JPH0242006Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、架空送配電線に対する避雷用グラン
ドワイヤーの延線作業に用いられるグランドワイ
ヤー繰出機に関するものである。

（従来技術） 一般に、現在行なわれている例えば架空配電線
に対する避雷用グランドワイヤー（架空地線）の
延線作業は、当該グランドワイヤーそのものが裸
線であるところから活線状態における作業が困難
であり、必然的に作業区間内における停電を余儀
なくされている。

（考案が解決しようとする問題点） ところが、最近の電力需要の状況から見て上記
のような作業停電の確保は一般に困難になる傾向
にある。

従つて、このような状況に対応するためには活
線状態においてグランドワイヤーの延線作業を可
能にしなければならない。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、上記のような事情に鑑み、活線下に
おけるグランドワイヤーの延線作業を可能にする
ことを目的としてなされたもので、活線状態下に
おける架空送配電線の架空支柱間に避雷用のグラ
ンドワイヤーを延線するグランドワイヤー繰出機
において、上記グランドワイヤーを繰出し方向に
回動可能に巻装したドラム状の本体フレームと、
この本体フレームのグランドワイヤー繰出位置に
設けられ上記本体フレームから延線方向に繰出さ
れる上記グランドワイヤーをガイドする繰出機構
と、上記本体フレームの上記グランドワイヤー繰
出位置に設けられ且つ上記繰出機構のガイド範囲
内において長手方向にすり割を形成した絶縁チユ
ーブを上記すり割を拡開することによつて上記グ
ランドワイヤーに嵌合する絶縁チユーブ被覆機構
とを備えてなるものである。

（作用） 上記の手段によると、グランドワイヤー繰出機
から繰出されるグランドワイヤーに自動的に絶縁
チユーブが被覆されるようになる。その結果、延
線作業時にグランドワイヤーが活線状態の送配電
線に接触しても感電等の恐れは生ぜず、無停電下
での延線作業を可能とすることができる。また、
絶縁チユーブは長手方向にすり割が形成されてい
るので架線完了後の当該絶縁チユーブの撤去作業
も比較的容易である。

（実施例） 第１図〜第３図は、本発明の実施例に係るグラ
ンドワイヤー繰出機を示している。

先ず第２図において、符号１はグランドワイヤ
ー繰出機本体であり、このグランドワイヤー繰出
機本体１は、軸２を支持中心として架台３上に支
持されたグランドワイヤー巻装用のドラム状の本
体フレーム５と、この本体フレーム５の上記軸２
から半径方向に所定の距離離間し且つ相互に所定
の間隔を保つて所定の方法で軸装された内側ロー
ラ６……および外側ローラ７……と、これら内側
ローラ６……と外側ローラ７……間に位置し上記
内側ローラ６……側に回動自由に巻装されたグラ
ンドワイヤー８とから構成されている。

上記本体フレーム５は、相互に着脱可能な外径
の異なる２枚の円形側板５ａと５ｂから形成さ
れ、大径の側板５ａ側に上記内側ローラ６……お
よび外側ローラ７……がそれぞれ軸支されてお
り、小径の側板５ｂ側が上記内側ローラ６の支軸
の一部を利用して締結一体化されるようになつて
いる。従つて、上記内側ローラ６に対するグラン
ドワイヤー８の巻装は、上記小径の側板５ｂを外
した状態において容易に行うことができる。そし
て、上記大径の側板５ａの斜目上端部１３には第
１図に示すようなグランドワイヤー８の繰出機構
１０と絶縁チユーブ被覆機１２とが設けられてい
る。先ず、上記グランドワイヤー繰出機構１０
は、上記大径の側板５ａの上記斜目上端部１３か
ら略三角形状のコーナー部材１５を介してグラン
ドワイヤー８の延線繰出し方向（巻装部接線方
向）に延びる２枚の平行板１４ａ，１４ａよりな
るガイド部材１４を有し、このガイド１４は上記
コーナー部材１５により上記大径の側板５ａに対
して一体的に取付けられている。そして、上記コ
ーナー部材１５の内側には、上下に対向する一対
の挟圧ローラ１６，１６および左右に対向するガ
イドローラ１７，１７がそれぞれ上記グランドワ
イヤー繰出方向に交差して設けられており、当該
２組のローラ１６，１６および１７，１７間を経
て上記グランドワイヤー８が繰出されるようにな
つている。

