JPH0229907B2 - - Google Patents

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JPH0229907B2
JPH0229907B2 JP56086926A JP8692681A JPH0229907B2 JP H0229907 B2 JPH0229907 B2 JP H0229907B2 JP 56086926 A JP56086926 A JP 56086926A JP 8692681 A JP8692681 A JP 8692681A JP H0229907 B2 JPH0229907 B2 JP H0229907B2
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ring
piston ring
piston
groove
abutment
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Shoichi Furuhama
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Publication of JPH0229907B2 publication Critical patent/JPH0229907B2/ja
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16JPISTONS; CYLINDERS; SEALINGS
    • F16J9/00Piston-rings, e.g. non-metallic piston-rings, seats therefor; Ring sealings of similar construction
    • F16J9/08Piston-rings, e.g. non-metallic piston-rings, seats therefor; Ring sealings of similar construction with expansion obtained by pressure of the medium

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Pistons, Piston Rings, And Cylinders (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はレシプロ機関における気密用ピストン
リングに関するものであり、具体的には内燃機関
のピストンリングやスターリング機関のガスシー
ルリング、高圧縮比のコンプレツサ用ピストンシ
リングに適用しうるものである。
最も運転条件の厳しい内燃機関用ピストンリン
グにつき説明する。近年、省エネルギーで低公害
の内燃機関が強く要望されている。その要望に応
えるための提案も数多くなされているが、その中
でもピストンリングの性能を向上させることはも
つとも重要なことである。特に内燃機関の摩擦力
の中で大きな比重を占めるピストンリングの摩擦
力を減少させることによる効果は大きい。その具
体的方策として、ピストンリングの薄幅化や張力
の低減が考慮されている。しかし、ピストンリン
グはその基本的な機能としてのガスシール及び潤
滑油制御機能及び耐摩耗性を持たねばならず、こ
れらの基本的機能を維持しながら摩擦力を低減す
ることは容易なことではない。
まず、第1図に基づいてピストンリングの作用
を説明する。ピストンリング1はピストン5のピ
ストンリング溝4にはまり、シリンダ3の内周面
に沿つて摺動するが、その摩擦力に関係する半径
方向の主な力は、ピストンリング1の内周面13
に加わる力P3と、外周面11に加わる力P1と、
ピストンリング自己張力PEである。燃焼室圧力
が高圧のとき、P1,P3に比しPEは微少なためこ
れを無視すると、第1図に示す圧力状態となる。
外周面11に最高値がピストントツプランド7の
圧力P7で、最少値がピストンリング下のランド
部8の圧力P8である分布圧力P1が加わり、ピス
トンリング内周面にはピストンリング溝4を経て
ほぼピストントツプランド圧力P7に等しい均一
圧力P7が加わる。したがつて、ピストンリング
の半径方向に加わる力は、 (P3−P1)={p7−(p7+p8)/2}・h1=p7−p8/2
・h1 になる。この力はピストンが上死点近傍にあり燃
焼室圧力が最大になるときに最大となるものであ
り、ピストンリングはシリンダ内周面を著しく高
い面圧で摺動することにより、シリンダ内周面の
