JPH0232363B2 - Yojuboshihoho - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

（産業上の利用分野） 本発明は熱可塑性重合体チツプに低融点の添加
剤を添加してエクストルーダで溶融紡糸する方法
に関するものであり、特にカルボキシル末端基濃
度の低い耐熱性の良好な産業用ポリエステル繊維
を得るのに適した溶融紡糸方法に関するものであ
る。 （従来の技術） 従来、改質又は性能の向上した合成繊維を得る
ために、熱可塑性重合体チツプに添加剤を添加し
てエクストルーダで溶融紡糸する方法が広く実施
されている。例えば、カルボキシル末端基濃度の
低い耐熱性の良好な産業用ポリエステル繊維を得
るために、ポリエステルチツプにエポキシ化合物
等を添加して溶融紡糸する方法がある。 添加剤としてこのような低融点の化合物を使用
する場合、重合体チツプと添加剤とをエクストル
ーダにその供給口から同時に供給すると、添加剤
がエクストルーダ内で直ちに高温に加熱されるた
め、気化し、生じた気体が逆流して供給管の壁面
等に凝縮し、チツプの供給が円滑に行われなくな
るという問題があつた。 この問題を解決する方法として、エクストルー
ダの供給口の近傍のシリンダを冷却する方法が提
案されている（特公昭58−10492号公報）。 しかし、この方法では、チツプのシリンダ内で
の予熱が不十分となるため、チツプが溶融される
までの供給、圧縮計量が不安定となり、吐出圧異
常により糸切れが発生するという問題があつた。 （発明が解決しようとする問題点） 本発明は熱可塑性重合体チツプに低融点の添加
剤を添加してエクストルーダで溶融紡糸する方法
において、チツプの供給が円滑に行われ、紡糸ト
ラブルが発生しない溶融紡糸方法を提供しようと
するものである。 （問題点を解決するための手段） 本発明は上記問題点を解決するもので、その要
旨は次のとおりである。 熱可塑性重合体チツプに低融点の添加剤を添加
してエクストルーダで溶融紡糸するに際し、エク
ストルーダ内でチツプの一部が溶融する直前の位
置で、溶融した添加剤を添加し、溶融混合して紡
出することを特徴とする溶融紡糸方法。 本発明における熱可塑性重合体としては、ポリ
エステル、ポリアミド等があげられるが、特にポ
リエチレンテレフタレート及びこれを主体とする
ポリエステルが好ましく用いられ、ポリエステル
の共重合成分としては、イソフタル酸、フタル
酸、アジピン酸、プロピレングリコール、1.4−
シクロヘキサンジメタノール等の二官能性化合物
のほか、トリメリツト酸、ホウ酸等の多官能性化
合物も繊維形成能を損なわない範囲で用いられ
る。 また、本発明における添加剤としては、合成繊
維の改質又は性能を向上させる低融点の化合物が
用いられ、例えば、帯電防止剤、熱安定剤、ポリ
エステルに対するカルボキシル末端基封鎖剤等が
あげられるが、特にポリエステルに対する末端基
封鎖剤が好ましく用いられる。 ポリエステルに対する末端封鎖剤の具体例とし
ては、テトラヒドログリシジルフタルイミド、フ
エニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエ
ーテル、ブチルグリシジルエーテル等のエポキシ
化合物、フエニルイソシアネート、トリルイソシ
アネート等のイソシアネート化合物等があげら
れ、触媒を併用することが望ましい。触媒として
は、トリオクチルホスフイン、トリメチルベンジ
ルホスホニウムベンゾエート、ビストリブチルホ
スホニウムテレフタレート等のリン化合物、トリ
メチルアミン、トリプロピルアミン等の第３級ア
ミン、トリメチルベンジルアンモニウムハイドロ
オキサイド、テトラエチルアンモニウムクロライ
ド等の第４級アンモニウム化合物等があげられ
る。 本発明においては、重合体チツプはエクストル
ーダの供給口からエクストルーダに供給され、添
加剤は溶融液の形で、チツプが溶融する直前の位
置でエクストルーダのシリンダ部に開口した添加
剤供給管から供給される。 第１図は本発明の実施に用いられるエクストル
