JPH0229937B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、ガスタービンエンジンの環型燃焼器
に係り、より詳細には環型燃焼器の前端部に取付
けられる燃料ノズルの熱シールドに係る。

ガスタービンエンジンの技術分野に於て周知の
如く、エンジンの構成要素の耐久性は極めて重要
である。というのは、エンジン構成要素の耐久性
が高いとその修理や交換に必要な航空機の運航中
止をする必要性が少なく、従つてそれに伴う経済
的犠牲を払うことなく長期間エンジンを運転する
ことができるからである。従つて苛酷な環境にも
耐え得るエンジンの構成要素を開発することが常
に重要な関心事である。エンジンのうち特にこれ
まで厄介な問題を引起していたのは、燃焼器内の
一定領域、特に燃料ノズルが燃焼器のライナ壁に
取り付けられている部分である。燃焼ノズルを環
型燃焼器の前端部にてシールしている燃料ノズル
ガイドは非常に高い熱応力に曝されるため、従来
より保守上の問題を有していた。

従来、熱シールドはライナ壁と一体的に形成さ
れていた。熱シールドは燃料ノズル構造体を保護
するのみならず、燃料ノズルを担持する燃料ノズ
ルガイドを支持する働きをする。燃料ノズルに近
接した熱シールドの上流側は熱シールド構造体よ
りも温度が低いため高い熱応力が発生し、従つて
熱シールドの寿命が短くなる傾向があつた。また
従来の設計による熱シールド構造体に於ては、熱
シールド構造体を取外すためには燃焼器ライナを
切断しなければならず、又修繕し或いは交換した
熱シールド構造体を再溶接する必要があり、熱シ
ールド構造体の修理及び交換は保守上の問題であ
つた。

本願発明者等は、熱シールド構造体に於て高温
度にて作動する構造体をそれより低温度にて作動
する構造体より分離し熱膨張が可能であるように
構成することによつて、上述の如き問題を排除し
得ることを発見した。また本発明によれば、熱シ
ールドの取外しが容易であり、燃焼器ライナを犠
牲にすることなく熱シールドを取外すことができ
るため、その保守に要する費用が低減される。

本発明の目的はタービン形パワープラントの環
型燃焼器の前端部に装着された燃焼ノズルのため
の改良された熱シールド構造体を提供することに
ある。

本発明の特徴は、熱シールドを通常それより低
温であるルーバ型ライナ隔壁部材より分離し、そ
れによつて熱膨張及び熱収縮が可能であるように
したことにある。

本発明の他の一つの特徴は、冷却空気用の孔を
適宜配置し、火炎の停滞を防止して冷却特性を改
善することにある。

以下に添付の図を参照しつつ、本発明をその好
ましい実施例について詳細に説明する。

上述の如く本発明は、本願出願人であるユナイ
テツド・テクノロジーズ・コーポレイシヨンのプ
ラツトアンドホイツトニ航空機グループによつて
製造されているJT−9Dエンジンに使用されるが
如き形式の環型燃焼器の前端に燃焼ノズルを取付
け且保護するものである。第１図には従来技術に
よる燃焼器が示されており、複数の燃焼ノズルガ
イド１０のうちの一つのみが図示されている。従
つて実際には複数個の燃焼ノズルガイド１０が環
型燃焼器１２の前端部に円周方向に装着されてい
る。燃焼器１２は従来のルーバ型ライナとして構
成されており、内側環状ライナ部材１４と外側環
状ライナ部材１６とを含んでおり、これら両部材
が互いに接合されて円錐形の燃焼室１８を郭定し
ている。燃料ノズル（図示せず）が燃料ノズルガ
イド１０によつて燃焼器の前端部にて支持されて
いる。かかる燃料ノズルガイド１０によつて該燃
料ノズルは環状ライナ部材に対して相対的に運動
することができる。本発明によると、燃料ノズル
を担持している燃料ノズルガイドは軸線方向には
運動しないよう拘束されているが、半径方向には
運動することができるように支持されており、以
下で詳細に説明される。かかる構成を有する燃料
ノズルガイド１０の燃焼室１８に面する後端部上
には半径方向外方に延在するフランジが担持され
ており、該フランジは燃料ノズル及びそれを支持
する燃料ノズルガイドからなる構造体を熱的に保
護する熱シールドとして機能する。

