JPH0315522B2 - - Google Patents

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JPH0315522B2
JPH0315522B2 JP5302583A JP5302583A JPH0315522B2 JP H0315522 B2 JPH0315522 B2 JP H0315522B2 JP 5302583 A JP5302583 A JP 5302583A JP 5302583 A JP5302583 A JP 5302583A JP H0315522 B2 JPH0315522 B2 JP H0315522B2
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plaster
water
fibers
gypsum
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Yoshiaki Hatsutori
Makoto Ishihara
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Description

【発明の詳細な説明】
本発明は、強度特性に優れ、しかも単繊維の径
が極めて小さい炭素繊維を石膏内に混入して、吸
水率を低下せしめることなく機械的,熱的強度を
向上せしめた陶磁器成形用炭素繊維強化石膏型の
製造方法に関するものである。 従来、陶磁器成形用石膏型(以下、単に石膏型
という)の強度を増大させるには種々の方法があ
り、例えばβ型半水石膏を主体としてその中にα
型半水石膏を混合して混水量を減少せしめたり、
石膏内にセメント或るいは樹脂を混入させたりす
る方法があり、更に石膏内に麻等の天然繊維、或
るいはガラス繊維を混入させる方法もある。 しかし、β型半水石膏内にα型半水石膏を混合
して混水量を減少せしめた場合には、強度自体は
向上するが、吸水率が低下するという欠点を有し
ている。石膏型の吸水率,特に泥漿流し込み時の
吸水率が良好であることは、石膏型に要求される
最も重要な要素の一つである。即ち、石膏型の吸
水率が悪い場合は、製品一個当りの成形時間がく
なつて成形効率の低下を招来し、特に吸水率の悪
い場合には、取り出し時の生強度が弱いため変形
し、製品の仕上り形状が悪くなる。よつて、石膏
型において吸水率の低下は、致命的な欠点であ
る。 又、石膏内にセメント或るいは樹脂を混入する
場合も、強度自体の向上は図られるが、同様に吸
水率が低下するという欠点を有している。又、石
膏内に麻等の天然繊維を混入する場合には、天然
繊維は引張強さが小さいので、石膏に対する混入
量を多くしなければ強度の増大を図ることができ
ないと共に、天然繊維の混入量の増大により必然
的に石膏型の吸水率の低下を招来し、しかも天然
繊維は単繊維自体が太いので、石膏型の表層部に
入り込んだ繊維の端部が成形面に露出し易く、露
出した繊維端により成形品の表面を傷付け、成形
不良を生じ易い等の欠点を有している。更に、石
膏内にガラス繊維を混入する場合は、石膏型の強
度は僅かに向上するが、ガラス繊維は硬直性を有
するので、表層部に入り込んだガラス繊維の端部
が成形面に露出し、これにより成形品の表面を傷
付けるという欠点がある。 そこで、本発明者は、炭素繊維の有する優れた
強度特性,柔軟性,軽量性,径の細さ、熱膨張率
が極めて小さい等の特質に着目し、所定長さに切
断した炭素繊維を無数本の単繊維に分散させ、こ
の分散させた無数本の単繊維を石膏型内に均一に
拡散せしめて石膏型の吸水率を低下せしめること
なく強度を増大させるべく種々の実験と研究を積
み重ねた結果、本発明を完成するに至つたのであ
る。 本発明は、上述した従来技術を背景にし、石膏
型内に僅かの炭素繊維を均一に拡散せしめて吸水
率を低下せしめることなく石膏型本来の機能を保
持したまま石膏型の機械的・熱的強度を増大せし
めることを目的としてなされたもので、その要旨
は、水溶性サイジング剤でサイジング処理された
束状の炭素繊維を5乃至70mmの長さに切断し、こ
