JPH029813Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は密封型輸液バツグに関する。

従来の技術 密封型輸液バツグには通常残存液量を目視で確
認するために目盛が付されているが、この種輸液
バツグは内容液の注出につれ扁平に変形し、これ
につれ、前後のバツグ壁が重合密着して行くの
で、液面は常に重合密着傾向にある前後のバツグ
壁間に位置し、この重合密着部分において液状に
大きく上下することになるので、残存液量の確認
に際し、液面を正確に判別できず、目盛を正確に
判読できない欠点があつた。また一般にこの種輸
液バツグは薬液の封入工程以前の工程で蒸気滅菌
処理されるが、従来品の場合のようにバツグ本体
の内面が平滑である場合には内面が重合密着し、
次工程で薬液を注入する場合、いちいち手で開か
ねばならず非常に面倒であつた。

考案が解決しようとする問題点 本考案はこのような従来の問題を一掃すること
を目的としてなされたものである。

問題点を解決するための手段 本考案者は上記従来の欠点を一掃すべく鋭意研
究を重ねた結果、バツグ本体の前後のバツグ壁の
少なくともいずれか一方の内壁面に、多数の微細
な凹凸、特に縦方向に延設された多数の微細な凹
凸条を形成するときは、重合密着部に於ける液面
の上下波打ち傾向を、他方式の微細凹凸に比べ遥
かに軽減し得ることを見出し、茲に本考案を完成
するに至つたものである。

即ち本考案は、内容液の注出につれ扁平に変形
する密封型輸液バツグに於て、バツグ本体の表面
に残存液量表示用の目盛が付されていると共に、
バツグ本体の前後のバツグ壁のいずれか一方の内
壁面に縦方向に延設された多数本の凹凸条と、上
記目盛と一致するように前後バツグ壁面に縦溝を
形成する溝形成用部とが形成され、上記凹凸条は
10〜70μの高さ（深さ）と、500〜1100μのピツチ
間隔を有していることを特徴とする密封型輸液バ
ツグに係る。

実施例 以下に本考案の一実施例を添附図面にもとづき
説明すると次の通りである。

第１図に本考案による密封型輸液バツグが示さ
れ、そのバツグ本体１は、従来品と同様に内容液
の注出につれ扁平に変形するような構成になつて
いる。このようバツグ本体１としては、公知の各
種形式のものを採用できる。

第２図及び第３図に示すように、バツグ本体１
の前後のバツグ壁１ａ，１ｂの内面の少なくとも
いずれか一方に、縦方向に延設された多数の微細
な凹凸条２が形成され、図示の実施例ではその両
面に形成した場合が示されているが、場合によつ
てはその一方を省略してもよい。

第４図に凹凸条２が拡大して示されている。凹
凸条２のピツチＰは広い範囲から選択できるが、
これがあまりに小さいと形成が困難となり、また
あまり大きいと平滑面に近づくことになるので、
500〜1100μの範囲から適宜選択的に決定される。
又凹凸条２の高さ（又は深さ）ｈは、これが、あ
まりに小さいと平滑面に近づき、一方あまり大き
すぎると形成が困難となるので、10〜70μ程度の
範囲からバツグ壁１ａ，１ｂの肉厚等に合せて適
宜決定される。例えばバツグ壁の厚みが200μの
場合は25〜35μ程度が好適である。

バツグ壁の材質及び肉厚は公知のものと実質的
に異なる所がなく、材質としてはポリプロピレ
ン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニルを、例示で
き、また肉厚としては、100〜1000μ、好ましく
は200〜500μ程度が好適である。

バツグ本体１の表面には、常法通り目盛３が付
されている。

本考案に於ては、第２図及び第３図に示すよう
に、バツグ壁１ａ又は１ｂに、上記目盛３と一致
させて、溝形成用部４ａ又は４a′が形成される。
この溝形成用部４ａ又は４a′は、バツグ壁１ａ，
１ｂが重合密着した時、之等の間に、液の付着上
昇を防止し得る程度の縦溝４を形成する。溝形成
用部４ａの寸法は、バツグの大きさによつても異
なるが、通常巾：約10〜50mm深さ：約１〜10mm程
度が適当である。

第５図に本考案品に於けるバツグ壁１ａ，１ｂ
の重合密着部の液面状況が、また第６図に従来品
（微細凹凸条２のないもの）の液面状況がそれぞ
れ概略的に示されている。第６図のように従来品
に於ては、液面a₁又はa₂は、イ−イ線で示された
真の液面を挟んで波打ち状にかなり上下に変動す
るが、本考案ではバツグ壁１ａ，１ｂの内面に形
成した微細な縦方向に延びる凹凸条２が、重合密
着部に於て生ずる液の付着上昇傾向を防止するの
で、液面の変動がかなり抑制され、第５図に示す
ように、真の液面イ−イ線にかなり近いものとな
り、液面の状況を従来よりも遥かに改善できる。
更に目盛３に沿つて、溝形成用部４ａ又は４
a′（第２〜３図参照）にもとづく縦溝４が形成さ
れるので、この縦溝４により、目盛３部分の液面
への毛管現象による悪影響がなくなり、よつて直
接目視される目盛３部分の液面状況が一層改善さ
れ、二次修正される。

一般にこの種輸液バツグは薬液の封入工程以前
の工程で蒸気滅菌処理される。この場合従来品の
ようにバツグ本体の内面が平滑である場合には内
面が重合密着し、これでは次工程に於ける薬液注
入時に手でいちいち開くなどの不便を招くことに
なるが、本考案ではバツグ本体１の内面に凹凸条
２が形成されているので、内面の重合密着がなく
なり、次工程に於ける薬液注入を手でいちいち開
くなどの面倒な手段なしに達成できる。

効 果 このように本考案によれば、凹凸条による液面
の一次修正と、縦溝による液面の二次修正が可能
となり、二次修正後の液面を目盛部分に於て直接
目視し確認することにより、残存液量を容易に正
確に知ることができ、又液面の波打ち傾向がなく
なるので、薬液の注出量を継続して一定量に保持
でき、薬液投与時に於ける投与量の管理を容易に
正確になし得る利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す正面図、第２
図は第１図の−線に沿う断面図、第３図は第
２図の変形例を示す図、第４図はバツグ本体の内
面に対する凹凸条の形成状況を示す拡大図、第５
図は第１図に示された本考案品の液面状況を概略
的に示す図、第６図は従来品の液面状況を概略的
に示す図である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 内容液の注出につれ扁平に変形する密封型輸液
   バツグに於て、バツグ本体の表面に残存液量表示
   用の目盛が付されていると共に、バツグ本体の前
   後のバツグ壁の少なくともいずれか一方の内壁面
   に、縦方向に延びる多数本の凹凸条と、上記目盛
   と一致するように前後バツグ壁間に縦溝を形成す
   る溝形成用部とが形成され、上記凹凸条は10〜
   70μの高さ（深さ）と、500〜1100μのピツチ間隔
   を有していることを特徴とする密封型輸液バツ
   グ。