JPH029919Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は脱窒槽へのメタノール注入を、撹拌ブ
ロワの稼動に合わせて間欠的に行なわせる装置に
関し、詳細にはメタノール間欠注入を経済的に行
なうことのできる装置に関するものである。

［従来の技術］ し尿や浄化槽汚泥等のＮ成分含有有機性汚水の
処理に当たつては種々の硝化・脱窒システムが使
用されている。

第３図は硝化・脱窒システムの一例を示すフロ
ー説明図で、該システムは上流から下流へかけて
第１撹拌槽（硝化・脱窒槽）１、第１曝気槽（硝
化槽）２、第２撹拌槽（脱窒槽）３、第２曝気槽
（再曝気槽）４、沈降分離槽５を配置しており、
第１撹拌槽１へは第１曝気槽２から硝化液L₁が
返送され、且つ沈降分離槽５からの返送汚泥S₁が
種汚泥として投入される。又第１撹拌槽１及び第
２撹拌槽３は嫌気性雰囲気に、第１曝気槽２及び
第２曝気槽４は好気性雰囲気に夫々保持されてお
り、各反応槽では各反応槽に対応して硝化反応、
脱窒反応あるいはBOD成分の酸化分解反応が進
行する。

この様な硝化・脱窒システムにおいて、第２撹
拌槽３は嫌気性雰囲気を保持すめために密閉型と
して形成し、また槽内の被処理水とメタノール
（後述）を十分に混合して脱窒反応を効率良く進
行させることを目的として、撹拌機構即ち「第２
撹拌槽３の気層部から抜出したガスをブロワ６に
よつて液相部へ吹込む機構」が付設されている。
そして第２撹拌槽３へは脱窒反応に必要な水素源
としてメタノールMeが注入ポンプ１５によつて
連続注入されている。

ところで上記第２撹拌槽３は密閉型に形成され
てはいるものの外気と完全に遮断することは難し
く、ブロワ６からのガス吹込みによつて被処理水
を撹拌する際、空気の混入は避け難い。その為混
入した空気等がこれが巻込まれて被処理水中の
DOが上昇し易い。そこで、第２撹拌槽３では
DOの上昇をできるだけ抑えつつ槽内撹拌を行な
うという考え方からブロワ６の間欠稼動（稼動時
間：５〜10分、停止時間30〜60分）を行なつてい
る。

しかるにブロワ６が稼動している間は被処理水
とメタノールの混合が十分行なわれて脱窒反応が
効率良く進行するが、ブロワ６の停止中には連続
注入されるメタノールと被処理水の混合が不十分
となり脱窒反応が十分に進行せず脱窒効率が低下
するという事態をまねいている。

［考案が解決しようとする問題点］ 本考案者等はこうした事態に着目し、脱窒効率
向上の為の手段について検討を重ねた結果、メタ
ノールをブロワ６稼動中にのみ注入すればよいと
の発想を得た。しかるにこの場合にはブロワ６と
メタノール注入ポンプ１５の稼動を同期させなけ
ればならないだけでなく、ブロワ稼動時間５〜10
分（全体の1/3〜1/12）と短く、この間にブロワ
停止時間分のメタノールをも合わせて注入する必
要があるのでメタノール注入用ポンプ１５を大型
化しなければならず、これらの結果設備コストが
大幅に上昇する。

本考案はこうした問題を解決しようとするもの
であり、設備コストの増大をまねくことなく、ブ
ロワ停止中の注入分も含めた量のメタノールをブ
ロワ稼動中に注入し得る様な装置を提供しようと
するものである。

［問題点を解決するための手段］ 上記目的を達成した本考案は、密閉型メタノー
ル注入タンクの液相から引出したメタノール導入
管を第２撹拌槽（脱窒槽）へ接続すると共に、間
欠稼動するブロワの送気管を分岐して密閉型メタ
ノール注入タンクの気相へ連通させた点に要旨が
存在する。

