JPH0231368Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、主として鶏卵の流通用包装容器とし
て用いられるもので、身部及び蓋部の相対向する
複数箇所に、これら両部の閉止姿勢において卵収
容用空間を形成するための凹部及び隔壁がそれぞ
れ形成されている容器であつて、かつ、身部側と
蓋部側とがその一側辺において、折り畳み自在に
一連一体に連接形成してある卵容器に関するもの
である。

（従来の技術） この種の卵容器は、従来一連の合成樹脂製のシ
ート材を用いてこれを真空成型、加圧成型等の手
段によつて身部側と蓋部側とを一連一体に成型し
たものであつた。

このようにした卵容器に卵を収容するには身部
側の凹部に卵の下半部を入れ、蓋部側を連接部か
ら折り畳んでその上方に載せ、これら両部の遊端
フランジ片どうしを重合させ、その重合フランジ
片部分を針止めし（ホツチキス止め）や溶着等に
よつて止着して容器全体を封止している。

このようにした、卵を収容した容器を流通段階
でパツケージの中で何段も積み上げて保管した
り、あるいはパツケージから出して積み上げて陳
列したりすることが通常行なわれていた。

（考案が解決しようとする課題） しかしながら、卵は重量の割りには殻が脆弱
で、最近のように卵の大量生産、大量販売下にお
いて、特に親鳥の筋肉の膨大化のみを促進する飼
料投与のもとにあつて、卵殻が非常に壊れ易い傾
向が益々高くなつている。その上、流通段階で、
一般に使用されている卵の容器は、前述のように
合成樹脂の薄板製が殆どで、比重が軽い上に構造
上卵を収容すると重心が高くなつてしまう。

従つて、一箱の卵入り容器を平らな場所に載置
するときはよいが、運搬時、あるいは販売店頭に
陳列時等、多数段卵入り容器を積み上げると、下
側容器の蓋部上面と上側容器の身部下面をそのま
ま真上に重ねると安定性が極度に悪化し、特に、
上下接触面の摩擦の少ない合成樹脂容器製の場合
など、その傾向が顕しく、何段かの積み上げが僅
かな力の横方向衝撃によつて連鎖反応的に崩れて
しまい、内容物である卵の大量破壊を引き起こ
す。

そして、積み上げ量の大きい時程その被害は大
きい。それで、従来の積み上げ時、下側容器の蓋
部の卵を収容する両凹部の合間に上側容器の身部
の卵を収容する凹部の底部を落とし込んで、積み
上げているが、これも卵の収容数の多い10個入り
容器の場合は比較的安定するが、殊に４個入りの
容器の場合のように卵の収容数の少ない容器の場
合には実質的に直上積み上げしかできず、上記の
ように段違いに積み上げをあえてしてもその不安
定さは増大して、何れも上下容器がずれ落ちた
り、堆積が崩れたりする危険性は全く解消できな
い。

そこで、本出願人は、これらの諸問題を解決す
ることを目的とし、かつ、解決することができる
に至つた相当段数を直上に積み上げても安定性に
優れた卵容器をここに提案するものである。併せ
て、従来行なわれていた索条を利用して開封手段
を有する卵容器としても支障なく実施することが
でき、更に、従来一般に使用されているホツチキ
ス止めや融着による蓋の閉止手段にも何等の支障
も生じさせることなく、又、改変を加える必要も
なく、従来通りの封止手段（封止用機械）を利用
することができる合成樹脂製卵容器を提供するも
のである。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、これらの諸目的を達成することがで
きるものであつて、その構成を実施例に対応する
第１図乃至第３図に基づいて説明すると、合成樹
脂シート材で、一側辺において折り畳み自在に連
結形成された身部Ａと蓋部Ｂとこれらを連結する
連接部とからなり、これら身部Ａ及び蓋部Ｂの相
対向する複数箇所に、これら両部Ａ，Ｂの閉止姿
勢において卵収容空間を形成するための凹部１
ａ，１ｂ及び隔壁２ａ，２ｂがそれぞれ形成され
ている卵容器において、前記身部Ａの凹部１ａま
たは蓋部Ｂの凹部１ｂを形成する底壁若しくは双
方Ａ，Ｂの凹部１ａ，１ｂを形成する底壁のうち
少なくとも四辺形を形成する四つの箇所の底壁に
近接して位置ずれ防止用小突起４を底壁よりも外
方に向けて突出形成されている構成としたもので
ある。

（作用） 本考案はこのように構成したものであるから、
容器本体１の身部Ａ側に形成されている卵収容用
の凹部１ａに卵を入れ、第１図に示した如く、蓋
部Ｂ側をその上方に被せ、重ね合わせたフランジ
部分４ａ，４ｂをホツチキス針止めなりスポツト
融着なりして封止する。

（実施例） 以下本考案の代表的実施例について図面に基づ
いて説明する。

第１乃至第３図は第１実施例を示した図であつ
て、６個入りの卵容器について示したものであ
る。第１図は蓋部Ｂを閉止した外観図、第２図は
卵容器全体の展開構造を示した斜視図、第３図は
閉止状態の平面図である。

