JPH0251513B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、カラーの筆記用具に関するもので、
単一のペンで多色の記録表示が可能な、電子的手
段を用いた新規なカラー電子ペン装置を提供する
ものである。

従来例の構成とその問題点 カラーの筆記用具としては、従来から色鉛筆、
カラーボールペン、マジツクインキ、カラーサイ
ンペンなど種々の着色剤が利用されていることは
周知の通りである。これはいずれも、各色毎に多
種類のペンを用意しておき、利用者はその都度必
要な色を選択している。したがつて、一度に多数
の色を使い分けるデザイナなどには不便であつ
た。

また、数色を一本のペンの中に収めたノツク式
のカラーボールペンなどもあるが、高々３〜４色
に限定されており、有効とはいえない。

一方電子的な手段でカラーの描画ができる装置
としては、カラーブラウン管とライトペンやタブ
レツトを用いた電子黒板や、電磁力でカラーのモ
ザイク片を選択するカラーサインボードなどが開
発されている。しかしこれらは装置が複雑であ
り、簡便に携帯して利用できるものではない。

発明の目的 本発明は上記欠点に鑑み、電子黒板的な大掛り
な装置を必要とせず、一本の簡便な電子ペンを用
いて自由に着色できるカラー電子ペンを提供する
ものである。

発明の構成 上記目的を達成するため本発明のカラー電子ペ
ン装置は、複数の原色がモザイク状に配列された
カラーフイルター層を有する描画ボードと、描画
ボード上のモザイクを選択的に塗りつぶす色判別
機能を備えた電子ペンから構成される。

実施例の説明 第１図は本発明の原理構成を示す一実施例であ
る。本実施例は、カラー描画ボード上にすでに描
かれたのちの表示状態を示し、１００は透明シー
ト状の像形成膜、１０１は像形成膜１００の上に
形成された白黒のハーフトーン像情報、１０２は
微小な赤、緑、青の３原色フイルターが縦横に配
列された透過型の色フイルター層、１０３は乳白
色拡散板、１０４は照明光源である。

本実施例は、カラー情報が白黒のハーフトーン
像として記録されている透明シート１００を、背
面におかれた色フイルターに密着させて位置ずれ
がないように固定し、背後からの白色光に照明す
るとハーフトーン像が着色されてカラー像として
観察されるものである。第２図は、色フイルター
層１０２が点順次型で構成されている場合につい
て像形成シート１００との間の絵素の対応を描い
たものである。図示のように本例の色フイルター
層１０２は、赤、緑、青（図面上ではＲ，Ｇ，Ｂ
で示す）の微小な色分解フイルターが丁度テレビ
ジヨン受像機におけるシヤドウマスク型ブラウン
管の螢光面と同様にモザイク状に配列されてい
る。したがつて、赤、緑、青の３色一組の各モザ
イク片が画像を形成する絵素に対応し、第２図で
はたとえばフイルター層１０２のｎ番目の絵素２
０６とハーフトーン像の絵素２０５が同じ座標位
置で重なり合う。３色フイルターより構成される
色フイルター層１０２は、たとえば第３図ａのよ
うな分光特性をもつゼラチンフイルターからな
り、フイルター層１０２の全面にわたり場所によ
らず同一の特性をもつ均一なシートで印刷等によ
り作成される。

一方、像形成膜１００の各絵素は原画像の３原
色成分の濃淡に相対して透過率が変化する。たと
えば絵素２０５は絵素２０６の（Ｒ，Ｇ，Ｂ）に
対応して（r_o，g_o，b_o）で示すモザイクが第３図
ｂのような感光特性をもつ。この場合、絵素２０
５と２０６を重ね合わせた結果、観察される絵素
の３原色成分は同図ａとｂの透過特性の積として
ｃのごとき特性となることは明白である。したが
つて、第２図の像形成膜１００および色フイルタ
ー層１０２の各絵素のモザイクが十分小さく各３
原色ドツトが視覚の空間分解能を越えるものであ
れば、眼の積分作用により混色されるので、原画
に対応したカラー像が知覚される。第３図ｂは前
記絵素２０５の（r_o，g_o，b_o）の白色光に対する
透過率を示すものであつて、カラーである必要は
なく単に光量のみを変化させるモノクロ層でよ
い。この場合の光量変化は、（r_o，g_o，b_o）がそ
れぞれに中間調の濃淡をもつかもしくは透明部分
と不透明部分の面積率が変調された白黒２値のパ
ターンのいずれによつて行われてもよい。

