JPH0230764Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、試料中に含まれる目的物質を測定す
る酵素電極を利用した測定装置に関し、特に改良
されたフロー測定用酵素電極測定部に関するもの
である。

（従来の技術） 現在、生体物質や食品等の試料に含まれる物質
の濃度を酵素電極を利用して測定する各種装置が
開発されており、その方式には、静止した試料液
の測定を行うバツチ測定方式と緩衝液等を流しな
がら次々に試料液を注入して測定を行うフロー測
定方式が知られている。フロー測定方式は多数の
試料液を連続的に測定出来るため、その迅速性に
おいて優れているが、フローセルを除いた酵素電
極自体（作用極、対極、固定化酵素膜及びこれら
の支持部を含む部分）の構成はバツチ測定方式で
用いられるものと同じであり、固定化酵素膜の着
脱操作等の取扱が煩雑なままである。

以下に第６図に従つて、従来のフロー測定用酵
素電極測定部を説明する。酵素電極の作用極１と
リング状の対極２は電極支持部３に固定され、両
電極は、膜支持台４にＯリング５で取り付けられ
た固定化酵素膜６と接する構造になつている。測
定目的物質を含む試料はマイクロシリンジ（図示
されていない）により緩衝液中に注入され、試料
を含む緩衝液は配管７を通り矢印のように流れ、
測定室８で固定化酵素膜６に接するようになつて
いる。固定化酵素膜６はグルコースの測定におい
てはグルコースオキシダーゼ固定化膜を、またエ
タノール測定においてはアルコールオキシダーゼ
固定化膜を用いる等、試料中の測定目的物質によ
り適宜交換する必要があり、また固定化酵素膜６
は測定後に冷蔵保存するため、その都度取り外す
必要があり、その際膜を傷付け易いという欠点が
あつた。

（目的） 本考案は、煩雑な作業を要せず、上記の問題を
解決したフロー測定用酵素電極測定部を提供する
ことを目的とする。

（構成） 本考案は、作用極１、対極２、固定化酵素膜
６、フローセル１８を含むフロー測定用酵素電極
測定部１３において、固定化酵素膜６が作用極１
上に形成されており、且つ該作用極１が絶縁性ね
じ１７に密封固定されており、該絶縁性ねじ１７
は対極２とは独立してフローセル１８に対し着脱
可能に装着されていることを特徴とするフロー測
定用酵素電極測定部１３である。尚、酵素電極と
は、作用極、対極、固定化酵素膜及びこれらの支
持部を含み、フロー測定用酵素電極測定部とはさ
らにフローセルを含む。フローセルとは作用極、
対極等の電極が直接あるいは固定化酵素膜を介し
て試料液に接する部位、即ち測定室及びその部位
を形成する容器である。

（実施例） 第１図は本考案の一実施例を示したものであ
る。緩衝液リザーバー９に蓄えられた緩衝液１０
が、定量ポンプ１１によつて試料の注入口１２及
び配管７、更にフロー測定用酵素電極測定部１３
を経て排液溜１４へ送液される。酵素電極はポテ
ンシオスタツト１５に接続されており、その電流
値を測定する。

第２図は、第１図の実施例におけるフロー測定
用酵素電極測定部１３を詳細に説明したものであ
る。試料中の測定目的物質はフローセルの測定室
８で固定化酵素膜６に接し、そこで発生した過酸
化水素が作用極１で酸化される際に生ずる電流値
より測定目的物質の定量を行う。作用極１は、白
金、金、グラフアイト等の導電性材料に固定化酵
素膜６を直接形成したものであり、絶縁性被覆１
６におおわれ、着脱容易な絶縁性ねじ１７に密封
固定され、更にフローセル１８の電極ねじ込み穴
１９に固定されている。対極２は固定化酵素膜６
を有さない導電性材料を同様に取り付けたもので
ある。固定化酵素膜６は例えば、導電性材料上に
アルブミンのグルタールアルデヒドによる架橋層
を形成し、更に酵素のグルタールアルデヒドによ
る架橋層を形成して構成され、酵素としてはグル
コースオキシダーゼ、アルコールオキシダーゼ等
の過酸化水素形成オキシーダーゼを用いる。電極
の絶縁性被覆１６としてはテフロン（登録商標
名）、塩化ビニルその他の高分子材質を用いるこ
とができる。導入用の配管７及び排出用の配管
は、ねじ式接続具２０によりフローセル１８に接
続される。

第２図の例では作用極１、対極２、配管７がそ
れぞれ独立して着脱できるため、酵素電極測定部
１３の継ぎ足しや、対極２の表面の清浄化処理が
容易に行える利点がある。

本考案において作用極は、絶縁性ねじに固定さ
れる。そしてこのねじは固定化酵素膜が測定室内
に接するように着脱可能にフローセルのねじ穴に
取りつけられる。またフローセルと配管の接続方
式は第２図に示すフランジ接続方式の他、フレア
ー接続方式、フエラル接続方式等が適用できる。

