JPH0317245Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （技術分野） この考案は、薄切した病理検体等を貼着したス
ライドガラスの上面に更に薄いカバー片を貼着
し、顕微鏡標本とする場合に使用する顕微鏡標本
作成用カバー片貼着装置に、病理検体等を貼着し
ただけで未だカバー片を貼着していないスライド
ガラスを収容したスライドケースを装着する部分
の構造の改良に関する。

（考案の背景） 患部から切除した病理検体を顕微鏡標本とする
には、この病理検体をパラフインにより包埋して
から薄切し、スライドガラスの表面に貼着した後
染色して、更にこの上に薄いカバー片を貼着す
る。このような顕微鏡標本を製作する際に利用す
る装置として、薄切した病理検体を貼着しただけ
で未だカバー片を貼着していない複数枚のスライ
ドガラスを収納したスライドケースを一端に装着
し、このスライドケースから上記スライドガラス
を１枚ずつ取り出して、このスライドガラスの上
に一定長さに切断した透明な合成樹脂製のカバー
片を貼着し、更にこのカバー片を貼着したスライ
ドガラスを他端に設けた別のスライドケースに順
次収納する、顕微鏡標本作成用カバー片貼着装置
が知られている。

即ち、第１図に示すように、水平方向に配設さ
れたコンベヤ１の上方に、表面に接着剤をコーテ
イングした透明で帯状のカバー片２のコイル３を
設け、このコイル３からローラ４，４ａにより一
定長さずつ引き出された上記カバー片２を、カツ
タ５により切断し、更にローラ６，７を介してコ
ンベヤ１上に載せられたスライドガラス８の上面
にまで送る。スライドガラス８の上面には、ノズ
ル９から予め接着剤の溶剤が滴下されているた
め、コンベヤ１の直上に設けた弾圧ローラ１０に
より、一定長さに切断されたカバー片２をスライ
ドガラス８の上面に押圧すれば、このカバー片２
はスライドガラス８の上面に貼着され、スライド
ガラス８の上面に予め貼着した病理検体は、スラ
イドガラス８とカバー片２との間に挟まれた状態
で封入される。コンベヤ１の上面には、図面の左
側に位置するスライドケース１１から、染色済の
標本を貼着し未だカバー片を貼着していないスラ
イドガラス８が１枚ずつ送り出され、弾圧ローラ
１０を通過してカバー片２を貼着されたスライド
ガラス８は、シユート１３を経て図面の右側に位
置するスライドケース１２に収められる。

各スライドケース１１，１２は、第２図に示す
ように構成されている。即ち、横方向に開口した
四角枠状の主部１４の互いに対向する内側面に
は、複数の突壁１５，１５が当間隔で形成されて
いる。又、主部１４の一方の外側面には、２本の
突条１６，１６が、他方の外側面には３本の突条
１７，１７がそれぞれ形成されている。更に、主
部１４の一端開口部の上下両縁には、それぞれ延
長片１８，１８が形成されており、各延長片１
８，１８の先端部同士の間には、外面が鋸歯状に
形成された係止棒１９，１９が掛け渡されてい
る。各係止棒１９，１９の内面には、上記主部内
面の突壁１５，１５の間隔に合せて複数の突起２
０，２０を形成しており、上記突壁１５，１５の
間に挿入され、この突壁１５，１５により一端部
両側縁を支持されたスライドガラスの他端縁を支
持できるようにしている。主部１４に両端を枢着
した把手２１の中央には係止片２２を固定してお
り、標本の染色作業を行なう際にこの係止片２２
により、スライドケース１１を吊り下げられるよ
うにしている。把手２１は、スライドケース１１
へのスライドガラスの出し入れ時に邪魔にならな
いように、側方に回転できるようになつている。
主部１４の上下面には、把手２１の回転時にこの
把手２１の基部を嵌合させ、この把手２１の回転
に対してクリツク感を与えるためのＵ字溝が形成
されている。

