JPH0239468Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、血液、輸液、滲出液等を、体外へ導
出して所定容器内へ導入する際、あるいは容器か
らそれらの液を体内へ導入する際に用いられる採
血針の支持具に関する。さらに詳述すれば、真空
採血法に使用され、少なくとも一方の端面が先鋭
的な刃面になつている採血針の支持具に関する。

（従来の技術） 従来、血液の採取は、注射器を用いて行われて
いたが、最近では真空採血器を用いた真空採血法
が採用されている。真空採血器は、第３図に示す
ように、円筒状の採血用ホルダー４０と、支持具
５０にて該ホルダー４０に保持される採血針２０
と、血液容器３０とを有する。該血液容器３０は
栓３２にて容器本体３１内を減圧状態で気密に封
栓されている。採血針２０のホルダー４０外側に
位置する先端部２１およびホルダー４０内に位置
する後端部２２は先鋭的な刃面となつている。こ
のような真空採血器は、採血針２０の先端部２１
を被採血者の血管内に挿入すると共に、ホルダー
４０内に位置する採血針２０の後端部２２を、血
液容器３０の栓３２を貫通せしめ、血液容器３０
内に位置させて使用される。このような状態にす
ると、採血針２０の先端部２１と後端部２２との
圧力差により、血液容器３０内に被採血者の血液
が流入する。

従来、採血針２０の支持具５０は、通常、熱可
塑性の合成樹脂にて構成されており、該支持具５
０の軸心位置には貫通孔５１が形成されている。
そして、該貫通孔５１内を採血針２０が挿通して
おり、採血針２０は、該貫通孔５１内周面に融着
あるいは接着されて支持具５０に固定的に支持さ
れている。支持具５０の採血針２０の後端部２２
側外周には、螺旋状の突条５２が形成されてお
り、採血針２０が支持具５０の貫通孔５１に装着
された状態で、該突条５２を、ホルダー４０のス
リーブ４１内に捩込むことにより、支持具５０は
ホルダー４０に固定的に保持される。

採血針２０の先端部２１および後端部２２は、
被採血者の血管あるいは血液容器３０の栓３２に
容易に挿入し得るように、それぞれ先鋭的な刃面
となつている。採血時には、被採血者の血管に対
して、採血針２０先端部２１を、その刃面の開口
面が上方を向いた状態で浅い角度で挿入する必要
がある。しかし、この血管への挿入時に、採血針
２０の刃面がホルダー４０に対して所望の位置に
なつていないことがしばしば生じる。この場合
は、支持具５０を回転させることにより、採血針
２０の刃面位置を調整していた。しかし、支持具
５０はホルダー４０への捩込みによつて保持され
ているため、支持具５０を回転させると、ホルダ
ー４０による支持具５０の保持が不安定になり、
採血針２０がぐらつくおれもある。採血時、特に
採血針を被採血者の血管内に採入するときは、被
採血者のみならず採血者も緊張を強いられ、ホル
ダー４０に対し採血針２０の保持が不安定であれ
ば、緊張はさらに強まり、血管の損傷等の事故の
発生に繋がるおそれもある。

（考案が解決しようとする問題点） 本考案は、上記従来の問題を解決するものであ
り、その目的は、採血針の端部位置を変更して
も、採血針がホルダーに対して安定的に保持され
た状態で、採血針の刃面の方向を容易に変更する
ことができ、採血者および被採血者に無用の心理
的負担を与えることのない採血針の支持具を提供
することにある。

（問題点を解決するための手段） 本考案の採血針の支持具は、採血用ホルダーの
一端部に、該端部を貫通するように固定的に保持
されるハブと、採血針の所定位置に固定的に外嵌
され、かつ該ハブとは適当な摩擦力をもつて回転
可能に該ハブに内嵌された中子と、を具備し、そ
のことにより上記目的が達成される。

（実施例） 以下に本考案の実施例について説明する。

本考案の採血針の支持具は、第１図に示す真空
採血器Ａに用いられる。該真空採血器Ａは、採血
針２０と、血液容器３０と、両者を保持する採血
用ホルダー４０とを有する。採血針２０は、本考
案の支持具１０によつて、ホルダー４０に保持さ
れる。