の切断された束状の炭素繊維を石膏粉末に対して
0.03乃至1重量%の割合で水中に投入すると共
に、緩やかにかく拌してサイジング剤を水中に溶
出せしめることにより束状の炭素繊維を無数本の
単繊維に分散せしめた後に、石膏粉末並びに必要
に応じて他の添加剤を投入して混合かく拌するこ
とにより炭素繊維の単繊維が均一に分散された石
膏泥漿をつくり、この炭素繊維の入つた石膏泥漿
をケース型内に直接流し込むか、又は予め純粋な
石膏泥漿をケース型内に流し込んで薄膜を形成し
た後に、炭素繊維の入つた石膏泥漿を流し込み、
硬化後に脱型して乾燥させることにより、石膏型
内に炭素繊維を団塊を生ずることなく均一に拡散
せしめることである。 以下、好ましい実施態様を挙げて本発明を詳細
に説明する。本発明に用いる炭素繊維は水溶性サ
イジング剤でサイジング処理されていることが必
要であり、又その種類はポリアクリロニトリル
系、ピツチ系或るいはレーヨン系のいずれでもよ
いが、石膏型の強度を増大させる関係から高強度
或るいは高弾性の炭素繊維が望ましく、具体的に
は引張強さ200Kgf/mm2(Kg/mm2)以上、引張弾
性係数20000Kgf/mm2(Kg/mm2)以上のものが望
ましい。水溶性サイジング剤としては、ポリビニ
ールピロリドン、ポリビニールアルコール等を挙
げることができる。又、本発明においては、団塊
状になり易い炭素繊維を母材の石膏内に団塊を生
ずることく均一に拡散せしめることが極めて重要
な要素であり、かかる観点から強化材として石膏
内に混入せしめる炭素繊維の長さ、および石膏に
対する重量割合が定められる。 水溶性サイジング剤でサイジング処理された炭
素繊維を無数本の単繊維に分散せしめて母材の石
膏内に混入するのであるが、後述する理由により
単繊維の長さは5乃至70mm、望ましくは20乃至30
mmにすることが必要である。 第1図に、石膏100重量部、水60重量部、炭素
繊維0.5重量部の割合から成る15×25×250mmの石
膏試験片における炭素繊維の長さと、抗折強度
(曲げ強度)との関係を示す試験結果がグラフに
示されており、これから明らかのように炭素繊維
の長さが15mm以下では抗折強度が急激に低下する
ことがわかる。ここで、母材の石膏内に拡散せし
める炭素繊維の長さを5乃至70mmと限定したの
は、3mm未満であると母材の石膏粒子と炭素繊維
の単繊維との総接着面積の不足により石膏型の十
分な強度の向上が図れなく、又100mmを超えると、
単繊維への分散時、石膏粉末および水との混合か
く拌時或るいはケース型内への流し込み時におけ
る取扱いが面倒になると共に、石膏型内への均一
分散が困難となるためである。 まず、水溶性サイジング剤によりサイジング処
理された束状の炭素繊維を5乃至70mmの長さに切
断する。そして、1回の混合割合に適合した炭素
繊維を予め計量しておき、この計量された炭素繊
維を、1回の混合割合に適合した水を入れた容器
1(第4図参照)内に投入してかく拌羽根により
緩やかにかく拌させると、炭素繊維に塗布された
水溶性サイジング剤が直ちに水中に溶出して自己
分散すると共に、かく拌羽根のかく拌作用により
束状の炭素繊維は水中において団塊を生ずること
なく無数本の径の極めて小さい単繊維に均一に分
散される。 かく拌の際に、かく拌羽根により炭素繊維が傷
付けられないように、その回転数は直径60cm程度
の容器において40乃至60rpmにする必要がある。 次に、炭素繊維の単繊維が水中において均一に
分散された容器1内に、一回の混合量に適合した
石膏粉末、並びに硬化遅延剤,減水剤等の添加剤
を投入して、この容器1を真空かく拌機に装着す
ると共に、直径60cm程度の容器において100乃至
200rpmの低速回転でかく拌羽根を数分間回転さ
せて混合かく拌すると、炭素繊維の単繊維が石膏
泥漿内に均一に拡散されると共に、脱気されて炭
素繊維の入つた石膏泥漿が得られる。混合かく拌
の際に、かく拌羽根を低速回転させるのは、かく
拌羽根により炭素繊維が損傷されるのを防止する
ためである。 ここで、石膏粉末に対する炭素繊維の割合は、
0.03乃至1重量%,望ましくは0.1乃至0.3重量%