顕微鏡標本作成用カバー片貼着装置により、予
め薄切し染色した検体を貼着したスライドガラス
に更にカバー片を貼着する場合、上述のようなス
ライドケース１１内に複数枚のスライドガラスを
収納し、これを第１図に示すようにコンベヤ１の
一端に対向させた状態で、上下方向の移動自在に
装着する。即ち、コンベヤ１の一端には、第３図
に示すように、スライドケース本体の一側面３２
に形成した２本の突条１６，１６の間隔よりも僅
かに狭い幅を有する第一のガイドレール２４と、
上記主部１４の他側面３５に形成した３本の突条
１７，１７のうち、両端の突条１７，１７の間隔
よりも僅かに狭い幅に形成され、中央に凹溝２５
を有する第二のガイドレール２６とを、互いに対
向させた状態で上記本体１４の幅よりも僅かに広
い間隔で互いに平行に、鉛直方向に配設してい
る。従つて、第３図に鎖線で示すように、各突条
１６，１７の縁部と各ガイドレール２４，２６の
両側縁とを互いに係合させた状態でスライドケー
ス１１を、第一、第二の案内レール２４，２６の
間に装着すると、このスライドケース１１は、上
下方向の移動のみ自在となる。このようにスライ
ドケース１１を両案内レール２４，２６の間に装
着した状態に於いて、このスライドケース１１の
端部の係止棒１９，１９の鋸歯状部分には、互い
に逆方向に揺動する係止鉤が係合し、スライドガ
ラス８やカバー片２の送り出しと連動してスライ
ドケース１１を、主部内側の突壁１５，１５の１
段分ずつ間欠的に降下させる。即ち、スライドガ
ラスを収納したスライドケース１１を両レール２
４，２６の間に装着し、カバー片貼着装置を運転
すると、スライドケース１１内のスライドガラス
８は下から順にコンベヤ１上に押し出され、スラ
イドガラスが１枚押し出される度にスライドケー
ス１１は、突壁１５，１５の１段分ずつ下降し
て、次のスライドガラス押出しに備える。このよ
うなスライドケースを降下させるための機構とス
ライドガラスを押し出すための機構とは、従来か
ら広く知られているものであるため、図示及び説
明を省略する。

ところで、上述のように構成され作用する顕微
鏡標本作成用カバー片貼着装置に於いて、カバー
片を貼着する前のスライドガラスを収納したスラ
イドケース１１を、第一、第二のガイドレール２
４，２６の間に装着する場合、体裁を整えるため
に貼着装置本体の周囲を覆う状態で設けた、ケー
シングの前面に設けた開口から、上記スライドケ
ース１１を上記ケーシングの内側に挿入し、上記
両ガイドレール２４，２６の間に斜め上方から装
着しなければならない。ところが、スライドケー
ス１１と両ガイドレール２４，２６との係合は、
がたつかないようにされているため、上記ケーシ
ングの前面開口から少し奥まつた位置にある両ガ
イドレール２４，２６の上端部に、スライドケー
ス１１の主部１４を係合させる作業が面倒とな
る。

（考案の目的） 本考案は上述のような不都合を解消するため、
カバー片を未貼着のスライドガラスを収納したス
ライドケースを、ガイドレールの間に容易に装着
することができる、顕微鏡標本作成用カバー片貼
着装置のスライドケース装着部を提供することを
目的としている。

（考案の構成） 本考案の顕微鏡標本作成用カバー片貼着装置の
スライドケース装着部は、互いの間にスライドケ
ースの主部を、上下方向の摺動自在に保持する第
一、第二の両ガイドレールを、顕微鏡標本作成用
カバー片貼着装置本体の周囲を覆うケーシングの
内側に、互いに間隔をあけて平行に且つ鉛直方向
に設け、上記第一、第二の両ガイドレールの内、
上記ケーシングの前面に設けた開口から見て手前
の第一のガイドレールの上方に、主部の側面に形
成した突条の間隔よりも僅かに狭い幅寸法を有す
るガイド片を設けると共に、上記開口から見て奥
の第二のガイドレールの上端を、上記ガイド片の
上面よりも上方に位置させる事で構成されてい
る。

そして上記ガイド片は、上記開口の外側に突出
する方向に折れ曲がり、且つ、上面が奥に向けて
次第に低くなるように傾斜した折れ曲がり部と、
この折れ曲がり部の下方に連続した状態で設けら
れ、上記第二のガイドレールに対し平行で、その
下端部を上記第一のガイドレールの上端部に対し
て整合させたガイドレール部とにより構成されて
いる。

（考案の作用） 本考案の顕微鏡標本作成用カバー片貼着装置の
スライドケース装着部は、以上に述べた通り構成
されるので、第一、第二の両ガイドレールの間に
カバー片未貼着のスライドガラスを収納したスラ
イドケースを装着する場合、スライドケース主部
の第一のガイドレールに対向すべき面をガイド片
の折れ曲がり部の上面に当接させ、両面を摺動さ
せつつスライドケースを、体裁を整える為にカバ
ー片貼着装置本体の周囲を覆つたケーシングの開
口から、このケーシングの奥に挿入する。

この操作により、スライドケース主部の第二の
ガイドレールに対向すべき面の下端縁が、この第
二のガイドレールの内面に当接し、主部側面とガ
イドレールとが整合する。そこで、上記主部の上
部を開口の奥に向けて回動させれば、上記主部側
面が第二のガイドレールの内面と当接するので、
そのまま主部を下降させれば、この主部が第一、
第二のガイドレールの間にがたつきなく保持され
る。