本発明を第２図から第４図を参照して以下に説
明する。同図には燃料ノズルガイド、熱シールド
及び支持構造体が示されている。燃焼器１２は内
側環状ライナ部材１４と外側環状ライナ部材１６
を接続している環状前端部即ち前壁２２を有して
おり、該前壁２２は燃料ノズルガイド１０とそれ
に付属する構造体の各々を受入れる円周方向に隔
置された複数の孔を有する。かかる環型燃焼壁の
構造の詳細な点については前述のJT−9Dエンジ
ンを参照されたい。第３図に示されているよう
に、機械加工された隔壁部材２０が燃焼器１２の
前壁２２に溶接されており、一方これによつて熱
シールド２４及び燃料ノズルガイド２６が緩く支
持されている。燃料ノズルガイド２６はスリーブ
要素２７として形成されており、該スリーブ要素
２７は前側フランジ部３４を有する。隔壁部材２
０はＵ形断面を有しており、半径方向外方に延在
する前側フランジ部２１を有する。該前側フラン
ジ部２１は前記スリーブ要素２７の前側フランジ
部３４に対して平行に且隔置されて配置されてい
る。熱シールド２４は一対のリング２８及び３０
を含んでおり、この両リングは隔壁部材２０を取
付けた後溶接部３２に沿つて突き合せ溶接するこ
とによつて互に接合される。リング２８は脚部２
９を有しており、該脚部２９は前記スリーブ要素
２７の前側フランジ部３４の後面及び前記隔壁部
材２０の前側フランジ部２１の前面に平行であり
且それらと当接している。リング３０は脚部３１
を有しており、該脚部３１は隔壁部材から隔置さ
れた面であつて隔壁部材を燃焼器の火炎から遮断
する前面を有している。Ｈ形のクリツプ要素４０
によつて燃料ノズルガイド２６は熱シールド２４
及び隔壁部材２０に対して相対的に摺動可能に取
付けられている。Ｈ形のクリツプ要素４０の前方
脚部４２は溶接部４４に沿つて燃料ノズルガイド
２６の前側フランジ部３４に溶接されており、こ
れによつてリング２８及び隔壁部材２０の前側フ
ランジ部２１が係止されている。Ｈ形のクリツプ
要素４０の中間部４６はリング２８及び隔壁部材
２０の前側フランジ部２１に形成された補形的な
溝４８及び５０内に半径方向に嵌合されている。

以上の説明より、Ｈ形のクリツプ要素４０によ
つて接合された燃料ノズルガイド２６は、該クリ
ツプ要素の二つの平行な脚部によつて軸線方向の
運動は拘束されるが、溝４８及び５０内にて半径
方向に運動することが許されることが理解されよ
う。更にＨ形のクリツプ要素４０は熱シールド２
４の回転運動を拘束する働きをしている。

熱シールド２４は、隔壁部材の二つのフランジ
部と燃料ノズルガイドとの間に係止されることに
よつて及びクリツプ要素４０によつて拘束される
ことによつてのみ固定されている一体的な要素で
あることが理解されよう。エンジンの運転中に燃
焼器が点火されると、熱シールド２４のリング３
０は高温度に曝されるが隔壁部材２０はそれより
も遥かに低い温度に曝される。従つて従来技術に
よる隔壁部材及び熱シールドには高い温度差によ
る大きな熱応力が発生し、そのためこれらの寿命
が制限されていた。熱シールドをそれに付属する
他の構造体と分離し独立的に膨張し又は収縮する
ように構成することによつて、熱シールドの寿命
はかなり向上する。