ーダの一例を示す説明図である。 第１図において、１はスクリユー、２はシリン
ダ、３は供給口、４，５，６はヒータ（円筒状ア
ルミ鋳込みヒータ）である。重合体チツプは供給
口３から定量的に供給される。一方、添加剤は添
加剤タンク７に溶融状態で貯留されており、供給
ポンプ８で計算されてエクストルーダのシリンダ
部の所定の位置に開口した供給管９から定量的に
供給される。 なお、供給口付近は冷却することが望ましく、
１０は冷媒による冷却部である。また、Ａ〜Ｂ間
は供給部、Ｂ〜Ｃ間は圧縮部、Ｃ〜Ｄ間は計量部
である。 （作用） 本発明においては、添加剤を溶融液の形で供給
するので、定量的に供給することができ、添加剤
がエクストルーダの中央部から供給されるので、
気化して供給口に逆流することがなく、さらに、
添加剤を添加する際のチツプは十分予熱されてい
るので、溶融混合が円滑に行われる。また、添加
剤をチツプの溶融前に添加するので、添加剤注入
部の内部は実質的に常圧であり、高圧の計量ポン
プを用いることなく、容易に添加剤を添加するこ
とができる。 （実施例） 次に実施例により本発明を具体的に説明する。 実施例 第１図に示したエクストルーダ及び添加剤供給
管の位置を変更したエクストルーダを用い、極限
粘度〔η〕1.02、カルボキシル末端基濃度
〔COOH〕（単位は当量／トン、以下同じ）23の
ポリエチレンテレフタレートチツプに添加剤とし
てテトラヒドログリシジルフタルイミド（融点80
℃）の溶融液を添加して溶融紡糸し、1300ｍ／分
の速度で引取り、引続き延伸倍率2.42で延伸して
1500デニール、250フイラメントのタイヤコード
用糸を製造した。 エクストルーダはスクリユーが外径65mm、長さ
と直径の比（Ｌ／Ｄ）が20で、供給部：圧縮部：
計量部の長さの比が12：３：５のものを用い、供
給口付近は20℃前後の水により冷却し、ヒータ温
度はエクストルーダ出口の重合体の温度が300℃
となるように入口から出口に向かつて段階的に高
くなるように設定した。 添加剤の注入位置を第１図のａ〜ｅの位置と
し、添加剤の添加量を第１表のように変更して製
糸したときの紡糸性及び糸の特性値を第１表に示
す。

【表】 本発明の要件を満足するNo.３、４では、吐出圧
が安定しており、気泡の発生もなく紡糸性が良好
であつた。（No.４の糸の強度は8.3ｇ／ｄであつ
た。） 添加剤をチツプと同時に供給口から供給したNo.
１では、10〜15時間おきにチツプの供給不良が発
生した。 添加剤の供給位置をｂ点としたNo.２では、紡糸
性がかなり改良されたが、満足できるものではな
かつた。 添加剤の供給位置をチツプが溶融した以降であ
るｄ点及びｅ点としたNo.５、６では、重合体と添
加剤と溶融粘度差が大きいため、吐出圧変動が大
きく、紡糸性が不良であつた。 （発明の効果） 本発明によれば、熱可塑性重合体チツプに低融
点の添加剤を添加してエクストルーダで溶融紡糸
するに際し、チツプの供給が円滑に行われ、紡糸
トラブルが発生せず、改質又は性能の向上した合
成繊維を良好な操業性のもとに得ることのできる
溶融紡糸方法が提供される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施に使用されるエクストル
ーダの一例を示す説明図である。 １……スクリユー、２……シリンダ、３……チ
ツプ供給口、４，５，６……ヒータ、９……添加
剤供給管。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 熱可塑性重合体チツプに低融点の添加剤を添
   加してエクストルーダーで溶融紡糸するに際し、
   エクストルーダー内でチツプの一部が溶融する直
   前の位置で、溶融した添加剤を添加し、溶融混合
   して紡出することを特徴とする溶融紡糸方法。 ２ 熱可塑性重合体がポリエチレンテレフタレー
   ト又はこれを主体とするポリエステルであり、添
   加剤がポリエステルのカルボキシル末端基封鎖剤
   である特許請求の範囲第１項記載の溶融紡糸方
   法。