JPH0232823Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、エンジンの吸気を過給しかつスワ
ールを発生させるための空気噴射装置に関する。

エンジンの吸気を過給する技術は、エンジン出
力の増加手段の一つとして知られており、ターボ
チヤージヤがこの目的のために使用されている。
また、エンジンの吸気はスワールすなわち渦流を
発生させて燃焼条件を改良する技術もまた良く知
られている。スワール発生装置としては、空気噴
射管から空気を噴射する方式と、吸気ポートの形
状を工夫する方式と、吸気弁にシユラウドを設け
る方式等がある。これらの中で三菱自動車の
MCA−JETと呼ばれる方式では、空気噴射通路
が燃焼室内に開口してそこに小型の弁が吸気弁と
ともに開閉するようになつている。

一方、燃焼室内に吸気弁および排気弁とは別に
設けられる小型の弁の他の例として、エンジンブ
レーキ使用時に使用されるいわゆる第３弁があ
る。これは、エンジンブレーキ使用時に、圧縮上
死点近傍で開成されてシリンダ内の圧縮空気を抜
くことにより、エンジンブレーキの効果を助長さ
せるためのものである。この第３弁から排出され
た圧縮空気は、通常、排気通路を通じて大気中に
放出される。

この考案の目的は、従来大気中に放出されてい
た第３弁からの圧縮空気を貯圧タンク内に貯圧し
て、燃焼時の吸入工程において燃焼室内に噴射し
て過給とスワール生成のために使用するようにし
たエンジンの空気噴射装置を提供することにあ
る。

以下、添付図面を参照してこの考案の一実施例
を説明する。第１図において、エンジン１のシリ
ンダ２上部の燃焼室内には、吸気通路３および排
気通路４の他に第３弁通路５が開口しており、そ
れぞれに吸気弁６、排気弁７および第３弁８が、
それぞれ開閉可能に設けられている。吸気弁６お
よび排気弁７は、それぞれ図示されないカム、ロ
ツカアーム等により開閉制御される。第３弁８
は、バルブスプリング９により常態において第３
弁通路５を閉じており、エンジンブレーキ作動時
には、その圧縮上死点近傍においてピストン１０
に供給された油圧により第３弁通路５を開くよう
に制御される。

第３弁通路５には、排気フイルタ１１および一
方向弁１２を介して貯圧タンク１３が、パイプ手
段１４を通じて接続されている。この貯圧タンク
１３には、圧力調整弁１５が備えられている。第
３弁通路５と貯圧タンク１３との間は、作動制御
弁であるポート位置切換電磁弁１６を介して別の
パイプ手段１７が通じている。この電磁弁１６
は、常態では閉じており、制御装置１８からの信
号により開成を制御される。

エンジンブレーキ作動時には、燃焼室内への燃
料噴射は行なわれない。したがつてその圧縮上死
点近傍において開成された第３弁８からは、圧縮
空気のみが第３弁通路５およびパイプ手段１４を
通じて貯圧タンク１３内に供給される。このと
き、燃焼室内のすす等がフイルタ１１により除去
される。この圧縮上死点近傍におけるシリンダ内
圧力P₁を例えば30Kg／cm²とすると、貯圧タンク
１３内に貯圧される空気の圧力P₂は、10〜20
Kg／cm²程度になる。

エンジンブレーキの使用が終つて、第３弁８が
第３弁通路５を閉じて通常の燃焼状態に入ると、
その吸気工程において第３弁８が自動的に開い
て、貯圧タンク１３内に貯圧された圧縮空気が電
磁弁１６を通つてシリンダ２内に噴射され、過給
とスワール生成に寄与する。第２図に示すよう
に、吸気工程におけるシリンダ内圧力P₁は、ほ
ぼ大気圧になつているので、貯圧タンク１３内の
圧力P₂との差によつて第３弁８が自動的に開く。
逆に言えば、こうなるように第３弁８のためのバ
ルブスプリング９のばね圧を設定しておく。勿
論、エンジンブレーキ時とは別の制御系によつて
第３弁を開くようにしてもよい。

一方、電磁弁１６は、常態において閉じてお
り、パイプ手段１７を通じての貯圧タンク１３か
ら第３弁通路５への空気の流通は遮断され、パイ
プ手段１４を通じての第３弁通路５から貯圧タン
ク１３への空気の流通のみが可能となる。この電
磁弁１６の開成は、燃焼時のエンジン低速回転域
のみに制御装置１８からの信号によつて行なわれ
る。というのは、第３図に示すように、スワール
が特に必要なのはエンジン低速回転域であり、か
つエンジン回転数がアイドル時に近づくほどスワ
ール強化と過給を必要とするからである。このた
め、制御装置１８には、エンジン回転数センサか
らの信号が入力されている。

以上のように、この考案による空気噴射装置
は、エンジンブレーキ作動時に廃棄されていたエ
ネルギを回収して燃焼時のスワール生成と過給と
に利用するので、省エネルギを実現できるととも
に、多くのエンジンモデイフイケーシヨンなしに
簡単な構造によりエンジン性能を一段と向上させ
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この考案の一実施例を示す空気圧回
路図、第２図は、エンジンのPV線図、第３図は、
エンジン回転数とスワール比との関係を示す図で
ある。 １……エンジン、２……シリンダ、３……吸気
通路、４……排気通路、５……第３弁通路、６…
…吸気弁、７……排気弁、８……第３弁、９……
バルブスプリング、１０……油圧ピストン、１１
……フイルタ、１２……一方向弁、１３……貯圧
タンク、１４，１７……パイプ手段、１５……圧
力調整弁、１６……作動制御弁。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 吸気弁および排気弁とは別にエンジンブレーキ
   作動時に圧縮行程上死点近傍において開成して燃
   焼室内の圧縮空気を大気中に放出するための常閉
   弁を備えたエンジンにおいて、 上記常閉弁に装着され、同常閉弁をエンジンブ
   レーキ非作動時の吸気行程に開成せしめる開成手
   段と、 エンジンブレーキ作動時に上記常閉弁から放出
   される圧縮空気を貯圧するためのタンクと、 同タンクに貯圧された圧縮空気を上記開成手段
   によつて開成された上記常閉弁から燃焼室内に供
   給する噴射通路と、 同噴射通路を開閉する制御弁と同制御弁にエン
   ジンブレーキ非作動のエンジン低回転域にのみ作
   動信号を出力して燃焼室内に上記圧縮空気を噴射
   せしめる制御装置と を備えたことを特徴とするエンジンの空気噴射装
   置。