JPH0229930Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、超音波診断装置用探触子の冷却容器
に関し、特に該探触子を専用的に冷却する収納容
器の構造に関するものである。

［従来の技術］ 超音波ビームを被検体中に放射し、音響インピ
ーダンスの差から生じる生体組織の反射エコーパ
ルスを受信し、生体組織を非観血的に診断するこ
とのできる超音波診断装置が周知であり、被検体
に肉体的損傷を与えることなく任意の部位を観察
できることから広範囲の診断に用いられている。

前記超音波ビームは、電気音響変換素子から成
り振動子が励起されることにより発生されて被検
体に放射され、また超音波ビームを所望の走査軸
に沿つて走査するため、電子走査式探触子が用い
られている。

このような電子走査式超音波探触子は、複数の
振動子が走査軸に沿つて配列され、予め定められ
たプログラムに従い任意に選択された振動子を順
次励起することにより所望の走査が得られる。

超音波診断装置では、Ｂモードとして知られる
断層像の検出、及びＣモードやＦモードとして知
られる平面像の検出を行うことができ、断層像は
被検体の体軸に直角方向の断面に沿つた像を表示
し、また平面像は、体軸に平行な面に沿つた像を
表示することができる。

以上のような超音波診断装置は、医療機関にお
いて、特に最近の高齢化社会に伴い患者数が増加
してくると、超音波診断装置を検診開始と同時に
その都度動作させて検診終了後直ちに停止させる
ことは、患者の待ち時間を多くし実情に反するこ
とから、最近は装置を停止させることなく、連続
的な運転を行うことが常識となつている。

そして、従来、前記空動作時の探触子は、次の
患者の検診までの間、密閉された容器中に放置さ
れた状態になつていた。

［考案が解決しようとする問題点］ 従来の問題点 しかしながら、前記探触子は、空気中に放置し
た状態の、いわゆる無負荷状態においては、探触
子内の振動子を励起する電気振動エネルギが超音
波エネルギとして空気中に自由に発射されないた
め、そのほとんどが熱エネルギとして変換され、
その熱エネルギにより探触子が不要に過熱される
結果となつていた。

これは、空気中の音響インピーダンスが、水等
の液体にほぼ等しい人体の音響インピーダンスよ
り極めて小さいため、超音波エネルギが放射しに
くくなつており、その大部分が熱エネルギとして
蓄積されるからであつた。

考案の目的 本考案は、かかる問題点を解決するために成さ
れたもので、空気より高い音響インピーダンスを
もつた水等の冷却液に探触子の探触面を浸漬させ
ておくか、若しくは探触子の周囲の空気を強制的
に対流させることにより、探触子の空動作時に蓄
積される熱を効果的に放出し得る超音波診断装置
用探触子の冷却容器を提供することを目的とす
る。

［問題点を解決するための手段及び作用］ 本考案に係る超音波診断装置用探触子の冷却容
器は、該探触子を一時的に収納し、この探触子の
空動作時に蓄積される熱を所定の冷却手段により
冷却する収納容器から成つている。

すなわち、探触子に内蔵された振動子の励起に
よつて、空動作時に探触子に蓄積された熱は、前
記冷却手段により冷却媒体に移動せしめられ、探
触子自身の過熱が防止される。

また、前記容器の側壁から内側に向けて突設さ
れた複数個の緩衝材から成る探触子サポート手段
により、容器に収納された探触子は安定的に保持
され、不用意に傾斜したり倒れたりするおそれが
ない。

更に、容器の底面には、前記と同様に、緩衝材
から成る探触面保護手段が設けられていることか
ら、探触子の自重によりその探触面が傷ついた
り、表面の塗装に剥離が生じたりするおそれもな
い。

更にまた、この収納容器には、該収納容器自身
を超音波診断装置本体に取り付ける固定手段が設
けられている。このため、冷却容器の設置スペー
スを別途考慮しなくて済むと共に、容器の取付け
個所が一定化し、検診時における診断装置の操作
性が向上する等の利点を有する。

［実施例］ 以下、図面に基づき本考案の好適な実施例を説
明する。

第１図〜第４図には、本考案に係る超音波診断
装置用探触子の冷却容器が示されている。なお、
全図を通じ理解を容易にするため、同一部材には
それぞれ同一の符号を付して示した。

第１図ａ〜ｃには、水冷式による配列型の探触
子１２を冷却する場合の実施例が示されている。

この冷却容器１０は、探触子１２を一時的に収
納し、該探触子１２の空動作時に蓄積される熱
を、水等の冷却液１４に浸漬することによつて冷
却する断面矩形状の収納容器から成つている。