上死点近傍での摩耗が著しくなる。
従つて、ピストンリングの高さh1を小さく(薄
幅化)することによる摩耗力低減の効果は大き
い。しかしこのような薄幅ピストンリングは油膜
生成効果が劣るので油膜が薄くなり摩耗が増大す
る欠点があり、又これを鋳鉄製にすることは強度
及び製造上困難であり鋼材を用いなくてはならな
いが、鋼材は潤滑性の点で鋳鉄に劣り、さらに高
温条件下ではいわゆる熱へたりをおこし自己張力
を失つてシール機能の著しい低下をおこす。
これに対しピストンリング内周面に加わる圧力
を他の手段によつて遮断する提案も種々なされて
いる。例えば、第2図に示すように、ピストンリ
ング1の上面12側に第二リング2を組合わせ、
ピストンリング溝4とピストンリング上面12間
を第二リング2でシールするもの(特公昭44−
6647号、実開昭52−49205号、特開昭52−148716
号)があるが、完全にピストンリング溝をシール
すると、ピストンリングには外周面側からの圧力
のみが加わることになり、リングが内側へおし込
まれてシール機能が著しく低下する。一方、第3
図及び第4図に示すように内周13に段部10を
有するピストンリング1に第二リング2を組合わ
せ、ピストンリング上面12とピストンリング溝
上面42をシールし、ピストンリング内周13へ
も圧力をかけるようにしたもの(実公昭49−
47522号、特開昭52−148716号、米国特許第
2600310号)があるが、これらは第二リング上面
22とピストンリング溝上面42の接触を維持す
る必要がある。そのため、第3図のピストンリン
グはトツプランド圧力に対しても外張り力を失わ
ない張力の第二リングを必要とするため、ピスト
ンリングの摺動面圧力は著しく高くなる。一方、
第4図のものはピストンリングとピストンリング
溝間のクリアランスが全くなく、ピストンリング
はピストンリング溝内で軸方向に挙動することが
全くできないので、不可避的に生ずる燃焼残渣物
及び他の異物粒子の排除は不可能である。
さらに、第5図に示すように、ピストンリング
内周面13とピストンリング溝底面43に嵌合す
る第二リングを設け、ピストンリング内周面側か
らトツプランド圧力が加わることを中断するピス
トンリング(実公昭36−10004号、特公昭54−
30451号)があるが、これらのピストンリングは
ピストンリングの半径方向及び軸方向の挙動が制
限されるだけでなく、第二リング2を極めて薄く
しなければならないので、第二リングの変形によ
るガス漏れなどの問題が残る。
さらに、第6図に示すように第一リング1の内
周面13を傾斜面とし、この傾斜面と対応する外
周面21を有する第二リング2を配し、第二リン
グ2下方にバネ29を配することにより第一リン
グと第二リングの間をシールするもの(米国特許
第1881271号)があるが、かかるピストンリング
は、著しく高い燃焼圧力に対して第二リング2を
第一リング1と当接させるため、強力なバネが必
要になり、そのバネが第一リング1に大きな外張
り力を付加するので、摩擦力が大きくなるという
問題が生ずる。
かかる従来のピストンリングの問題は内燃機関
においては特に重大であるが、スターリング機関
においては特に気密性が要求され、コンプレツサ
においても高圧ガスをシールするピストンリング
については上記の如き問題がある。
本願の発明者はかかる従来のピストンリングの
欠点を解決するための提案(特願昭56−31933号)
をしたが、本発明はさらにその提案に改良を加え
たものであり、特に加工性、生産性に優れたピス
トンリングを得ようとするものである。
本発明の主たる目的はピストンリングによる摩
擦損失を低減すると共に、摩耗やスカツフイング
の危険を減少してより低粘性油の使用を可能に
し、ピストンを含めた全的な摩擦損失を低下させ
ることにある。ピストンリングのガスシールを向
上させてガスシール用ピストンリングを1本に減
少し、それによりピストン高さを低減して重量低
減効果を得ること、又、潤滑油消費量を低減させ
ること、ピストンの冷却効率に優れたピストンリ
ングを得ること、加工性と生産性に優れたピスト
ンリングを得ること等も本発明の目的とするとこ
ろである。
前記目的を達成するため、本発明の要旨とする
ところは次の三つの要件を含むピストンリングに
ある。
ピストンリング溝4の下面44内周側に凹部4
0を設ける。
凹部下面420と第二リング2下面24が当
接する。
第一リング内周13と第二リング外周21が
当接する。
本発明のピストンリングを第7図ないし第28
図に示す実施例に基づいて説明する。
第8図は第7図のピストンリングの作用を示す
ものであり、シリンダ3の内周面と第一リング1
