JPH0247922Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 本考案はNMRイメージング装置用高周波信号
送受信端素子に関する。

(ロ) 従来技術 NMRイメージング装置においては、静磁場お
方向を被検体の体軸方向にとる場合には、普通、
NMR用高周波コイルに鞍型コイルが採用され
る。この場合、使用周波数をあまり高くするとコ
イルの始点、終点間に生ずる位相差のためコイル
の機能が低下し、また、コイル端子間に生ずる電
場による被検体内での誘電体損失のためコイルの
Ｑ値が下る等の欠点がある。このような欠点を除
くためにはスロテッド・チユーブ・レゾネータの
使用が考えられるが、NMRイメージング装置に
採用するには傾斜磁場とのカツプリングなど解決
すべく困難な問題を伴う。

(ハ) 目的 本考案の目的は従来技術に伴う上記の欠点を排
除し、NMRイメージング装置に用いて良好な高
周波特性を発揮する、高周波信号送受信端素子を
提供することにある。

(ニ) 構成 上記の目的を達成するため、本考案による、
NMRイメージング装置用高周波信号送受信端素
素子は、１つの基本軸に関して軸対称的に配置さ
れた、直線状導体が弧状導体を結んで成る２個の
鞍型閉回路と、上記２個の鞍型閉回路の、上記基
本軸の両側に互いに対向する弧状導体部に対して
キヤパシテイブに結合し、かつ、同弧状導体部に
沿つて上記基本軸を取り囲む２個の切断リング
と、上記２個の鞍型閉回路の合計８個の弧状導体
端部のうち、互いに他方の鞍型閉回路に属し、か
つ、互いに隣接する端部を結ぶ合計４個のキヤパ
シタとから成り、上記２個の切断リングと、この
１つの切断リングにキヤパシテイブに結合してい
る方の上記弧状導体とに、信号入出力端子を有す
ることを特徴としている。

(ホ) 実施例 以下に本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第１図は本発明実施例の構成を示す斜視図、第
２図は同実施例を軸方向より見た側面図である。

上記両図面に示すように、ガラスあるいは透明
なアクリル樹脂等、非磁性絶縁体から成る円筒ま
たは楕円筒１に銅など導電性のよい帯状の金属体
（以後銅帯という）を用いたリング２および３が、
それぞれギヤップ４および５を有する切断リング
として巻き付けられている。これら切断リング２
および３の表面には、薄いテフロンシート２１，
２２で絶縁されて銅帯６，７，８および９が円弧
状に巻き付けられ、銅帯６および７は切断リング
２との間に、銅帯８および９は切断リング３との
間に、それぞれ上記テフロンシートを介して容量
性結合を有している。更に銅帯６，８は円筒母線
に平行な銅帯１０，１１で結ばれ、成体で鞍型コ
イル状閉回路を形成し、また銅帯７，９も銅帯１
２，１３で結ばれ、同様に閉回路を形成してい
る。互に円筒の同じ断面上に位置している円弧状
銅帯６と７および８と９はそれぞれの端部はキヤ
パシタ１４，１５および１６，１７で結ばれ、円
弧状銅帯６の中央部と、この円弧状銅帯６に容量
性結合を有する側の切断リング２は、それぞれリ
ード端子１８および１９を有し、リード端子１８
には更にキヤパシタ２０が接続され、その片側の
リードと上記の端子１９とが回路全体の信号入出
力端子を形成している。

以上のように構成された鞍型コイル状回路ユニ
ツトを、その円筒軸方向がNMR用静磁場の方向
に一致するよう配置して、例えば、NMRの励起
信号供給素子として使用する場合にはキヤパシタ
２０と端子１９の間に高周波電流を供給する。図
に矢印で示す高周波電流の瞬時値の方向からわか
るように、キヤパシタ１４，１６を介して銅帯１
０と１２によつてつくられる枠構造部分と、キヤ
パシタ１５，１７を介して銅帯１１と１３によつ
てつくられる枠構造部分とに垂直な方向に、従つ
てまた、静磁場方向にも垂直な方向に高周波磁場
が発生する。なお、銅帯１０，１１，１２および
１３に付した矢印はこれら銅帯に流れる電流の相
対的な方向関係を示している。

以上においてテフロンシートを介して銅帯２と
銅帯６，７および銅帯３と銅帯８，９との間の容
量を８C₂、キヤパシタ１４，１５，１６，１７
の容量をC₁、直線状の導体１０，１１，１２，
１３のインダクタンスをＬとすると、この回路の
共鳴角周波数ωは ω＝１／√Ｌ（C₁＋C₂） で近似され。C₁を可変することによりNMRの共
鳴周波数に合わせて同調をとることができる。第
３図はこの実施例の等価回路を示している。

なお、リング状銅帯２および３は、キヤパシタ
１４，１５，１６および１７の両端に生ずる電界
に対してシールド効果をはたし、同電界による被
検体中での誘電体損失を防いでいる。またリング
状銅帯に切断４および５を設けたのは、傾斜磁場
発生用コイルとの電磁結合を防いで画像の劣化を
防止するためである。ギヤップ４，５の大きさ
は、回路の対称性を大きくくずすことのないよ
う、充分小さくする必要のあることは勿論であ
る。

上記実施例は、入力端子側のキヤパシタ２０を
可変容量とし、高周波発生源よりの信号供給用同
軸ケーブルの特性インピーダンスと整合がとれる
ようにすることもできる。

ところで、本考案を被検体を人体として実施す
る場合には、断面を長径60cm短径40cmの楕円、長
さを60cm、銅帯の幅を数cm、絶縁用テフロンシー
トの厚さを数百μmに選ぶことにより良好な結果
が得られる。

(ヘ) 効果 以上の説明から明らかなように、本考案によれ
ば、使用周波数の最高限度は、回路の直線部分の
長さのみによつて決まるため、同じ大きさの鞍型
コイルに比べ、高い周波数を用いることができ、
また、高周波電界による被検体中の誘電体損失も
大幅に抑制される。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図はそれぞれ本考案実施例の
構成を示す斜視図および側面図である。第３図は
上記実施例の電気的等価回路である。 １……絶縁体より成る筒状支持体、２，３……
切断を有するリング状銅帯、４，５……リング状
銅帯の切断部、６，７，８，９……円弧状銅帯、
１０，１１，１２，１３……直線状銅帯、１４，
１５，１６，１７，２０……キヤパシタ、１８，
１９……リード用銅帯、２１，２２……テフロン
シート。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. １つの基本軸に関して軸対称的に配置された、
   直線状導体が弧状導体を結んで成る２個の鞍型閉
   回路と、上記２個の鞍型閉回路の、上記基本軸の
   両側に互いに対向する弧状導体部に対してキヤパ
   シテイブに結合し、かつ、同弧状導体部に沿つて
   上記基本軸を取り囲む２個の切断リングと、上記
   ２個の鞍型閉回路の合計８個の弧状導体端部のう
   ち、互いに他方の鞍型閉回路に属し、かつ、互い
   に隣接する端部を結ぶ合計４個のキヤパシタとか
   ら成り、上記２個の切断リングと、この１つの切
   断リングにキヤパシテイブに結合している方の上
   記弧状導体とに、信号入出力端子を有することを
   特徴とする。NMRイメージング装置用高周波信
   号送受信端子素子。