この容器１０には、その側壁１６に前記冷却液
１４の標準水位を示す基準線１８が、スケール表
示又は赤色表示等により識別容易に設けられてい
る。また、この容器１０の側壁１６から内側に向
け、第１の突起２０−１，２０−２…が複数個設
けられている。これらの突起２０は、ゴム等の柔
らかい弾性体から成り、探触子１２が容器１０に
収納された時、該探触子１２が不用意に傾斜して
倒れたりしないようにサポートするための役目を
成している。

前記容器１０の底面２２には、前記第１の突起
２０と同様に、ゴム等の弾性体から成る第２の突
起２４−１，２４−２，…が複数個設けられてお
り、その一側端部には、排水用コツク２６が設け
られている。

前記第２の突起２４は、探触子１２が容器１０
に収納された時、その探触面１３を保護するため
に設けられるもので、探触面１３が探触子１２の
自重により、容器１０の底面２２に圧着されて傷
がついたりしない等、探触子１２の機能上の損傷
を防止している。

このため、前記第２の突起２４の代わりに、脱
脂綿又はガーゼ等を敷設することによつても同様
の機能を得ることができる。なお、この場合に
は、併せて、容器１０に収容された冷却液１４の
急激な蒸散を防止し得る効果も有することとな
る。

前記排水用コツク２６は、定期的に行われる冷
却液１４の交換用に設けられるものである。

前記容器１２には、更に超音波診断装置本体に
取付け固定するための係止具２８，３０が設けら
れている。この係止具２８，３０によつて、容器
１０は探触子１２の最も操作し易い個所に取り付
けられ、容器１０の横転等による不慮の事故の発
生を防止している。

第２図ａ〜ｃには、水冷式による冷却容器の他
の実施例が示されている。この実施例による冷却
容器は、メカニカルセクタ型や単一型探触子等の
探触子１２ａを冷却する場合に用いられる。

同図において、容器１０は円筒形状を成してい
る。そして、容器１０の側壁１６には、探触子１
２ａの支持部材３２が設けられている。即ち、こ
の支持部材３２に探触子１２ａの鍔３４が当接さ
れることにより、探触子１２ａが容器１０内に収
納保持される。この時、容器１０内の液面は、少
なくともこの支持部材３２の高さ位置に達する程
度に満たされる。なお、この実施例では、前記第
１図における第２の突起２４に代わつて、ガーゼ
や脱脂綿３６等が敷設されている。

第３図ａ〜ｃには、空冷式による冷却容器の実
施例が示されている。この実施例による冷却容器
は、主として配列型の探触子１２を冷却する場合
に用いられる。

同図において、容器１０の側壁１６には、その
一側に小型送風機３８が取り付けられている。そ
して、その対向面側の側壁１６に、風孔４０が設
けられている。前記小型送風機３８は、容器１０
に収納された探触子１２に向かい送風することに
より、該探触子１２に蓄積される熱を強制的に放
散させる役目を成し、前記風孔４０は、その熱を
効果的に容器１０外に逃すために設けられるもの
である。

更に、容器１０の底面２２には、自動復帰型ス
イツチ４２が設けられている。この自動復帰型ス
イツチ４２は、探触子１２が容器１０内に収納さ
れることにより、その自重で自動復帰型スイツチ
４２をONし、前記小型送風機３８を始動させ
る。また、探触子１２を容器１０から取り出す
と、前記スイツチ４２は、自動的に復帰して小型
送風機３８はOFFされる。

第４図ａ〜ｃには、空冷式による冷却容器の他
の実施例が示されている。この実施例による冷却
容器は、メカニカルセクタ型が単一型探触子等の
探触子１２ａを冷却する場合に用いられる。

同図において、この実施例における容器１０は
円筒形状を成している。

そして、容器１０の底面２２には、円筒状の台
４４が立設され、該円筒状の台４４により探触子
１２ａの探触面１３が支持される。また、探触子
１２ａにはその外周部に鍔３４が設けられてい
る。この鍔３４が前記と同様に、容器１０の底面
に設けられた自動復帰型スイツチ４２を押下する
ことにより、容器１０の下部に設けられた小型送
風機３８が駆動される。

この場合、容器の側壁１６には、風孔４０が設
けられると共に、容器１０の底面にも、前記小型
送風機３８からの冷却風の供給を可能とする風孔
４０ａが設けられ、容器１０内部の空気の対流を
良くするよう工夫されている。