（考案の実施例） 次に図示の実施例を説明しつつ、本考案を更に
詳しく説明する。

第４図は本考案によるスライドケース装着部を
示す斜視図である。顕微鏡標本作成用カバー片貼
着装置本体の周囲を覆う、図示しないケーシング
の内側には、互いの間にスライドケース１１の主
部１４（第２，５図参照）を上下方向の摺動自在
に保持する、第一のガイドレール２４（第３図参
照。第４図には省略。）及び第二のガイドレール
２６が、互いに間隔をあけて平行に且つ鉛直方向
に設けられている。

上記第二のガイドレール２６の幅寸法は、スラ
イドケース１１の主部１４の一方の側面３５に形
成した３本の突条１７，１７のうち、両端の突条
の間隔よりも僅かに狭くし、且つ上記第二のガイ
ドレール２６の中央には、上記突条のうち中央の
突条が係合自在な凹溝２５が形成されている。
又、この第二のガイドレール２６と対向する第一
のガイドレール２４（第３図）の上端部には、こ
の第一のガイドレール２４の上方に連続する状態
で、ガイド片２７が固定されている。

このガイド片２７は、スライドケース主部の他
方の側面３２に形成した突条１６，１６（第２〜
３図）の間隔よりも僅かに狭い幅に形成されたガ
イドレール部２８の上端に、第二のガイドレール
２６と反対方向に向けて折れ曲がつた、折れ曲が
り部２９を形成したものである。即ち、ガイド片
２７の下半部を構成するガイドレール部２８は、
第３図に示した第一のガイドレール２４と同様に
形成されて、やはり鉛直方向に配置されており、
この第一のガイドレール２４の上端と上記ガイド
レール部２８の下端とを、互いに整合した状態で
突き合わせている。

一方、このようなガイドレール部２８の上端に
形成された折れ曲がり部２９の上面は、第二のガ
イドレール２６に向けて次第に低くなる傾斜面３
１をなしている。この傾斜面３１の幅ｗは、上記
ガイドレール部２８と同様に、スライドケース主
部１４の側面の突条１６，１６の間隔Ｗ（第２図）
よりも僅かに小さく形成している。この結果、ス
ライドケース１１の主部１４の両側面のうち、突
条１６，１６を設けた側面３２と傾斜面３１とを
密接させた場合に、上記主部１４の摺動方向を規
制できる。即ち、上記傾斜面３１の方向を規制す
る事で、傾斜面３１とスライドケース主部１４の
側面３２とを互いに密接させ、上記主部１４を第
４図の矢印ａに示す様に、前記ケーシングの開口
から奥に向けて摺動させた場合に、主部１４の他
側面に形成した３本の突条１７，１７のうち、中
央の突条１７の下端部が第二のガイドレール２６
の内側面の凹溝２５に進入し、両端２本の突条１
７，１７の下端部が、上記第二のガイドレール２
６の一部を挟むようにしている。このように、傾
斜面３１とスライドケース主部１４の側面３２と
を互いに密接させ、上記主部１４を第４図の矢印
ａ方向に摺動させた場合に、上記突条１７の下端
部が第二のガイドレール２６の内側面の凹溝２５
に進入する様に、上記第二のガイドレール２６の
上部は、ガイド片２７の上面よりも少し上方にま
で突出させている。

更に、図示の実施例に於いては、図示しないケ
ーシングの一部で、第一、第二の両ガイドレール
２４，２６、ガイド片２７とから成るスライドケ
ース装着部よりもコンベヤ１（第１図）寄りの部
分に、平板状の規制板３３を固定している。この
規制板３３は、上半の幅狭部３３ａと下半の幅広
部３３ｂとの間に、第二のガイドレール２６から
第一のガイドレールに向けて次第に低くなる傾斜
辺３４を有し、前記第二のガイドレール２６とガ
イド片２７のガイドレール部２８との間に支持さ
れたスライドケース１１の主部１４を下降させた
場合に、上記主部１４に枢支された把手２１（第
２図）の下縁が、上記傾斜辺３４に衝合する様に
している。

上記規制板３３は上述の様に構成されるため、
スライドケース１１の把手２１を第２図に示すよ
うにスライドガラスの収納方向と平行に配置した
まま、このスライドケース１１を第一、第二の両
ガイドレール２４，２６の間に挿入し、更にこの
スライドケース１１を下降させた場合、上記把手
２１は上記傾斜辺３４との衝合に基づいて、第２
図及び第５図の矢印ｂ方向に回動し、この把手２
１が第５図に鎖線イで示すように、スライドケー
ス１１の主部１４の開口部から側方（第５図の下
方）に退避する。この結果、上記把手２１が、ス
ライドケース１１からスライドガラス８，８（第
１図）を押し出す際に邪魔にならなくなる。スラ
イドケース１１から押し出されたスライドガラス
は、このような規制板３３の下側を通つてコンベ
ヤ１（第１図）に移る。