而して、本考案は第２図に展開構造を示したよ
うに、身部Ａと蓋部Ｂとこれら両部Ａ，Ｂを長さ
方向のフランジ部において連結する長方形の幅広
の連接部６とを有し、これら身部Ａと蓋部Ｂとの
相対向する６箇所に卵収容用空間を形成するため
の凹部１ａ，１ｂとこれらの凹部１ａ，１ｂを区
画する隔壁２ａ，２ｂとをそれぞれ形成してある
合成樹脂の薄いシート材製の容器であつて、四つ
の凹部１ａ，１ｂによつて囲まれる中間部分には
支柱１０ａ，１０ｂが形成されている。

本考案は、このように形成された容器であつ
て、更に、第１図に外観図及び第３図の平面図に
示すように、蓋部Ｂの卵容器用凹部１ｂの各底部
（第１図の外観図では１ｂは凸部にあらわれる）
には真上に載置される同様形状の卵容器の身部Ａ
の卵収容用凹部１ａの底壁が当接する位置に、嵌
入する形状の浅い位置決め用の逆凹入部３が設け
てあり、それに隣接して四隅の各凹部１ｂには隅
角側位置に、中間部の凹部１ｂには外縁側位置に
それぞれ前記他容器の身部Ａの凹部１ａに接当す
る位置ずれ防止用小突起４をそれぞれ底壁よりも
外方に向けて突出成形してある。そして、該小突
起４の内側面は、積み上げ時に当接する上部容器
の身部Ａの凹部１ａの底部の外面に適合して、据
わりをよくするとともに、上部容器を積み上げる
時のガイドの作用をもなす。

また、前記支柱１０ａ，１０ｂの各頂部には、
蓋部Ｂの閉止時に、互いに当接して嵌合する浅い
凹入部５ａと突起部５ｂとが形成してあり、連接
部６側に形成してある支柱１０a′，１０b′につい
ても同様に凹入部５a′と突起部５b′とを形成して
あり、相互に嵌合し合うようにしてある。

また、前記連接部６の一側に偏した折曲部の内
面側（第１，２図において上面側）には、該連接
部６の長手方向に沿つて、糸、モノフイラメン
ト、細幅テープ等からなる切断用索条７が配接さ
れ、その両端部分が連接部６に固着されている。
また、該連接部６の長手方向両端部には、この切
断用索条７を挟んで両側に切り込み８，８が形成
されていて、該切り込８，８によつて形成された
遊端部分が切断用索条７の開封時の摘み部９にな
つている。

而して、このようにされた卵容器は、第４図に
示すように、身部Ａ各凹部１ａ内に卵Ｅを収容
し、身部Ａ側の上に蓋部Ｂ側を覆い、これら身部
Ａ蓋部Ｂとの遊端側のフランジ部分４ａ，４ｂま
たはこの遊端縁部分に連なる三角状部分を、従来
一般に使用されているホツチキス打設機とかスポ
ツト熱融着機などの封止機によつてホツチキス針
止めやスポツト融着などの封止をする。

他方、該実施例における容器にあつては、この
封止姿勢において、または、第２図の展開姿勢時
において生産者や販売者その他商標等の所要事項
を印刷した紙や樹脂フイルムなどのラベル等を、
長方形の幅広の連接部６の平坦な外面に貼着する
ことができる。

このようにして形成された卵収容包装容器は、
第４図に示したように容器の直上に鉛直姿勢にし
て順次積み重ねて段ボール箱等に収容され市場に
流通される。また、卵販売店等において陳列され
る際にも第４図の姿勢のように順次積み重ねて陳
列される。又、交互に反対向きにも積み重ねるこ
ともできる。

開封を行なうには、第１図に示したように、連
接部６の端部に形成してある摘んで外方向に引き
離すようにして引つ張りと切断用索条７の存在に
よつて当接連接部６の一端部が切断される。

第５図に示した実施例は第２実施例を示したも
ので、同図は４個入りの卵容器を合成樹脂シート
材で成型した閉塞姿勢の要部の平面図で、蓋部Ｂ
に形成した四つの凹部１ｂの四隅の底壁のみに位
置ずれ防止用小突起４をそれぞれ突出形成した構
造としたものである。

また、第６図に示した実施例は、卵収容用凹部
１ａ，１ｂを10箇所形成した卵10個入り用容器の
閉塞姿勢の要部の平面図を示したもので、蓋部Ｂ
側の10個の凹部１ｂのうち、四隅に位置する凹部
１ｂのうち隅角部位置と、中間部に位置するその
他６個の凹部１ｂの底壁（同図において上下の側
縁側）位置とに、それぞれ位置ずれ防止用小突起
４を突出形成した構造としたものである。