の外周面11が摺動している。又、ピストンリン
グ溝4の溝底43の溝上面42側には半径方向内
側に凹部40が形成される。この凹部下面420
に接する下面24を有する第二リング2を組みつ
ける。このピストンリングの第二リング2の下面
24のピストンリング溝4の凹部下面420への
密着は、ピストントツプランド圧力がピストンリ
ング溝を経て第二リング2の上面22から作用す
ることにより、接触面を極めて強く押すために強
いシール性が得られる。
さらに本発明の最大の特徴は、第8図に示すよ
うに、ピストンリングの半径方向圧力を理想的に
制御し摩擦損失を低減しうることにある。すなわ
ち上記のようにピストンリング半径方向には外周
面11側からの力P1と内周面からの力P3が加わ
るが、本発明においては、第二リング2によつて
トツプランド7からの圧力及びガスが遮断される
ため、第一リング1の下部内周面131への圧力
p2は極めて低くp8に近い。一方第一リング1の上
部内周面130には第二リング2を介してトツプ
ランドからの圧力p7にほぼ等しい圧力が加わる。
したがつて第一リング1には外周面11の軸方向
高さをh1、上部内周面130の高さをh3、下部内
周面131高さをh2とすると、半径方向に加わる
力は次式で表わされる。
(半径方向力)=(p7・h3+p2・h2) −(p7+p8)/2・h1 ここでp8≒p2、h1=h2+h3であるので (半径方向力)=1/2(p7h3+p8h2−p7h2−p8h3) =1/2(p7−p8)(h3−h2) この(半径方向力)を0に、すなわちピストン
リングが燃焼室又は圧縮室の圧力によつて受ける
作用力を0にするにはh3=h2=h1/2であればよ
い。
このように、実質的にトツプランド圧力又は圧
縮室圧力によるピストンリング半径方向に加わる
力を打ち消すことにより、ピストンリングの半径
方向の作用力は自己張力以外の力には左右されず
に絶えず理想的に設定した面圧でシリンダ内周と
摺接する。その結果、本発明のピストンリングは
シリンダ内周と高い面圧で摺接しないために、摩
擦損失が大幅に低減されるが、これが本発明の最
大の特徴である。さらに、元来、レシプロ機関の
ピストンリング潤滑部分は最も油膜が生成し難い
ところであり、高温、高接触力下で充分な油膜が
形成されるためには高粘度の潤滑油を使わざるを
得なかつた。そのためレシプロ機関の運転時間の
大部分を占める低温、低接触圧の状態においては
摩擦損失がいたずらに大きくなつていた。しかる
に、本発明のピストンリングは、燃焼室又は圧縮
室の高圧に対し無関係にシリンダと低接触力で摺
接するため、低粘度の潤滑油を用いても油膜が形
成され耐摩耗性、耐スカツフイング性が得られ
る。かかる低粘度の潤滑油の使用が本発明のピス
トンリングによつて始めて可能になり、レシプロ
機関の潤滑部分、例えばピストン、クランクシヤ
フト、カムシヤフト等の摩擦損失が低減するの
で、本発明のピストンリングはレシプロ機関全体
の摩擦損失の低減に著しい効果を発揮する。
なお、本発明のピストンリングにおいて理論的
にはh3=h2であれば目的は達成されるが、実際に
はピストンリング外周面11の下部が強く接触す
るので、P1が(p7+p8)h1/2より大きくなるこ
とがあり、その場合にピストンリングが内周側へ
押し込まれないためh3をh1/2より幾分大きくす
ることが望ましい。
一方本発明の場合p2がp8より大きくなる傾向に
あり、従つて機関の運転条件によつてh3をh1/2
より幾分小さくすることが望ましい場合もあり、
適宜調整される必要があるがいずれにしてもh3
h2とほぼ等しい範囲で選択される。
さらに、本発明のピストンリングの特徴の一つ
はガスシール機能に著しく優れたことにあるが、
その機能をさらに高めるため、第一リング1の合
い口を第9図に示すような軸方向に段15のある
ステツプカツト合い口とし、外周面からのガス漏
れを防止することが望ましい。
しかしながら単に外周面からのガス漏れを防止
してもガスシール効果は充分ではない。本発明の
ピストンリングは内周からのガス漏れに対しても
著しい効果を有する。
すなわち、第10図に示すように、ピストンリ
ング1は軸方向の挙動がピストンリングの上面1
2側及び下面14側からの図示のような圧力とピ
ストンリング自身の慣性力Iとによつて決定され
る。ここでp7はトツプランド圧力p8はピストンリ
ング直下のランド部圧力である。第10図のピス
トンリングにおいて、ピストンリングがピストン
リング溝下面44より持ち上げられる条件は、ピ
ストンリング半径方向幅をTとして I>p7・T−(p7+p8)/2T=(p7−p8)/2T という式で示される。
