JPH0236115B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は、閉鎖時開口部の全周辺面が弾機に
より強制的に密接して遮煙効果が得られる様にし
た防火引戸に関するものである。

（従来の技術） 従来の防火戸は単に火炎の延焼防止を主眼とし
たため、閉鎖時は開口部周縁と防火戸の間隙より
有毒煙が流出し極めて危険であつた。斯かる欠点
を解消するため例えばこの出願と同一の発明者が
先願した実願昭58−32001（実開昭59−138692）号
公報の防火扉が提供されたが、吊車が引戸の両端
側から有毒煙が漏出するため防火戸としての適性
を欠いていた。

さらに、防火戸としての完全機能を達成するた
めに上記と同様の同一出願人により先願された実
願昭59−180317（実開昭61−94048）号公報の防火
引戸が提供されてはいるが、閉鎖時開口部周縁と
密接させる手段に引戸そのものを直線運動から閉
鎖直前に平行状に変位する方法であるため、吊車
に傾動機構や外れ止め装置を併設せねばならず、
実施に際し各部材間の調整が精度化して複雑な装
置となつていた。

その他閉鎖時随所に埋設した磁石又は電磁石同
士により引戸と開口部の周枠を密接するように試
みた先行技術も数多く提案されているが、耐用年
数や配電故障の問題も抱えているうえ、消防法規
には不適性の技術でもあるため、防火戸を除く一
般家具の扉や引戸などに多用されている現状であ
る。

（発明が解決しようとする問題点） 火災による人事の被害は、近年火炎よりも有毒
煙による窒息死が先行するため、防火戸には遮煙
機能が付帯されてないと消防法の規制に適合せず
市場に提供することが不可能となつている。

しかしながら、上記の法規制に適合する防火戸
を提供するには、 (イ) 遮煙機能として閉鎖時防火戸と開口部の周枠
が密接すること。

(ロ) 防火戸の開放は手動に限定し、閉鎖は昼夜の
別なく自然復帰すること。

(ハ) 防火戸の運動エネルギー源には、電気、油
圧、空圧、などの比較的故障を伴うものを用い
ないこと。

(ニ) 実施面では、余分なスペースをとらず需要家
負担が軽度なること。

などが必須条件となり、これらの諸条件を悉く解
消しなければ普く市場に提供することは不可能と
いう問題点を有していた。

（発明の目的） この発明は、上述した従来技術の欠点をすべて
解消し、昼夜の別なく火災発生時に防火戸が自動
的に密閉して延焼防止と遮煙機能を遺憾なく発揮
することができる機能充実かつ低価の防火引戸を
市場に提供し、防災義務者の負担軽減による早急
な設置意欲を高揚せんとすることを目的とする。

（問題点を解決するための手段） この発明による防火引戸の遮煙装置は、開口部
の縦框１に発条３を介して凹所つき戸当り２を内
設し、上記開口部の他側周縁に逆Ｌ字形の主枠４
を貼設し、この主枠４に別の横辺が端になる程食
み出し幅が累増する様に弾機構成した逆Ｌ字形の
副枠５を遊嵌すると共に、この副枠５の適所に垂
設した多数のローラー１５に他の突条つき引戸１
０に配設した誘導片１１の緩急斜面を摺接する様
にしたものである。

（作用） Ａ 開放および自動閉鎖 この発明における防火引戸は、この出願と同
一の発明者によつて先願された自閉扉装置を援
用しているので、開放は如何なる場合でも全開
時のロツク拘束を除きすべて手動で行われる、
したがつて開放途中で手を離せば即閉鎖側に防
火引戸は自動復帰（自閉）するように構成され
ている。

すなわち上記自閉力は防火引戸を開放する際
調速装置から引き出されるワイヤロープによつ
て畜力される復帰エネルギー（発条の復元力）
の作用によるものである。

全開時防火引戸はワイヤロープの先端が電磁
レリーズに咬合して停止しているが、引紐降下
によつて咬合拘束が解除されるか、或いは火災
発生に伴う熱または煙を感知した上記電磁レリ
ーズの作動により引紐操作と同様に咬合拘束が
解除された防火引戸は復帰エネルギーにより自
動閉鎖する、したがつて昼間は有人状態のもと
で引紐操作、夜間、休日などの無人状態では、
熱、煙用の感知器が作動時において防火引戸は
自動閉鎖されることになる。

