JPH028092B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、洗浄水の供給用導管が結合され、便
鉢の内面を洗浄するように配設された複数の配分
水路に対して、洗浄水を最適な状況のもとに配分
送給するようにした、水洗便器における洗浄水配
分装置の改良に関する。

（従来技術とその問題点） 水洗便器を使用した後、便鉢内にある汚物を排
出すると共に、便鉢内面を清掃するためには、洗
浄水を最適な吐出圧力のもとに便鉢部へ送給しな
ければならない。そうでなければ、好ましい清掃
が行われず、水洗便器に不具合な状態を招くこと
となる。洗浄水は、水洗便器の上方に離隔して設
置されたハイタンク或は水洗便器本体に直に設置
されたロータンクから供給されるか、さもなく
ば、フラツシユ弁を介して水道主管から直接供給
される。従来、水洗便器本体は、セラミツク材料
で製造されており、その構造としては、便鉢後方
部からその両側上縁に沿う如く２つの等しい大き
さをもつた配分水路が配置されているのが普通で
ある。配分水路に送給された洗浄吐出水のうち、
一部は便鉢の内側面を清掃し、それ以外の水は便
鉢の前方領域で合流し、合流した勢力でもつて便
鉢の底部に注がれる。これによつて、便鉢内の汚
物はトラツプを介して排出されるよになつてい
る。

洗浄水がハイタンク又はロータンクから供給さ
れる場合には、その水は、タンクの設置された位
置の高さによつて与えられる静圧のもとに水洗便
器本体へ供給される。従つて、水洗便器本体に装
着される洗浄水配分装置は、特に、便器本体に直
接に設置されたロータンクから洗浄水が供給され
る場合において最適な清掃が可能となるように、
僅かな流れ抵抗のみが与えられる如く構成されて
いなければならない。これと異なり、洗浄水がフ
ラツシユ弁を介して水道主管から直接供給される
場合は、フラツシユ弁は、水道主管に与えられて
いる高い圧力のもとで洗浄水が供給される。この
場合にも、最適な清掃が可能となるような流れ抵
抗が設定されなければならない。

ところが、水洗便器本体は、ハイタンク或はロ
ータンクから洗浄水が供給されるものと、フラツ
シユ弁を介して水道主管から洗浄水が供給される
ものとが随意に製造されている。そのため、それ
らの水洗便器本体に装着される洗浄水配分装置
も、夫々の水洗便器に適した流れ抵抗を有する構
造のものが存在する。従つて、水洗便器の施工に
当つて、洗浄水配分装置の選択をあやまる場合
は、洗浄水を各種型式のタンクから供給する水洗
便器と、フラツシユ弁を介して水道主管から供給
する水洗便器のいずれにおいても、最適な清掃を
達成することができない。

（問題の解決手段とその作用） 本発明は、従来の技術が有する前述の問題に鑑
み、これを解決する目的のもとに創作されたもの
であつて、その目的達成のために採用した解決手
段は、便鉢への洗浄水の配分水路が複数設けられ
た水洗便器の洗浄水入口へ着脱可能に設置される
洗浄水配分装置であつて、該洗浄水配分装置は洗
浄水の入口開口と前記配分水路に対して整合する
位置に複数の出口開口とが穿設された分水スリー
ブを有し、前記出口開口は洗浄水圧力の程度に応
じて流れ面積を改変し得る如くなしたところにあ
る。以下、かかる手段が講じられた水洗便器の洗
浄水配分装置を本発明装置と言う。なお、前記解
決手段のうち、核心となる部分は分水スリーブで
あるが、該分水スリーブの構造には各種の実施態
様がある。該各種実施態様については、後述する
ところによつて明らかとなる。

前記の解決手段によれば、水洗便器へ供給され
る洗浄水が色々な型式のタンク又はフラツシユ弁
を介する水道主管のいずれから供給されるかに関
係なく、最適な清掃を実施することが可能とな
る。即ち、供給される洗浄水が比較的低圧である
場合には、分水スリーブにおける出口開口の流れ
面積を大きくするようにし、比較的高圧である場
合には分水スリーブにおける出口開口の流れ面積
を小さくするようにする。かくして、供給される
洗浄水の圧力に適合するように流れ抵抗を調節す
ることが簡単に行えると共に、便器本体に配設さ
れた複数の配分水路に対し、便鉢内側面の清掃と
汚物の排出に最適な洗浄吐出水を送給することが
できるものである。