にすることが必要である。第2図に、石膏100重
量部、水60重量部、長さ20mmの炭素繊維所要重量
部の割合からなる15×25×250mmの石膏試験片に
おける混入炭素繊維の石膏に対する重量%と、抗
折強度との関係を示す試験結果のグラフが示され
ており、又第3図に、混入炭素繊維の石膏に対す
る重量%と、石膏の吸水率との関係を示す試験結
果のグラフが表されており、各図から明らかのよ
うに、石膏に混入する炭素繊維の重量割合が高く
なる程、抗折強度が大きくなると共に、吸率が高
くなることがわかる。炭素繊維の混入により石膏
の吸収率が高くなるのは、石膏の粒子が針状であ
ると共に、炭素繊維の断面形状が円形若しくはこ
れに近似した形状であり、しかも石膏の粒子の大
きさと炭素繊維の直径とが余り異ならないため
に、炭素繊維と石膏粒子との間に新たな空隙が形
成されることに起因しているものと解される。こ
こで、石膏粉末に対する炭素繊維の混入割合を
0.03乃至1重量%とするのは、0.01重量%未満で
は石膏に対する割合が少な過ぎて石膏型の十分な
強度の向上を図ることができず、又1.2重量%を
超えると石膏泥漿をつくる際に炭素繊維の割合が
多過ぎて、石膏泥漿内に炭素繊維を均一に拡散さ
せることができず団塊を生じ易くなると共に、石
膏泥漿をケース型内に流し込む際の流動性が悪く
なつて作業困難となり、更に成形される石膏型の
吸水性等の物性が変化し、陶磁器用成形型材とし
ての条件を満足していないこと、および石膏型内
部に炭素繊維の団塊が生じ易くなるためである。
前述の如く、石膏泥漿内に炭素繊維の単繊維が団
塊を生ずることなく均一に拡散されるのは、石膏
に対する炭素繊維の混入割合が極めて少ないから
であると解される。 次に、炭素繊維が均一に拡散された上記石膏泥
漿を、第5図にされるようなケース型2内に静か
に流し込んで所定時間放置し、硬化後に軽い衝撃
を与えてケース型2を互いに分離させて脱型し、
しかる後に所定温度で十分乾燥すると、第6図に
示されるような皿をロクロ成形するための外鏝用
石膏型(使用型)Aが得られる。炭素繊維は豊か
な柔軟性を有しているので、流し込み成形後も自
在に変形して石膏の粒子の間に無理なく入り込ん
でいるものを解され、又流し込み成形された石膏
型の成形面には、その表層部に入り込んでいる炭
素繊維の端部が露出することは殆んどないが、仮
に露出しても、前述の如く炭素繊維の単繊維の径
は極めて小さく、しかも豊かな柔軟性を有してい
るので、成形面に露出した炭素繊維により成形品
の表面が傷付けられることは殆んどない。このよ
うに、仮に炭素繊維の端部が成形面に露出して
も、成形品の表面が傷付けられることは殆んどな
いが、特に成形品が高級品であつて滑らかな成形
面を得る必要がある場合は、第7図に示されるよ
うに、ケース型2を低速回転させつつ純石膏泥漿
を少量流し込んで厚さ1乃至3mm程度の薄膜3を
予め形成しておき、その後ケース型2の回転を停
止させて直ちに炭素繊維が均一に分散された前記
石膏泥漿を静かに流し込み、以後上述と同様の操
作を行うと、第8図に示されるように、成形面で
ある外周面に純石膏から成る薄膜3が被覆された
皿をロクロ成形するための外鏝用石膏型(使用
型)A′が得られ、炭素繊維が成形面に露出する
のを確実に防止できる。 又、上記外鏝用石膏型A′は、成形品の内周面
を成形するため石膏型において、成形面に純石膏
から成る薄膜3を被覆して、成形面に炭素繊維が
露出するのを防止する場合について述べたが、成
形品の外周面を成形するための内鏝用石膏型にお
いては、第9図に示されるように、ケース型4を
低速回転させつつ純石膏泥漿を流し込んで、ケー
ス型4に突出した成形部4aの外周面に厚さ1乃
至3mm程度の薄膜5を予め形成しておき、しかる
後にケース型4の回転を停止させて炭素繊維が均
一に分散された前記石膏泥漿を静かに流し込み、
以後上述と同様の操作を行うと、第10図に示さ
れるように、成形面である内周面に純石膏から成
る薄膜5が被覆されたカツプをロクロ成形するた
めの内鏝用石膏型(使用型)Bが得られる。 尚、本発明により製造し得る陶磁器成形用石膏
