JPH0318184B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は複写機等の像形成装置において、受光
面での波長による感度特性、即ち感光性を補償す
る波長選択性のある結像レンズを備えた像形成装
置に関するものである。

従来、複写機等で例えば感光体としてCdS系の
ものを、また原稿照明用の光源としてハロゲンラ
ンプを用いると感光体の分光感度特性と、光源の
分光波長特性の相乗効果によつて、原稿に書かれ
た赤の文字や図形が薄くなつたり全く写らないと
いつた現象が起きることが知られている。これは
ハロゲンランプでは通常使用されるフイラメント
温度3000〓前後で、その発光エネルギーは800乃
至900mμの赤外域に最大値を持ち、短波長側へ行
くに従つて一様に減少するのに対し、CdS感光体
の分光感度は赤外から近赤外域部分が高く、その
結果、原稿上の青色及び緑色の文字や図形の露光
に比較して、赤色の文字や図形の露光が過多にな
るために発生するものである。

ところでセレン系の感光体の場合には逆に青色
の文字や図形が写り難くなる。このような感光
体、照明光源等の感色性は補償されて複写される
ことが望ましい。これを解決する手段として従
来、平板色フイルターを用いるものと、多層干渉
薄膜を用いるものがある。これらは所定波長域例
えば前述のCdS系感光体及びハロゲンランプの組
合わせの系では近赤外域の光を減衰させ、この部
分での露光過多を防ぐものである。

しかし平板色フイルターを用いると平行平面の
収差が有り、またフイルターの特性により近赤外
域以外の有効波長域での光量損失が有り、とりわ
けインミラー型レンズでは二回フイルターを通過
するため量光損失が大きくなるという欠点があ
る。

更にフイルターの部品を１点追加することでコ
スト高となる。

一方、多層干渉薄膜を用いると、蒸着工程でコ
スト高となり各光学系の諸元とりわけ入射角度に
よつて分光特性が変動するといつた欠点がある。

ところで従来、近赤外域をカツトさせる熱線吸
収フイルターが、更にはこれを例えばスライドプ
ロジエクター用のコンデンサレンズとして用いる
ことが知られている。しかしこれは昇温防止のた
めのもので、本発明のような感光体の分光感度特
性に合わせた広い波長域での波長選択という点を
何等示唆していない。また所定の光学性能をもつ
た結像レンズとして用いられているものではな
い。

本発明の目的は、上記問題点を鑑み、受光面で
の感光性を補正するに際して、収差発生の問題が
なく、低コストで且つ入射光の角度変化により分
光特性が変化しない様な結像光学系を備えた像形
成装置を提供することにある。

本発明に係る像形成装置においては、波長によ
り異なる感度を有する受光面に物体の像を形成す
る結像レンズの内、少なくとも１個のレンズは前
記受光面の感度の高い波長域の光を吸収する波長
選択性のレンズであり、且つ、絞り近傍に配置さ
れている。これにより前記受光面の感光性を補償
するものである。

例えば像形成装置の受光面がCdS系の感光媒体
の場合、LaK等のクラウン系若しくはKF等のフ
リント系等の光学ガラスに近赤外域の光を吸収す
る光吸収体を混入することにより所定の結像レン
ズを構成することによつて達成される。この波長
選択性のレンズを用いれば、従来の多層干渉薄膜
のコーテイング等と異なり任意のレンズ構成から
なる光学系に感色性を補償した像形成装置を容易
に設定できる。

以下添付する図面を用いて本発明の実施例を説
明する。

第１図は本発明の像形成装置の一例を示す複写
機の概略図である。原稿面１は照明用光源によつ
て照射され、そのスリツト領域からの光が、原稿
面１に平行に２対１の速度比で移動する走査ミラ
ー３，４によつて固定レンズ５に入射されこの固
定レンズ５によつて固定ミラー６，７を介し感光
ドラム８上にスリツト状に投影される。

第２図は本発明の第１実施例である。これは透
過型レンズであつて両凸レンズ，′、両凹の
負レンズ，′が絞りＡに対し対称的に設けら
れる。

正レンズ，′は分散の小さなクラウン系の
光学ガラスより成り、他方負レンズ，′は分
散の大きなフリント系の光学ガラスより成りこれ
らが結合して色収差が抑えられ、諸収差が補正さ
れた複写機用レンズを構成している。

ここで負レンズにはフリント系の光学ガラス
に近赤外域の光を吸収する光吸収体が均一に混入
されている。これによつて感光体８、照明用光源
２の感光性が補償される。

ここで受光面の感色性を補償する波長選択性の
レンズである負レンズは絞り近傍に配置されて
いる。このように、受光面の感色性を補償する波
長選択性のレンズを絞り近傍に配置すれば、光束
の入射角の角度変化（画角の変化）があつてもレ
ンズの中心部と周辺部とでの光束の透過光路長の
変化は小さく抑えられるので、透過する光束の分
光特性の変動は小さく抑えられる。

光吸収体としては鉄、アルミン酸コバルト、酸
化タングステン、モリブデン、ニオブ、レニウム
等が用いられる。この光吸収体を均一に混入した
光学ガラスから成るレンズは通過する有効光束の
軸上光路長、軸外光路長がほぼ等しいことが光吸
収による光量損失のバランスの点で望ましい。こ
の意味で単レンズとして第３図に示されるメニス
カスのようなものは軸上、軸外光路長がほぼ等し
いものといえる。

単レンズだけでこの光路長のバランスがとれな
い系においては複数枚の単レンズに光吸収体を混
入し、透過する全光路長でバランスをとることが
できる。ここで光吸収体を混入したレンズは屈折
率、分散値を所定範囲内に制御されているため材
質的に安定した結像作用を示すものである。ここ
でCdS系感光体の分光感度特性を補償するレンズ
の分光透過率特性を示せば第４図の如くなる。

以上、本発明によればレンズ自体に波長選択性
をもたせ、感光体、照明光源等の感色性を補償し
た像形成装置を提供できる。ここで感光体として
は、CdS系、セレン系等の他、有機半導体
（OPC）から成るものを含む。

なお本発明は上述の実施例に限られず任意の構
成のレンズに適用できる。更には像形成装置とし
ては複写機の分野に限られず、例えば所定の受光
素子の感度特性をもつテレビ撮像装置に適用され
得る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の像形成装置に係る複写機の概
略図、第２図、及び第３図は各々本発明に係る像
形成装置に用いられる結像レンズ系の実施例を示
す図、第４図はCdS系感光体の分光感度特性を補
償するレンズの透過率特性を示す図である。 １……原稿面、２……照明用光源、３……レン
ズ、８……感光体。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 波長により異なる感度を有する受光面上に結
   像レンズを介して物体の像を形成する像形成装置
   において、前記結像レンズの内少なくとも１個の
   レンズは前記受光面における感度の高い波長域の
   光を吸収し前記受光面の感色性を補償する波長選
   択性のレンズ硝材で形成され、且つ、絞り近傍に
   配置されていることを特徴とする像形成装置。 ２ 前記波長選択性のレンズは、波長選択性の光
   吸収体が混入されたレンズである特許請求の範囲
   第１項記載の像形成装置。 ３ 前記受光面はCdS系感光体である特許請求の
   範囲第１項記載の像形成装置。 ４ 前記受光面は有機半導体から成る特許請求の
   範囲第１項記載の像形成装置。 ５ 前記受光面はセレン系感光体である特許請求
   の範囲第１項記載の像形成装置。