（実施例） 以下、本発明を図面に示す実施例に基づいて説
明する。

第１図は、ブラケツトで壁に支持するように意
図された型式の水洗便器本体であつて、これを縦
断面視した状態を示すものである。便器本体のう
ち、最も大きな領域を占めているのは便鉢１０で
あり、便鉢１０の底部後方側にはトラツプ１１が
設けられている。便鉢１０の上部には２つの配分
水路１３が設けられている。該配分水路１３，１
３は、通常の状態では、便器本体の後部から便鉢
１０の上縁まわりを両側に沿つて前方へ向つて延
設され、前方領域で出会うようになつている。便
器本体の後上部域には洗浄水入口１２が設けてあ
る。該洗浄水入口１２は、２つの配分水路１３，
１３の始端部に連通している。洗浄水入口１２は
また、図示しない各種型式のタンク又はフラツシ
ユ弁を介して水道主管に結合される。なお、前記
のトラツプ１１は、排出ソケツト１４と直に連通
しており、該排出ソケツト１４は図示しない下水
排出管に結合される。

かかる構造の水洗便器は、便鉢１０を清掃する
ための操作が行われたときに、清掃に充分な所在
圧力のもとに所定水量が洗浄水入口１２に供給さ
れなければならない。清掃の際の洗浄水は、洗浄
水入口１２から配分水路１３，１３へ送給され、
送給途中で便鉢１０の両側部内面に沿つて下方へ
注がれるものと、便鉢１０の前方領域で出会うと
ころまで達して合流し、合流助成勢力のもとに便
鉢１０の底へ注がれるものとがある。このように
して最適状況のもとでは、便鉢１０の全内側面が
完全に清掃され、しかも如何なる洗浄水も便鉢１
０の上縁を越えて跳ねかかる惧れのないものでな
ければならない。しかしながら、これは、洗浄水
が配分水路１３，１３へ吐出される際に適切な圧
力であり、且つできるだけ最良な状態で便鉢１０
に送給されることを前提とする。たとい洗浄水入
口１２に供給される洗浄水が適切な圧力であつて
も、該洗浄水入口１２を通つて進入する洗浄吐出
水は２つの配分水路１３，１３に等配区分して送
給されなければならないから、最適な清掃を実現
することは困難である。水洗便器本体は、通常セ
ラミツク材料で製造されるため、必ず寸法公差の
変動か生じる。従つて、最適な清掃が達成される
のは例外的な場合であると言つても過言ではな
い。水洗便器本体が、フラツシユ弁を介して水道
主管に結合される場合には、該水道主管から供給
される洗浄水の圧力は常に低減されなければなら
ない。そしてこれは、通常、洗浄水入口１２への
供給配管系に設けられる絞り弁の扶助によつて行
なわれる。ところが絞り弁は、所望の最適清掃に
好ましくない作用を呈することが判明した。

本発明の基本原理は、便器本体に設けられた２
つの配分水路において等しい清掃状態が得られる
ように、洗浄吐出水が簡単な態様で送給可能であ
ると同時に、所望の最適清掃が得られるように圧
力を調節することのできる洗浄水配分装置を技術
構成するところにある。そして、これは、第１図
及び第２図に符号１５で示した分水スリーブによ
つて達成される。

縦断面視した第２図に示す如く、分水スリーブ
１５は円筒状部材で形成されている。該円筒状部
材の一端が入口開口１５ａとなつており、これに
対向する他端は閉塞されている。そして、閉塞さ
れた部分に直近な周側面には、便器本体に設けら
れた２つの配分水路１３，１３（第１図参照）に
対して整合せしむべき出口開口１９，１９が穿設
されている。言うまでもなく、出口開口１９，１
９の流れ面積については、大小様々なものが準備
される。入口開口１５ａの外側周には位置決めフ
ランジ１８が設けてある。該位置決めフランジ１
８は、第１図に示すように、分水スリーブ１５を
便器本体の洗浄水入口１２へ装着したときに、内
向鍔２０へ当接せしめて位置決めするためのもの
である。更に、入口開口１５ａの内側周には、前
記の位置決めフランジ１８と隣接する如く２つの
凹所２７，２７が設けてある。該２つの凹所２
７，２７は、入口開口１５ａの内周壁にあつて、
中心角90゜だけ喰違つた位置に配設されている。
この凹所２７，２７は次に述べる内挿部材２１と
の関係を考慮して設けられたものである。

