JPH0237306Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 【産業上の利用分野】

本考案は自動車、自動二輪車、農業機械その他
一般産業用の駆動装置、特に少くとも一方を変速
プーリとした変動伝動装置に掛張される変速ベル
トに関する。

【従来の技術】

一般にＶベルトはＶプーリに巻掛けて駆動する
ときに生じるくさび効果によつて動力を伝達する
ものであるため耐側圧性が高く、なかでも広巾な
上面を有するＶ形変速ベルトにあつては高度な耐
側圧性が要求される。 そこでこのような耐側圧性を増大せしめるた
め、従来より個々の構造が提案されて来たが、そ
の殆んどはベルトの圧縮部の下部を補強するもの
であつた。 ところが近時変速プーリを使用したベルト式無
段変速装置の利用が活溌となり、変速ベルトが用
いられる前記伝動装置の変速プーリとしてプーリ
を相対向する２つのシーブとなし、その一方のシ
ーブを軸に固定し、他方のシーブを軸に沿つて摺
動可能とする構造が採用されている。 そこで、変速ベルトをこのような装置に使用し
た場合についてみればベルト張力維持のため、摺
動側シーブは側面より強圧力で押されることにな
り、ために、ベルトの強圧力による押され側が他
方に比べ早期に故障・破損するという問題を惹起
する。

【考案が解決しようとする問題点】

本考案は上述の如き現状に対処し、ベルトに巾
方向の一方向に逃げる特性をもたせることで前述
の接圧を軽減し前記変速プーリの両側シーブに接
するベルト両側面の故障発生を略同時ならしめん
とするものである。

【問題点を解決するための手段】

即ち、本考案の特徴とするところは、変速ベル
ト、特に耐側圧性補強層を有する構造の変速ベル
トにおいて、その補強層を稍太いロープ体を並列
に配列し、それをスダレ状に編綴せしめた構造体
となし、かつ、そのロープ体配列方向をベルト回
転進行方向に対し斜め一方向の角度をなして配層
せしめた点にある。 一般に補強層としてはスダレ織構造になる従前
のスダレ織布を配置してもよいが、スダレ織は腰
が弱いので抗張体として用いるロープ又は、該ロ
ープより稍太い程度のロープ体を並べ、スダレ状
に編んで用いるのが好ましく、かつこのようなス
ダレ構造体は接着処理をしてベルトに配層する。 ベルト配層にあたつては、前記補強層をベルト
長手方向に沿つてベルトの上面に配してもよく、
又、ベルトの下面に配層してもよく、あるいは、
ベルトのゴム層内に埋設してもよく、更に、それ
らを適宜、併用してもよい。 そして何れの場合においてもベルト使用時のベ
ルト回転方向、多くはベルト長手方向に対し、並
列されたロープ体が角度をなして、即ち、ベルト
長手方向に斜め方向に配置されることが肝要であ
り、とりわけ、ベルトの回転進行方向に対し斜め
一方向の角度をなして配層することは好適であ
る。この場合、変速プーリにおいてベルト進行方
向に対し、摺動シーブ側より、固定シーブ側に向
かつて右上りになるようにすることが望ましい。 なお、上記傾斜角度でのベルト掛架を容易あら
しめるためにはベルトの表面、あるいは下面その
他適宜個所にベルト回転方向を表示しておくこと
が好都合である。

【作用】

しかして、上記の如き構成からなる変速ベルト
を一方の軸に変速プーリが、他方の軸にＶプーリ
が取りつけられた装置の両プーリ間にその回転進
行方向に対しロープ体を斜め一方向の角度をなし
て配層せしめて掛張使用するとき変速プーリの摺
動プーリ側の摺動作用による押圧力によりベルト
側部に圧力が加わればベルトはその補強層のロー
プ体傾斜方向に逃げ、接圧を実質上軽減し、他方
の固定シーブ側の圧力に対応せしめることとな
り、圧力の加わる側のベルト側面の一方的な故障
発生を阻止する。