血液容器３０は、一端部に開口を有する円筒状
の容器本体３１と、該容器本体３１の開口に気密
に嵌合する栓３２とを有する。該血液容器３０
は、容器本体３１内を減圧状態で、栓３２により
気密に封栓されて使用される。

ホルダー４０は、血液容器３０より若干大きい
内径を有する円筒状をしている。該ホルダー４０
の図外の一端部に開口が形成されており、その開
口部より血液容器３０が栓３２側から挿入され
る。該ホルダー４０の他端部の軸心位置には、円
筒状のスリーブ４１が外側方に配設されている。
該スリーブ４１に、本考案の支持具１０が嵌着さ
れ、採血針２０がホルダー４０の軸方向に保持さ
れる。

採血針２０の支持具１０は、スリーブ４１に同
心状に嵌合されるハブ１１と、該ハブ１１に嵌合
される中子１２とを有する。ハブ１１および中子
１２は、例えばポリプロピレン、ポリアセタール
等の熱可塑性の合成樹脂にて製造される。ハブ１
１は、スリーブ４１に内嵌される挿入部１１ａ
と、該挿入部１１ａに連設されたフランジ部１１
ｂとを有する。フランジ１１ｂは挿入部１１ａが
スリーブ４１に内嵌された状態で、スリーブ４１
の先端面に当接し、スリーブ４１の外側に位置す
る。スリーブ４１の先端面に当接するフランジ部
１１ｂの端部は鍔状になつている。挿入部１１ａ
は、円筒状をており、その外周には螺旋状の突条
１１１が形成されている。該突条１１１は、スリ
ーブ４１内周面に密着し、ハブ１１をスリーブ４
１に対して固定的に支持する。ハブ１１の軸心位
置には貫通孔１１２が形成されている。該貫通孔
１１２は、ハブ１１のフランジ部１１ｂ側の端面
から中程にかけて、採血針２０の外径より若干大
きい内径を有し、該中程から他方の端面にかけ
て、採血針２０の外径と略等しい内径を有してい
る。

中子１２は、ハブ１１に内嵌される円筒状の本
体部１２ａと、該本体部１２ａに連設され、該本
体部１２ａより大径の円筒状の操作部２ｂとを有
する。本体部１２ａは、ハブ１１の貫通孔１１２
の大径となつた部分に内嵌される。本体部１２ａ
の外径は、該貫通孔１１２の大径となつた部分の
内径よりほんのわずかだけ大きく、該本体部１２
ａは、該貫通孔１１２内で適当な摩擦力をもつて
回転し得る。

操作部１２ｂは、本体部１２ａがハブ１１の貫
通孔１１２内に嵌入された状態で、ハブ１１のフ
ランジ１１ｂに当接してハブ１１の外側に位置す
る。該操作部１２ｂの外径は、ハブ１１のフラン
ジ部１１ｂ外径と略等しい。中子１２の軸心位置
には、内径が一定の貫通孔１２０が形成されてい
る。

採血針２０は、例えばステンレス製であり、中
子１２の貫通孔１２０およびハブ１１の貫通孔１
１２の小径となつた部分に接して、支持具１０内
を貫通している。採血針２０は、中子１２内周面
に融着あるいは接着されて固定的に支持されてい
る。採血針２０が貫通するハブ１１の貫通孔１１
２の小径部分は、採血針２０の外径と略等しく、
従つて、採血針２０は、ハブ１１に対しては貫通
孔１１２の小径部分に接した状態で回転し得る。
ホルダー４０の外側に位置する採血針２０の先端
部２１およびホルダー４０内に位置する採血針２
０の後端部２２は、先鋭的な刃面となつている。

このような真空採血器Ａは、次のように組み立
てられる。まず支持具１０の中子１２を、採血針
２０の所定位置に固定的に外嵌する。次いで、中
子１２をハブ１１の所定位置に内嵌すべく、中子
１２に内嵌された採血針２０をハブ１１の貫通孔
１１２内へ挿通する。中子１２がハブ１１の所定
位置に内嵌されると、このような状態で、ハブ１
１の挿入部１１ａをホルダー４０のスリーブ４１
内に捩込む。これにより、支持具１０のハブ１１
は、ホルダー４０のスリーブ４１内に固定的に支
持される。