型は、上記したロクロ成形用石膏型のみならず、
鋳込み成形用石膏型、プレス成形用石膏型、射出
成形用石膏型、耐火物成形用石膏型、更にアルミ
ナ、炭化珪素、窒化珪素、部分安定化ジルコニ
ア、サイアロン等の原料調合に粘土類を含まない
いわゆるニユーセラミツク用のプレス成形用石膏
型、射出成形用石膏型等のほぼすべてのセラミツ
ク成形用石膏型が含まれる。 次に、本発明の実施例並びに比較例を挙げる。 実施例 1 ポリアクリロリトリル系繊維を約300℃で熱処
理した後に、更に窒素ガス雰囲気中で約1300℃で
熱処理して黒鉛化し、直径約7μmの単繊維をポリ
ビニール・ピロリドン〔C6H9NO〕nでサイジン
グ処理して約6000本を一束とした炭素繊維を用い
た。この炭素繊維の物性は、引張強さ300Kgf/
mm2(Kg/mm2)、引張弾性係数23000Kgf/mm2(Kg/
mm2)、密度1.75g/cm3、線膨張係数0.0×10-6/℃、
熱伝導率15kcal/m・hr・℃、熱容量0.17cal/
g・℃であつた。この束状の炭素繊維を約20mmの
長さに切断し、石膏粉末100重量部に対して炭素
繊維の割合が0.5重量部となるように炭素繊維を
予め計量しておき、この炭素繊維を水の入つた容
器に投入して補助的にかく拌すると束状の炭素繊
維は自己分散して無数本の単繊維になると共に、
かく拌作用により水中に均一に分散され、しかる
後に石膏粉末および硼砂(硬化遅延剤)を投入し
て混合かく拌することにより、石膏粉末100重量
部、水60重量部、炭素繊維0.1重量部、硼砂0.2重
量部の割合から成る石膏泥漿をつくり、この石膏
泥漿をケース型内に流し込んで皿を成形するため
のロクロ成形用石膏型を得た。このロクロ成形用
石膏型は、断面を含めて全体に亘つて炭素繊維の
単繊維が均一に拡散され、その拡散状況は肉眼で
見ることが可能な程度であつた。 実施例 2 実施例1と同一の条件で炭素繊維の単繊維が均
一に拡散された石膏泥漿をつくり、ケース型を低
速回転させつつ予め純石膏泥漿を流し込んで厚さ
1乃至3mm程度の薄膜を形成しておき、しかる後
にケース型の回転を停止させて炭素繊維が混入さ
れた前記石膏泥漿を流し込んで、皿を成形するた
めのロクロ成形用石膏型を得た。このロクロロ成
形用石膏型の成形面である外周面は、純石膏から
成る薄膜で被覆されており、成形面には炭素繊維
は全く露出していなかつた。 実施例 3 ポリアクリロニトリル系繊維を約300℃で熱処
理した後に、更に窒素ガス雰囲気中において約
2500℃で特殊熱処理して黒鉛化し、直径約7μmの
単繊維をポリビニールアルコールでサイジング処
理して約6000本を一束にした炭素繊維を用いた。
この炭素繊維の物性は、引張強さ250Kgf/mm2
(Kg/mm2)、引張弾性係数35000Kgf/mm2(Kg/
mm2)、密度1.77g/cm3、線膨張率0.0×10-6/℃、熱
伝導率100kcal/m・hr・℃、熱容量0.17cal/
g・℃であつた。この束状の炭素繊維を約25mmに
切断し、以後実施例1と同様の操作により、石膏
粉末100重量部、水60重量部、炭素繊維0.3重量
部、味の素(株)製のパフタード(硬化遅延剤)0.2
重量部の割合から成る炭素繊維の入つた石膏泥漿
をつくり、この石膏泥漿をケース型内に流し込ん
で楕円皿を成形するための鋳込み成形用石膏型を
得た。この鋳込み成形用石膏型の炭素繊維の拡散
状況は、実施例1と同様にほぼ均一であつた。 比較例 石膏粉末100重量部、水60重量部、硼砂0.2重量
部の割合で混合かく拌して炭素繊維の入つていな
い純石膏泥漿をつくり、この純石膏泥漿をケース
型内に流し込んで皿を成形するためのロクロ成形
用石膏型を得た。 上記各実施例1,2,3および比較例の各石膏
型の抗折強度、吸水率、大気中における破壊温度
差、嵩比重並びに硬化時膨張率は、下表の通りで
あつた。
【表】 上表から明らかのように、炭素繊維を混入した
石膏型は、混入しない石膏型に比較して機械的・
熱的強度が大巾に向上していると共に、吸水率も
僅かに向上し、上記したいずれの物性においても
優れていることが判明した。 ここで、抗折強度の大巾な向上により、石膏型
