JPH02598B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、ゴム製あるいはプラスチツク製ホー
スの締結構造に関するものであり、更に詳しく
は、上記ホースとホース・エンドとを圧入スリー
ブの締付圧力を利用して強固に接合するスリーブ
圧入式締結構造の改良に関するものである。

イ 従来技術 ゴム製またはプラスチツク製のホースと金属製
のホース・エンドとの間に密着性および引抜き抵
抗性に優れた接合構造を形成する半永久的な締結
手段として、「圧入式締結工法」あるいは「加締
め式締結工法」が知られている。

「圧入式締結工法」は、第１図に例示するよう
に、ホース・エンド１に被着圧入されたホースＨ
の端部に更にその外面から円筒状の金属製スリー
ブ２を圧入し、前記ホースＨとホース・エンド１
との間に密封性に優れた締結部位を形成せしめる
締結工法である。

一方、「加締め式締結工法」は、第２図Ａ，Ｂ
に図示するように、前記ホースＨ上に被着圧入さ
れた金属製スリーブ２′，２″を圧潰することによ
りホースＨとホース・エンド１′または１″を緊密
に締結する工法である。

前記「圧入式締結工法」において、慣用のホー
ス・エンド１及びスリーブ２は何れも金属材料で
作製されており、それら自体は弾性に乏しいため
ホースＨに対する締付力は専ら該ホースＨの弾性
に依存している。

従つて、両金属材料製締結部材の寸法精度が厳
密に維持されないと、締結部材相互の間に実用上
充分な密封性および引抜き抵抗性を確保すること
が不可能になる。従つて、上記締結部材の製造工
程においては寸法精度の維持に細心の注意を払う
必要があり、このため締結部材の製造コストが大
幅に上昇する。

また、ホースＨの構成材料であるゴム又はプラ
スチツクの許容応力との関係から、前記ホース・
エンド１及びスリーブ２によるホースＨの締付け
圧力は自ずから制約を受けるため、たとえ上記成
形工程において寸法精度の維持に充分な注意が払
われたとしても、最終的に締結された部材相互間
に確実な密封性と引抜き抵抗性を付与する上に依
然として大きな制約が認められている。

一方、後者、即ち、第２図Ａ，Ｂに実施態様を
例示する「加締め式締結工法」においても、前記
「圧入式締結工法」と同様に許容締付圧力が制約
される欠点が認められ、これに加うるに加締め作
業を実施するための労力と締着装置を用意しなけ
ればならない。従つて単に締結材料の製造コスト
が高騰するに留まらず、工数の減少ならびに設備
投資効率の改善に対しても大きな障害が認められ
ている。

ロ 発明の目的 本発明の主要な目的は、在来工法に比較して遥
かに簡単な圧入操作によつてより強固な密封性と
引抜き抵抗性を締結部材に付与し得るホース締結
構造を提供することにある。

ハ 発明の構成 本発明は、ホース・エンド１０の軸線方向に沿
つて適当な間隔で複数の環状切込み１６ａを形成
したホース嵌装部１６にゴム製あるいはプラスチ
ツク製ホースＨの開口端を被着圧入し、該ホース
Ｈの外側からホース・エンド１０に対してホース
Ｈを締付ける中空円筒状のスリーブ１８を前記ホ
ース・エンド１０のホース嵌装部１６から隔つた
位置に形成されたフランジ１１の端面まで圧入す
るホース締結構造において、前記ホース・エンド
１０およびスリーブ１８または少なくともスリー
ブ１８を合成樹脂材料から形成し、該ホース・エ
ンド１０には前記フランジ１１からホース嵌装部
１６の開口端に向つて、外周面に環状凸部１７を
有し上記ホース嵌装部１６より大径のスリーブ結
合段部１４と、前記スリーブ結合段部１４よりも
小径で前記ホース嵌装段部１６よりも大径の受圧
段部１５とを順次形成し、一方前記スリーブ１８
には、その内周面に前記環状凸部１７が嵌装する
環状溝１９を形成してなるホース締結構造を要旨
とするものである。

ニ 実施例 第３図は本発明に係るホース締結構造を例示す
る側面図である。

第３図において、ホース・エンド１０はフラン
ジ１１の後面に図示しない固定配管等に本発明に
係るホース締結構造を接続するためのねじ部１２
を連結し、一方、前記フランジ１１の前面にホー
ス締結部１３を連設している。

該ホース締結部１３には、前記フランジ１１か
らホース締結部１３の開口端に向つて、ホースＨ
またはスリーブ１８に対する圧入条件を異にする
３つの圧入部位、即ち、スリーブ結合段部１４、
受圧段部１５ならびにホース嵌装部１６が順次配
設されている。而して、前記ねじ部１２、フラン
ジ１１ならびにホース締結部１３は一体構造を為
してホース・エンド１０を形成している。

スリーブ結合段部１４は、後述のスリーブ１８
の内径と略等しい外径を有する円筒状のスリーブ
係止部位であつて、その外周面にはスリーブ１８
の環状溝１９内に嵌まり込む環状凸部１７が形成
されている。

受圧段部１５は、前記ホース嵌装部１６よりも
大径で、かつ、スリーブ結合段部１４よりも小径
に形成されており、ホース嵌装部１６との境界面
にホースＨの端面を支承する受け面１５ａを形成
している。