以上に述べたように構成される本考案の顕微鏡
標本作成用カバー片貼着装置のスライドケース装
着部にスライドケースを装着するには、次のよう
にして行なう。

先ず、染色済の標本を貼着した複数枚のスライ
ドガラスを収納したスライドケース主部の一方の
側面３２を、顕微鏡標本作成用カバー片貼着装置
本体の周囲を覆うケーシングの前面に設けた開口
部から露出したガイド片２７の傾斜面３１に当接
させる。把手２１は、第２図に示す状態に位置さ
せたままとしておく。

そして、上記側面３２と傾斜面３１とを密接さ
せた状態のまま、上記主部１４を、第４図の矢印
ａで示すように、ケーシングの開口部から奥に押
し込む。これにより、主部１４の他方の側面３５
の中央部に形成した突条１７の下端部が第二のガ
イドレール２６の中央の凹溝２５に係合すると同
時に、両端の突条１７，１７が、上記第二のガイ
ドレール２６の一部を挟む。次いで、主部１４の
上部を、上記他方の側面３５の下縁と第二のガイ
ドレール２６の内面との当接部を支点として、第
２図に矢印ｃで示すように、上記ケーシングの奥
に向けて回動させ、上記突条１７をその全長に亙
つて凹溝２５と係合させると共に、上記他方の側
面３５と第二のガイドレール２６の内面とを、前
面に亙つて当接させる。その後、主部１４を下降
させれば主部１４の両側面３２，３５の両端縁に
形成した突条１６，１７がいずれも、第一、第二
の両ガイドレール２４，２６の両側縁と係合す
る。

このように主部１４を下降させる際、スライド
ケース１１に装着した把手２１は、規制板３３の
傾斜辺３４に押されて、第２図及び第５図の矢印
ｂ方向に回動する。これにより、スライドケース
１１内に収納されたスライドガラスがコンベヤ１
に押し出される体勢が整い、しかもスライドガラ
ス押し出しの際に把手２１が邪魔になることもな
くなる。

（考案の効果） 本考案の顕微鏡標本作成用カバー片貼着装置の
スライドケース装着部は、以上に述べた通り構成
され作用するため、ケーシングの前面に設けた狭
い開口からスライドケースを挿入し、第一、第二
のガイドレールの間に装着する作業を容易かつ迅
速に行なうことができ、顕微鏡標本作成作業の能
率化を図れる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の対象となる顕微鏡標本作成用
カバー片貼着装置の略側面図、第２図はスライド
ケースの斜視図、第３図はスライドケース装着部
を構成する第一、第二のガイドレールの平面図、
第４図は本考案のスライドケース装着部の斜視
図、第５図は同平面図である。 １……コンベヤ、２……カバー片、３……コイ
ル、４，４ａ……ローラ、５……カツタ、６，７
……ローラ、８……スライドガラス、９……ノズ
ル、１０……弾圧ローラ、１１，１２……スライ
ドケース、１３……シユート、１４……主部、１
５……突壁、１６，１７……突条、１８……延長
片、１９……係止棒、２０……突起、２１……把
手、２２……係止片、２４……第一のガイドレー
ル、２５……凹溝、２６……第二のガイドレー
ル、２７……ガイド片、２８……ガイドレール
部、２９……折れ曲がり部、３１……傾斜面、３
２……側面、３３……規制板、３３ａ……幅狭
部、３３ｂ……幅広部、３４……傾斜辺、３５…
…側面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 互いの間にスライドケースの主部を、上下方向
   の摺動自在に保持する第一、第二の両ガイドレー
   ルを、顕微鏡標本作成用カバー片貼着装置本体の
   周囲を覆うケーシングの内側に、互いに間隔をあ
   けて平行に且つ鉛直方向に設け、上記第一、第二
   の両ガイドレールの内、上記ケーシングの前面に
   設けた開口から見て手前の第一のガイドレールの
   上方に、主部の側面に形成した突条の間隔よりも
   僅かに狭い幅寸法を有するガイド片を設けると共
   に、上記開口から見て奥の第二のガイドレールの
   上端を、上記ガイド片の上面よりも上方に位置さ
   せて成り、上記ガイド片は、上記開口の外側に突
   出する方向に折れ曲がり、且つ、上面が奥に向け
   て次第に低くなるように傾斜した折れ曲がり部
   と、この折れ曲がり部の下方に連続した状態で設
   けられ、上記第二のガイドレールに対し平行で、
   その下端部を上記第一のガイドレールの上端部に
   対して整合させたガイドレール部とにより構成さ
   れる、顕微鏡標本作成用カバー片貼着装置のスラ
   イドケース装着部。