以上により、本実施例によれば、水冷式又は空
冷式による冷却手段によつて、配列型探触子やメ
カニカルセクタ型、又は単一型探触子等の探触子
における空動作時の発熱を、簡易型構造の容器に
一時的に収納することにより、効果的に防止する
ことができ、ひいては迅速な医療診断を行うこと
が可能となる。

［考案の効果］ 本考案は以上説明したとおり、超音波診断装置
用探触子を一時的に収納し、この探触子の空動作
時に蓄積される熱を、所定の冷却手段により冷却
する収納容器によつて、空動作時における探触子
の加熱を効果的に防止することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図ａ〜ｃは本考案に係る超音波診断装置用
探触子の水冷式による冷却容器であつて、第１図
ａはその正面図、第１図ｂはその平面図、第１図
ｃは探触子を容器に収納した時の一部切欠き外観
図、第２図ａ〜ｃは水冷式による他の実施例を示
す冷却容器であつて、第２図ａはその正面図、第
２図ｂはその平面図、第２図ｃは探触子を容器に
収納した時の一部切欠き外観図、第３図ａ〜ｃは
空冷式による超音波診断装置用探触子の冷却容器
であつて、第３図ａはその正面図、第３図ｂはそ
の平面図、第３図ｃは探触子を容器に収納した時
の一部切欠き外観図、第４ａ〜ｃは空冷式による
他の実施例を示す冷却容器観図であつて、第４図
ａはその正面図、第４図ｂはその平面図、第４図
ｃは一部切欠き外観図を示す。 １０……冷却容器、１２，１２ａ……探触子、
１３……探触面、１４……冷却液、１６……側
壁、２０……第１の突起、２２……底面、２６…
…排水用コツク、２８，３０……係止具、３２…
…支持部材、３４……鍔、３８……小型送風機、
４０，４０ａ……風孔、４２……自動復帰型スイ
ツチ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 超音波診断装置用探触子の空動作時にその内
   部に蓄積される熱を放散させるために該探触子
   を一時的に収納保持する冷却容器において、 前記冷却容器は、 その内部に満たされた所定量の冷却液と、 その内側壁に複数個突設され、冷却容器内に
   収納された探触子を所定角度に安定保持するた
   めの弾性体から成る第１の突起と、 その底面に複数個突設され探触子が容器に収
   納されたときに該探触子の被検体探触面を保護
   する弾性体から成る第２の突起と、 収納容器自体を超音波診断装置本体の所望位
   置に取り付け固定するための係止具と、 を含むことを特徴とする超音波診断装置用探触
   子の冷却容器。 (2) 実用新案登録請求の範囲第１項に記載の冷却
   容器において、 前記冷却容器は、 円筒形状を有し、 その内側壁には、収納される探触子を所定角
   度に安定保持するための支持部材が配設され、 該支持部材の高さ位置までその内部に冷却液
   が満たされ、 収納容器の底面には探触面保護部材が敷設さ
   れていることを特徴とする超音波診断装置用探
   触子の冷却容器。 (3) 実用新案登録請求の範囲第１項記載の冷却容
   器において、 前記冷却容器は、 その一側壁に取り付けられた小型送風機と、 その対向面側の側壁に形成された複数の風孔
   と、冷却容器の底面に配設され、冷却容器内部
   への探触子の収納／取出しに対応してオン／オ
   フされて前記小型送風機を始動／停止させる自
   動復帰型スイツチと、 を備えたことを特徴とする超音波診断装置用探
   触子の冷却容器。 (4) 実用新案登録請求の範囲第１項に記載の冷却
   容器において、 前記冷却容器は、 円筒形状を有し、 その底面にはに収納される探触子の探触面が
   支持される円筒状の台が立設され、 その外底面には小型送風機が取り付けられ、 側壁及び底面には前記小型送風機からの冷却
   風を通過させ、冷却容器内における空気対流を
   促進するための複数の風孔が形成され、 前記冷却容器の内底面にはそれ自身の押下／
   復帰に対応して前記小型送風機の作動をオン／
   オフする自動復帰型スイツチが配設され、 冷却容器内に収納される探触子の外周部に
   は、該探触子が前記円筒状台上に載置されたと
   きに前記自動復帰型スイツチと係合して該スイ
   ツチを押下する鍔が配設されていることを特徴
   とする超音波診断装置用探触子の冷却容器。