以上の基本原理にしたがつて、本発明の電子ペ
ンは、モザイク状色フイルターがはめ込まれてい
る照明ボード上に、第２図の透明シート上のモノ
クロ像を形成するもので、第４図は電子ペンの原
理構造を示す一実施例である。

第４図において、電子ペン本体４１０は２重構
造からなり、内芯には黒インクの充填されたペン
４１１が上下に可動するように保持されている。
ペン４１１の外周には光学フアイバーなどの光伝
達路４１２，４１３，４１４が設けられており、
モザイク状色フイルター４０２から透過光を透明
シート４００を通して検出する。ペン４１１の上
端にはフエライトなどの磁性体４１４が取付けら
れており、ソレノイド４１５を励磁することによ
りペン４１１のアツプダウンを制御する。光伝達
路４１２，４１３および４１４を経由して検出さ
れたペン４１１の直下のモザイクからの光信号
は、たとえばＲ，Ｇ，Ｂの３色分解フイルター４
１６，４１７および４１８を通して、それぞれ対
応する光検出素子４１９，４２０および４２１に
導かれる。この光検出素子４１９，４２０，４２
１の３色信号出力から、ペン４１１が現在モザイ
ク状色フイルター４０２のどの色位置に在るかを
知ることは容易である。

４２２はペン４１１からこの３色信号４２７の
色判定器であり、色指定回路４２３の指定色信号
４２８と３色信号４２７の比較判を行い、該当す
るときには選択信号４２５を発し励磁回路４２６
を介してソレノイド４１５を励磁する。ソレノイ
ド４１５が励磁されるとペン４１１は直下の透明
シート４００上に黒インクをプロツトする。励磁
されていないときは、ペンはアツプされており何
も記録されない。４２４は色選択釦であり、たと
えば、Ｒ（赤），Ｇ（緑），Ｂ（青），Ｃ（シアン），
Ｍ
（マゼンタ），Ｙ（イエロー）およびＢ（黒）の７色
を選択できる。

色指定回路４２３はこの色選択釦４２４の信号
を復号して３原色の色指定信号４２８に変換す
る。一例として、色選択釦４２４でＲ（赤）が選
択されたとすれば、ペン４１１は、モザイクフイ
ルター４０２の中から赤だけを残して他の２色す
なわち緑と青を選択的に塗りつぶすよう作動す
る。この結果、シート４００上には、モザイクフ
イルター４０２を通して眺めたときに赤色の線が
引かれたように見える。もし、選択釦４２４がＣ
（シアン）であるならば、ＣはＲの補色であるか
ら、ペン４１１はモザイクフイルター４０２の中
から赤だけを選択的に塗りつぶすよう作動する。
この結果、ペンの動いた跡には緑と青のモザイク
が残され、緑と青の加法混色によりＣの線が描か
れたように見える。他の混色についても同様であ
る。光伝達路４１２，４１３，４１４からの検出
光はペン４１１が作動している間の変化を捉える
から、黒インクの塗りつぶしの結果、色判定器４
２２は３色信号４２７が所定のプロツトを終つた
時点で選択信号を切るように回路を構成してお
く。

以上の動作原理から明らかなように、本発明の
電子ペンは、モザイク状色フイルター４０２を選
択的に塗りつぶす機能を内蔵しており、ペンとし
ては単に黒インク１色でよい。また、モザイクを
部分的に塗りつぶすような中間色の混色も原理的
に可能であり、刻々塗りつぶされる状態を、光検
出器でモニタしながら見掛け上任意の着色ペンと
して多彩なカラーを描画できる。