更に第７図乃至第９図に示した実施例は、それ
ぞれ10個用卵容器における小突起４の突出位置に
ついての変形例を示したもので、第７図に示した
実施例は蓋部Ｂの10個の凹部１ｂのうち、四隅に
位置する各凹部１ｂの底壁の長手方向外側位置
と、中間部に位置するその他の６個の凹部１ｂの
底壁のそれぞれ相対向する内側（図において上下
方向中央側）位置とに、位置ずれ防止用小突起４
を突出形成した構造としたもの、第８図に示した
実施例は蓋部Ｂの10個の凹部１ｂのうち、四隅に
位置する各凹部１ｂの底壁と、これらに隣接する
中間部側に位置する他の４個の凹部１ｂの底壁と
のそれぞれ相対向する側でかつ外縁側（図におい
て上下の側縁側）位置に、それぞれ位置ずれ防止
用小突起４を突出形成した構造としたもの、第９
図に示した実施例は、一つの凹部１ｂに対して二
箇所宛位置ずれ防止用小突起４を突出形成した場
合の実施例で、蓋部Ｂの10個の凹部１ｂのうち、
四隅に位置する各凹部１ｂの底壁のそれぞれ角隅
部位置と当該底壁を挟んで対向する内側位置と
に、また中間部に位置するその他の６個の凹部１
ｂのうち中央の２個の凹部１ｂの底壁のそれぞれ
相対向する内側（図において上下方向側）位置と
外縁側（図において上下の側縁側）位置とに、そ
れぞれ位置ずれ防止用小突起４を外面側に向けて
突出形成した構造としたものである。

このように、位置ずれ防止用小突起４を凹部１
ａ，１ｂの底壁に近接して形成することにより該
突起部分で荷重と衝撃を吸収することができる。
また、このことは容器全体の卵の保護に悪影響を
与えることもない。

而して、この位置ずれ防止用小突起４は容器の
身部Ａ側と蓋部Ｂ側との両方に形成してもよく、
要は容器同士を直上方向に積み重ねたとき凸部同
士又は凹部どうしが接触することなく噛み合つて
相互に位置ずれを防止する作用をするものであれ
ばよく、しかも位置ずれ防止用小突起４の数は少
なくとも底壁の中心を結ぶ線によつて四辺形を形
成する四つの位置ずれ防止用突起となつておれば
足りるものである。また、前記第９図に示した実
施例のように一つ凹部１ａ，１ｂに対して２箇所
に小突起４を形成することによつても実質的に容
器同士の位置ずれを防止できる構造とされていて
もよいのであつて、各凹部１ａ，１ｂにおける位
置ずれ防止用小突起４の突出形成位置及び形状は
図の実施例に特定されるものではない。

また、これら身部Ａ、蓋部Ｂの形成材料として
は、透明性を有する合成樹脂製シート材が卵の状
態を外から確認できるので好ましいが、不透明な
シート材や発泡シート材等を用いることもでき
る。

（考案の効果） 本考案は、以上の説明から既に明らかなよう
に、卵を収容する凹部を形成した容器の凹部の底
壁に近接して位置ずれ防止用小突起を該底壁より
も更に外方に向けて突出させて形成し、該位置ず
れ防止用小突起をガイドにして真上に載置すべき
上部容器の下側凹部の底壁を係止して載置できる
ので、載置し易く安定に積み上げることができる
ので、段数多く積み上げても、縦横方向にずれて
落下して容易に卵が破損することを防止でき、従
来では、不安定なため積み上げてできなかつた直
上方積み重ねが安定性が増大したため、多段数に
積み上げができるので、保管場所の面積を著しく
減少でき、かつ、取扱者に安心感を与える効果が
ある。

しかも、従来から使用されている容器の開封索
などの自動取付手段や、ホツチキス針止めなどの
封止装置などに何等の支障をも生じさせることな
く、また、改造を必要とすることなく、そのまま
使用することができるという効果をも併せ有して
いるのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は容器の閉止姿勢を示す外観斜視図、第
２図は容器の展開姿勢を示す斜視図面、第３図は
閉止姿勢の平面図、第４図は閉止姿勢の容器を積
み上げた側面図、第５図乃至第９図はそれぞれ別
実施例を示す閉止姿勢の要部の平面図である。 図中Ａは身部、Ｂは蓋部、１ａ，１ｂは凹部、
２ａ，２ｂは隔壁、４は位置ずれ防止用小突起を
示す。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 合成樹脂シート材で形成された身部Ａと蓋部
   Ｂとこれを連結する連接部とからなり、これら
   身部Ａ及び蓋部Ｂの相対向する複数箇所に、こ
   れら両部Ａ，Ｂの閉止姿勢において卵収容空間
   を形成するための凹部１ａ，１ｂ及び隔壁２
   ａ，２ｂがそれぞれ形成されている卵容器にお
   いて、 前記身部Ａの凹部１ａまたは蓋部Ｂの凹部１
   ｂを形成する底壁もしくは双方Ａ，Ｂの凹部１
   ａ，１ｂを形成する底壁のうち少なくとも四辺
   形を形成する四つの底壁に近接して位置ずれ防
   止用小突起４を底壁よりも外方に向けて突出形
   成されている合成樹脂製卵容器。 (2) 位置ずれ防止用小突起４が身部Ａ又は蓋部Ｂ
   若しくは双方の側の四隅に位置する凹部１ａの
   隅角側位置に形成されている実用新案登録請求
   の範囲第１項に記載の合成樹脂製卵容器。