JPH0240692Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 (1) 考案の目的 〔産業上利用分野〕 本考案は住宅等の屋根の上に積もる雪を融かす
融雪装置に関するものである。

〔従来の技術〕

従来の屋根雪融雪装置は、散水融雪法、電気ヒ
ーターによるマツト式融雪法、融雪パイプを屋根
に蛇行させ加熱不凍液による循環通水法、室内の
廃熱利用による金属屋根面を裏面より加熱する方
法がある。

〔考案が解決しようとする問題点〕

散水融雪法は、地下水の使用制限並びに放出さ
れた水の処置で新設がむずかしく、電気ヒーター
によるマツト法は運転費用が高価であり、廃熱利
用の屋根裏面からの加温法は歩道上の屋根には適
応不能であり、また既設の屋根を加工するにも適
していない。また融雪パイプを屋根に蛇行させ、
温水を通す方法は、パイプの周辺だけ融雪し、空
洞を作ると雪はその上に積もり、融雪の効果は顕
著でない。

本考案は、上述の融雪パイプを屋根に配設する
手段に対し工夫を施してなるもので、雪の空洞化
が防止できることにより融雪効果の向上が図ら
れ、かつ熱源に要する費用が省かれることにより
運転費用と設備費用が少なくて済む屋根雪の融雪
装置を提供することを目的とする。

(2) 考案の構成 〔問題点を解決するための手段〕 上記目的を達成するために、本考案は住宅等の
屋根の上に積もる雪を融かす屋根雪の融雪装置に
おいて、屋根の上面の略全面に熱伝導性のよい樹
脂モルタル層を形成し、かつ、上記モルタル層の
内部に屋根の上面に沿つて蛇行して延びる金属製
の融雪パイプをモルタル層の略全域に亘つて埋設
すると共に、上記融雪パイプと住宅等の浴槽との
間に該浴槽内の水を循環させる循環路を形成し、
さらにこの循環路の途中に上記浴槽内の水の循環
ポンプを設けてなることを特徴としている。

〔作 用〕

本考案の融雪装置においては、循環ポンプを作
動して浴槽内の加温水を循環路を介して融雪パイ
プに通じ、循環させる。

これにより融雪パイプが加温され、その熱がモ
ルタル層に伝わるが、モルタル層は熱伝導性がよ
いことと、かつ融雪パイプは蛇行してモルタル層
の略全域に亘つて設けられていることから、その
熱はモルタル層の上面に全面に亘つて充分に伝わ
り、屋根雪を融かす。

〔実施例〕

以下、本考案の一実施例を第１図ないし第３図
を参照して説明する。

図中建屋Ａは長尺鉄板瓦棒ぶき構造の屋根１を
有する住宅を示すもので、この建屋Ａに融雪装置
Ｂが設備されている。

すなわち、上記屋根１の上には内径が例えば９
mmφの銅管から成る複数の融雪パイプ２が敷設さ
れている。これらの融雪パイプ２は屋根１の鉄板
１ａで互いに隣り合う瓦棒１ｂ，１ｂ間の傾斜平
面部分に一本ずつ敷設され、それぞれ瓦棒１ｂ，
１ｂ間の間隔より若干短い幅で左右に蛇行せしめ
られて屋根１の軒先側から棟側まで伸びている。
そして、各融雪パイプ２の軒先側の各一端は屋根
１の軒先に沿つて設けられた送水ヘツダパイプ３
にそれぞれ接続され、棟側の各他端は屋根１の棟
に沿つて配設された還水ヘツダパイプ４にそれぞ
れ接続されている。

また、上記屋根１の鉄板１ａの上面及び各融雪
パイプ２の外周面には接着性を有する水性アクリ
ル系樹脂等から成る塗料１５が塗被され、その上
にさらに樹脂モルタルを融雪パイプ２の外径より
大なる所定厚さで塗布し、モルタル層５が形成さ
れており、各融雪パイプ２はこのモルタル層５の
内部に埋設された状態になつている。