の機械的強度が増大し、特に従来成形時の外圧力
により破損されていた部分の機械的強度が増大せ
しめられることにより石膏型の破損が防止される
と共に、高サイクルの成形が可能となり、ひいて
は成形効率が向上する。又、成形中に石膏型の破
損により成形機が損傷され、これに起因して生産
が中断したり或るいは損傷部分を交換して再調整
する等の手間を省くことができる。更に、機械的
強度の大巾な向上により、石膏型自体の厚みを薄
くすることが可能となり、ひいては使用石膏量が
削減される。 又、炭素繊維の混入により大気中における破壊
温度差が向上するのは、温度上昇により石膏自体
は所定量膨張するが、炭素繊維自体は殆んど膨張
しないので、石膏型内部において炭素繊維自体に
はその長さ方向に引張力が加わつていると共に、
石膏自体には圧縮力が加わり、このため炭素繊維
の長さ方向に内部応力が生じてプレストレスが導
入された状態になつているためであると解され
る。大気中における破壊温度差の大巾な上昇は、
石膏型が大きな温度差に対しても耐え得ることを
意味し、石膏型の乾燥温度を上げることが可能と
なる。従つて、成形毎の石膏型の乾燥時間を短縮
させることが可能となつて成形サイクルを向上せ
しめることができ、ひいては成形効率を向上せし
めることができる。このため、成形品の生産個数
に対する稼動石膏型の数を減少せしめることがで
きるので、少量多品種の製品の成形に適している
と共に、製品原価の低減を図ることができる。同
様の理由により、石膏型成形時における石膏型自
体の成形効率も向上する。 又、吸水率の向上は、ロクロ成形用石膏型にお
いては、成形を終了してから脱型までの時間が短
くなり、又鋳込み成形用石膏型においては泥漿の
着肉時間が短くなり、いずれの場合も成形効率が
向上する。嵩比重の低下は、石膏型自体が軽量化
され、ひいては石膏型の運搬或るいは取扱い性が
向上する。更に、硬化時膨張率の僅かの減少は、
石膏型成形時におけるケース型に加わる圧力が小
さくなつて脱型が容易になると同時に、ケース型
の破損を防止することができる。 上述したことを総合すると、本発明には次のよ
うな効果がある。 (1) 水溶性サイジング剤でサイジング処理した束
状の炭素繊維を5乃至70mmの長さに切断した後
に水中に投入して水溶性サイジング剤を水中に
溶出せしめることにより、束状の炭素繊維を無
数本の単繊維に分散させるので、炭素繊維の入
つた石膏泥漿をつくる一工程だけで炭素繊維を
単繊維に分散させることができ、束状の炭素繊
維を単繊維に分散させるためのみの前処理が不
要となる。このため、炭素繊維が混入された石
膏型の製造工程の削減を図ることができる。
又、上記の方法により径が極めて小さく、しか
も柔軟性に富んだ束状の炭素繊維を無数本の単
繊維に容易に分散できるので、石膏泥漿内に炭
素繊維の無数本の単繊維を均一に拡散せしめる
ことができ、ひいては石膏型内に炭素繊維を均
一に混入させることができる。 (2) 石膏型の強化材として、径が極めて小さく強
度が大きく、しかも柔軟性に富んだ炭素繊維を
用いるので、石膏に対する強化材の混入割合が
少なくても石膏型の機械的、熱的強度を増大さ
せることができると共に、強化材の混入割合が
少いので、炭素繊維の混入により石膏型の基本
的な機能である吸水機能が低下することはな
い。 (3) 石膏型の機械的強度が大巾に増大されて成形
時の外圧力による石膏型の破損を防止できると
同時に、熱的強度も大巾に増大し、成形毎の石
膏型の乾燥温度を上げることが可能となつて乾
燥時間を短縮せしめることができ、ひいては成
形効率を著しく向上させることができる。 (4) 燃焼可能な炭素繊維を強化材として混入して
あるので、使用中に破損したり、或るいは使用
不可能となつた使用済石膏型は高温処理によ
り、石膏型内から炭素繊維のみを容易に焼失除
去せしめることができ、石膏型の再利用が可能
となる。この点、ガラス繊維等の不燃物を強化
材として混入した場合は、混入物のみを除去し
て石膏型を再生或るいは再利用することは極め
て困難か、或るいは不可能である。 (5) 石膏型の表層部に混入された炭素繊維の端部
