JPH0315081B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は排熱回収装置の運転方式および装置に
係り、特に排ガスの量および温度の変動に応じて
熱回収量を調整するのに好適な排熱回収装置の運
転方法および装置に関する。

排熱回収ボイラでは排ガス中のSO₃による低温
腐食が問題となる場合、第１図に示すようにボイ
ラ（エコノマイザー）の循環給水入口温度を一定
値以上に保持して、かつボイラに於ける給水入口
温度と排ガス出口温度とのターミナル温度を許容
最小値となるように運転され、低温腐食を防止
し、できるだけ多くの排熱を回収することが行な
われる。

このような運転方法の場合、第２図に示すよう
に排ガスの温度および流量に応じて低圧蒸気発生
器に於ける蒸気量は低圧蒸気過剰領域と低圧蒸気
不足領域とが生じる。この結果、低圧蒸気発生器
で発生する蒸気を加熱脱気器のみに導入される排
熱回収装置では、排ガス量が多く、また排ガス量
度が十分高い場合、低圧蒸気発生器で発生する蒸
気量は、給水の加熱脱気に必要な量より不足す
る。この不足分は通常高圧ボイラで発生する蒸気
で補なわれる。一方、排ガス量が少なく、排ガス
入口温度が低い場合、低圧蒸気発生器で発生する
蒸気量は加熱脱気器の必要蒸気量より過剰となつ
てくる。低圧蒸気発生器で発生する蒸気を加熱脱
気器以外の他の加熱用手段に使用できる排熱回収
装置の場合問題はない。しかし低圧蒸気を加熱脱
気器のみに導入する排熱回収装置では過剰の低圧
蒸気の処理が問題となるが、従来このような過剰
の低圧蒸気は大気に放出するか、別に設けたコン
デンサーにより復水にされていた。大気放出の場
合循環水が損失となる。またコンデンサーにより
復水とする場合、コンデンサーの設置や冷却水が
必要等の問題が派生する。

本発明の目的は、上記した従来技術の問題点を
解消し、循環水のロスや冷却水の増加を伴なうこ
となく排ガスの量および温度の変動に応じて熱回
収量を調整することができる排熱回収装置の運転
方法および装置を提供することにある。

本発明は、排熱回収ボイラに設置される低圧蒸
気発生器から発生する蒸気が加熱脱気器のみに導
入される排熱回収装置に於いて、前記低圧蒸気発
生器で発生する蒸気量が前記加熱脱気器に於ける
必要蒸気量に対して過剰になつたとき、前記低圧
蒸気発生器の運転圧力を上げ、その飽和温度を上
げるように運転することによつて低圧蒸気発生器
に於ける入熱を制限するようにしたものである。

以下、添付図面に基づいて本発明の実施例を説
明する。

第４図に於いて、給水は給水タンク１から給水
ポンプ２を経て加熱脱気器３に供給され、ここで
給水中の溶存酸素等が除去された後、低圧循環ポ
ンプ４を介して排熱回収ボイラ内の低圧蒸気発生
器５に導入される。低圧蒸気発生器５で発生した
蒸気は加熱脱気器３に供給される。また加熱脱気
器３からの給水はボイラ給水ポンプ６を介して排
熱回収ボイラ内の節炭器７に供給され、ここで予
熱された後、蒸気ドラム８に供給され、ドラム水
は高圧循環水ポンプ９を介して高圧ボイラ１０に
供給され、ここで加熱された後蒸気ドラム８に導
入される。

このような排熱回収装置に於いて、排熱回収ボ
イラ内に導入される排ガスの温度および量の変動
による低圧蒸気発生器５に於ける発生蒸気量の調
整は、低圧蒸気発生器の運転圧力を制御すること
によつて達成される。

ここで圧力制御器１１は、入力される加熱脱気
器３の圧力設定値と圧力検出値との偏差に応じて
制御弁１２または制御弁１３の開度を制御するも
のである。即ち、負荷一定運転時、低圧蒸気発生
器５に於ける蒸気量が加熱脱気器３に於ける必要
蒸気量よりも少ない場合、加熱脱気器３の圧力が
設定圧力より低下する。このとき、圧力検出器１
４によつて加熱脱気器３内の圧力を検出し、この
検出信号が圧力制御器１１に入力され、加熱脱気
器３の圧力の設定値との偏差に応じて圧力制御器
１１からの出力信号に基づいて制御弁１２の開度
が増加され蒸気ドラム８から加熱脱気器３に蒸気
が補給される。また負荷一定運転時、低圧蒸気発
生器５に於ける蒸気量が加熱脱気器３に於ける必
要蒸気量よりも多い場合、加熱脱気器３の圧力設
定値と圧力の検出値に応じて圧力制御器１１から
の出力信号に基づいて制御弁１３の開度が増加さ
れ、加熱脱気器３の余剰蒸気が給水タンク１に放
出され、給水の予熱に利用される。ここで制御弁
１２および制御弁１３はいずれも圧力制御器１１
の出力信号によりスプリツトレンジにて作動する
ようになつている。