本考案においては作用極が他の電極（対極や参
照極）と独立して着脱出来るため、作用極ごと取
り外して固定化酵素膜の冷蔵保存が出来、測定対
象の変更に際しても別の酵素が固定化された作用
極に容易に交換可能で、固定化酵素膜の交換操作
において膜に傷を付けるということはない。

第６図より明らかなように従来の酵素電極では
作用極１がリング状の対極２と一体になつてお
り、対極２が固定化酵素膜６を介して試料液と十
分な接触面積を得るため、測定室８の巾を配管７
の内径より大きく構成している。このため測定室
８内で乱流が起こり、試料が緩衝液に拡散希釈さ
れ測定の精度を損なう欠点があつた。しかし本考
案においては第２図、第３図に示すように作用極
１と対極２が一体に構成されていないため、フロ
ーセル１８の測定室８を配管７と同じ内径の円柱
状に構成でき、試料の拡散希釈を防ぐことができ
る。従つて複数のフローセルを継いでも各電流値
の測定ピークが徐々に広がらず、測定の精度を損
なう欠点がない。第３図は、２つの目的物質を測
定する場合の実施例でありグルコース測定用酵素
電極測定部２１とエタノール測定用酵素電極測定
部２２を接続し、試料中に含まれる２物質の濃度
測定を同時に行うことができる。エタノールの検
出電流ピークの半値幅はグルコース測定用酵素電
極測定部２１を取りつけない場合と同じであつ
た。

また第４図はフローセルの測定室内壁部２３を
導電性材料で構成し、対極とした実施例であり、
かかる態様では対極と試料を含む緩衝液との接触
面積が広いため、対極の充分な電子供給能が得ら
れる利点がある。

更に第５図の様に参照極２４を送液系中に挿入
することも可能である。

（効果） 本考案においては作用極が単独で着脱出来るた
め、測定対象の変更操作が容易に行うことがで
き、固定化酵素膜の取り外しで膜に傷を付けると
いうこともない。またフローセルの測定室を配管
内径と同じ内径の円柱状に構成できるため、フロ
ーセル内で乱流が起こり試料が緩衝液に拡散希釈
されることがなく、複数のフローセルを継いで測
定しても各検出電流のピークが広がらないため測
定精度が高い。

更に固定化酵素膜が直接作用極上に形成されて
いるため少量の酵素で測定ができる利点がある。

【図面の簡単な説明】

第６図は従来の酵素電極測定部の構造を示す断
面図である。第１図は本考案にかかる酵素電極測
定部の一実施例を用いた測定装置を示し、第２図
はその酵素電極測定部の断面図である。第３図〜
第５図は本考案の実施例を示すもので、第３図は
フローセルの測定室を配管内径と同じ径の円柱状
に構成したフローセルを２つ継いだ実施例であ
り、第４図はフローセルの測定室内壁部を導電性
材料で構成し、対極として使用するものであり、
第５図は参照極を加えた実施例を示す。 １……作用極、２……対極、３……電極支持
部、４……膜支持台、５……Ｏリング、６……固
定化酵素膜、７……配管、８……測定室、９……
緩衝液リザーバー、１０……緩衝液、１１……定
量ポンプ、１２……注入口、１３……酵素電極測
定部、１４……排液溜、１５……ポテンシオスタ
ツト、１６……絶縁性被覆、１７……絶縁性ね
じ、１８……フローセル、１９……電極ねじ込み
穴、２０……ねじ式接続具、２１……グルコース
測定用酵素電極測定部、２２……エタノール測定
用酵素電極測定部、２３……測定室内壁部、２４
……参照極。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 作用極１、対極２、固定化酵素膜６、フロー
   セル１８を含むフロー測定用酵素電極測定部１
   ３において、固定化酵素膜６が作用極１上に形
   成されており、且つ該作用極１が絶縁性ねじ１
   ７に密封固定されており、該絶縁性ねじ１７は
   対極２とは独立してフローセル１８に対し着脱
   可能に装着されていることを特徴とするフロー
   測定用酵素電極測定部１３。 (2) 対極２が絶縁性ねじに密封固定されており、
   対極２を固定した前記絶縁性ねじは作用極１と
   は独立してフローセル１８に対し着脱可能に装
   着されていることを特徴とする請求の範囲第１
   項記載のフロー測定用酵素電極測定部１３。 (3) フローセル１８には配管７が着脱可能に装着
   されていることを特徴とする請求の範囲第１項
   記載のフロー測定用酵素電極測定部１３。 (4) フローセル１８の測定室８を配管７内径と同
   じ径の円柱状に構成した請求の範囲第１項記載
   のフロー測定用酵素電極測定部１３。 (5) フローセル１８の測定室内壁２３を導電性材
   料で構成し対極２としての機能を持たせたこと
   を特徴とする請求の範囲第１項記載のフロー測
   定用酵素電極測定部１３。