また、ホース嵌装部１６の外周面には、ホー
ス・エンド１０の軸線方向に沿つて適当な間隔を
於いて複数個の環状切込み１６ａが形成されい
る。

一方、中空円筒状をなす締付用スリーブ１８の
内面には、該スリーブ１８をホース・エンド１０
の基端部に形成されたフランジ１１の端面に当接
する位置まで押込んだとき、前環状凸部１７が嵌
まり込む環状溝１９が形成されている。

尚、上記ホース・エンド１０および締付用スリ
ーブ１８または少なくともスリーブ１８は合成樹
脂、例えば、ポリアセタール、ポリカーボネー
ト、ポリアミド、ポリフエニレンオキサイド等の
適度の弾性を有する合成樹脂材料から形成されて
いる。これらの合成樹脂材料は、ホース締結構造
の内部を流通する流体の特性に応じて選択される
が、特にガス用ホースの締結部材として使用する
場合には難燃性を考慮してポリフエニレンオキサ
イド樹脂を使用することが好ましい。

上記ホース・エンド１０および締結用スリーブ
１８は、これらのホース締結部材をそれぞれ一体
成形品として成形し得る公知の成形方法、例えば
射出成形法等によつて製作することができる。

また、本発明に好適な実施態様においては、前
記締付用スリーブの圧入側開口端の内周面に該ス
リーブ１８の圧入を容易化する面取り加工を施こ
すことができる。

以下、上記ホース・エンド１０および締付用ス
リーブ１８によるホースＨの締結要領を説明す
る。

まず、ホースＨを、該ホースＨの開口端が受圧
段部１５の端面１５ａに当接する位置まで、環状
切込み１６ａを有するホース嵌装部１６の外周面
に沿つて圧入する。

然る後、スリーブ１８をホースＨの外側に嵌め
込み、この状態でスリーブ１８の先端をホース・
エンド１０のスリーブ結合段部１４の外周面に沿
つて圧入する。この過程において、スリーブ１８
によつて圧縮されたホースＨの端部は、第３図に
点線で示すように、圧力段部１５の外周面上には
み出し、ホースＨはスリーブ１８によつて強固に
締付けられた状態でホース・エンド１０に固定さ
れる。

上記スリーブ１８の嵌め込み端がフランジ１１
の端面に当接する位置までスリーブ１８を圧入す
ると、スリーブ１８の内面に形成せられた環状溝
１９内にスリーブ結合段部１４の環状凸部１７が
嵌まり込み、ホース・エンド１０とスリーブ１８
は、前記環状凸部１７と環状溝１９との弾性的な
係合により一体構造を為して固定される。

従つてホースＨは、該ホースＨ自体の弾力に加
えて、ホース・エンド１０とスリーブ１８の弾力
性に起因する強固な締付力によつて、ホース・エ
ンド１０に緊密に固定される。

ホ 発明の効果 本発明に於いて、ホース・エンドおよびスリー
ブは弾力性に優れた合成樹脂材料から成形されて
いるので、ゴム製あるいはプラスチツク製ホース
に作用する締付力を在来のホース締結構造に比較
して大幅に向上せしめることができる。従つて、
最終的に形成せられたホース締付構造に強固な密
封性能と確実な引抜き抵抗性能を付与することが
できる。また、本発明において、上記ホース・エ
ンドおよびスリーブとして合成樹脂材料よりなる
成形品を使用しているため、従来の金属製の締結
部材に比較してより軽量かつ低廉なホース締結構
造を提供することができる。

更にホース・エンドに設けられた受圧段部外周
面とスリーブ内側との間に形成された空隙は、ホ
ース締結時に圧縮され軸線方向に膨出したホース
端部を受容するため、スリーブの圧入操作を容易
化すると共にホースに対し過剰な締付力が作用し
ないように締付力を緩和する。

またホース・エンドのスリーブ結合段部に設け
られた環状凸部とスリーブの内周面に設けられた
環状溝との嵌合によつて、該ホース・エンドとス
リーブとは一体構造をなして結合されるため、単
にスリーブを圧入するだけの簡単な操作でホース
締結作業を終了することができ、最終的に得られ
たホース締結構造に一層強固な引抜き抵抗性能を
付与することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、従来のスリーブ圧入式ホース締結構
造を例示する側面図、第２図Ａ，Ｂは従来のスリ
ーブ圧入・加締め式ホース締結構造を例示する側
面図、第３図は本発明に係るホース締結構造を例
示する側面図である。 Ｈ……ホース、１０……ホース・エンド、１１
……フランジ、１４……スリーブ結合段部、１５
……受圧段部、１６……ホース嵌装部、１６ａ…
…環状切込み、１７……環状凸部、１８……締結
用スリーブ、１９……環状溝。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ホース・エンドの軸線方向に沿つて適当な間
   隔で複数の環状切込みを形成したホース嵌装部に
   ゴム製あるいはプラスチツク製ホースの開口端を
   被着圧入し、該ホースの外側からホース・エンド
   に対して、ホースを締付ける中空円筒状のスリー
   ブを前記ホース・エンドのホース嵌装部から隔つ
   た位置に形成されたフランジの端面まで圧入する
   ホース締結構造において、前記ホース・エンドお
   よびスリーブまたは少くともスリーブを合成樹脂
   材料から成形し、該ホース・エンドには前記フラ
   ンジからホース嵌装部の開口端に向つて、外周面
   に環状凸部を有し、上記ホース嵌装部より大径の
   スリーブ結合段部と、該スリーブ結合段部よりも
   小径で前記ホース嵌装部よりも大径の受圧段部と
   を順次形成し、一方前記スリーブには、その内周
   面に前記環状凸部が嵌入する環状溝を形成したこ
   とを特徴とするホース締結構造。