JPH0259740B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 発明の目的 （産業上の利用分野） 本発明は熱滅菌処理に用いる載置台に関する。
更に詳述すると、本発明は、血液バツクや輸血バ
ツグ等のようなチユーブ付きプラスチツク製医療
用容器（以下容器と略称する）の積層状態での熱
滅菌処理に用いる載置台に関する。

（従来の技術） 一般に、血液バツグや輸血バツグ等の医療用プ
ラスチツク製容器は、その性質上滅菌処理を施し
て出荷される。滅菌処理としては一般に材料の劣
化などの虞れがなくかつ安価で操作の容易な過熱
蒸気を用いた加熱滅菌処理例えばオートクレーブ
滅菌が多用されている。この加熱滅菌処理におい
ては、従来チユーブ付きプラスチツク製容器を保
持するための適当なトレイや治具等が存在しなか
つたため、人手によつて一つずつ加熱滅菌処理装
置内に詰め込んで行なわれている。

（発明が解決しようとする問題点） しかしながら、この加熱滅菌処理（以下、熱滅
菌という）にあつては、高い耐熱性の合成樹脂を
使用しても、容器表面の重なり合つている部分同
士が粘着する所謂ブロツキングを起し易い。この
ため、従来はプラスチツク製容器、特に接触面積
の大きい袋容器を重ねた状態で熱滅菌処理するこ
とができず作業性の悪いものとなつている。また
重ねて熱滅菌する場合には、滅菌処理後にブロツ
キングを起した部分を手で一々ほぐす必要があ
り、手間がかかると共に汚染の可能性を伴う不利
がある。

そこで、１つのトレイに多数の容器を積み重ね
て載置し、そのままの状態で熱滅菌処理装置への
出入れ、熱滅菌処理及び輸送を可能とし、熱滅菌
プロセスの自動化を図つて能率を上げることを本
発明者等は考えた。

しかしながら、容器同士は積み重ね状態にあつ
てかなり広い面積において直接接触するので熱滅
菌時の熱によつて広範囲に亘つてブロツキングを
招き易く、しかもその後容易に剥離し難く、自動
化の実現を困難なものとしていた。

そこで、本発明は、熱滅菌処理装置への出入れ
が容易でかつ容器同士のブロツキングを防止し一
度に多数のチユーブ付きプラスチツク製容器の熱
滅菌処理が可能な載置台を提供することを目的と
する。

発明の構成 （問題点を解決するための手段） かかる目的を達成するため、本発明の熱滅菌処
理用載置台は、略方形の板状部材と該板状部材の
一辺に設けられ、かつ複数のチユーブ付きプラス
チツク製医療用容器のチユーブ先端側部分を固定
し得る複数のクランプ部と前記医療用容器の容器
本体部分を載置可能とし、かつ熱滅菌温度で該医
療用容器と接着性を有しない複数の載置板と、前
記板状部材のクランプ部と、対向する他辺の位置
に設けられた連結部であつて、前記複数の載置板
を積層した状態で連結し、かつその各々を必要に
応じて翻覆自在とする連結部とを備え、前記医療
用容器を前記積層された複数の載置板間に載置し
たときに前記載置板が前記医療用容器間に介在す
ることにより、前記医療用容器同志を互いに離間
しつつ複数重ねた状態で熱滅菌処理可能としてい
ることを特徴とする。更に、本発明の載置台は載
置板が少なくとも一側端に載置台の外に突出する
舌状片を有することを特徴とする。また本発明の
載置台は、舌状片が載置板を重ねた状態において
相異なる位置に配設されていることを特徴とす
る。また本発明の載置台は、載置板が一定間隔お
きに仕切りを有し複数の容器を並べて載置可能と
することを特徴とする。また本発明の載置台は板
状部材が凹凸を有することを特徴とする。また本
発明の載置台は板状部材が波形を成すことを特徴
とする。また、本発明の載置台は、クランプ部が
板材にＵ形のノツチを設けたものであることを特
徴とする。また本発明の載置台は載置板がパンチ
ングメタルであることを特徴とする。また本発明
の載置台は載置板が金網であることを特徴とす
る。

（作用） したがつて、この載置台によると、積み重ねら
れたプラスチツク製容器は、介在する耐ブロツキ
ング性載置板によつて容器同士の直接接触が回避
されるので、熱滅菌処理時の熱によつてプラスチ
ツク容器の表面が溶融しても、ブロツキングを起
すことがない。耐ブロツキング性とは容器と板の
間でブロツキングを起こさない性質を意味する。
仮に耐ブロツキング性載置板に容器表面が付着し
たとしても、容易にはがれる。また、多数の容器
を重ねた状態で載置台上に載置してそのままの状
態で載置台毎搬送および積み重ね可能とするの
で、一度に多数のチユーブ付きプラスチツク製容
器の熱滅菌処理を可能とすると共に熱滅菌処理作
業も手間がかからず簡単となる。

