ｌ　　ｚｏｚ　　・　　
１．　９　　Ｓ　　　ｉ　　Ｏ２・　　ＸＨ２Ｏ：平均
粒子径１．２μｍ）、市販のＹ型ゼオライト（Ｎａ２０
”Ａｌｚ０３”４．ｌＳｉＯ２”ＸＨ２Ｏ：平均粒子径
０．７μｍ）、特開昭６１−１７４１１１号に準拠して
得た無定形アルミノケイ酸塩（０゜９３Ｎａ２０−　Ａ
　１ｔＯｓ−２，５５Ｓ　ｉｏ２”ＸＨ２Ｏ：平均粒子
径０．９μｍ）の３種類を使用した。イオン交換のため
銀イオンを提供する塩として硝酸銀を用意した。表１に
各サンプル調製時に使用したアルミノケイ酸塩種類と硝
酸銀溶液濃度を示した。Ｎｏ、１〜４の４種類の銀イオ
ン含有アルミノケイ酸塩とも、１１０℃で加熱乾燥し、
粉末１　ｋｇに水を加えて、１．３１のスラリーとし、
その後攪拌して脱気し、さらに適量の０．５規定濃度の
硝酸水溶液と水を加えてｐＨを５〜７に調整し、全容を
１．８１のスラリーとした。次にイオン交換のため、所
定濃度の硝酸銀溶液３１を加えて４０〜６０℃にて２４
時間攪拌しつつ平衡状態に到達させた状態に保持した。

イオン交換終了後アルミノケイ酸塩相を濾過し、温水で
アルミノケイ酸塩相中の過剰銀イオンがなくなるまで水
洗した。次いで、１１０°Ｃで加熱乾燥してサンプルを
得た。

実施例（人工皮膚の製造） ズワイガニの甲殻の粉砕品１００ｇを脱灰、除蛋白して
、ポリ−Ｎ−アセチル−Ｄ−グルコサミンを得た。これ
を溶剤に溶解し、湿式紡糸機にて１５デニールの繊維を
作成した。さらにこれを長さ１５ｍｍに切断し、バイン
ダーを加え、圧縮乾燥して、目付８５ｇ／ｒｔｒの不織
布（生体適合材料）を得た。

参考例で得た銀イオン含有アルミノケイ酸塩１０部をポ
リビニルアルコール（ポバール５ＶＩＯ４）１００部に
分散させ、上記不織布にロールコーティング法にて、両
表面にそれぞれ５０　ｇ／ｒｒｒ塗付して、４種類の人
工皮膚を得た。なお比較例１として銀イオン含有アルミ
ノケイ酸塩を塗付しないものも同様に作成した。

試験例１　（抗菌性試験） 実施例で得た人工皮膚に緑膿菌液（Ｐｓｅｕｄ４個１ ０ｍｏｎａｓ　　　ａｅｒｕ　　　１ｎｏｓａ；１Ｏ−
）５−を噴霧し、３７℃、２４時間培養後の菌数を計測
して、抗菌力を評価した。結果を表２に示す。

試験例２（動物試験） 実施例で得た人工皮膚、及び比較例２としてポリエステ
ル不織布に抗菌剤としてストレプトマイシンを塗付した
ものをラット各５匹の背部の皮膚が火傷で損傷した部分
１５ｘ１５ｍｍ（約５０％部分には真皮存在）に装着し
た。皮膚生着性、化膿有無、治癒状態等を観察し、人工
皮膚としての実用性を評価し、また２日後の創面の一般
細菌数を測定した。結果を表３に示す。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. （１）銀イオン含有アルミノケイ酸塩を含有する樹脂コ
   ート層を、一方または両方の表面の一部または全部に有
   する生体適合材料シートからなる人工皮膚。
2. （２）銀イオン含有アルミノケイ酸塩を含有する樹脂溶
   液を、生体適合材料シートの一方または両方の表面の一
   部または全部に塗布することを含む人工皮膚の製造方法
   。