一方、本発明のピストンリングにあつては、第
11図に示すように、第二リング2によりピスト
ンリング下面へはガスの流路が遮断されるため、
圧力状態が異なり第一リング1をピストンリング
溝下面より持ち上げる条件は、第二リング2を無
視して考えると I>(p7−p8+p2/2)Tとなり p2=p8とすれば I>(p7−p8)Tとなり、第10図に示した従
来のピストンリングに対し本発明のピストンリン
グは、慣性力にして2倍の力すなわち同じ質量の
ピストンリングであれば2倍の加速度を生ずる高
速回転機関においても、ピストンリングがピスト
ンリング溝より持ち上がらない。このように高速
回転時でもピストンリングの持ち上がりは阻止さ
れ、ピストンリング背面を経由してガスが漏れる
ことは防止される。この場合、第二リングの作用
力を無視したが、第二リングは第一リングに比べ
著しく質量が小さく、慣性力自体が小さいため高
速回転時での持ち上がりの危険性は小さい。
さらにガスシールを向上するため、第12図に
示すように、第二リング外周面21をテーパ面と
し、第二リング外周面21と第一リング内周面1
3の密着性を向上すると共に、第二リング2が第
一リング1をその軸方向高さのほぼ中央で押すこ
とにより第一リング1にねじれ力が加わることは
極力防止する。同様な効果を得るために、第13
図に示すように、第一リング1の少なくとも上部
内周面130にテーパを設けてもよい。
さらに、上記第一リング内周13と第二リング
下面24及びピストンリング溝4とで囲まれる空
間100の容積を大きくすることにより不可避的
に侵入してくるガスに対し空間100の圧力p2
増加することを防止し減圧効果を得る。より具体
的には、第14図に示すように、第一リング下部
内周面131に切欠き134を設けたり、第15
図に示すように、ピストンリング溝4の空間10
0と対面する位置に溝440を設けることが望ま
しい。
このように、本発明のピストンリングは特にピ
ストンリングの持ち上がりによるガス漏れを防止
すると共に、ステツプカツト合い口を設けて外周
面からのガス漏れを防止するので、従来のピスト
ンリングに比べ著しくガスシール効果が高い。こ
の結果、従来ガスシールリングは上下に2本必要
としていたが、本発明のピストンリングでは1本
のみで効果を充分に発揮しうる。これは本発明の
ピストンリングが第16図に示す作用をなすため
である。すなわち、本発明のピストンリングにお
いては第二リング2の合い口25の合い口隙間を
G2、第一リング内周面13とピストンリング溝
との隙間をC2とすれば、ガスの流路面積はG2×
C2となる。一方、第一リングのステツプカツト
合い口の上部合い口151は第二リングで遮断さ
れているためここからのガス漏れはないが、下部
合い口152では合い口隙間をG1とし、ピスト
ンとシリンダとの隙間をC1とすればここからの
流路面積はG1×C1となる。第二リング、第一リ
ングのこれら合い口間を結ぶ流路は、第二リング
下面24、第一リング下部内周面131及びピス
トンリング溝4で囲まれる空間100であり、こ
の空間100の容積が大きい程、第二リング合い
口25を経たガスが減圧されて第一リング下部合
い口152へ流れる。かかるガスの漏れ経路は、
従来、上下2本のガスシールピストンリング(通
称トツプリング、セカンドリングと称される)に
おいてそれぞれの合い口隙間とピストンリング間
のランド部とで形成されるガス漏れ経路と同じ条
件となるものである。すなわち、第二リング、第
一リングのガス漏れ面積G2×C2とG1×C1はほぼ
等しく、丁度2本のピストンリングを用いたこと
と同様の効果を有する。従つて、本発明において
は2本のピストンリングを用いる場合と同様にラ
ンド部の容積に相当する空間100の容積を大き
くとる程、ガスの減圧効果によるガスシール効果
が大きくなる。又、第一リングのステツプカツト
合い口は上記の作用をなすために上部合い口15
1が空間100にかかると上部合い口がガス漏れ
経路になるので、上部合い口は空間100にかか
らないことが条件とされる。さらに第二リングと
第一リングの合い口位置を離して設置し、第二リ
ングが第一リングに対し回り止めされることが望
ましい。
しかし第一リング合口の段15、高さ位置と第
二リング下面24の位置が第27図に示すように
同一高さにあれば、第一リングの上部合口と第二
リングの合口が重なつても、それが第一リングの
下部合口に通じることは全くなく、したがつて、
ガス漏れの増加はない。
本発明にあつては第二リングの合い口は通常の
スクエア合い口でも効果は充分であるが、この合
