JPH02685Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、酸素センサのシール性の改良に関す
るものである。

自動車等の空燃比制御のために使用される酸素
センサには、酸化ジルコニウム等の固体電解質に
て一端が閉止された円筒状容器を形成し、この容
器の内外に白金電極を設けたものをセンサ素子と
し、そのセンサ素子の内側に大気を導入しその外
側に排気ガスを接触させて酸素濃淡電池とし、排
気ガス中の酸素濃度に応じて生ずる起電力によつ
て酸素濃度を求めるものがある。こうした構成の
酸素センサにおいては、センサ素子の内側に排出
ガスが入いると正確に排出ガス中の酸素濃度が測
定できないため、センサ素子を充分大きくしてい
たが、大きくすると排出ガスに接する先端部は高
温となるが後端部は温度が低く走行中に水などが
かかつて急冷されると熱衝撃に弱いことから破損
し易いという欠点があつた。この欠点を排除する
ために、センサ素子の大きさを測定に必要な程度
の大きさとし、耐熱性セラミツク絶縁体の先端に
保持せしめた形式の酸素センサも提案されてい
る。

いずれの場合でも従来の酸素センサでは、セン
サ素子の内側へ排気ガスが侵入することおよび酸
素センサから排出ガスが外部に漏れることを防止
するため、センサ素子と絶縁体との接合部または
センサ素子とハウジングとの当接部に形成される
隙間にシール材を挿入しているが、従来このシー
ル材としては耐蝕性、加工性などの観点からグラ
フアイトが使用されていた。

しかしながら、グラフアイトは耐蝕性、加工性
等を満足させるが、耐熱性に乏しいため、長期間
の使用においてシール性が低下するという問題を
生じていた。特に、センサ素子をセラミツク絶縁
体に保持させる形式の改良型酸素センサでは、折
角高温に耐えられるようにしても、シール材であ
るグラフアイトがこれに追従しないという問題が
生じていた。

本考案は、こうした酸素センサのシール性に係
る問題を解決するためのもので、高温下長時間の
使用でも確実にシールできる酸素センサを提供す
ることを目的とするものである。

本考案の酸素センサは、センサの組立て時にシ
ール部材を配置すべき隙間を積極的に形成せしめ
たことを特徴とするものである。

すなわち、センサ素子および絶縁体の少なくと
も一方に段部を形成し、該段部が、センサ素子と
絶縁体とが接合すべき部分、かつ、ハウジング側
に、位置し、該段部にシール部材としてタルク等
の無機質シール材を充填したものである。

この場合、シール部材として、耐熱性が良好で
グラフアイトとほぼ同程度の加工性を有するタル
クを採用すれば、上記構成と相俟つて、長期間の
使用に際してもシール不良を生ずることがほとん
ど無くなる。

なお、従来のグラフアイトは導電体の役割もし
ていたが、本考案で用いるタルクの場合、外側電
極は直接ハウジングに接するようにすればよい。

以下、図面に従つて本考案の実施例を説明す
る。

第１図は、本考案に係る酸素センサの一実施例
を示したもので、センサ素子およびその周辺部の
みを示した半断面図である。

図において、１が一端が閉止された筒状のセン
サ素子であり、該素子１の開口端側には同形状の
開口端を有する絶縁体２が接合され、両部材１，
２の間には、素子１側に集電プレート３、絶縁体
２側にステンレスパイプ４が嵌合され、これらは
それぞれ開口端にフランジを有する形状となつて
おり、集電プレート３は内側電極に接続し、ステ
ンレスパイプ４は逆に上方に向かつて長く延びて
いる。素子１および絶縁体２は図に示したように
互いに接合した状態でハウジング５内に装填さ
れ、該ハウジング５の上方端部を内側に、絶縁体
２との間にかしめリング６およびカバープロテク
シヨン７を位置させて、かしめることによつて固
定保持される。

そして、本例では、ハウジング５と絶縁体２と
で形成される隙間にタルクからなるシール材９が
充填されるほか、絶縁体２と素子１との接合部で
ハウジング側部分に段部２ａとして形成された空
隙に同様にタルクからなるシール材１０が挿入さ
れる。

なお、１１は排気管への取付け手段としてのフ
ランジであり、１２は排気ガス導出入孔１２ａを
多数有する保護カバーである。

上記の如く構成した酸素センサであるため、セ
ンサ組立て時にシール材を充填するにあたり、ハ
ウジング５にかかるかしめ力が、シール材１０を
介して集電プレート３と信号取出しパイプ４にか
かるため、素子１および絶縁体２を破損させるこ
となく、充分な力で完全にシールすることができ
る。本例では、センサ素子１に特別な細工を施し
ていないため、素子１の感度については全く影響
を及ぼさない。

第２図は、本考案に係る酸素センサの第二実施
例を示したもので、本例はセンサ素子１および絶
縁体２の両方に段部１ａ，２ａを設け、シール材
１０を充填させたものである。そのため、シール
材１０とハウジング５との当接面積が増加し、セ
ンサ素子１とハウジング５間および絶縁体２とハ
ウジング５間のシール性がともに向上する。

第３図は、本考案に係る酸素センサの第三実施
例を示したもので、本例では第一実施例と同様の
構成でただシール材９を充填させていないもので
ある。こうした構成のセンサにおいても、従来セ
ンサに比して優れたシール性を有する。

第４図は、本考案に係る酸素センサの第四実施
例を示したもので、本例は第一実施例とは逆にセ
ンサ素子１だけに段部１ａを設け、シール材を充
填させたものである。

以上の如く、本考案の酸素センサによれば、従
来配置されていた部分に加えて、さらに一箇所シ
ール材を配置させたことから、絶対的なシール量
が増加するため、シール性がその分向上する。ま
た、こうしてシール材を備える部分が、従来セン
サ素子とハウジング、また、絶縁体とハウジング
とがある程度密着していた部分であることから、
センサ組立て時におけるかしめ力により、センサ
素子とハウジング、また、絶縁体とハウジングに
よつて、シール材が強く挟圧されるため、従来の
シール部分におけるシール性に比してそのシール
性が良好である。また、シール材が導電体の少な
くとも一方に当接することとなるため、導電体の
密着性も良くなり、導電性が向上する。

さらに、シール材としてタルクを採用したこと
から、耐熱性の点で非常に優れ、センサの使用温
度を上昇させても、充分に耐えうる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案に係る酸素センサの第一実施
例を示す素子部半断面図、第２図は、第二実施例
を示す素子部拡大断面図、第３図は、第三実施例
を示す素子部拡大断面図、第４図は、第四実施例
を示す素子部拡大断面図、を表わす。 図中、１……センサ素子、２……絶縁体、１
ａ，２ａ……段部、１０……シール材。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 容器状の固体電解質からなるセンサ素子を筒
   状の耐熱性セラミツク絶縁体の先端に保持せし
   めハウジング内に固定してなる酸素センサにお
   いて、 センサ素子と絶縁体の接合面に両者の少なく
   とも一方にハウジング側に向けた段部を設け、
   該段部に耐熱性無機質シール材を充填してシー
   ルしたことを特徴とする酸素センサ。 (2) 前記センサ素子の開口部にフランジを有する
   金属円筒体を嵌合し、前記絶縁体の開口部にフ
   ランジを有する他の金属円筒体を嵌合し、両フ
   ランジを当接せしめ、該フランジを前記シール
   材が充填される段部に臨ませた実用新案登録請
   求の範囲第１項記載の酸素センサ。