JPH02542B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は内燃機関に燃料を供給する液体燃料噴
射ポンプ装置に関し、該装置はハウジングと、該
ハウジング内に取付けられかつ使用時に装備され
た内燃機関と調時関係を保つて駆動される回転分
配部材と、該回転分配部材に形成された内孔と、
前記ハウジング内に角回動可能に配置された環状
カムジングと、該環状カムリングの内周面に刻設
されたカム山と、該カム山によつて内向きに移動
されるように前記内孔内に装着されたプランジヤ
と、該プランジヤの外向き運動を行うため前記内
孔に口ポートからの燃料を供給する入口通路およ
び該入口通路に連通する縦方向通路と、前記プラ
ンジヤの内向き運転中に前記内孔から出口ポート
に燃料を圧送する前記縦方向通路および送出通路
と、前記出口ポートからの燃料送出開始時期が回
転分配部材が駆動される速度に従つて変化するよ
うに前記カムリングの設定角度位置を調節するた
めの速度応答装置と、前記プランジヤの最大外向
き運動を定めるように跨設部材を介して該環状カ
ムリングの両側面に隣接して角回動可能に配設さ
れた停めリングとを含み、該停めリングの角度位
置を調節することにより内燃機関に供給される燃
料量の最大値を制御する種類の液体燃料噴射ポン
プ装置である。

機関が駆動される速度に従つてプランジヤの外
向き運動の範囲を変化させることは知られてい
る。これを実施する１つの理由は、機関排気ガス
内における許容煙量を超えることなく機関に供給
できる最大燃料量が機関の速度につれて変化する
からである。そのうえ、機関が路面走行車輌に搭
載される場合には、「トルク制御装置」として当
業界において知られている装置に依つて機関の速
度に従つて最大燃料を変化させることが望まし
い。このために、前記停めリングの角度位置設定
を制御するために、カムリングの位置決めを設定
する装置に加えて機関速度に応答して該停めリン
グの角度位置を調節する装置を提供することが知
られている。

しかしながら通常この種の角度位置調節装置は
低圧燃料ポンプと連動するピストンを停めリング
に対し別途設けることに依り構成されており、ポ
ンプ装置全体を出来る限りコンパクトに機関の近
傍に取り付けねばならないという意味でこのよう
な従来装置は好ましくなかつた。

而して、本発明の目的は簡単な構成で出来てお
り、且つスペースをとらない上記ピストンに代る
べき同等以上の効果を有する停めリングの角度位
置を調節するための装置を具備した液体燃料噴射
ポンプ装置を提供することにある。

本発明によれば、上記に規定する装置におい
て、前記停めリングの角度位置を調節すること
は、前記停めリングが前記カム山と前記プランジ
ヤとの間に介装されたローラと係合可能となつて
おり、レバーが前記跨設部材に植設された直立突
起に枢着されており、前記レバーがその開放端に
ハウジングに担持された停止部材と常時当接する
停止表面を備えていると共に該レバーの伸延方向
軸線と角度を成して側方に張り出したアームを一
体的に備えており、さらに前記環状カムリングの
角回動を該レバーを介して前記停めリングに伝達
するためのピンが前記アームの内側縁と当接する
よう該カムリングに植設されており、前記ピンに
依るレバーの枢動がカムリングと同方向の停めリ
ングの角回動に変換されるよう前記レバーの停止
表面が該アームの側に向けて上方に傾斜している
構成により達成される。

また、更に好ましくは、前記アームが前記レバ
ーと共に前記直立突起を軸として枢動可能となる
よう両者の軸線が該直立突起の軸上で交差して該
レバーから伸びており、且つ、捩じればねが前記
レバーを前記ピンに対して、また同時に前記停止
表面を停止部材に対して押接するように偏倚して
いる構成により一層完全な角度調節が可能とな
る。

以下、図面を参照しつつ本発明による装置の１
例を述べる。

第１図において、この装置は回転円筒形分配部
材１１に取付けられた多くの部分から構成された
ハウジング１０を含む。分配部材は駆動部１３か
ら駆動される大径部分１２をもち、前記駆動部材
は使用時に圧縮点火機関と調時関係を保つて駆動
される。直径方向に配置された内孔１４が分配部
材に形成され、この内孔内に一対のプランジヤ１
５が取付けられ、これらのプランジヤはその外側
端においてシユー１６と係合し、これらのシユー
は分配部材の大径部分１２を取囲む環状カムリン
グ１８の内周表面とそれぞれ係合するローラ１７
を担持している。

