JPH028733B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、流体に対し超音波を放射するとそ
の反射波の周波数がドツプラ効果により流速に応
じて偏移することを利用して流速を計測する超音
波ドツプラ流速計に関する。

この種の超音波ドツプラ流速計として、超音波
ドツプラ血流速計が知られている。これは、超音
波を血管に向けて放射すると血液中の血球によつ
て反射された超音波ドツプラ効果によつて周波数
偏移を受けるので、この周波数偏移量を検出して
血流の速度を知ろうとするものである。この超音
波ドツプラ血流速計のうち、パルス法によるもの
は、パルス状の超音波を放射し、一定時間内に受
波された受波超音波の受波時間毎の周波数偏移ス
ペクトラムを高速フーリエ変換法により求めて血
管内の測定範囲内での速度分布を得ようというも
のである。すなわち、受波超音波の指向性の重な
り部分に距離の異なる反射体があるとするとこれ
らの反射体で反射した超音波は距離に応じて時間
的に異つた時点で受波されるので、距離方向での
速度分布が得られる。

ところで従来の超音波ドツプラ血流速計では、
高速フーリエ変換の演算に時間がかかるためリア
ルタイムで信号処理することは難しく、また、距
離分解能をそれ程高めることはできない。

本発明は上記に鑑み、超音波光変調素子を用い
ることにより、高速フーリエ変換によることなく
簡単な構成で周波数偏移スペクトラムをリアルタ
イムで容易に得るよう改善し、もつて距離分解能
を高め流速分布を高品位に抽出可能とする超音波
ドツプラ流速計を提供することを目的とする。

以下本発明を、公知の超音波診断装置と組合せ
て構成される超音波ドツプラ血流速計に適用した
一実施例について図面を参照しながら説明する。
図面に示すように、被検体（患者）１に探触子２
を密着させる。この探触子２は超音波を送波し且
つ受波するもので、たとえば多数の超音波トラン
スデユーサエレメントの１列に配してなるアレイ
構造のものとする。超音波トランスデユーサの各
エレメントはたとえばLiNbO₃のような透明で超
音波光変調機能を持つている圧電素子により構成
する。なお、アレイ構造の場合超音波光変調機能
を持つたものは１個のエレメントだけでもよい。
この探触子２を構成する各エレメントにフエイズ
ドアレイ方式で遅延量が制御された送波パルスが
送受波回路３から送られ、たとえば扇形に振られ
る超音波ビームが順次放射される。そして各エレ
メントに受波された反射波の信号は送受波回路３
において同じくフエイズドアレイ方式で遅延量が
制御されることにより送波指向性と同一の受波指
向性の受波超音波信号のみが取り出され、CRT
表示装置４において断層像の表示が行なわれる。
この構成は探触子２が超音波光変調機能を持つて
いる点を除いて従来より公知の超音波診断装置と
同じである。

こうして表示された断層像により血管１１を探
し、この血管１１内の測定部分１２を同定し、こ
の測定部位１２を通るパルス状の超音波ビームを
発射させるための送波パルスと、超音波の測定部
位１２までの往復時間だけこの送波パルスから遅
延されたパルスとが送受波回路３からレーザ発振
器５に送られるよう設定する。この遅延されたパ
ルスの巾は測定部位１２の距離方向成分（サンプ
ルボリユーム）に一致させられる。

レーザ発振器５は送受波回路３から送られるパ
ルスでトリガされレーザ光がパルス励振される。
レーザ光は超音波光変調機能を有する探触子２の
側面に導入される。ここでレーザ光の波長をλ、
超音波の波長をΛとすると、レーザ光の回折角θ
は、 sinθ＝λ／Λ で与えられる。送波超音波の周波数をf_pとすれば
初めに生じる送波パルスに対応するレーザ光の回
折角は上記式を満足するθ_pとなり、受波超音波が
血流速υのドツプラ効果により周波数f_pからf_dだ
け偏移したとすると、２番目に生じる遅延された
パルスに対応するレーザ光の回折角はθ_pからθ_dだ
け変化する。これらのレーザ光の回折角がレーザ
光回折角受信センサ６により検出され電気信号に
変換される。２番目に生じるレーザ光の回折角偏
移θ_dは、そのパルス巾内で時間的に変動し、これ
をビジコーダ７あるいはCRT表示装置で表わす
と、 f_d∝ν であるから、測定部位１２内での距離方向におけ
る血流速νの分布が表示できる。すなわち、超音
波光変調機能により超音波ドツプラ信号に応じて
回折角を変化させ回折角偏位を検出することは、
超音波ドツプラ信号を高速フーリエ変換し、周波
数偏移のスペクトラムを得ることと等価であり、
より簡単な構成で且つ容易に同等の機能を達成し
ている。

なお、上記の実施例では、電気―超音波変換を
行なう圧電素子の機能と超音波光変調機能とを同
一のエレメントで達成するようにしているが、超
音波光変調素子に送波超音波と受波超音波がとも
に通過していくように配置するならば圧電素子と
は別箇に構成された超音波光変調素子を用いるこ
ともできる。また、探触子２は上記のような電子
走査のアレイ構造のものに限らず、機械走査の単
一構造のものでもよいことは勿論である。

さらに、上記実施例は超音波診断装置に血流速
分布を表示する機能を付加した装置に適用したも
のであるが、本発明は他に、生体の動きのドツプ
ラ映像を得たり、生体の熱的な超音波音響インピ
ーダンス変化による周波数のゆらぎを計測するこ
とにも適用することができ、さらに一般に工業計
測用超音波流量計にも適用可能である。

以上実施例について説明したように本発明によ
れば、高速フーリエ変換法によりリアルタイムで
信号処理することが現状の演算装置では能力不足
のため無理なところを、簡単な構成で同等の信号
処理を行なうことを容易に実現できる。また超音
波の周波数で決まる分解能まで分解能を向上さ
せ、測定部位の巾（サンプルボリユーム）を小さ
くでき、特に生体の血流速を計測する場合心腔内
の血流速分布を高品位に抽出可能であり、胎児の
心拍を検出することなどに効果が大である。

【図面の簡単な説明】

図は本発明の一実施例のブロツク図である。 １…被検体、１１…血管、１２…測定部位、２
…探触子、３…送受波回路、４…CRT表示装置、
５…レーザ発振器、６…レーザ光回折角受信セン
サ、７…ビジコーダ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 超音波を流体に向けて送波するとともにその
   反射超音波を受波し、この送波超音波と受波超音
   波とを超音波光変調素子に導き、この超音波光変
   調素子に照射されているレーザ光の回折角を前記
   送波及び受波超音波の周波数に応じて変え、この
   回折角をレーザ光回折角受信センサにより検出
   し、送波超音波周波数に対する受波超音波の周波
   数偏移に応じた検出信号を得て、この検出信号に
   より前記流体の流速を表わすようにした超音波ド
   ツプラ流速計。