また上記ガイド部材１４は、その２枚の平行板
１４ａ，１４ａ間にグランドワイヤー８繰出方向
に所定の間隔を置いて第１〜第３のまゆ形ガイド
ローラ１８，１８，１９，１９，２０並びに上方
位置規制ローラ２１がそれぞれ設けられ、上記コ
ーナー部材１５部分のガイドローラ１６，１６お
よび１７，１７を経て繰出されるグランドワイヤ
ー８が当該第１〜第３の各まゆ形ガイド部材１
８，１８，１９，１９，２０間を通して上方位置
規制ローラ２１により上方位置を規制された状態
でガイド部材１４外方に所定の引張テンシヨンを
有して繰出される。従つて、上記繰出し状態にお
けるグランドワイヤー８は、少なくとも上記挟圧
ローラ１６，１６と上方位置規制ローラ２１間
（実用新案登録請求の範囲中のガイド範囲に該当
する）にいては直線状の張設状態を維持すること
になる。

一方、上記絶縁チユーブ被覆機構１２は、上記
ガイド部材１４の上方に設けられた門形支柱２
５，２５と、門形支柱２５，２５の上端部間に回
動可能に軸支されたまゆ形ガイドローラ２６と、
このガイドローラ２６の下方に位置して上記ガイ
ド部材１４の上端面に固定して設けられ、その先
端を上記ガイド部材１４内側の第３のまゆ形ガイ
ドローラ２０前方のグランドワイヤー８の延長線
上に所定の傾斜角（進入角）をもつて臨ましめら
れた絶縁チユーブ拡開用のチユーブガイド２７と
から構成されている。上記チユーブガイド２７
は、第１図に示すように長手方向にすり割２３を
形成した例えばポリエチレン製の絶縁チユーブ２
９を上記グランドワイヤー８に対して上記すり割
２３を開いて当該すり割２３部から嵌合するため
の拡開作用を果たすもので、上記絶縁チユーブ２
９内に貫挿される長形のガイド部本体２７ａと、
このガイド部本体２７ａの両側部に略半分程度埋
め込んで設けられたガイドローラ２７ｂ，２７ｂ
とから構成されている。

従つて、所定の位置に設置された絶縁チユーブ
供給装置（図示せず）より上記グランドワイヤー
８の繰出し量に対応して供給される上記絶縁チユ
ーブ２９は、上記チユーブガイド２７によつてそ
のすり割２３部を図示のように所定幅拡開され、
当該拡開状態で斜目上方からグランドワイヤー８
上に進入し嵌合されて行くことになる。この嵌合
によつて上記グランドワイヤー８に対する絶縁チ
ユーブ２７の一時的な被覆作業がなされ、さら
に、このようにして絶縁チユーブ２９の被覆が完
了したグランドワイヤー８が、さらに第３図に示
すようにして例えば高圧配電線３０の配電系統の
所定区間の架空支柱３１〜３４間に延線される。
なお、第１図において、符号４０は絶縁チユーブ
２９の脱落防止金具である。

すなわち、第３図に示す架空支柱３１〜３４の
上端部間にはその下方に架線された高圧配電線３
０と所定の間隔を置いて先ずグランドワイヤー吊
架用のロープ３２が仮張設されている。また、こ
のロープ３２の下部には当該ロープ３２と平行に
グランドワイヤー引張用の延線作業用導線ロープ
３３が張り渡され、該導線ロープ３３の一端が上
記架空支柱３１〜３４のグランドワイヤー繰出機
側架空支柱３１部分で上記グランドワイヤー繰出
機より繰出される絶縁チユーブ２９被覆後のグラ
ンドワイヤー８先端と接続される一方、他端側は
架空支柱３２，３３，３４の各上端部を経て地上
のロープ巻取機３６に接続されている。

