JPH026591Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、電子線の偏向状態の確認を容易に行
い得る電子線の偏向装置に関する。

電子顕微鏡の偏向系においては、電子線の偏向
量を制御する摘子の近傍に２つのランプを設け、
該ランプの点灯によつて電子線の偏向方向を表示
することが行われている。例えば、電子線が偏向
されていない状態、すなわち、偏向コイルに電流
が流されていない状態では、該両方のランプを点
灯させるか消灯させ、更に、該偏向コイルに流さ
れる電流に応じていずれかのランプを点灯させる
ようにしている。このような偏向方向の表示は、
偏向が零の状態（偏向コイルに電流が流されてい
ない状態）からの偏向方向を確認することはでき
るものの、電子線を偏向し、軸合わせを行つた状
態からの偏向方向の確認を行うことができない。

本考案は、上述した点に鑑みてなされたもの
で、偏向が零の状態からの偏向方向と、電子線が
軸合せされた状態からの偏向方向とを選択的に表
示することができる電子線の偏向装置を提供する
ことを目的とする。

本考案に基づく電子線の偏向装置は、電子線の
偏向方向を制御するための制御手段と、該制御手
段からの信号に基づいて電子線を偏向するための
偏向手段と、該制御手段からの信号が被比較信号
として供給される比較器と、該比較器の出力信号
に応じて電子線の偏向方向を表示する表示手段と
を備え、該比較器に比較信号として２種の信号を
選択的に供給し得るように構成したことを特徴と
している。

以下、本考案の実施例を添附図面に基づいて詳
述する。

第１図において１はロータリーエンコーダある
いはパドルスイツチの如きパルス発生素子であ
り、該素子１より発生したパルスは、アツプダウ
ンカウンタ２に供給される。該カウンタ２のカウ
ント値は、Ｄ−Ａ変換器３によつてアナログ信号
に変換され、増幅器４によつて増幅された後に電
子線の偏向コイル５に供給される。該カウンタ２
のカウント値は、ラツチ回路６にも供給されてお
り、該ラツチ回路６にラツチされた信号は、Ｄ−
Ａ変換器７によつてアナログ信号に変換された
後、スイツチ回路８のｂ端子に供給される。尚、
該スイツチ回路８のａ端子は、接地されている。
該増幅器４の出力信号は、該スイツチ回路８の出
力信号が比較信号として供給されている比較器９
に被比較信号として供給されている。１０は２個
のランプより成る表示手段であり、該ランプは比
較器９における両信号の比較結果に応じて点灯さ
れる。

上述した如き構成において、スイツチ回路８を
ａ端子に接続し、偏向コイル５に供給される偏向
信号が零となるようにパルス発生素子１を制御す
れば、比較器９による比較結果は零となり、例え
ば、表示手段の２つのランプは両方が点灯する。
又、該パルス発生素子１を制御してアツプダウン
カウンタ２のカウント値を正の値とし、偏向コイ
ル５に電流を流して電子線を所定の方向に偏向す
れば、比較器９における比較値が正の値となり、
表示手段の一方のランプのみが点灯する。逆に、
該カウント値が負となるようにパルス発生素子１
を制御し、偏向コイルに逆方向の電流を流して該
電子線を前記とは逆の方向に偏向させれば、比較
器９の比較値が負となり、他方のランプのみが点
灯する。ここで、該偏向コイルに供給する電流値
を制御して電子線の軸合せ操作を行い、この軸合
せが終了した時点でスイツチ回路８を切換え、ｂ
端子に接続すると、比較信号としてＤ−Ａ変換器
７の出力信号が比較器９に供給される。このスイ
ツチの切換えと連動してラツチ回路はその状態で
固定され、その後は、スイツチの切換え時点のカ
ウンタ２の値に応じた信号がスイツチ回路８を介
して比較器９に供給されることになる。このスイ
ツチ回路８がｂ端子に切換えられた時の状態で
は、偏向コイル５には電流が流されているにも拘
わらず、比較器９における比較結果は零となり、
軸合せがなされていることを示すため、表示手段
１０の両ランプは点灯する。その後、パルス発生
素子１を制御して偏向コイル５に供給する電流値
を変化させれば、電子線の偏向方向に応じていず
れかのランプが点灯することになる。

このように、上述した実施例では、スイツチ回
路８をａ端子に接続することにより電子線の偏向
が零の状態及び電子線の偏向が零の状態からの電
子線の偏向方向を確認することができると共に、
スイツチ回路８をｂ端子に接続することによつ
て、電子線の軸合せされた状態及び電子線が軸合
せされた状態からの電子線の偏向方向を容易に確
認することができる。

第２図は本考案の他の実施例を示しており、第
１図の実施例と同一部分には同一番号を付してそ
の詳細な説明を省略する。この実施例では、第１
のポテンシヨメータ１１の出力信号が増幅器４を
介して偏向コイル５に供給されており、又、第２
のポテンシヨメータ１２の出力信号がスイツチ回
路８のｂ端子に供給されている。この実施例で
は、第１のポテンシヨメータ１１を制御して電子
線の軸合せを行つた後、スイツチ回路８をｂ端子
に接続し、第２のポテンシヨメータ１２を制御
し、表示手段１０の２つのランプが同時に点灯し
た状態で該ポテンシヨメータ１２を固定する。こ
の実施例においても、スイツチ回路８の切換えに
より、電子線の偏向が零の状態と電子線の軸合せ
がされた状態の確認、更に、それらの状態からの
電子線の偏向方向の確認を容易に行うことができ
る。

以上本考案を詳述したが、本考案は、上述した
実施例に限定されず、幾多の変形が可能である。
例えば、表装置として２つのランプを用いたが、
該夫々のランプに代えて多連のLEDを用い、該
LEDによつて偏向方向と偏向量とを表するよう
に構成しても良い。又、電子線の偏向手段として
偏向コイルを用いたが、偏向手段として静電偏向
板を用いた場合にも本考案を適用することができ
る。更に、電子線の偏向方向の基準として、偏向
が零の状態と、軸合せされた状態を例示したが、
電子線が所定の角度に偏向された他の状態を基準
としても良い。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の一実施例である電子線の偏
向装置を示す図、第２図は本考案の他の実施例を
示す図である。 １……パルス発生素子、２……アツプダウンカ
ウンタ、３，７……Ｄ−Ａ変換器、４……増幅
器、５……偏向コイル、６……ラツチ回路、８…
…スイツチ回路、９……比較器、１０……表示手
段。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 電子線の偏向を制御するための制御手段と、該
   制御手段からの信号に基づいて電子線を偏向する
   ための偏向手段と、該制御手段からの信号が被比
   較信号として供給される比較器と、該比較器の出
   力信号に応じて電子線の偏向方向を表示する表示
   手段とを備え、該比較器に比較信号として２種の
   信号を選択的に供給し得るように構成した電子線
   の偏向装置。