本発明の他の重要な特徴は、燃焼室の澱み領域
に発生する火炎の停滞によつて局部的に熱スポツ
トが生じるという問題が最少限に抑えられるとい
うことにある。周知の如く、燃焼室の澱み領域で
は燃焼ガスはガスの流速に比べて実質的に静止し
た状態にある。従つて澱み領域が燃料噴射領域に
近接した位置に発生する場合であつても、火炎は
停滞せしめられる。火炎が停滞するとそれに隣接
した位置の部材が加熱されるために望ましくない
結果が生じる。かかる火炎熱停滞領域（澱み領
域）の発生を防止するために、本発明の燃焼器に
於ては、燃料ノズルガイド２６の前側フランジ部
３４の表面に複数個の孔５１が形成されている。
燃焼器の上流側にある圧縮機からの空気がこの孔
５１を経て流れ、これによつて燃料ノズルガイド
２６と熱シールド２４との間に形成された環状の
空〓５２がパージされる。

隔壁部材２０には孔５４及び５６が形成されて
おり、熱シールド２４及び隔壁部材２０はかかる
孔５４及び５６を通る圧縮機吐出空気によつて冷
却されるようになつている。隔壁部材に形成され
た孔５４及び５６は熱シールド２４の後面を衝突
冷却するように選定されており、また隔壁部材２
０をフイルム冷却するような方向に形成されてい
る。

第５図は本発明による燃焼器の他の実施例を示
している。この実施例は多くの点に於て第２図か
ら第４図に示された第一の実施例の構造と同一の
構造を有している。第一の実施例との顕著な差は
リング２８及びそれに付随する突き合せ溶接部３
２が取除かれそれらの代りに係止用のリング３
０′が用いられていることである。該係止用のリ
ング３０′の端部６０は隔壁部材２０′の内径部に
形成された肩部６２に当接しており、またこのリ
ング３０′と隔壁部材２０′は周知の係合手段（図
示なし）によつて係合されてよい。

この第二の実施例では円周方向に隔置されたタ
ブ６６が使用されてよい。該タブ６６を配置する
ことによつてリング３０′は隔壁部材２０′の後面
から軸線方向に隔置され、従つて燃焼中高温に曝
されることがあるリング３０′によつて孔５４及
び孔５６より放出される冷却空気流れが妨害され
または弱められることはない。

以上二つの実施例に於ては、熱シールドの取外
しが非常に簡単であるため熱シールドを容易に交
換することができる。上述の如く従来技術による
熱シールドは、燃焼器と一体的に形成されている
ため熱シールドを取外すには燃焼室構造体を切断
する必要があつた。これに対して第２図から第４
図に示されている本発明による燃焼器の第一の実
施例では、燃料ノズルガイドを取外した後溶接部
３２を除去してリング２８とリング３０を分離す
るだけで熱シールドを容易に取外すことができ
る。従つて燃焼器の環状ライナ部材の構造を変更
することなく新たなリングを溶接して燃料ノズル
ガイドを交換することができる。

第５図に示された本発明による燃焼器の第二の
実施例では、リング３０′の端部６０を取外しさ
えすれば、熱シールドを取外すことができまた新
たなリングを係止することができる。

以上に於ては本発明をその特定の実施例につい
て詳細に説明したが、本発明はかかる実施例に限
定されるものではなく、本発明の範囲内にて種々
の修正及び省略が可能であることは当業者にとつ
て明らかであろう。