い口をステツプカツトにしてもよいことはいうま
でもない。
さらに、従来のピストンリングにあつてはピス
トンリング内周面側からのガス漏れがある理由に
よつてピストンリングの漏れガス流入通路の断面
積はピストンリング上面とピストンリング溝間の
間隔をSとし、ピストン直径をDとすると、πDS
で示され、Sの大小にかかわらず著しく大きなも
のである。これに対して本発明ピストンリングで
は第一リング内周面側が遮断されているため、第
一リング上面側の合口周囲の面積は2ST(ただし
Tは第一リングの半径方向厚さ)で示され、Sの
大小がガス漏れ面積に大きな比重を占め、ピスト
ンリング溝と第一リング上面間の間隙は小さい方
が望ましい。ただし、第一リング合口をステツプ
カツト合口とした場合には、ガスは完全に遮断さ
れるためその必要はない。
本発明のピストンリングの最も主要な特徴であ
る低摩擦損失、低ガス漏れの効果を説明したが、
本発明のピストンリングはそれだけの効果に留ま
らず次の如き特徴をも備えている。
先に、ガスシールの効果が高い理由として本発
明のピストンリングが高速運転時の持ち上がりが
なく、かつ外周面からの漏れが少ないことを説明
した。このことは、ピストンリング下方から上が
つてくる潤滑油を従来は外周部のみで遮断してい
たが、本発明のピストンリングは潤滑油の外周面
のみならずピストンリング背面側からの流れも遮
断できるので当然潤滑油消費量は減少する。
さらに、従来のピストスリングは上下面のみか
らピストンの熱を伝熱されていたが、本発明のピ
ストスリングにおいては第二リングもピストンリ
ング溝と第一リング間において熱を伝える役目を
果たすため、ピストンに蓄熱される熱は早くシリ
ンダへ伝えられる。
その結果、本発明のピストンリングは1本のみ
でも従来の2本のピストンリングに匹敵するピス
トン冷却効果を持つ。
本発明の基本的な特徴及び作用につき説明した
が、本発明のピストンリングは用途に応じ様々な
応用をなすことが可能であり、次にその実施例を
挙げる。
まず、本発明においては第二リング2が持ち上
がるとすべての効果が失なわれるので、それを防
止するため第17図ないし第23図に示すような
配慮を必要に応じて行う。第17図において第二
リング2の上面22に軸方向に第二リング2を圧
接するバネ28を配する方法がある。たゞし、第
二リング2の上面22に設けたバネ28の嵌合溝
27の断面積が大きくなる場合には、第二リング
2の合口25のみには嵌合溝27を設けないこと
がガスシール上必要である。一方、第18図に示
すように、第二リング2の下面24に環状の溝2
40を設け、さらにピストンリング溝4の凹部下
面420に溝240と連通する連通溝422を設
けることもできる。この実施例では、第19図に
示すように、第7図に示す本発明ピストンリング
の第二リング2の軸方向の力のバランスが、第二
リング慣性力をI2とし第二リング半径方向巾を
T2、トツプランド圧力をp7、空間100圧力を
p2とすると第二リングの持ち上がり条件は I2>(p7・T2)−(p7+p2)/2・T2 I2>(p7−p2)/2・T2 となるのに対し、第18図の実施例では空間10
0の圧力p2が第二リング下面24に一様に加わる
ため、第20図に示す如き力のバランスとなり第
二リングの持ち上がり条件は I2>(p7−p2)・T2 となり、倍の慣生力が加わるまで、すなわち4倍
の回転数まで持ち上がらないことになる。
この第18図の実施例のピストンリングは第2
1図に示すように、第二リング2の下面24に設
けた溝240と連通する連通孔423をピストン
リング溝の凹部下面420と空間100との間に
設けても同じ効果が得られる。
この第18図と第21図の実施例においても第
二リング下面24の溝240の断面積が大きくな
つた場合は、第二リングの合口25のシール効果
が小さくなるため溝240は合口25を除いて設
けることが望ましい。さらに、合口25がピスト
ンリング溝凹部下面420の連通溝422又は連
通孔423と重ならぬように回り止めすることも
必要に応じて行う。又、回り止めが設けられない
場合は、第22図に示すように、第二リング2の
合口25を半径方向に段部26を有するステツプ
カツト合口とし、連通孔423が第二リングの外
周側合口250と連通することを防ぐこともなさ
れる。又、第23図に示すように、ピストンリン
グ溝凹部上面の連通溝422に対して第二リング
合口25をテーパとするか、又は逆に連通溝42
2に傾斜を設け連通溝422と合口25の間の流
路面積を小さくすることが望ましい。
なお、第二リング2下面24に設ける溝240