内挿部材２１は、分水スリーブ１５内へ、入口
開口１５ａからの滑り嵌合で容易に挿入すること
ができるように形成されている。内挿部材２１を
斜視すれば第３図に示す如くである。即ち、概略
的には短円管状であり、軸線方向の一端側に当接
フランジ２２が設けてある。該当接フランジ２２
は、内挿部材２１を分水スリーブ１５内に挿入し
たときに、分水スリーブ１５の位置決めフランジ
１８へ当接せしめて（第２図参照）、内挿部材２
１と分水スリーブ１５との合体関係を安定化する
ものである。当接フランジ２２に隣接して突起２
６が設けてある。該突起２６は、内挿部材２１を
分水スリーブ１５内へ挿入して両者を合体せしめ
るときに、分水スリーブ１５に90゜の中心角をも
つて設けられた２つの凹所２７，２７のうち、い
ずれか１つを選択して嵌め込むものである。内挿
部材２１にはまた、軸線方向の他端側に２つの矩
形切欠２３，２３が設けられている。該矩形切欠
２３，２３は、矩円管状内挿部材２１の直径方向
において対向する位置にある。矩形切欠２３，２
３の部分と非切欠の部分とは、前記分水スリーブ
１５に設けられた出口開口１９，１９の流れ面積
を、次のように部分的に遮閉減少せしめる。即
ち、内挿部材２１を分水スリーブ１５の入口開口
１５ａから挿入して、第２図に示す状態におけ
ば、非切欠の部分は分水スリーブ１５における出
口開口１９，１９と整合し、その流れ面積をほぼ
半減する程度に遮閉する。この状態から、内挿部
材２１をやや引抜き、90゜円周方向に回動させた
後に改めて挿入すれば、矩形切欠２３，２３の部
分は出口開口１９，１９の流れ面積を少量分だけ
低減するようになる。従つて、分水スリーブ１５
に設けられた凹所２７，２７と内挿部材に設けら
れた突起２６とは、出口開口１９，１９における
流れ面積の遮閉度を選択的に改変して、その状態
に定置するのに役立つ。

水洗便器の施工時には、供給される洗浄水の圧
力は、叙上の構造になる洗浄水配分装置が、第１
図に示す如く、水洗便器本体の洗浄水入口１２に
装着される以前の最初の段階で設定されなければ
ならない。もし圧力が低ければ、出口開口１９の
流れ面積が最大の分水スリーブ１５を選択して洗
浄水入口１２へ装着する。その際、各出口開口１
９，１９は、それぞれの配分水路１３，１３と整
合し、位置決めフランジ１８が洗浄水入口１２の
奥に周設された内向鍔２０の肩１６に当る状態に
おかれる。この場合において、分水スリーブ１５
が所定の位置から捻れて外れるのを防止するため
に、洗浄水入口１２に設けられた内向鍔２０と分
水スリーブ１５に設けられた位置決めフランジ１
８の相互間に、凹凸等になる係合措置を設けてお
くとよい。分水スリーブ１５を装着するには、洗
浄水入口１２の内周壁に当接する円周方向シール
リツプを有するシールリング１７を、その先端が
分水スリーブ１５の位置決めフランジ１８に当接
するまで洗浄水入口１２に挿入する。シールリン
グ１７の装着後、洗浄水の供給導管は洗浄水入口
１２に結合可能である。そして洗浄水は、分水ス
リーブ１５により、２つの配分水路１３，１３に
適切な状態で吐出送給される。このように、適切
な流れ面積の出口開口１９，１９を有する分水ス
リーブ１５の選択により、配分水路１３，１３に
送給される洗浄吐出水は、水洗便器本体の便鉢１
０を清掃するに最適な圧力に調整される。

供給される洗浄水の圧力が、上述の前提圧力を
越えるものであれば、分水スリーブ１５へ内挿部
材２１を挿入し、両者を第２図に示す状態に合体
せしめるか、または、洗浄水圧力の程度に応じ
て、内挿部材２１を第２図の状態から90゜回動し
た位置で合体せしめたものを使用することによつ
て、圧力を容易に調節することができる。このよ
うなわけで、出口開口１９，１９の流れ面積は、
内挿部材２１によつて部分的に遮閉され、従つて
流れ抵抗は増大し、高い供給水圧にも拘らず、便
鉢１０は最適な状態で清掃される。