このモルタル層５の熱伝導性をよくするため鉄
粉等の熱伝導改良剤を添加している。

その組成は セメント 40Kg ケイ砂 30Kg 鉄粉 ３Kg 混和樹脂剤 20Kg （強化ガラス繊維混入のもの） なる配合比で混練して得たモルタルにより形成
される。そして、このモルタル層５の上面にも鉄
板１ａの上面に塗被した塗料が塗布されている。

さらに、上記送水ヘツダパイプ３には住宅の浴
槽６の近傍まで導かれた送水集合管７が接続さ
れ、この送水集合管７は浴槽６の内部に設けられ
た水中ポンプ（循環ポンプ）８の吐出口に送水ホ
ース９を介して連絡されている。

また、上記還水ヘツダパイプ４にも浴槽６の近
傍まで導かれた還水集合管１０が接続され、この
還水集合管１０の開口端には浴槽６の内部に挿入
される還水ホース１１が接続されている。すなわ
ち、上記送水ヘツダパイプ３、還水ヘツダパイプ
４、送水集合管７、送水ホース９、還水集合管１
０および還水ホース１１が、本実施例の循環路と
されている。

そして、水中パイプ８、送水ホース９、送水集
合管７、送水ヘツダパイプ３、融雪パイプ２、還
水ヘツダパイプ４、還水集合管１０、還水ホース
１１、浴槽６によつてクローズ循環を構成してい
る。

従つて、湯沸しボイラー１３を点火し、水中ポ
ンプ８を運転すると加温循環液によりモルタル層
５が加温され、新雪に換算して時間当り５センチ
メートル程度の雪を融かすことが出来る。

仮に、部分的に雪の空洞が出来ても、雪のどこ
かが屋根面に接触しているのでその部分の雪が融
けるに伴い、いずれは空洞状態が崩れる。したが
つて、屋根１全面の雪が融かされて積雪が防がれ
る。

水中ポンプ８と送水集合管７には逆止弁を設け
ないので水中ポンプ８を停止すると、真空破壊用
逆止弁１４から空気を吸つて循環系統の水は全部
浴槽６に流入する。従つて運転を停止している時
でも凍結破壊の心配はない。

なお、バルブ切替操作によつて南面の屋根にの
み夏期、中間期に通水することにより、太陽熱利
用によつて浴槽６に汲み込んだ水を加温すること
が出来る。

加えて、モルタル層５には強化ガラス繊維を混
入している為、厚さが薄くても充分の強度をも
ち、屋根への密着性も良好な下地塗料によつて耐
久力は充分である。

(3) 考案の効果 以上説明したように、本考案の融雪装置は浴槽
の温水を融雪パイプに導いて融雪パイプを加温
し、その熱をモルタル層の上面に伝えてモルタル
層の上面全面で屋根雪を融かすようにしたもので
あるから、屋根雪を確実にかつ完全に融かして排
除することができる。

また、融雪パイプは塗料及びモルタルの接着性
により屋根板によく密着できるので、特別の固定
装置を必要とせず、しかも浴槽の温水を用いるの
で新たに熱源装置を設ける必要もないことから、
設備費用と運転費用を少なくすることができ、さ
らに夏季においては太陽熱利用の温水製造装置と
して使用することもできる等種々の効果を奏す
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示すシステムの説
明図、第２図は要部の平面図、第３図は第２図の
−矢視断面図である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 住宅等の屋根の上に積もる雪を融かす屋根雪の
   融雪装置において、屋根上面の略全面に熱伝導性
   の良い樹脂モルタル層が形成され、かつ上記モル
   タル層の内部には、屋根の上面に沿つて蛇行して
   延びる金属製の融雪パイプがモルタル層の略全域
   に亘つて埋設されると共に、上記融雪パイプと住
   宅等の浴槽との間に該浴槽内の水を循環させる循
   環路が形成され、さらにこの循環路の途中に上記
   浴槽内の水の循環ポンプが設けられてなることを
   特徴とした屋根雪の融雪装置。