JPH0246015Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［技術分野］ 本考案は、可動鉄心を含む磁気回路中に永久磁
石を介挿し、この磁気回路中のコイルの励磁を制
御することにより、永久磁石の磁束とコイルの磁
束とを重畳または相殺して、可動鉄心をその軸方
向に変位動作させる単安定型ソレノイドに関す
る。

［背景技術］ 従来の単安定型ソレノイドは、第１図示の如く
軸方向への変位動作が自在な可動鉄心Ａと、固定
鉄心Ｂ、コ字状のヨークＣとからなる磁気回路中
に、板状の永久磁石Ｄとさらにこの永久磁石Ｄと
可動鉄心Ａの外周胴との間に磁性材料を積層して
なる集磁板Ｅとを介挿していた。そして、コイル
Ｆは固定鉄心Ｂ及び可動鉄心Ａを囲むようにして
コイル枠Ｇに巻回されており、これの励磁を制御
することにより、永久磁石Ｄの磁束を増大、ある
いは相殺して可動鉄心Ａをその軸方向に変位動作
させ、この変位動作により、可動鉄心Ａの先端部
（右側端部）に連係された部材を変位動作させる
ものである。しかして、コイルＦを励磁したと
き、可動鉄心Ａが左方へ変位する所謂プル型のも
のにあつてはコイルＦの磁束が永久磁石Ｄの磁束
に重畳してこれを増大し、また可動鉄心Ａが右方
へ変位する所謂プツシユ型のものにあつてはコイ
ルＦの磁束が永久磁石Ｄの磁束と逆向きになつて
これを相殺する。

このものにおける集磁板Ｅは、板状の永久磁石
Ｄと円柱状の可動鉄心Ａとの間に形成される空隙
が均一でないことによる磁束の不均一な流れを整
えるために設けられるのであるが、これの存在に
より永久磁石Ｄの大きさが制約を受け、永久磁石
Ｄのみの磁束の磁気吸引力、すなわち無励磁保磁
力が十分に得られないという問題点があつた。

［考案の目的］ 本考案は上記の点に鑑みて成したもので、その
目的とするところは、十分な無励磁保磁力が得ら
れる単安定型ソレノイドを提供するにある。

［考案の開示］ （実施例） 以下本考案を、一実施例として掲げた第２図及
び至第３図に基ずいて説明する。

図において、１は磁性材料からなるヨークで、
相対向する側片１ａとこれらを連結する連結片１
ｂとによりコ字状に形成されている。２は磁性材
料からなる固定鉄心で、凹部２ｂを有する接極面
２ａがヨーク１のコ字状の内方に位置して連結片
１ｂの中央部に固着されている。この固定鉄心２
にはヨーク１の内方及び外方を連通する貫通孔２
ｃが設けてある。３はコイル枠で、固定鉄心２の
外周胴２ｄを囲む内周胴３ａがこの固定鉄心２と
同軸上に延伸している。このコイル枠３の側壁３
ｂ，３ｃ間はヨーク１の側片１ａの長さよりも短
く形成してある。４は磁性材料からなる可動鉄心
で、前記した凹部２ｂに嵌りこむ凸部４ｂを有す
る接極面４ａが固定鉄心２の接極面２ａに対面
し、かつ軸方向への変位動作が自在となるようコ
イル枠３の内周胴３ａに支持されている。この可
動鉄心４の凸部４ｂには可動鉄心４の接極動作時
の衝撃を緩衝するための緩衝体４ｃが、また先端
部（右側端部）には、変位動作をする部材（図示
せず）を連係するための横孔４ｄがそれぞれ設け
てある。さらに付言すれば、可動鉄心４に連係さ
れる部材は可動鉄心４を押圧あるいは引張するよ
うな力が付勢されている。５は固定鉄心２及び可
動鉄心４を囲むようにしてコイル枠３に巻回され
たコイルである。

６は板状の永久磁石で、コイル枠３の右側壁３
ｃとヨーク１の側片１ａの先端側内側面とで形成
される空間内に位置するとともに、可動鉄心４を
挟み空隙ｇを介して対向し、かつこの可動鉄心４
に面する側を同極とした２対６ａ，６ｂが設けて
あり、さらにこのうちの１対６ａがヨーク１の側
片１ａと接合して磁気結合している。７はヨーク
１の両側片１ａ端面に固着された側板である。

