JPH0254721B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、長靴など換気の悪い靴の蒸れ防止に
関するものである。

〔従来の技術〕

普通、ゴム長靴や雨靴は、紳士靴に比べて筒部
が長いので、内部の空気は換気されにくく、大変
蒸れやすい。このため長靴の内面つま先から筒口
まで溝を作り、空気がこの溝を通つて外部に出易
いよう工夫された長靴が、実開昭59−194805号公
報によつて提案されている。

また、長靴の側面に穴を設け、穴におおいをつ
けた長靴が本願出願人の提案に係る実願昭61−
74222号（実開昭62−46001）〔実願昭60−72842号
国内優先）に示されている。

〔発明が解決しようとする課題〕

上記従来のもののように歩行するとき、穴から
自然に入る空気量だけではなお蒸れを十分防止す
ることが出来なかつた。

蒸れ防止のため、より多くの外気を長靴内に取
り入れるための有効な手段を提供しようとしたも
のである。

〔課題を解決するための手段〕

この発明は、筒部を有する靴を履いて歩行する
時の、足の踵が靴底より浮上するのを助長する方
向に付勢する弾性部材を、靴内踵部に装着すると
共に、上記靴の筒口に靴と足との隙間を塞ぐ覆い
を取り付け、かつ、上記靴の壁部に吸排気口を設
けたものである。

〔作用〕

靴に、靴底を押し下げる装置を設け足が地面か
ら離れた瞬間、足を靴から積極的に抜け出させ、
抜け出た足の体積分だけ外気を靴側面にあけた穴
から吸込ませ、この時の筒口から空気の出入り防
止して、靴奥部まで外気を行きわたらせることに
よつて、蒸れを防止しようとしたものである。

〔実施例〕

これを図面によつて説明すると、 第１図イは第１の実施例のポンプ部分を示す縦
断面図であつて、押し板１はバネ２を介して中敷
３及び靴４を押し下げるように、踵部分に設けら
れている。第１図ロは人の踵が押し板１を押し付
けたところで、足は長靴の中に最も深く入つた状
態となつている。第１図ハは踵が上がつたところ
で、押し板１によつて靴４が押し下げられ、足は
長靴から踵の上がつた距離だけ抜け出した形とな
つている。第２図は第２の実施例のポンプ部分を
示すと共に靴側面に、筒部がわん極するのをふせ
ぐため取りつけた補強板５にゴム板２′の一端が
固定され、他の一端が押し板１′に取りつけてあ
る。靴を履くと踵は押し板１′を踏みつけた形と
なり、ゴム板２′は引き伸ばされ、押し板１′が靴
底に密着する。また、踵が上がるとゴム板２′が
縮んで押し板１′が靴底から離れ、その反作用と
して靴が押し下げられ、その分、足は靴から抜け
出て空間ができ、空気が入る。

第３図は中敷３の前方部分と、踵部分に連続気
泡の弾力のある発泡体２″を設けたものの一例を
示している。この場合足の裏全体が靴底から離
れ、特に汗ばみやすい足の裏の前方部分の換気を
促進することが出来る。

以上のべた実施例図では、長靴側面に空気を取
り容れるための穴は設けられていないから、外気
は筒口から入ることになるが、靴底近くに換気用
の穴をあければ、換気しいくい足底部分をより効
果的に換気することも出来る。

第４図は筒口から雪や泥が入らないように、お
おい６をつけ、筒口と足の隙間からの空気の洩れ
を塞いだ長靴に換気用逆止弁７と排気用逆止弁８
とをつけた場合の外観図であるが、本発明による
各種の押し下げ装置によつて、内部は減圧、加圧
が積極的に繰り返され、外気は吸気弁７から入つ
て排気弁８から勢いよく排出される。また、筒部
が減圧になつた時凹むのを防ぐため、凹みにくい
よう補強して、換気量を確保することも容易にで
きる。

第５図は第２図における補強板５′に筒部をふ
くらませる作用を兼ねさせた一例であつて、補強
板５′はＵ形で上方を開いた形に弾性板で作られ
ている。

踵が上がつているとき、即ち空気を吸い込んだ
状態のとき、筒部を補強板５′によつて押し拡げ
られ、筒部は太くなり、その断面は円形に近くな
つている。

また、足で押し板１′が押し下げられると、補
強板５′によつて筒部は内側に引き込まれ、筒部
の断面積は小さくなる。したがつて、足が靴から
抜け出た体積以上に、多くの空気を吸排気するこ
とができる。

この方式は、筒部におおいのある第４図の長靴
に適用するとき、特に効果的に働くものである。

〔発明の効果〕

長靴をシリンダーと考え、足をピストンに見立
てて考えると、長靴内の空気は、足の上下運動に
よつて換気することが理解できる。本発明による
押し下げ装置を用いなくとも少しぶかぶかの長靴
を履いていると、このピストン作用は良く実感出
来る。靴屋さんが、長靴が蒸れるというお客様に
１サイズ大きめの長靴をすすめるのも足を靴から
抜け出し易くてピストン運動を大きくし蒸れを防
ごうとしたためである。しかし、それでも長靴は
蒸れる靴だというレツテルが貼られてしまい、長
靴の蒸れは半ば常識化されている。

しかし、本発明による押し下げ装置を用いる
と、足がより多く抜け出るので吸込む空気量が増
大する。また踵が地面を離れた瞬間、バネ等の力
で靴が急激に押し下げられるので、靴内部は強く
減圧になるので一層効果が上がる。

人が１分間60歩で歩くとき、１秒間に吸・排気
の１サイクルが完了する訳で、0.5秒以内に吸気
を完了せねばならない。従つて、吸込む力が弱い
いと0.5秒以内に吸込む空気量もわずかになつて
しまう。

以上述べたように、本発明は、筒口からの空気
の洩れを防ぎ、弾性体の力によつて、靴が足から
す早くぬけ出るようにしたので、靴内部は従来の
ものより大きく減圧にすることが出来た。従つ
て、靴側面にあけた吸排気口からの空気の流量が
大きくなり、蒸れを防ぐのに十分な空気量を得る
ことが出来るようになつて、蒸れが防げるのであ
る。

又、各種の長靴や雨靴にも適用出来るから蒸れ
になやむ人々に喜んでもらうことが出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図イ，ロ，ハは第１の実施例の靴底部分を
示す縦断面図と動作説明図であつて、第１図ロは
足が下がつた時の図、第１図ハは足が上がつた時
の図であり、第２図イ，ロは第２の実施例の靴底
部分を示す縦断側面図と縦断後面図、第３図は別
の実施例の靴底部分を示す縦断面図、第４図はお
おいの部分と吸排気口を示す外観図、第５図イ，
ロはさらに別の実施例の足の上がつた時と下がつ
た時の長靴の形状を示す縦断面図である。 １，１′……押し板、２……バネ、２′……ゴム
板、２″……発泡体、３……中敷、４……長靴、
５……補強板、６……おおい、７……吸気用逆止
弁、８……排気用逆止弁。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 筒部を有する靴を履いて歩行する時の、足の
   踵が靴底より浮上するのを助長する方向に付勢す
   る弾性部材を、靴内踵部に装着すると共に、上記
   靴の筒口に靴と足との隙間を塞ぐ覆いを取り付
   け、かつ、上記靴の壁部に吸排気口を設けたこと
   を特徴とする筒部を有する靴の換気装置。