［作用］ 本考案においては、ブロワの稼動とメタノール
注入を同期させる為にブロワからの送気管を分岐
し、その吐出圧を利用してメタノールの注入を行
なう。即ち気相管から吐出圧が得られる時期は、
当然にブロワ稼動時のみであるので、該吐出圧を
利用することによつてメタノール注入のタイミン
グをブロワ稼動と同期的に行なわせることがで
き、同期の為の制御回路等は全く設ける必要がな
い。又吐出圧の利用に当たつてはメタノール注入
タンクを密閉型とし、該メタノール注入タンクの
気相へ前記ブロワから分岐した送気管を接続する
だけでよく、これによつてタンク内のメタノール
はブロワからの吐出圧によつて押圧され、メタノ
ール注入タンク液相から引出したメタノール導入
管を経て脱窒槽へ導入される。尚脱窒槽へのメタ
ノール注入量は必要に応じてブロワ吐出圧やメタ
ノール導入管径を設定して調整すればよい。また
メタノール注入タンクへのメタノールの補充はブ
ロワ停止時に該タンクの投入口を開放して行なえ
ばよい。上記構成によりメタノール注入ポンプも
不必要となる。

［実施例］ 第１図は本考案に係るメタノール間欠注入装置
を示すフロー説明図で、第２撹拌槽３及びメタノ
ール注入タンク８を密閉型に形成すると共に、間
欠稼動するブロワ６の送気管７を分岐してメタノ
ール注入タンク８の気相へ接続し、且つメタノー
ル注入タンク８の液相から引出したメタノール導
入管９を第２撹拌槽３へ接続している。尚メタノ
ール注入タンク８にはブロワ間欠稼動サイクル１
回分のメタノールを収納しておく。

上記メタノール間欠注入装置において、ブロワ
６を稼動させると、第２撹拌槽３の気相から抜出
されたガスの一部は分岐管７ａを経て第２撹拌槽
３内へ吹込まれ槽内の被処理液を撹拌する。一方
ガスの一部は分岐管７ｂを経てメタノール注入タ
ンク８の気相部へ導入され、メタノール液面を押
圧する。その結果メタノールはメタノール導入管
９を経て第２撹拌槽３へ注入され、被処理液Ｌと
混合される。

所定時間ブロワ６を稼動した後、ブロワ６を停
止すると被処理液の撹拌が停止するが、このとき
にはメタノールと被処理水は十分に混合されてい
るので嫌気性雰囲気下で引続き脱窒反応が十分に
進行する。尚メタノール注入タンク８へはブロワ
６停止中に次回分のメタノールを補充しておけば
よい。

第２図は本考案の他の実施例を示すフロー説明
図で、メタノール注入タンク８へのメタノール補
充用として従来のメタノール連続注入装置を利用
している。即ち本実施例装置ではメタノールタン
ク１０からのメタノール排出管１１に注入ポンプ
１２及び電磁弁１３を介設し、且つその先端をメ
タノール注入タンク８の気相へ連通させており、
電磁弁１３はブロワ６が稼動したときに閉鎖する
様に電気回路１４が組込んでいる。

上記実施例装置において、ブロワ６稼動中には
電磁弁１３が閉止してメタノール注入タンク８へ
のメタノール補充が停止されると共に、メタノー
ル注入タンク８の密閉状態が保持され、ブロワ６
が停止すると電磁弁１３が開放してメタノールタ
ンク１０からメタノールが注入され、該停止期間
中に間欠撹拌サイクル１回分のメタノールが補充
される。

［考案の効果］ 本考案は以上の様に構成されており、ブロワの
稼動に同期させてメタノールを第２撹拌槽へ注入
することができる。大型ポンプ等を必要としない
ので経済的に目的を達成することができる。かく
して第２撹拌槽における脱窒効率を飛躍的に向上
させることができた。

【図面の簡単な説明】

第１，２図は本考案に係るメタノール間欠注入
装置を示すフロー説明図、第３図は有機性汚水処
理システムを示すフロー説明図である。 ３……第２撹拌槽、６……ブロワ、８……メタ
ノール注入タンク。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 密閉型脱窒槽の気相部から抜出したガスを、間
   欠稼動するブロワを用いて密閉型脱窒槽液相部へ
   吹込むことにより間欠的に撹拌を行なう脱窒槽の
   メタノール注入装置であつて、密閉型メタノール
   注入タンクの液相から引出したメタノール導入管
   を脱窒槽へ接続すると共に、間欠稼動するブロワ
   の送気管を分岐して密閉型メタノール注入タンク
   の気相へ連通させたことを特徴とするメタノール
   間欠注入装置。