（実施例） 以下本発明の構成を図面に示す実施例に基づい
て詳細に説明する。

本発明の熱滅菌処理用載置板台は、チユーブ付
プラスチツク製容器１の袋容器部分１Ａを主に受
け支える板状部材２と、チユーブ部分１Ｂの先端
側を固定するクランプ部３とそれらの周囲を囲繞
して他部材との積み重ねを可能とするフレーム部
４及び袋容器部分１Ａに覆い被さるように翻覆自
在に板状部材２上に備えられている耐ブロツキン
グ性載置板５とから成る。

板状部材２は熱滅菌雰囲気を遮断させないため
通気性のある材料ないし構造とされており、本実
施例の場合、加熱蒸気の流れを可能とするステン
レスステイール製パンチングメタルが採用されて
いる。また、この板状部材２は、適宜間隔をあけ
て突条６が２箇所設けられチユーブ１Ｂを宙に浮
かす構造とされている。勿論、図示していない
が、板状部材２全体を波形に形成してあるいは無
数の凹凸形状に形成して、チユーブ部分１Ｂ及び
袋容器部分１Ａが床面と密着するのを防止するこ
とも可能である。尚、板状部材２は少なくとも袋
容器部分１Ａを載置する範囲に存在すれば足りる
が、本実施例の如くチユーブ部分１Ｂも受け支え
る構造とすることが好ましい。

クランプ部３は、チユーブ先端側を固定しチユ
ーブ部分１Ｂのもつれを防ぐためのもので、本実
施例にあつては略Ｕ型のノツチ７が採用されてい
る。このノツチ７は、少なくとも当該載置台に載
置する容器の全てのチユーブ先端を固定できる数
量だけは設けられている。本実施例のクランプ部
３は、Ｕ形のノツチ７が一定間隔で多数設けられ
た２枚の板材３Ａ，３Ｂをチユーブ先端の針部１
Ｃを載せる受板８上に並設し、チユーブ１Ｂの先
端部分を図示していないチヤツクなどで把持し易
くするように宙に浮かして張架し得るように設け
られている。尚、クランプ部３としては、上述の
ノツチ７の他、板ばね等を使つたクリツプやフツ
ク、締付バンド等も使用可能である。

フレーム４は、チユーブ付プラスチツク製容器
１を幾層か重ねた状態で収納し得る内部空間を形
成し他部材と積み重ねを可能とするため、板状部
材２の周囲を囲繞する周壁構造が採られている。
このフレーム４の側方部分には、当該トレイの運
搬並びに積み重ね作業を容易にするため、把手片
９が側方に突出するように設けられている。尚、
受板８及びクランプ部板３Ａ，３Ｂは当該フレー
ム４の一部を構成している。

耐ブロツキング性載置板５は、板状部材２上に
積み重ねられる容器１の袋容器部分１Ａの間に装
入されて袋容器１Ａ同士が直接触れないようにす
るためのもので、少なくとも袋容器部分１Ａと同
じかそれより広い面積を有しかつ容器材料と粘着
性のない耐ブロツキング性材料から成る。耐ブロ
ツキング性材料としては、プラスチツク製容器に
対して加熱下及び／又は加圧下に粘着性を示すこ
とのない材料で、金属、セラミツクス及び耐熱性
プラスチツク、好ましくは金属もしくはセラミツ
クス、最も好ましくは加熱蒸気下において安定な
耐蝕性金属例えばステンレスステイールなどが採
用される。例えば、本実施例の場合、六枚の容器
１を一度に載置ないし覆い得る長尺なステンレス
製パンチングメタル板から成り、各容器１を隣な
る容器１から区画しかつ他の耐ブロツキング性載
置板５あるいは板状部材２との間に袋容器部分１
Ａを収める空隙を形成するための仕切り１０が設
けられている。この耐ブロツキング性載置板５の
少なくとも一側端好ましくは両側端には載置台の
フレーム４の外に若干突出する舌状片１１が設け
られ、該舌状片１１を図示していない駆動手段に
よつて持ち上げることにより、当該耐ブロツキン
グ性載置板５を起こして容器１の出し入れを容易
にするように設けられている。該耐ブロツキング
性載置板５は、ヒンジ１２あるいはリング（図示
省略）を介して翻覆自在に載置台に取付けられて
いる。

この耐ブロツキング性載置板５は、少なくとも
１つの袋容器部分１Ａとほぼ同じ面積を有してお
ればよく、この場合客耐ブロツキング性載置板５
を夫々独立して翻覆自在にトレイに取付け、個々
に開閉動し得るように設ければ良い。耐ブロツキ
ング性載置板５としては、本実施例の場合、加熱
蒸気に対して安定でかつその流れを妨げることの
ないステンレスステイールのパンチングメタルを
使用しているが、これに限定されるものではな
く、その他の耐熱性材料、好ましくは耐熱耐蝕性
材料、例えばステンレスステイール製金網などを
使用することが可能である。

以上のように構成された本発明の熱滅菌処理用
載置台によれば、次のようにして多数のチユーブ
付きプラスチツク製容器を容器同士が直接接触し
て重なり合うことなく積み重ね得る。