上述のことからわかるように、本発明装置は、
出口開口１９，１９の寸法が異なる各種の分水ス
リーブ１５と、矩形切欠２３，２３を設けて長さ
を変化させた内挿部材２１との共助により、供給
される洗浄水圧力に非常に正確に適合可能なこと
が認められる。

第４図は他の実施例を示すものである。この実
施例では、分水スリーブ１５の各出口開口１９，
１９は、先端に移行するに従つて断面積が次第に
小さく形成された分枝管２４，２４に設けられて
ある。該分枝管２４，２４は、分水スリーブ１５
と一体に作られ、両側方に延設されている。分枝
管２４，２４の先端部が便器本体の配分水路１
３，１３に整合するものであることは言うまでも
ない。同図中の符号２５，２５…で示すように、
分枝管２４，２４には、所定の間隔をおいて切断
用罫線が設けられている。適宜の罫線２５，２５
…位置で分枝管２４，２４を切断し延設長さを調
節して、出口開口１９，１９の流れ面積を所望の
大きさに改変することができる。本実施例の分水
スリーブ１５を第１図の水洗便器本体の洗浄水入
口１２へ装着する場合は、先の実施例のものとは
反対の方向から行つて固定するのが好ましい。か
くして、第４図に示す分水スリーブ１５を使用し
ても、供給される洗浄水圧力に適合した最適清掃
を行うことが可能である。

（発明の効果） 以上詳述の如く、本発明装置は、洗浄水が型式
の異なるタンクやフラツシユ弁を介する水道主管
から供給される等して、その供給水圧に多様な差
異があるにも拘わらず、配分水路及び便鉢に対し
て、便鉢内側面の完全な清掃と汚物の確実な排出
のために過不足のない圧力と水量の洗浄水を吐出
送給せしめることができる。また、送給された洗
浄水は便鉢の上縁を越えて飛散するような惧れも
ない。しかも、本発明装置は、その構造が極めて
簡単であるため、安価であり、且つ調整も容易で
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明装置を洗浄水入口に装着した壁
支持型式になる水洗便器本体の縦断面図、第２図
は分水スリーブと内挿部材とを合体せしめた本発
明装置の縦断面図、第３図は内挿部材の斜視図、
第４図は本発明装置の他の実施例を示す正面図で
ある。 １０…便鉢、１２…洗浄水入口、１３…配分水
路、１５…分水スリーブ、１５ａ…入口開口、１
８…位置決めフランジ、１９…出口開口、２１…
内挿部材、２２…当接フランジ、２３…矩形切
欠、２４…分枝管、２５…切断用罫線。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 便鉢への洗浄水の配分水路が複数設けられた
   水洗便器の洗浄水入口へ着脱可能に設置される洗
   浄水配分装置であつて、該洗浄水配分装置は洗浄
   水の入口開口と前記配分水路に対して整合する位
   置に複数の出口開口とが穿設された分水スリーブ
   を有し、前記出口開口は洗浄水圧力の程度に応じ
   て流れ面積を改変し得る如くなされていることを
   特徴とする水洗便器の洗浄水配分装置。 ２ 分水スリーブは、一端が入口開口となり他端
   が閉塞された筒状であつて、筒状の周側面には複
   数の出口開口が穿設されていることを特徴とする
   特許請求の範囲第１項記載の水洗便器の洗浄水配
   分装置。 ３ 分水スリーブの内部には、短管状の内挿部材
   が嵌合され、該内挿部材は分水スリーブに設けら
   れた出口開口の流れ面積を部分的に遮閉し得る如
   くなされていることを特徴とする特許請求の範囲
   第２項記載の水洗便器の洗浄水配分装置。 ４ 内挿部材は、分水スリーブに対する嵌合位置
   が周方向に少なくとも２つあり、該嵌合位置の選
   択によつて出口開口における流れ面積の遮閉度を
   改変し得る如くなされていることを特徴とする特
   許請求の範囲第３項記載の水洗便器の洗浄水配分
   装置。 ５ 分水スリーブの周側面に穿設された複数の出
   口開口から側方に延びる分枝管が設けられ、該分
   枝管は先端に移行するに従つて流れ面積が小さく
   なる如く形成され、該分枝管には延設長さを調整
   して流れ面積を改変するための切断用罫線が設け
   られていることを特徴とする特許請求の範囲第２
   項記載の水洗便器の洗浄水配分装置。