Ｂ 閉鎖（密閉） つぎに防火引戸が前述した復帰エネルギーの
作用によつて閉鎖側に後退すると、先ず戸先側
の角縁が、主枠に遊嵌され横辺が端になる程食
み出し幅が累増するように弾機構成（横辺端部
は押しばねを他方縦辺側は引ばねを用いるよう
に）された逆Ｌ字形の副枠の上記食み出し箇所
に摺接しながら後退を続けるが、他方戸尻側の
適所に配設された鉤形の誘導片の急傾斜面が、
上記副枠の鉛直側の適所に垂設された多数のロ
ーラーに当接し、その後は該急傾斜面がローラ
ーおよび副枠の縦片側を引ばねが、延伸される
方向に移動させていくが、斯かる際戸先側に設
けられた突条は開口部の縦框に内設した戸当り
の凹所に嵌入係合するため極く僅かの距離
（Ｇ）だけ横に移動して副枠の横片端部を主枠
に没入させると共に、戸尻側の誘導片が副枠側
のローラをその緩傾斜面内に当接させた状態の
とき、副枠の縦、横両辺は防火引戸の縦、横両
縁辺に密接する、そして戸先の突条が戸当りの
凹所に嵌合するとき防火引戸の側面は戸当りと
全面密接することになる、したがつて開口部周
辺における三方の枠の密閉は左側柱方向では、
戸先と戸当りの密接、他方上辺と右側縦方向で
はこの箇所に貼設された主枠に遊嵌された副枠
と防火引戸の密接によつて達成されることにな
るが、この発明では各部の密接状態に無理や拗
れが生じないよう随所で発条を設け摺動部材に
余祐を与えているものであるから、密着度は極
く自然に行われるから、この密着箇所より室内
の有毒煙が外部に流出することは完全に防止で
きる。

以上は防火引戸の閉鎖時に変化する各部の作用
状態であり、反面開放の場合は防火引戸の前進と
ともに開口部が除々に開口されると戸当りは発条
の復元で縦框内を摺動前進し、他方副枠は横辺側
の端部が除々に主枠内のコイルばねによつて押し
上げられる一方、縦辺側は引ばねによつて主枠内
に没する位まで引き寄せられるから、この副枠は
主枠に対し防火引戸が接触する前の自然の横辺が
端部になる程主枠より食み出し幅が累増する傾斜
を伴つた遊嵌状態に復帰する。

総括すれば、手動によつて開放された防火引戸
は、全開時（電磁レリーズによるロツク）以外は
調速装置内の復帰エネルギーで直ちに自動閉鎖
し、閉鎖の直前より作用する主枠と副枠の密接運
動（二方向）と併動して戸先側と戸当り側の圧接
運動（一方向）などにより、開口部における三方
の周辺部が同時に密閉されて遮煙態勢を保持し、
この発明の目的を達成するものである。

亦全開時におけるロツク解除は、引紐（手動操
作）でも、感知器と連動する電磁レリーズの何れ
でもよく、双方とも瞬時に行われるため引戸は上
記の如く自動閉鎖運動に即移行することになる。

（実施例） 第１図は、この考案の一実施例を示す全体の配
設正面図であり、１は開口部０の１側縁に立設し
たハツト形の縦框で、円筒形コイルの発条３を介
して第４および第５図示の横断面に示す凹所２Ａ
を形成した溝形の戸当り２を摺動自在に内設す
る、また開口部０の上辺側と上記縦框１の対向側
になる側柱箇所には、逆Ｌ字形の溝形材からなる
主枠４を隙間が生じないように貼設し、その内部
に別の副枠５を斜めに浮上するよう遊嵌（後述）
する。

上框側には、この出願と同一の発明者により先
願された定出力ばね内蔵の調速装置Ｐより巻取り
巻戻しされるワイヤロープＲが引取１０の上辺に
立設した索止具に係着され、その先端は電磁レリ
ーズＤに咬合されて引戸１０の自動閉鎖（後退）
を阻止するため拘束されている（第１図および第
４図）。

第２図における引戸１０は全開（最前進）状態
であつて、開口部０周辺の各密閉用部材の内、戸
当り２は縦框１の外線上まで発条３で押圧され、
他方主枠４側では副枠５が横辺の端部に至る程食
み出し幅が累増した斜め浮上状態で遊嵌されてい
る、したがつて斯かる状況のもとでは各発条（縦
框内と主枠内）には負荷は全く生じていない（第
２図）。

第３図の引戸１０は全閉（最後退）状態である
から、引戸１０は主枠４および副枠５とともに平
行状になつて密接し、側柱の縦框１内の戸当り２
と引戸１の戸先１４が凹凸係合（後述）して密接
し遮煙効果を達成する（第３図）。

この発明の要旨である開口部周辺部材と引戸と
の密接構成は、詳細には第４図および第５図示の
如き弾機部材と誘導部材によつて適確に相互連係
運動が働き達成されるものである、すなわち開口
部０に貼設される主枠４は、第７図示の如き逆Ｌ
字形の溝形材からなり予め横辺（水平側）端部に
はハツト形の受具８を突設し、他方縦辺側（垂直
方向）には、引戸１０側に突設された鉤形の誘導
片１１が横断移動するのに支障の無きよう段部４
Ａが欠切され、更に上記縦辺の少くとも最低上下
の二箇所には引ばね１７…１７を係着してなる。

つぎに主枠４に遊嵌される副枠５は、第６図示
の如き逆Ｌ字形の溝形材からなり、その横辺（水
平側）端部には上記主枠４の受具８に挿通する案
内軸６を固設し、押しばね９を該受具８に接する
状態に介在する。

また、縦辺側（垂直方向）には、引戸１０に突
設した誘導片１１と同数のローラー１５…１５を
垂設するとともに、該誘導片１１が横断移動する
のに支障の無きよう段部１８…１８を欠切し、適
所に主枠４に係着した引ばね１７掛止用の止杆１
９を固着してなる。