しかして、この実施例がプツシユ型のソレノイ
ドの場合、コイル５が無励磁であれば永久磁石６
の磁束はＮ極→空隙ｇ→可動鉄心４→固定鉄心２
→ヨーク１→Ｓ極と流れ、可動鉄心４は第２図示
の如く左方へ変位し、可動鉄心４と固定鉄心２の
両接極面４ａ，２ａが接極する。またコイル５が
励磁されると、その磁束は永久磁石６の磁束とは
逆方向に流れてこれを相殺し、従つて可動鉄心４
に連係された部材の引張力が勝り可動鉄心４が右
方へ変位する。なお、プル型のソレノイドの場
合、コイル５が無励磁であれば永久磁石６の磁束
による磁気吸引力よりも可動鉄心４に連係された
部材の引張力が勝り可動鉄心４が右方へ変位して
おり、コイル５が励磁されると、その磁束は永久
磁石６の磁束と重畳して流れてこれを増大せし
め、従つて可動鉄心４が固定鉄心２に吸引される
力が勝り可動鉄心４は左方へ変位する。

かかる実施例のものでは、従来集磁板が占めて
いたスペースにも永久磁石６が位置することとな
つて、永久磁石６を十分大きくできるから、永久
磁石６のみの磁束の磁気吸引力、すなわち無励磁
保磁力が十分に得られ、また、集磁板が不要であ
るから、構造が簡素化され組立性が向上する。さ
らに、この永久磁石６を２対ともに板状のものと
すれば、安価な永久磁石が得られるから、ソレノ
イドも安価になる。

第４図及び第５図は、本考案の他の実施例を示
し、前記した実施例の可動鉄心２と２対の永久磁
石６ａ，６ｂとの間に磁性体からなる集磁板８を
介在させたもので、その他の構成は前記したもの
と同様１２であり、従つて同一箇所には同一の符
号が付してある。すなわち、集磁板８は前記した
実施例における空隙ｇをうめるような形状をなし
ている。このものでは、前記したと同様永久磁石
６を十分大きくできるから、永久磁石６のみの磁
束の磁気吸引力、すなわち無励磁保磁力が十分に
得られるうえに、磁束の流れが均一化されるの
で、無励磁保磁力をより大きくできる。

［考案の効果］ 本考案の単安定型ソレノイドは、上記した如
く、相対向する側片とこれらを連結する連結片か
らなるコ字状のヨークと、接極面が前記ヨークの
内方に位置して前記連結片の中央部に固着された
固定鉄心と、前記固定鉄心の外周胴を囲む内周胴
がこの固定鉄心と同軸上に延伸するコイル枠と、
接極面が前記固定鉄心の接極面に対面し、かつ軸
方向への変位動作が自在となるよう前記コイル枠
の内周胴に支持された可動鉄心と、前記固定鉄心
及び可動鉄心を囲むよう前記コイル枠に巻回され
たコイルと、前記可動鉄心を挟んで対向し、かつ
この可動鉄心に面する側を同極とした２対の永久
磁石とよりなり、前記永久磁石の少なくとも１対
が前記ヨークの側片と磁気結合されてなるもので
あるから、従来集磁板が占めていたスペースにも
永久磁石が位置することとなつて、永久磁石を十
分大きくでき、永久磁石のみの磁束の磁気吸引
力、すなわち無励磁保磁力が十分に得られ、ま
た、集磁板が不要であるから、構造が簡素化され
組立性が向上する効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図ａ，ｂは従来の単安定型ソレノイド磁石
装置を示すもので、ａは断面図、ｂはａのＡ−Ａ
断面図、第２図ａ，ｂは本考案の一実施例を示す
もので、ａは断面図、ｂはａのＡ−Ａ断面図、第
３図はその分解斜視図、第４図及び第５図は他の
実施例を示すもので、第４図ａは断面図、ｂはａ
のＡ−Ａ断面図、第５図はその分解斜視図であ
る。 １……ヨーク、２……固定鉄心、３……コイル
枠、４……可動鉄心、５……コイル、６……永久
磁石、８……集磁板。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 相対向する側片とこれらを連結する連結片か
   らなるコ字状のヨークと、接極面が前記ヨーク
   の内方に位置して前記連結片の中央部に固着さ
   れた固定鉄心と、前記固定鉄心の外周胴を囲む
   内周胴がこの固定鉄心と同軸上に延伸するコイ
   ル枠と、接極面が前記固定鉄心の接極面に対面
   し、かつ軸方向への変位動作が自在となるよう
   前記コイル枠の内周胴に支持された可動鉄心
   と、前記固定鉄心及び可動鉄心を囲むよう前記
   コイル枠に巻回されたコイルと、前記可動鉄心
   を挟んで対向し、かつこの可動鉄心に面する側
   を同極とした２対の永久磁石とよりなり、前記
   永久磁石の少なくとも１対が前記ヨークの側片
   と磁気結合されている単安定型ソレノイド。 (2) 前記２対の永久磁石と可動鉄心との間に磁性
   材料からなる集磁板を介在させてなる第(1)項記
   載の単安定型ソレノイド。