カムリングは複数の内向きに延びるカム山をも
ち、その形状は第２図において２０で示されてい
る。シユー１６は駆動部１３に取付けられ或は駆
動軸の部分を形成するスリーブ１９に形成された
溝孔内に担持されている。半径方向に配置された
送出通路２２と一端において連通する縦方向通路
２１が分配部材に形成されている。これはつぎに
ハウジングに形成されかつ使用時には機関の噴射
ノズルそれぞれに結合された出口ポート２３と整
合するように配置されている。縦方向通路２１は
またスリーブに形成された入口ポート２５と連通
するように配置された分配部材に形成された複数
の入口通路２４と連通する。入口ポート２５は調
節可能なスロツトルの形式が好適な燃料制御装置
２６を介して燃料供給通路２７と連通する。この
燃料供給通路２７は低圧燃料供給ポンプの出口と
連通し、この低圧燃料供給ポンプの回転部分は分
配部材によつて担持されている。低圧燃料供給ポ
ンプは燃料入口２８をもちかつ逃がし弁を具備
し、これによつて出口圧力即ち燃料供給通路２７
内の圧力は本装置が駆動される速度に従つて変化
する。

運転時に、ローラおよびプランジヤがカム山の
作用によつて内向きに移動されると、燃料は出口
ポート２３を通つて排出され、分配部材がさらに
回転する間、送出通路２２は出口ポートとの整合
から外れて移動し、入口通路２４は入口ポート２
５と整合状態になる。燃料は内孔１４に流入し、
この燃料量はスロツトルの調節によつて制御され
る。この後は、このサイクルが反覆されて燃料は
プランジヤの引続く内向き運動中に出口ポートに
供給される。燃料の送出のタイミングを変化させ
るため、カムリング１８はハウジング内において
既知の方法で角度調整可能でありかつ全体を１８
Ａで示す速度応答装置が設けられている。これを
実施するには、燃料供給通路２７に接続されたシ
リンダ内に配置されたばね負荷型ピストンの形態
を採ることが好適である。燃料供給通路２７とこ
のシリンダとの間にサーボ弁を設けることもでき
る。

スロツトルの設定の如何に拘わらず本装置によ
つて装備機関に供給できる最大燃料量を制御する
ために、本体内において環状カムリング１８の両
側面に隣接して一対の停めリング２９が設けられ
ている。これらの停めリングは多部分構成ハウジ
ング内で角回動が可能で第２図において３０で示
すような内側形状を備えている。これらの停めリ
ングは環状カムリングの上方を横断すると共に両
端に垂下する脚部３１ａを備えた跨設部材３１に
よつて相互に係止され、更にこの跨設部材には直
立突起３１が上方に向かつて植設されている。な
お、跨設部材の脚部３１ａの開放端面および停め
リング２９の外周面には互いに噛み合う軸方向に
沿つて互いに平行な多数の溝歯が刻設されてお
り、これら両方の溝歯の噛み合いにより両方の停
めリングの相対的回動が防止される。

停めリングの動作については第２図を参照しつ
つ以下に説明する。第２図において、ローラ１７
はカム山の１つと係合した状態が示され、カムリ
ングまわりに駆動されるときのローラの運動方向
は矢印３６で示されている。図から判るように、
ローラはカム山の前縁側部と係合している。矢印
３６の方向に移動する間ローラ１７の上向き運動
が生じ、これは組合わされたプランジヤ１５の内
向き運動に対応する。ゆえに燃料は出口ポート２
３を通つて機関の噴射ノズルへ供給され、ローラ
がカム山の頂面に達するとプランジヤの運動がな
くなる遅延状態が起る。この次にプランジヤの制
限された外向き運動が続き、ポンプ内の種々の通
路内の圧力を低減しかつノズルと出口ポートとを
接続するパイプライン内の圧力を減少する。再
び、短い遅延状態が起りこの時間中に送出通路２
２は出口ポート２３との整合から外れ、かつ入口
通路２４は入口ポート２５と整合するに至る。カ
ム山はカムの基円に降下するからプランジヤは燃
料が低圧ポンプにより内孔１４内へ供給されると
外向きに移動する。