【実施例】

以下、更に添付図面を参照し、本考案の具体的
実施例を説明する。 第１図は本考案変速ベルトの１例を示し、図に
おいてＡは変速ベルト、１は抗張体ロープ、２は
ベルト構成ゴム層、３は耐側圧性補強層であり、
耐側圧性補強層３は稍太めのロープ体３ａを並列
し、スダレ状に編綴せしめた構造体を接着処理し
てなつており、ゴム層２の表面に配層され、各ロ
ープ体３ａの並列方向はベルト長手方向に対し、
斜め方向として配置されている。 第２図イ、ロ、ハは、前記本考案変速ベルトＡ
の変形実施例として補強層３の配層位置を夫々変
化せしめた状態を示し、イはベルト構成ゴム層２
の下面に、又、ロはベルト構成ゴム層２の抗張体
ロープ１下部の圧縮ゴム層内に、更にハはベルト
構成ゴム層２の上面と、抗張体ロープ１の下部圧
縮ゴム層内の双方に夫々前記ロープ体の並列にな
るスダレ状の構造体からなる補強層３がそのロー
プ体並列方向をベルト長手方向に対し傾斜せしめ
た状態で配層されている。 第３図は叙上の如き構成からなる本考案変速ベ
ルトＡを変速装置に掛張使用した態様を示し、上
部のプーリP₁には通常のＶプーリが用いられ、
下部のプーリP₂には一方のシーブ１１が軸に固
定されたシーブ、他方のシーブ１２が軸方向に摺
動可能で、その側方に固定したスプリング押え１
３との間にスプリング１４が介装されたシープか
らなる変速プーリが用いられて、これら両プーリ
P₁，P₂にわたつて本考案の変速ベルトＡが掛張
されているが、ここで、上記変速ベルトＡにおけ
る補強層のロープ体並列方向は矢示させるベルト
回転方向に対し、斜線で示す傾斜方向に配置され
る。 かくしてこの状態で装置を作動すると、上部プ
ーリP₁が駆動側、従動側の何れであるにせよ、
ベルト回転方向に対し補強層のロープ体が傾斜す
ることからベルト側面への加圧は軽減し、同側面
の破損・故障が和らげられる。

【考案の効果】

本考案は以上のように少くとも一方が変速プー
リからなる両プーリ間に掛張される変速ベルトに
おいて、耐側圧性補強層に太めのロープ体を並列
状に配置し、スダレ状に編綴してなる構造体で形
成し、そのロープ体配列方向をベルト回転進行方
向に対し斜め一方向の角度をなして配層せしめた
ものであり、ロープ体を並列せしめたため通常の
スダレ織布に比べて腰があり、補強効果を大なら
しめると共に、その並列方向をベルト回転進行方
向に対し斜め一方向の角度をなして配層せしめて
いるのでベルト回転時、変速プーリの摺動側シー
ブがスプリング等の押圧力により加圧され、ベル
ト側面を圧接するとしてもベルトはロープ体の角
度方向に逃げ、同部分における接圧を軽減し全体
として同側面への偏つた加圧を消失させてベルト
両側面における接圧度合を平均化させ、一方の側
面の破損故障を先づ発生させるようなこともな
く、両側面平均してほゞ同時期に破損、故障させ
て実質上、ベルトの耐久性を高め、その寿命を延
長する効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る変速ベルトの１例を示す
部分斜視図、第２図イ、ロ、ハは同変速ベルトの
補強層の配置態様を変えた各別の実施例を示す断
面図、第３図は両プーリ間に本考案変速ベルトを
掛張した使用状態略示説明図である。 Ａ……変速ベルト、１……抗張体、２……ベル
ト構成ゴム層、３……耐側圧性補強層、３ａ……
ロープ体。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ ベルト部材としてベルト長手方向に耐側圧性
   補強層を有し、相対向するシーズのうち、少な
   くとも一方を摺動可能とした変速プーリと、他
   のプーリとの間に掛張される変速ベルトにおい
   て、前記耐側圧性補強層としてロープ体を並列
   し、スダレ状に編綴してなる構造体を用い、か
   つそのロープ体配列方向をベルト回転進行方向
   に対し斜め一方向の角度をなして配層してなる
   ことを特徴とする変速ベルト。 ２ 補強層のロープ体配列方向が、ベルト回転進
   行方向に対し右上り傾斜方向である実用新案登
   録請求の範囲第１項記載の変速ベルト。 ３ ベルトが該ベルトの回転方向を示す表示を有
   している実用新案登録請求の範囲第１項又は第
   ２項記載の変速ベルト。