は、第18図、第21図に示すようにピストンリ
ング溝凹部下面420と第二リング下面24の
内、外周側端が接するものであればいかなる断面
形状にしてもよい。
さらに、本発明のピストンリングは、第24図
に示すように、ピストンリング溝の凹部下面42
0に傾斜を与え、第二リング2の下面24と傾斜
面接触させることにより、燃焼残渣物によつて第
二リングがピストンリング溝と膠着することを防
ぐことが可能である。
さらに、本発明においては、第25図に示すよ
うに、ピストンリング溝の凹部下面420を含む
ピストンリング溝をピストンリングキヤリア9に
形成しピストン5にピストンリングキヤリア9を
鋳包み等の手段により装着することも行われる。
もちろん、ピストンリングキヤリア9はピストン
リング溝全体を形成する形状のものでもよいし、
第18図、第21図に示す実施例のように、連通
孔や連通溝を予め加工して鋳包むこともできる。
さらに、第26図に示すように、第二リング2
下面24が全面でピストンリング溝の凹部下面4
20と接し第二リング下面24の片摩耗を防ぐよ
うにした場合は、第一リング1の下部内周面13
1がピストンリング溝内周面43及び凹部下面4
20と当接しないように切欠き130を形成して
も良い。この実施例においては第一リングの切欠
き上面132とピストンリング溝の凹部上面間の
間隙を可能な限り小さくしてガスシール効果の低
下を防ぐ必要がある。
以上本発明ピストンリングの形状的実施例につ
き説明したが、本発明はこれら実施例に限定され
るものではない。例えば、特に燃焼残渣物による
第二リングと第一リングの膠着の心配されるもの
では、第24図に示すテーパの接触面を有する第
二リングを組合わせ、さらに第二リングをバネで
押し、かつ第二リング下面には第18図、第21
図に示す溝を設けることが望ましい。又、第14
図ないし第15図に示すように、空間100を大
きくしてもよい。
他方、第一リングの外周面形状は、従来用いら
れたいかなる形状のピストンリングと同じものに
することができるが、本発明のピストンリングは
外周、内周側の圧力のバランスをとることが基本
である。
例えば、第28図に示すように、テーパ外周部
111を有するピストンリングでは、第一リング
の内周面高さh2を外周のテーパ部以外の高さh4
対してh2=1/2h4にすることで本発明の効果が
理論的に達成される。従つて、本発明のピストン
リングにあつては外周面に切欠き、テーパ、バレ
ル等の加工を施した場合にはそれぞれ段高さを選
択することはいうまでもない。
さらに、この第28図の実施例に示すように、
第二リング2の外周面は第一リングと密着するも
のであれば、いかなる形状でもよく、図示するよ
うな微少のバレル面を有するものでも良いが、な
るべく第一リングの軸方向高さの中央付近を押す
ような形状に仕上げられることがより望ましい。
本発明のピストンリングの材質すなわち第一リ
ング、第二リングの材質が鋳鉄、鋼、焼結合金、
合成樹脂、繊維複合材料などのいかなるものであ
つても、本発明の効果が達成されることはいうま
でもない。ただし、第二リングは大きな張力を有
する必要性がないので、第二リングに特に熱伝導
性に優れた材料、例えば銅系合金を使用すると、
ピストン冷却効果を向上させることができる。
さらに、第一リング、第二リングの摺動面又は
その外表面に一般的に用いられている耐魔耗性の
表面処理、例えばクロムメツキ、溶射被覆、軟窒
化処理、焼入、浸硫処理等を施すと、耐摩耗性が
向上する。又、低摩擦材料、例えば二硫化モリブ
デン四弗化エチレン樹脂等をうめ込んで摩擦係数
を一層低くすることもできる。
上記のとおり、本発明のピストンリングは外周
側及び内周側からの圧力を打ち消し合う如き構成
を持つので、高圧の圧力条件下にあつてもピスト
ンリングのシリンダとの接触面圧は設定した小さ
な圧力に維持される。その結果、ピストンリング
摩擦損失は小さく、さらに、低粘度潤滑油の使用
も可能になるので、レシプロ機関全体の摩擦損失
が著しく低減するという効果が得られる。
さらに、ピストンリングの軸方向への持ち上が
りは、高速回転においても阻止されるため、ピス
トンリングの背面からのガス漏れも防止される。
又ピストンリング背面からの潤滑油上昇通路を遮
断するので、潤滑油消費量低減の効果に優れる。
本発明ピストンリングにおいて、第一リング外
周面をステツプカツトとすることにより、ガスシ
ール効果が向上するのみでなく、第一リングと第
二リングが組合せピストンリングとして1本でも
つて従来の上下にランド部をはさんで2本用いら
れていたピストンリングと同様のガスシール機構