停めリング２９は内側形状は３０で示され、か
つその重要な部分は燃料が内孔に供給されている
間ローラは部分３７に係合される。破線３８は入
口通路２４への入口ポート２５の閉鎖を示し、他
の破線３９は出口ポート２３への送出通路２２の
開通を示す。もしスロツトルが燃料の流れに実質
的に何等の制限を与えないように或る時間設定さ
れると、これら２本の破線３８と３９との間にお
いてローラは停めリングの内周表面の部分３７と
係合してローラの即ちプランジヤの外向き運動を
抑制する。ひとたび入口ポートが閉じられると、
内孔１４へは燃料の供給が絶たれ、ローラおよび
プランジヤの位置は最大燃料量がポンプによつて
装備機関に供給されるようにさせる。ローラが再
びカム山２０の前縁面と係合するまで少くともプ
ランジヤは内向き運動を継続する。プランジヤが
この動作を採る前に前記した破線３９の時点で送
出通路２２は出口ポート２３と連通状態にされる
ことが判る。さらに、もしスロツトルが燃料を抑
制して供給するように設定されれは、ローラは停
めリングの部分３７とは係合しない。

もし停めリングが角回動されると、機関に供給
される最大燃料量は変化し、かつもし停めリング
が第２図の破線４０によつて示された位置に移動
されると、付加燃料量が機関に供給される。これ
に反し、もし停めリングが反対方向に移動される
と、機関に供給される最大燃料量は減少される。

既に述べた理由により、装備機関の速度に従つ
て停めリングの位置を調節できることが望まし
い。このために、かつ第３図に示すように、停め
リングの角度位置を調節するための装置が設けら
れる。本発明においては直立突起３２に枢着され
たレバー４１と、これに一体的に分岐して形成さ
れたアーム４５と、該レバーの枢動を停めリング
の角回動に変換するための該レバーの端部に形成
された停止表面４２と該停止表面と共働するハウ
ジングに担持された停止部材４３と、前記アーム
を枢動する環状カムリングに植設されたピン４６
とから構成される装置によつて達成され、更に好
ましくは、前記直立突起３２を常時停止部材に対
しまた前記アーム４５をピン４６に対し押接する
ように偏倚している捩じればね４４を含んだ構成
により達成される。これらの構成に就いて更に詳
しく第３図に従つて以下に説明する。

直立突起３２はレバー４１の枢軸を構成する。
レバー４１はハウジングに担持されたネジ等によ
り調節可能な停止部材４３と係合可能に形状ずけ
られた停止表面４２をその開放端に持つ。この停
止表面はレバー４１が枢動すると停止部材４３に
対する直立突起３２の位置を環状カムリングの接
線に沿つて変化し、同時に停めリング２９の角回
動を生ぜしめ、従つて機関へ送出される最大燃料
量を変化させるように形状付けられねばならな
い。突起３２は弾性部材によつて形成されている
捩じればね４４の開放端と係合しており、そのた
め停止表面は偏倚されて停止部材４３と常時押接
されている。この捩じればね４４は同時に後述す
るピン４６に対してアーム４５を常時押接するよ
う偏倚している。

レバー４１の枢動を実施する装置はレバーと一
体に形成され且つレバーの伸延方向軸線と角度を
成して、より理想的には図示したく鋭角を成して
側方に張り出したアーム４５を含み、且つその軸
線はレバーの軸線と前記直立突起の軸上で交差し
ておりレバーの枢動と連動して枢動するようにな
つている。アーム４５の内側縁４５ａは環状カム
リング１８に植設されたピン４６と当接され、環
状カムリングが角回動すると直立突起３２を軸と
してアーム４５およびレバー４１を枢動させるの
であるが、実際には前述した停止表面４２と停止
部材４３との接触によるおよび停めリングの軸方
向の規制による共働作用により環状カムリングの
接線に沿つた直線状の運動に変換される事が理解
できる。

第３図に示すように、実線から破線で示す位置
へのピン４６の運動は機関速度の増大につれて起
り、なお停止表面４２は捩じればね４４の作用に
抗して直立突起３２の運動が第２図において４０
で示される位置に向つての停めリングの内側形状
の部分３７の運動を生ぜしめるよう該アームの側
に向けて上方に傾斜するように定められる。

直立突起３２と係合される別のレバー４７が提
供され、該レバーは、始動目的に供給される付加
燃料量を供給するため停めリング２９を一層大き
く動かす事が可能となつている。