該真空採血器Ａによる採血は、採血針２０のホ
ルダー４０外側に位置する先端部２１を、被採血
者の血管に挿入すると共に、血液容器３０をホル
ダー４０内に嵌入させて、ホルダー４０内に位置
する採血針２０の後端部２２を栓３２内に侵入さ
せ、該後端部２２を、栓３２を貫通さて血液容器
３０内に位置させることにより行われる。

採血針２０の先端部２１を、被採血者の血管内
へ挿入する場合には、該先端部２１の開口面は上
方に向けられる。該先端部２１の開口面が上方を
向いていない場合には、支持具１０の中子１２が
回転操作される。この回転操作は、中子１２の操
作部１２ｂをつまんで行われる。中子１２の本体
部１２ａは、ハブ１１の貫通孔１１２に適当な摩
擦力を有するように内嵌されており、この回転操
作により、中子１２がハブ１１に対して適当な摩
擦力をもつて摺動回転する。そして、該中子１２
に固定的に支持された採血針２０は、該中子１２
と一体的に回転し、採血針２０の先端部２１の開
口面が上方に向けられる。中子１２は、ハブ１１
に対して適当な摩擦力をもつて回転されるため、
中子１２はハブ１１より抜けるおそれがない。採
血針２０はハブ１１の貫通孔１１２とは回転可能
に接しておりまたハブ１１はホルダー４０のスリ
ーブ４１に強固に内嵌されているため、採血針２
０の回転によりハブ１１が連れ回りするおそれが
ない。

第２図は、本考案の他の実施例における真空採
血器A′の縦断面図である。本実施例では、支持
具１０′における中子１２′の本体部１２a′に突条
１２１が配設されている。該突条１２１は、本体
部１２a′の操作部１２b′寄りの位置の外周に周方
向に形成されている。ハブ１１′の貫通孔１１
２′には該突条１２１と対向する位置に、該突条
１２１に係合し得る溝部１１３が形成されてい
る。突条１２１は溝部１１３に対して周方向に適
当な摩擦力をもつて摺動可能である。その他の構
成は、第１図に示す実施例と同様であるで、同符
号を付して説明を省略する。

本実施例では、中子１２′の突条１２１がハブ
１１′の貫通孔１１２′の溝部１１３に係合してい
るため、中子１２′が軸方向に移動して、ハブ１
１′より抜けることを確実に防止することができ
る。

（考案の効果） 本考案は、このように、採血針を、採血用ホル
ダーに安定的に保持された状態で容易に回転させ
得るため、採血針端部の刃面を所望の方向に容易
に変更し得る。従つて、採血時に、採血針が不安
定な状態になるおそれがなく、採血者および被採
血者に心理的緊張を強いることがない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の採血針の支持具を用いた真空
採血器の縦断面図、第２図は本考案の他の実施例
の支持具を用いた真空採血器の縦断面図、第３図
は従来の支持具を用いた真空採血器の縦断面図で
ある。 １０，１０′，５０……採血針の支持具、１１，
１１′……ハブ、１２，１２′……中子、２０……
採血針、３０……血液容器、４０……採血用ホル
ダー。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 採血用ホルダーの一端部に、該端部を貫通す
   るように固定的に保持されるハブと、 採血針の所定位置に固定的に外嵌され、かつ
   該ハブとは適当な摩擦力をもつて回転可能に該
   ハブに内嵌された中子と、 を具備する採血針の支持具。 ２ 前記採血針の端部には刃面が形成されている
   実用新案登録請求の範囲第１項に記載の支持
   具。 ３ 前記中子は、前記ハブの外側に位置する操作
   部を有する実用新案登録請求の範囲第１項に記
   載の支持具。 ４ 前記中子は、周方向に形成された突条を有
   し、該突条は前記ハブ内周面に係合している実
   用新案登録請求の範囲第１項に記載の支持具。