まず、載置台の耐ブロツキング性載置板５をヒ
ンジ１２を中心に翻覆させて開き、仕切り１０に
よつて区画された板状部材２上に袋容器部分１Ａ
を載置する。次いで、チユーブ部分１Ｂをほぐし
てその先端の針部分１Ｃをクランプ部３に差し込
み固定する。更に、載置板５をヒンジ１２まわり
に回転させて袋容器部分１Ａを覆う。そして、こ
の耐ブロツキング性載置板５上に更にチユーブ付
きプラスチツク製袋容器１の袋容器部分１Ａを載
せ、チユーブ１Ｂをほぐしてからその先端をクラ
ンプ部３に固定する。而して、耐ブロツキング性
載置板５を間に挟み込むようにして容器１を積み
重ね、載置台上に固定する。その後、載置台を把
持してチユーブ付プラスチツク製袋容器１の搬送
を行なう。

発明の効果 以上の説明より明らかなように、本発明の熱滅
菌処理用載置台は、略方形の板状部材と該板状部
材の一辺に設けられ、かつ複数のチユーブ付きプ
ラスチツク製医療用容器のチユーブ先端側部分を
固定し得る複数のクランプ部と前記医療用容器の
容器本体部分を載置可能とし、かつ熱滅菌温度で
該医療用容器と接着性を有しない複数の載置板
と、前記板状部材のクランプ部と、対向する他辺
の位置に設けられた連結部であつて、前記複数の
載置板を積層した状態で連結し、かつその各々を
必要に応じて翻覆自在とする連結部とを備え、前
記医療用容器を前記積層された複数の載置板間に
載置したときに前記載置板が前記医療用容器間に
介在することにより、前記医療用容器同志を互い
に離間しつつ複数重ねた状態で熱滅菌処理可能と
し、従来に比して作業性がはるかに向上する。し
かも、この載置台は、多数の容器を並べかつ積み
重ねた状態のまま載置台毎搬送しかつ積み重ねる
ので、熱滅菌処理装置への搬入及び搬出が容易と
なつて熱滅菌処理作業も手間がかからず簡単とな
るし、その際にチユーブがもつれるなどのブロツ
キング要因を少なくすることができると共に、一
度に多数のチユーブ付きプラスチツク製容器の熱
滅菌処理を可能とする。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の熱滅菌処理用載置台の一実施
例を示す斜視図、第２図は同載置台の中央縦断面
図である。 １……チユーブ付プラスチツク製医療用容器、
１Ａ……袋容器部分、１Ｂ……チユーブ部分、２
……板状部材、３……クランプ部、４……フレー
ム、５……耐ブロツキング性載置板、１２……ヒ
ンジ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 略方形の板状部材と該板状部材の一辺に設け
   られ、かつ複数のチユーブ付きプラスチツク製医
   療用容器のチユーブ先端側部分を固定し得る複数
   のクランプ部と、前記医療用容器の容器本体部分
   を載置可能とし、かつ熱滅菌温度で該医療用容器
   と接着性を有しない複数の載置板と、前記板状部
   材のクランプ部と対向する他辺の位置に設けられ
   た連結部であつて、前記複数の載置板を積層した
   状態で連結し、かつその各々を必要に応じて翻覆
   自在とする連結部とを備え、前記医療用容器を前
   記積層された複数の載置板間に載置したときに前
   記載置板が前記医療用容器間に介在することによ
   り、前記医療用容器同志を互いに離間しつつ複数
   重ねた状態で熱滅菌処理可能とするチユーブ付き
   プラスチツク製医療用容器の熱滅菌処理用載置
   台。 ２ 前記載置板は少なくとも一側端に載置台の外
   に突出する舌状片を有することを特徴とする特許
   請求の範囲第１項に記載の熱滅菌処理用載置台。 ３ 前記舌状片は載置板を重ねた状態において相
   異なる位置に配設されていることを特徴とする特
   許請求の範囲第２項に記載の熱滅菌処理用載置
   台。 ４ 前記載置板は一定間隔おきに仕切りを有し複
   数の容器を並べて載置可能とすることを特徴とす
   る特許請求の範囲第１項ないし第３項のいずれか
   １項に記載の熱滅菌処理用載置台。 ５ 前記板状部材は凹凸を有することを特徴とす
   る特許請求の範囲第１項ないし第４項のいずれか
   １項に記載の熱滅菌処理用載置台。 ６ 前記板状部材は波形を成すことを特徴とする
   特許請求の範囲第１項ないし第４項のいずれか１
   項に記載の熱滅菌処理用載置台。 ７ 前記クランプ部は板材にＵ形のノツチを設け
   たものであることを特徴とする特許請求の範囲第
   １項ないし第６項のいずれか１項に記載の熱滅菌
   処理用載置台。 ８ 前記載置板はパンチングメタルであることを
   特徴とする特許請求の範囲第１項ないし第７項の
   いずれか１項に記載の熱滅菌処理用載置台。 ９ 前記載置板は金網であることを特徴とする特
   許請求の範囲第１項ないし第７項のいずれか１項
   に記載の熱滅菌処理用載置台。