本発明に依る液体燃料噴射ポンプ装置は上述し
た如き簡素な構成による停めリングの角度位置を
調節するための装置を備えているためハウジング
に形成されたシリンダとピストンとに依り低圧燃
料供給ポンプの出口圧に応動して停めリングの角
度位置調節を行う装置を備えた従来の噴射ポンプ
装置に比して余分なスペースをとらないという利
点を有すると共に極めて簡易な構成であるため製
造並びに取立てが容易であるという効果を有して
いる。一般に機関の据付けにおいて、燃料噴射ポ
ンプを出来得る限り該機関に隣接させる事は適正
な噴射を達成する意味で至上命令となつており、
本発明に依る如きコンパクトな装置はこの点にお
いて当業者にとつて大きな意味を持つものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による装置の説明用切断側面
図、第２図は第１図の装置の部分を形成するカム
山形状および停めリングの形状の線図、第３図は
第１図には示されていない本発明による停止リン
グの角度位置調節装置の平面図である。 図中符号、１０……ハウジング、１１……分配
部材、１２……大径部分、１３……駆動軸、１４
……内孔、１５……プランジヤ、１６……シユ
ー、１７……ローラ、１８……カムリング、１８
ａ……速度応答装置、１９……スリーブ、２０…
…カム山、２１……縦方向通路、２２……半径方
向通路、２３……出口ポート、２４……入口通
路、２５……入口ポート、２６……燃料制御装
置、２７……燃料供給通路、２８……燃料入口、
２９……停めリング、３０……内側形状、３１…
…跨設部材、３２……直立突起、３６……ローラ
運動方向、３７……停めリング内側形状の部分、
３８……入口ポート閉鎖位置、３９……送出通路
開口位置、４０……停めリング位置を示す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ハウジング１０と、該ハウジング内に取付け
   られかつ使用時に装備された内燃機関と調時関係
   を保つて駆動される回転分配部材１１と、該回転
   分配部材に形成された内孔１４と、前記ハウジン
   グ内に角回動可能に配置された環状カムリング１
   ８と、該環状カムリングの内周面に刻設されたカ
   ム山２０と、該カム山によつて内向きに移動され
   るように前記内孔内に装着されたプランジヤ１
   ４，１５と、該プランジヤの外向き運動を行うた
   め前記内孔に入口ポート２５からの燃料を供給す
   る入口通路２４および該入口通路に連通する縦方
   向通路２１と、前記プランジヤの内向き運動中に
   前記内孔から出口ポート２３に燃料を圧送する前
   記縦方向通路および送出通路２２と、前記出口ポ
   ートからの燃料送出開始時期が回転分配部材が駆
   動される速度に従つて変化するように前記カムリ
   ングの設定角度位置を調節するための速度応答装
   置１８Ａと、前記プランジヤの最大外向き運動を
   定めるように跨設部材３１を介して該環状カムリ
   ングの両側面に隣接して角回動可能に配設された
   停めリング２９，２９とを含み、前記停めリング
   が前記カム山２０と前記プランジヤ１４，１５と
   の間に介装されたローラ１７，１７と係合可能と
   なつており、レバー４１が前記跨設部材３１に植
   設された直立突起３２に枢着されており、前記レ
   バーがその開放端にハウジングに担持された停止
   部材４３と常時当接する停止表面４２を備えてい
   ると共に該レバーの伸延方向軸線と角度を成して
   側方に張り出したアーム４５を一体的に備えてお
   り、さらに前記環状カムリングの角回動を該レバ
   ーを介して前記停めリング２９に伝達するための
   ピン４６が前記アームの内側縁４５ａと当接する
   よう該カムリングに植設されており、前記ピンに
   依るレバーの枢動がカムリングと同方向の停めリ
   ングの角回動に変換されるよう前記レバーの停止
   表面４２が該アームの側に向けて上方に傾斜して
   いる事を特徴とする内燃機関に燃料を供給する液
   体燃料噴射ポンプ装置。 ２ 捩じればね４４が前記レバー４１を前記ピン
   ４６に対して、また同時に前記停止表面４２を停
   止部材４３に対して押接するように偏倚している
   事を特徴とする前記特許請求の範囲第１項に記載
   の内燃機関に燃料を供給する液体燃料噴射ポンプ
   装置。 ３ 前記アーム４５が前記レバー４１と共に前記
   直立突起３２を軸として枢動可能となるよう両者
   の軸線が該直立突起の軸上で交差して該レバーか
   ら伸びている事を特徴とする前記特許請求の範囲
   第１項或いは第２項に記載の内燃機関に燃料を供
   給する液体燃料噴射ポンプ装置。