なお、モザイク状色フイルター４０２はＲ，
Ｇ，Ｂの３原色でなくともよい。天然色の表示を
必要としない用途では、特定色の組合わせを用い
てもよいし、Ｒ，Ｇ、Ｂのみでは表現困難な高彩
度の特色を付加してもよい。また、Ｒ，Ｇ，Ｂの
モザイクの配列は、たとえば第５図のような縦ま
たは横のストライプ状であつてもよい。

第４図は原理構造を示したものであり、実際上
は、光検出素子４１９，４２０，４２１や付属す
る電気回路４２２〜４２６はペンに内蔵された一
体構造とすることができる。ペンのインク部は簡
単に交換できるカートリツジとすることにより、
通常の単色ペン同様に扱えることは勿論である。
またソレノイドなどの駆動電源は内蔵の電池によ
つてコードレスとしてもよいし、外部電源から供
給してもよい。

なお、フイルター１０２又は４０２と、透明性
シート１００又は４００とは、上述した本発明の
電子ペン本体４１０によりフイルター１０２又は
４０２上に直接画像を描画しない限り、両者は常
に重ねて背後から照明１０４を用いて観察する構
成となつている。また、上述した本発明の電子ペ
ン本体４１０により透明性シートを介して選択的
に塗りつぶされたものは、その後に色を現出する
ことはできない。

発明の効果 以上のように本発明は、単色の電子ペンによつ
てモザイク状色フイルター照明ボード上の透明シ
ート上に、任意の色の描画を行わしめるもので、
他の電子的なカラー描画装置に比べて極めて簡便
かつ安価に実現できる。とくに、多彩なスケツチ
を必要とするデザイナーの電子的パレツトとして
の用途や、学校での黒板代りとして色彩上の効果
大である。また、シートのみの交換によつて多く
の商業広告パネルを本発明で作成することが容易
である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の原理を説明するカラー記録媒
体斜視図、第２図は本発明におけるカラー記録媒
体の実施例を示す平面図、第３図は本発明に使用
されるカラーフイルターの特性図、第４図は本発
明によるカラー電子ペン装置の一実施例を示す斜
視図、第５図は本発明に使用されるカラーモザイ
クフイルターの他の実施例を示す平面図である。 １００，４００…透明シート、１０２，４０２
…色フイルター層、１０３…乳白色拡散板、１０
４…照明光源、２０５，２０６…絵素、４１０…
電子ペン本体、４１１…ペン、４１２〜４１４…
光伝達路、４１５…ソレノイド、４１６〜４１８
…色分解フイルター、４１９〜４２１…光検出素
子、４２２…色判定器、４２３…色指定回路、４
２４…色選択釦、４２６…励磁回路。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 複数の原色がモザイク状に配列されたカラー
   フイルター層をもつ描画ボードと、前記モザイク
   状の原色を識別する色判別器と、ペンを上下動さ
   せ単色インキのマーキングを行うとともに前記色
   判別器を内部に有する電子ペンとを具備し、前記
   電子ペンに前記モザイク状の原色の選択信号を与
   えて、前記描画ボードの指定された原色のモザイ
   クのみを単色インキにより選択的に塗りつぶすこ
   とを特徴とするカラー電子ペン装置。 ２ 描画ボードは、赤、緑、青の透過型３原色か
   らなるフイルター層に、着脱交換可能な透明性シ
   ートを重ねてなることを特徴とする特許請求の範
   囲第１項記載のカラー電子ペン装置。 ３ 色判別器は電子ペン直下のモザイクからの光
   信号を光学フアイバーにより伝達検出して原色の
   識別を行うよう構成されたことを特徴とする特許
   請求の範囲第１項記載のカラー電子ペン装置。 ４ 描画ボードは背面から照明されていることを
   特徴とする特許請求の範囲第１項記載のカラー電
   子ペン装置。 ５ カラーフイルター層は印刷により作成されて
   いることを特徴とする特許請求の範囲第１項記載
   のカラー電子ペン装置。 ６ モザイクの塗りつぶしは任意の中間色を形成
   するごとく部分的に行われることを特徴とする特
   許請求の範囲第１項記載のカラー電子ペン装置。