を形成する。したがつて、2本必要とされていた
ピストンリング構成を1本とすることにより、ピ
ストン高さを低減すると同時にピストンリングの
摩擦損失をも低減しうる。本発明のピストンリン
グは、ピストンからシリンダへの伝熱効果に優れ
た第二リングを有するので、熱伝導性が良好であ
り、これも摩擦損失の低減に寄与する。
しかも、本発明のピストンリングの第一リング
と第二リングは相互に独立した挙動が可能である
ため、第一リングと第二リングの膠着の危険性も
少ない。
さらに、ピストンリング溝凹部に多少の加工寸
法誤差があつても、本発明ピストンリングにおい
ては、その効果が著しく低減することはなく、そ
の上、第一リングと第二リングは共に単純な矩形
リングであるため、当然、加工性と生産性は非常
に高い。
【図面の簡単な説明】
第1図及び第10図はピストンリングに作用す
る圧力を示す図、第2図ないし第6図は従来のピ
ストンリングの断面図、第7図は本発明の一実施
例の断面図、第8図、第11図、第19図、は第
6図のピストンリングの作用を示す図、第9図及
び第12図ないし第18図及び第21図ないし第
27図は本発明ピストンリングの他の実施例を示
す図、第20図は第18図のピストンリングの作
用を示す図、第28図は本発明ピストンリングの
作用を示す図である。 付号の説明、1……第一リング、2……第二リ
ング、4……ピストンリング溝、5……ピスト
ン、13……内周面、14……下面、24……下
面、40……凹部、43……溝底、100……空
間、420……凹部下面、440……溝。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 外周に摺動面を有する第一リング1と前記第
    一リング内周と当接する第二リング2からなるピ
    ストンリングにおいて、 前記第一リング1と前記第二リング2を嵌装す
    るピストンリング溝4の内周側に上面がピストン
    リング溝4の上面42と共通になる凹部40を設
    け、前記凹部の下面420と前記第二リング2の
    下面24を当接させると共に、第一リング内周1
    3と第二リング外周21を当接させたことを特徴
    としてなるピストンリング。 2 第一リング1の合口形状を軸方向に段15を
    有するステツプカツト合口とし、かつ段15の軸
    方向位置を第二リング2の軸方向位置範囲にした
    ことを特徴としてなる特許請求の範囲第1項記載
    のピストンリング。 3 第二リング2の外周面21をテーパ面にした
    ことを特徴としてなる特許請求の範囲第1項記載
    のピストンリング。 4 ピストンリング溝4と第二リング下面24及
    び第一リング下部内周面131で囲まれた空間1
    00を形成するピストンリング溝440を設けた
    ことを特徴としてなる特許請求の範囲第1項記載
    のピストンリング。 5 第一リング1下部内周面131の第二リング
    2と当接しない範囲の下面側内周に切欠き134
    を設けたことを特徴としてなる特許請求の範囲第
    1項記載のピストンリング。 6 第一リング1の下部内周面131の軸方向高
    さh2が第一リング軸方向高さh1にほぼ等しい
    ことを特徴としてなる特許請求の範囲第1項記載
    のピストンリング。 7 第一リング1の下部合口152と第二リング
    2の合口25が回り止め手段により半径方向に合
    口位置がずらされたことを特徴としてなる特許請
    求の範囲第1項記載のピストンリング。 8 第二リング2の上面側に第二リング2を軸方
    向下方へ押圧するばね28を配したことを特徴と
    してなる特許請求の範囲第1項記載のピストンリ
    ング。 9 第二リング下面24に溝240を設け、ピス
    トンリング溝4と前記下面24及び第一リング下
    部内周面131で囲まれる空間100と前記第二
    リング下面の溝240とを連通する連通溝422
    又は連通孔423を設けたことを特徴としてなる
    特許請求の範囲第1項記載のピストンリング。 10 ピストンリング溝4の凹部40上面420
    が傾斜面であることを特徴としてなる特許請求の
    範囲第1項記載のピストンリング。 11 ピストンリング溝4の凹部40を含む部分
    のピストンリング溝をピストンリングキヤリア9
    に形成したことを特徴としてなる特許請求の範囲
    第1項記載のピストンリング。
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