斯かる副枠５を主枠４に遊嵌するに当り、先ず
縦辺側では主枠側の引ばね１７…１７を副枠側の
止杆１９に掛止しながら、横辺側の案内軸６を主
枠側の受具８孔に挿通した後、該受具８の裏面に
突出した案内軸６の周溝に止輪７（通称ストツプ
リング）を圧入して両者の係合組み合せが完了す
る。

そして組み合せ後の両者（主枠と副枠）の形体
は、第９図示の如く逆Ｌ字形の溝形状同士が対向
状に嵌装し、かつ副枠側の横辺部が内装した押し
ばね９により端部で持ち上げられて浮上し、全体
的にその食み出し幅が端部になる程累増する状態
となる、したがつて該横辺部が主枠に対し除々に
傾斜しながら食み出ている格好になつている（第
９図）。

また、引戸１０の戸先側では縦側に略々半円状
の突条１０Ａが随所で螺止固着されており、縦框
１に内装された凹所２Ａを形成した戸当り２に引
戸が閉鎖時凹凸係合によつて密接する様になつて
いる。

斯かる場合引戸は、戸当りの凹所中心と引戸の
突条中心との偏差距離Ｇだけ移動して副枠の横辺
側と圧接する。

他方、引戸の戸尻側では鉤形の誘導片１１が適
所に突設され引戸の後退時副枠側のローラー１５
に第８図示の如く当接するようになつている、そ
して該誘導片１１は、先端が急傾斜角αと緩傾斜
角βの二段階斜面に形成され、かつ緩傾斜部では
凹凸状の起伏を形成して滑り止め効果を挙げてい
る、亦該緩傾斜部端から引戸面までの入口間隔
（Ｈ）と、他方副枠５の密接面５Ａからローラー
端迄の距離（Ｈ）は予め等しくなつているので、
誘導片の緩傾斜部がローラーに圧接した時点では
副枠の密接面５Ａ側は引戸と密接すると共に、副
枠の縦方向でも上記誘導片は各ローラーと当接し
て同時に引戸と密接する様になつている。したが
つて副枠は常に主枠側に引ばね１７により引き寄
せられているためローラーは誘導片の緩傾斜部に
強力に圧接し前記滑り止め用起伏とも併せ、この
圧接箇所より自然に横滑りするようなことは全然
生じないことが、反復実験によつて実証されたも
のである（第８図）。

第１０図示では、上記の誘導片側に滑車を枢着
し、他方副枠側には急斜面と緩斜面（凹凸起伏つ
き）を有した傾斜台を固設し、この発明の上記ロ
ーラーと誘導片の係合関係を逆に置き換えて実験
したものであるが、圧接後の自然横滑りは全然生
じず実施に適合することが確実に実証された（第
１０図）。

（発明の効果） この発明によれば、引戸は閉鎖時に極く僅か横
振れする程度で、実質的には吊車の転動による引
戸の直線運動には何等の支障も無く、かつ、開口
部の周辺（縦枠と副枠の三方周辺）における各辺
が弾力的に摺動して引戸と圧接するから、無理や
拗れは全然生じずかつ、閉鎖時における均等な密
接状態が保持されるから遮煙効果は確実に達成さ
れるうえ、引戸は消防法に適合する手動開放と復
帰自閉エネルギーを有した構成であつて全開時の
み停止するが、それ以外はすべて自動閉鎖するた
め、有人下では引紐操作、他方無人下では熱と煙
の発生（火災時）に感応した感知器が引戸拘束中
の電磁器を解放して自動閉鎖し、同時に遮煙状態
に入るという煙害防止（人災面）および消防法規
に適合する（実施義務面）などに卓効著しいもの
である。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の装置を開口部に配設した全
体の概略正面図、第２図は開戸状態の概略平面
図、第３図は閉戸状態の概略平面図、第４図は閉
戸間際の一部欠切拡大平面図、第５図は閉鎖時の
一部欠切拡大平面図、第６図は副枠の背面斜視
図、第７図は主枠の一部欠切斜視図、第８図は誘
導片とローラーの接触状態を示す拡大平面図、第
９図は主枠と副枠の組立て後の斜視図、第１０図
は第８図の接触状態を逆転換した場合の拡大平面
図である。 図において１は縦框、２は戸当り、４は主枠、
５は副枠、１０は引戸、１１は誘導片、１５はロ
ーラーである。なお、各図中同一符号は同一また
は相当部分を示す。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 開口部の縦框１内で摺動する凹所つき戸当り
   ２、亦他方の周縁に貼設した逆Ｌ字形の主枠４、
   この主枠４に遊嵌する別の横辺が端になる程食み
   出し幅が累増する様に弾機構成した逆Ｌ字形の副
   枠５、この副枠５の適所に垂設した多数のローラ
   ー１５に、他の突条つき引戸１０に配設した誘導
   片１１の緩急斜面を夫々摺接する様にしたことを
   特徴とする防火引戸の遮煙装置。