次にボイラ負荷が十分に高く、加熱脱気器３の
必要蒸気量が低圧蒸気発生に比して長期的に不足
する場合、圧力制御器１１に入力される圧力設定
値は下限設定器１５から出力される圧力下限設定
値に切換えられ、この下限設定値に基づいて一定
圧力制御が行なわれる。

一方、ボイラ負荷が下がり、低圧蒸気発生器５
に於ける発生蒸気量が加熱脱気器３に於ける必要
蒸気量よりも過剰となつた場合、加熱脱気器３の
圧力が上昇するので圧力制御器１１からの出力信
号に基づいて制御弁１３の開度が制御され、余剰
蒸気が定常的に給水タンク１に流入する。この場
合給水タンク１の出口給水温度が上昇する。給水
温度が上がり過ぎると、ボイラ給水ポンプのキヤ
ビテーテシヨン、ボイラのドラムレベル移動等が
発生するので温度検出器１６により給水温度が検
出され、温度制御器１７はこの検出値と給水温度
の設定値との偏差を求め、検出値が高いときにそ
の偏差値に基づいて変圧制御信号を出力する。こ
の変圧制御信号が出力されると、圧力制御器１１
の設定圧はこの変圧制御信号に切換えられ、加熱
脱気器３の圧力はこの変圧制御信号に基づいて変
圧制御される。

従つて、ボイラ負荷が下がり、低圧蒸気発生器
５に於ける発生蒸気量が加熱脱気器３に於ける必
要蒸気量よりも過剰となつた場合、低圧蒸気発生
器５の運転圧力を上げ、その飽和温度を上げるこ
とによつてガス温度との温度差を減らし、低圧蒸
気発生器５に於ける吸収熱量を減らして余剰蒸気
の発生を防止することができる。この場合、給水
タンク１の熱容量は十分大きいので排ガス条件の
急激な変動があつても、給水温度の変動は緩やか
であり、従つて低圧蒸気発生器の運転圧力の変動
も緩やかに行なわれ、ボイラ給水ポンプのキヤビ
テーシヨンまたはボイラのドラムレベル変動等は
生じない。

尚、制御の過程では１次的に温度制御器１７か
ら出力される変圧制御信号が圧力制御器１１の設
定圧の最大許容値をオーバーすることもあり得る
ので、この設定圧が過大にならぬように温度制御
器１７の出力信号ラインに上限設定器１８が設け
られており、変圧制御信号はこの上限値によつて
抑制され加熱脱気器３の運転圧力（従つて低圧蒸
気発生器５の運転圧力）の過昇を防止している。

以上のように本発明によれば、排ガス量の温度
および量に応じて低圧蒸気発生器の運転圧力を変
動させ、その飽和温度を変更させることによつて
回収熱量を調整し、余剰蒸気の放出による循環水
のロスを防止することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は排熱ボイラ温度バランスを示す図、第
２図は低圧蒸気量バランス領域、第３図は低圧蒸
気発生器運転圧力の一例を示す図、第４図は本発
明の一例を示す構成図である。 １……給水タンク、３……加熱脱気器、５……
低圧蒸気発生器、７……節炭器、８……蒸気ドラ
ム、１０……高圧ボイラ、１１……圧力制御器、
１２，１３……制御弁、１４……圧力検出器、１
５……下限設定器、１６……温度検出器、１７…
…温度制御器、１８……上限設定値。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 排熱回収ボイラに設置される低圧蒸気発生器
   から発生する蒸気が、加熱脱気器のみに導入され
   る排熱回収装置の運転方法に於いて、前記低圧蒸
   気発生器で発生する蒸気量が、前記加熱脱気器に
   於ける必要蒸気量に対して過剰になつた時、前記
   低圧蒸気発生器の運転圧力を上げ、その飽和温度
   を上げるように運転することを特徴とする排熱回
   収装置の運転方法。 ２ 排熱回収ボイラに設置される低圧蒸気発生器
   から発生する蒸気が、加熱脱気器のみに導入され
   る排熱回収装置に於いて、前記加熱脱気器内の圧
   力を検出する検出器と、この検出器からの圧力検
   出値と前記加熱脱気器の圧力設定値との偏差に基
   づいて高圧蒸気系から前記加熱脱気器に蒸気を導
   入する系に設けられた制御弁の開度または前記加
   熱脱気器から給水タンクに蒸気を導入する系に設
   けられた制御弁の開度を制御して、前記低圧蒸気
   発生器で発生する蒸気量が、前記加熱脱気器に於
   ける必要蒸気量に対して過剰になつた時、前記低
   圧蒸気発生器の運転圧力を上げ、その飽和温度を
   上げるようにする圧力制御器とを設けたことを特
   徴とする排熱回収装置。