JPH0248798Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈本考案の産業上の利用分野〉 本考案は陶芸用の窯に関する。

〈従来技術〉（第４〜６図） 陶芸用の窯は一般に、第４，５図に一例を示す
ように、窯室１の背面に煙突２が設けてあり、窯
室１内へ開口３からバーナー４などの炎が吹き込
まれて、煙室１内の作品の間を通り、煙道５ａ，
５ｂを通つて排出される構造となつている。６は
窯室１の扉である。

しかして、ガス窯や灯油の窯などでは、煙道５
ｂの通気量の調整のために、煙突２の背面２ａに
横長の差込口７を設け、この差込口７に第６図の
如き矩形の耐火性の平板状のしやへい板（ダンパ
ーと称せられる）８を進退自在に設けていて、こ
のダンパー８を背面側から人が押し込んだり、引
き出したりして、煙道５ｂへの進入量を目検討で
調整するようにしている。

〈本考案が解決しようとする問題点〉 しかしながら、このダンパー８の進入量の調整
は、やきものの焼成における酸素の開口３からの
供給量を支配するので、やきものの仕上り、色合
いなどに極めて重要である。そしてこのダンパー
８の進入量の調整によつて、例えば酸化炎焼成か
還元炎焼成かが決まる。また、この酸化炎焼成や
還元炎焼成においても、ダンパー２の進入量の僅
かな狂いで仕上り、色合いの失敗を招く。

また、このダンパー２の進入量は、やきものの
材料や釉薬の種類によつても、微妙に調整させな
ければ、よい仕上りと色合いは得られない。

しかもこの調整はやきものの焼成過程におい
て、窯室１内の温度を検べながら、あるいは時間
の経過をみながら、ダンパー８を幾度も押し込ん
だり、引き出したりして、ダンパー８の煙道５ｂ
への進入量を極めて微妙に調整しなければならな
い。

しかるに、従来では、前記したようにこの極め
て重要なダンパー８の進入量の調整を、単に、ダ
ンパー８を操作する人の目検討で行つている。し
たがつて、人の勘によるダンパー８の出し入れ操
作に支配されることになり、作品の仕上り、色合
いが思いどおりにならず、思いどおりに近い出来
ばえになるには、何度も何度も失敗を繰り返すこ
ととなつていた。また、たまたま一度思いどおり
の作品ができた場合でも、次にもう一度同じ出来
ばえの作品を得ようとしても、人の勘による微妙
なダンパー８の出し入れが（しかも一回の焼成で
進入量を変化させて幾度も出し入れするから）、
次回では同一には再現できなため、同じような仕
上り、色合いの作品を再現することはほとんど困
難であつた。

〈前記問題点を解決するための手段〉 前記問題点を解決するために本考案の窯では、
ダンパーの進入量の判別手段を設けたことを特徴
としている。

〈作用〉 このようにしたため、判別手段によつてダンパ
ーの進入量を判別しつつ、焼成の過程における幾
度ものダンパーの進入量の調整操作を数値的に正
確に行うことができる。従つて、次回の作品に
も、判別手段でダンパーの進入量を正確に再現す
ることができる。

〈本考案の実施例〉（第１〜３図） 第１〜３図は本考案の一実施例を示している。

これらの図において、１は窯室、２は煙突、５
ａ，５ｂは煙道、６は扉、７は、窯の背面の煙道
５ｂの外側の壁部２ａに水平方向に横長に設けら
れた差込口である。８はこの差込口７に進退自在
に設けられたダンパーである。

壁部２ａの外側において、差込口７に沿つてダ
ンパー８をガイドするための上枠板９、下枠板１
０、及び横枠板１１，１２が設けられている。

横枠板１１，１２には、支持板１３，１４が、
外方に突出するように、固定されている。この支
持板１３，１４の先端部には、切欠き１３ａ，１
４ａが設けられている。この切欠き１３ａ，１４
ａに、水平に帯板１５の両端が支持されている。
この帯板１５は、ダンパー８の上面より僅か上方
に位置するように支持されている。

ダンパー８の上面の両側又は一側には、ダンパ
ー８の進退方向に平行に、目盛表示体１６が固定
されている。目盛表示体１６には、帯板１５の幅
方向の一側１５ａで読取るように、ダンパー８の
進入量の目盛が表示してあり、例えば第３図に示
すように、ダンパー８の先端部８ａが煙道５ｂの
壁部部２ａの内側に一致している状態における帯
板１５の一側１５ａに合致する位置を０として、
進入量Ａが例えば１ミリメートル刻みで表示され
ている。

このようにダンパー８に目盛表示体１６が設け
てあるので、やきものの焼成において、帯板１５
の幅方向の一側１５ａに合致する目盛表示体１６
の目盛を読みとつて、ダンパー８を押し込んだり
引き出したりして、ダンパー８の煙道５ｂへの進
入量を調整する。

従つて、従来の人の勘にたよつていた窯室１へ
の酸素供給量の調整、酸化炎焼成、還元炎焼成の
調整などのための複雑微妙なダンパー８の出し入
れ操作を、目盛によつて数値的に正確に管理でき
るので、作品の仕上り、色合いを理想に近く実現
するのが、著しく容易となる。

また、前回の作品制作における進入量を、時
間、温度（窯室の）などとともに記録しておき、
次回の作品制作時にそのとおりに再現すれば、次
回にもほぼ同一の出来ばえの作品を作ることがで
きる。

〈本考案の他の実施例〉 なお、前記実施例では、目盛表示体１６をダン
パー８に固定した例を例示したが、ダンパー８の
上面に直接、目盛を表示してもよい。

また、目盛の代りに、例えば酸化、還元などの
位置を示すマークあるいは文字などの表示を用い
てもよい。

また、支持板１３，１４、帯板１５などを設け
ず、上枠板９の端部と表示目盛の合致で進入量を
読取るようにしてもよい。

また、進入量を人が目で読みとる代りに、光学
的手段、あるいはマイクロスイツチなどの手段で
ダンパー８の移動量（進入量）を検出するように
してもよい。

〈本考案の効果〉 以上説明したように、本考案の窯では、ダンパ
ー８の煙道５ｂへの進入量の判別手段を設けたか
ら、作品の仕上り、色合いに重要な役割を担うダ
ンパー８の出し入れ操作を正確に操作することが
でき、思いどおりの仕上り、色合いの実現が、人
の勘にたよつていた従来に比し、著しく容易とな
る。また、前回の作品制作におけるダンパー８の
操作の数値を記録しておけば、次回の作品制作の
ときに全く同一のダンパー８の操作を再現できる
から、前回の作品とほぼ同様の作品を次回にも再
現できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す断面図、第２
図はその要部の斜視図、第３図は要部の断面図で
ある。第４図は従来の窯の断面図、第５図は第４
図におけるＡ−Ａ断面図、第６図はダンパーを示
す斜視図である。 １……窯室、２……煙突、２ａ……壁部、３…
…開口、４……バーナー、５ａ，５ｂ……煙道、
６……扉、７……差込口、８……ダンパー、８ａ
……先端部、９……上枠板、１０……下枠板、１
１，１２……横枠板、１３，１４……支持板、１
３ａ，１４ａ……切欠き、１５……帯板、１６…
…目盛表示体。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 煙道にダンパーを進退自在に設けた窯におい
   て、 前記ダンパーの進入量の判別手段を設けたこと を特徴とする窯。