が成形面に露出することは殆んどないが、仮に
露出したとしても、炭素繊維の単繊維の径は極
めて小さく、しかも柔軟性に富んでいるので、
成形の際に成形品が傷付けられることは殆んど
ない。特に、石膏型の成形面を純石膏から成る
薄膜で被覆する場合は、炭素繊維の端部が成形
面に露出するのを確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、石膏内に混入する炭素繊維の長さ
と、石膏の抗折強度との関係を示すグラフ、第2
図は、石膏内に混入する炭素繊維の石膏に対する
重量割合と、石膏の抗折強度との関係を示すグラ
フ、第3図は、石膏内に混入する炭素繊維の石膏
に対する重量割合と、石膏の吸水率との関係を示
すグラフ、第4図イ,ロは、それぞれ石膏泥漿を
つくるための容器1の平面図および正面断面図、
第5図は、皿内周面成形用の外鏝用石膏型の一成
型工程の断面図、第6図は、成型された外鏝用石
膏型Aの一部を破断した斜視図、第7図は、外周
面を純石膏から成る薄膜で被覆した皿内周面成形
用の外鏝用石膏型の一成型工程の断面図、第8図
は、成型された外鏝用石膏型A′の一部を破断し
た斜視図、第9図は、内周面を純石膏から成る薄
膜で被覆したカツプ外周面成形用の内鏝用石膏型
の一成型工程の断面図、第10図は、成型された
内鏝用石膏型Bの縦断面図である。 主要部分の符号の説明、1:容器、2,4:ケ
ース型、3,5:薄膜、A,A′:外鏝用石膏型、
B:内鏝用石膏型。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 水溶性サイジング剤でサイジング処理された
    束状の炭素繊維を5乃至70mmの長さに切断し、こ
    の切断された束状の炭素繊維を石膏粉末に対して
    0.03乃至1重量%の割合で水中に投入すると共
    に、緩やかにかく拌してサイジング剤を水中に溶
    出せしめることにより束状の炭素繊維を無数本の
    単繊維に分散せしめた後に、石膏粉末並びに必要
    に応じて他の添加剤を投入して混合かく拌するこ
    とにより炭素繊維の単繊維が均一に分散された石
    膏泥漿をつくり、この石膏泥漿をケース型内に流
    し込み、硬化後に脱型して乾燥させることを特徴
    とする陶磁器成形用炭素繊維強化石膏型の製造方
    法。 2 水溶性サイジング剤がポリビニールピロリド
    ンであることを特徴とする特許請求の範囲第1項
    記載の陶磁器成形用炭素繊維強化石膏型の製造方
    法。 3 水溶性サイジング剤がポリビニールアルコー
    ルであることを特徴とする特許請求の範囲第1項
    記載の陶磁器成形用炭素繊維強化石膏型の製造方
    法。 4 水溶性サイジング剤でサイジング処理された
    束状の炭素繊維を5乃至70mmの長さに切断し、こ
    の切断された束状の炭素繊維を石膏粉末に対して
    0.03乃至1重量%の割合で水中に投入すると共
    に、緩やかにかく拌してサイジング剤を水中に溶
    出せしめることにより束状の炭素繊維を無数本の
    単繊維に分散せしめた後に、石膏粉末並びに必要
    に応じて他の添加剤を投入して混合かく拌するこ
    とにより炭素繊維の単繊維が均一に分散された石
    膏泥漿をつくり、ケース型内に予め純粋な石膏泥
    漿を流し込んで薄膜を形成し、しかる後に炭素繊
    維の入つた前記石膏泥漿を流み込み、硬化後に脱
    型して乾燥させることを特徴とする陶磁器成形用
    炭素繊維強化石膏型の製造方法。 5 水溶性サイジング剤がポリビニールピロリド
    ンであることを特徴とする特許請求の範囲第4項
    記載の陶磁器成形用炭素繊維強化石膏型の製造方
    法。 6 水溶性サイジング剤がポリビニールアルコー
    ルであることを特徴とする特許請求の範囲第4項
    記載の陶磁器成形用炭素繊維強化石膏型の製造方
    法。
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