【図面の簡単な説明】

第１図は燃焼器と熱シールドが一体的に形成さ
れた従来技術による燃焼器の部分断面図である。
第２図は本発明による燃焼器の要部を示す部分正
面図である。第３図は第２図の線３−３に沿つて
切断した断面図である。第４図はＨ形のクリツプ
要素を第２図の上方よりみた部分図である。第５
図は本発明による燃焼器の他の一つの実施例を示
す第３図と同様の部分断面図である。 １０……燃焼ノズルガイド、１２……燃焼器、
１４……内側環状ライナ部材、１６……外側環状
ライナ部材、１８……燃焼室、２０，２０′……
隔壁部材、２１，２１′……前側フランジ部、２
２，２２′……前壁、２４，２４′……熱シール
ド、２６，２６′……燃料ノズルガイド、２７，
２７′……スリーブ要素、２８……リング、２９
……脚部、３０，３０′……リング、３１……脚
部、３２……溶接部、３４，３４′……前側フラ
ンジ部、４０……クリツプ要素、４２……脚部、
４４……溶接部、４６……中間部、４８，５０…
…溝、５１……孔、５２……空〓、５４，５４′，
５６，５６′……孔、６０……端部、６２……肩
部、６６……タブ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ タービン型パワープラントのための環型燃焼
   器にして、燃焼器を流れる燃焼生成物の流れの上
   流側に配置された環状の前壁２２と、前記前壁２
   ２に形成され円周方向に隔置された複数の孔の
   各々に装着され燃焼器に燃料を供給するための燃
   料ノズルを支持しシールし且保護するための複数
   の燃料ノズルガイド部材２６及び熱シールド部材
   ２４と、前記孔の各々に配置され前記前壁に取付
   けられた隔壁部材２０とを含んでおり、 前記燃料ノズルガイド部材２６の各々は前記孔
   を越えて延在する前側フランジ部３４を有するス
   リーブ要素２７を含んでおり、前記隔壁部材２０
   の各々はＵ形断面を有しており且前記スリーブ要
   素２７の前側フランジ部３４に対して平行で且そ
   れから隔置された半径方向外方に延在する前側フ
   ランジ部２１を有しており、前記熱シールド部材
   ２４の各々は互いに接合された第一のリング要素
   ２８と第二のリング要素３０を有し且Ｕ形断面を
   有しており、前記第一のリング要素２８は前記ス
   リーブ要素２７の前側フランジ部３４の後側面と
   平行であり且それに当接する第一の脚部２９を有
   し、前記第二のリング要素３０は前記隔壁部材２
   ０を燃焼器の燃焼炎から遮断するための第二の脚
   部３１を有しており、前記隔壁部材２０の前側フ
   ランジ部２１は前記第一のリング要素２８の第一
   の脚部２９の後側面に平行であり且それと当接し
   ており、 更に前記スリーブ要素２７の前側フランジ部３
   ４及び前記第一のリング要素２８の第一の脚部を
   前記隔壁部材２０の前側フランジ部２１に前記隔
   壁部材２０に対して相対的に摺動可能な関係にて
   取付けるための手段を有することを特徴とする環
   型燃焼器。 ２ ガスタービンエンジンのための環型燃焼器に
   して、実質的に環状の形状をした前壁２２′と、
   前記前壁２２′に形成され半径方向に隔置された
   複数の孔の各々に配置され燃焼器に燃料を供給す
   る燃料ノズルを支持しシールし且熱を遮断するた
   めの熱シールド部材及び燃料ノズルガイド部材２
   ４′，２６′と、前記孔の各々内に支持され半径方
   向外方に延在する前側脚部２１′と後側脚部とか
   らなるＵ形断面を有する隔壁部材２０′とを有し
   ており、 前記燃料ノズルガイド部材２６′は前記前側脚
   部２１′の前側面に当接し且それに平行に延在す
   る前側フランジ部３４′を有するスリーブ要素２
   ７′を含んでおり、前記Ｕ形断面を有する隔壁部
   材２０′の底部には肩部６２が形成されており、
   前記熱シールド部材２４′はリング３０′として形
   成されており、前記熱シールド部材は前記リング
   ３０′と同軸の底部と前記Ｕ形断面の隔壁部材２
   ０′の後側脚部の後側部にまで延在し且それから
   隔置された熱シールド面とを有しており、前記リ
   ング３０′の底部の前端部６０は前記隔壁部材の
   肩部６２に当接し且それによつて保持されるよう
   直径が拡大しており、 更に前記熱シールド部材２４′と前記隔壁部材
   ２０′との間に配置され且その間に空間を郭定す
   るための半径方向に隔置された複数のタブ６６
   と、前記隔壁部材２０′に設けられた孔５４′，５
   ６′を含み前記孔を通つた冷却空気を導いて前記
   熱シールド部材２４′上に衝突させ前記燃焼器内
   に延在する前記空間内に冷却空気膜を形成させる
   ための手段と、前記スリーブ要素２７′の前側フ
   ランジ部３４′を前記隔壁部材２０′の前側脚部２
   １′に前記隔壁部材に対して摺動可能な状態にて
   取付ける手段とを含むことを特徴とする環型燃焼
   器。