そして、他方、上記グランドワイヤー繰出機本
体１側架空支柱３１の上記導線ロープ３３の張り
渡し端部には垂直面方向に回動するグランドワイ
ヤー８ガイド用の金車（ガイドローラ）３７が軸
支されており、上記導線ロープ３３により巻取機
３６側に引張られる上記絶縁チユーブ２９を被覆
したグランドワイヤー８が当該金車３７によりガ
イドされて上記吊架用ロープ３２に沿つて矢印イ
方向に移動せしめられる。そして、この移動開始
に際し、上記吊架用ロープ３２には、当該ロープ
方向に摺動自在な移動用フツク３８…が複数個係
脱自在に吊設されるようになつており、上記のよ
うに吊架用ロープ３２と平行に移動される状態に
なつたグランドワイヤー８外周の上記絶縁チユー
ブ２９部分を所定間隔で当該移動用フツク３８…
のフツク部３８ａに係止して平行に移送し他端側
架空支柱３４までのグランドワイヤー８の延線を
行う。そして、この延線作業完了後、上記絶縁チ
ユーブ２９内のグランドワイヤー８のみを当該架
空支柱３１〜３４に所定のクランプ手段により緊
締張設する。そして、その後、上記グランドワイ
ヤー８に嵌合されている上記絶縁チユーブ２９並
びに吊架用ロープ３２が人為的な方法で撤去され
る。このようにしてグランドワイヤーの架線が完
了する。

上記の構成では、グランドワイヤー繰出機本体
１そのものに絶縁チユーブ２９の被覆機構１２が
設けられており、延線作業時には上記絶縁チユー
ブ２９を被覆した状態で架線することができる。
従つて、グランドワイヤー８が仮に活線状態の配
電線３０に接触しても感電等の恐れはなく、無停
電での延線作業を可能にすることができるように
なる。

なお、以上の実施例では、配電線の場合を例に
とつて説明したが、本考案は送電線の場合にも同
様に適用できることは言うまでもない。もちろ
ん、その場合には上記絶縁チユーブの耐圧を大き
くするし、また上記架空支柱が鉄塔を意味するこ
ととなる。

（考案の効果） 本考案は、以上に説明したように、活線状態下
における架空送配電線の架空支柱間に避雷用のグ
ランドワイヤーを延線するグランドワイヤー繰出
機において、上記グランドワイヤーを繰出し方向
に回動可能に巻装したドラム状の本体フレーム
と、この本体フレームのグランドワイヤー繰出位
置に設けられ上記本体フレームから延線方向に繰
出される上記グランドワイヤーをガイドする繰出
機構と、上記本体フレームの上記グランドワイヤ
ー繰出位置に設けられ且つ上記繰出機構のガイド
範囲内において長手方向にすり割を形成した絶縁
チユーブを上記すり割を拡開することによつて上
記グランドワイヤーに嵌合する絶縁チユーブ被覆
機構とを備えてなるものである。

従つて、本考案によると、グランドワイヤー繰
出機から繰出されるグランドワイヤーに自動的に
絶縁チユーブが被覆されるようになる。その結
果、延線作業時にグランドワイヤーが活線状態の
配電線に接触しても感電等の恐れは生ぜず、無停
電下での延線作業を可能とすることができる。ま
た、絶縁チユーブは長手方向にすり割が形成され
ているので架線完了後の当該絶縁チユーブの撤去
作業も比較的容易である。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の実施例に係るグランドワイ
ヤー繰出機の絶縁チユーブ被覆機構部分を中心と
する拡大斜視図、第２図は、同グランドワイヤー
繰出機の正面図、第３図は、同グランドワイヤー
繰出機を使用した延線作業状態を示す説明図であ
る。 １……グランドワイヤー繰出機本体、５……本
体フレーム、５ａ……大径の側板、６……内側ロ
ーラ、７……外側ローラ、１０……グランドワイ
ヤー繰出機構、１２……絶縁チユーブ被覆機構、
１４……ガイド部材、２７……チユーブガイド、
３１〜３４……架空支柱。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 活線状態下における架空送配電線の架空支柱間
   に避雷用のグランドワイヤーを延線するグランド
   ワイヤー繰出機であつて、上記グランドワイヤー
   を繰出し方向に回動可能に巻装したドラム状の本
   体フレームと、この本体フレームのグランドワイ
   ヤー繰出位置に設けられ上記本体フレームから延
   線方向に繰出される上記グランドワイヤーをガイ
   ドする繰出機構と、上記本体フレームの上記グラ
   ンドワイヤー繰出位置に設けられ且つ上記繰出機
   構のガイド範囲内において長手方向にすり割を形
   成した絶縁チユーブを上記すり割を拡開すること
   によつて上記グランドワイヤーに嵌合する絶縁チ
   ユーブ被覆機構とを備えてなるグランドワイヤー
   繰出機。